大臣会見

冬柴大臣会見要旨

2008年7月1日(火) 10:38 ~ 10:55
国土交通省会見室
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議は、特にご報告することはありません。
 私から2点報告したいことがあります。一番目は航空についてです。航空分野は、世界的に今後の成長が見込まれ、温暖化対策の取組みが急務となっていることから、多様な対策を関係者が一体となって推進することが求められています。このため、新たに、官民一体となった「SKYエコ促進協議会」を設置し、航空分野における総合的な温暖化対策等について、協議することとしました。また、横田空域については、本年9月にその一部が返還されることとなっております。今回、羽田空港から西方面への出発機の飛行経路を改編することとしました。これにより、羽田空港から西方向に向かう航空機の飛行時間が約3分間短縮され、約28億円相当の燃料の節約と一般家庭約1万5千世帯分に相当するCO2排出の抑制効果等が期待されています。なお、これらの詳細については、事務方から説明させます。
 もう一点は、私も付けていますが、「青い羽根募金運動に対する協力依頼」についてです。本日から8月31日までの2ヶ月間は、「青い羽根募金強調運動期間」とされていまして、この間重点的に青い羽根募金運動の宣伝活動が展開されます。明治22年、金刀比羅宮宮司の発意により、漁業や会社員等の職業を持つ方々が、ボランティアにて、命がけの救難活動を行う民間の救助団体として「日本水難救済会」が創設されました。今年で創設119年目を迎えるわけでして、全国で5万6千人の方々がボランティアとして登録し、活動されています。これまでに救助した人命は192,884名にのぼります。救助した船舶は3万8千隻に及んでおります。青い羽根募金は、この海難救助のための救助資機材の購入や海難救助訓練に活用されております。本日の閣僚懇において、私から各大臣に対して、青い羽根を着用していただいてることについてお礼申し上げるとともに、運動の推進にご協力いただくようお願い申し上げました。

質疑応答

(問)週末から、タクシーの営業規制、台数規制の話が報道されていますが、これに対する大臣のご所見、今後の方針などをお聞かせください。
(答)タクシー事業につきましては、現在、地域によっては相当程度供給が過剰な状態にあります。それによって運転者の労働条件の悪化や道路混雑など様々な問題が生じています。昨日、私は宮城の被災地の視察に参りましたが、その夕刻に時間をとりまして、県や市あるいは各種団体のご要望を聞く機会を設けました。その中で、仙台市長から、この問題に絞って要請を申し上げたいということで、「仙台では、平成14年の規制緩和以前は2千台のタクシーがあったけれども、千台増えまして3千台になっています。そのために、二重駐車とか、交通事故がものすごく多くなっていて放置できない。なんとか考えてもらいたい。」という強い要請を頂戴したところです。国土交通省としましては、これに対し有効な対策を講じていくことが必要であるという考えを持っています。他方、平成14年に実施した規制緩和以前の状態のように、意欲や能力のある事業者であっても、事実上、新規参入、増車ができないという状況は、事業の活性化や利用者の利便の向上の観点から決して好ましいものではない。そういう両方の考え方があるわけです。いずれにしろ、この問題につきましては、現在、交通政策審議会のタクシー問題に関するワーキンググループでご審議をいただいているところです。7月3日には、第8回のワーキンググループが開かれますが、これまでの審議を踏まえ、ただ今述べたような考え方に則り、現時点での国土交通省の考え方をお示しする予定です。その上で、これに対するご意見、ご批判を賜りながら、年末の最終答申に向けてさらに具体的な制度論等をご議論いただきたいと考えております。国土交通省といたしましては、その結果を踏まえて、必要な場合には法改正を含め所要の措置を講じてまいりたい、このように考えております。なお、今の緊急調整措置というのは、8月末が期限になっておりますが、これまでのご議論を踏まえながら、また仙台市長の要請とかそのほかいろいろありますが、この期限をどうするかということも適切に判断していきたいと考えております。


(問)民間のことなんですけど、今日、JR東の新幹線の車両が、朝、落書きをされるというようなことがありまして、乗客の足等に影響があったんですけど、テロ警戒中にこういう事態が起こったということについてご感想をお願いします。
(答)岩手・宮城内陸地震のときですら、翌日からは全て正常に運転を、もちろん徐行とか長く取り決められたようにしてやっておりましたけれども、走らせているということは、私は高く評価してきたんですが、今日、そういうことがありまして、どのようなことなのか聞いてみたいと思っております。そういうことがないように、特にこのサミット前後、緊張しなければなりません。公共交通について、特に緊張しなければなりませんので、そこら辺はこういうことがないようにしていきたいと思います。


(問)今朝の新聞報道にもあったんですが、立体駐車場のアスベスト問題なんですけども、なかなか法律の網に入ってこなかったという問題もあるんでしょうけれども、あれは今後どう見てらっしゃいますでしょうか。
(答)今後、実情を調査して、適切な対処をしていかなければならないという気持ちでおります。建築基準法上、今いろいろあるものですから、人がたくさん出入りするところ、あるいは1千㎡以上のものを集中的にやり、それがある程度できあがったら次にもう少し、例えば5百㎡以上とか、こういうふうにしていきたいと思っておりますが、立体駐車場の場合は、中にはあまり人が入らないわけです。ぐるぐる回るやつです。もちろん、運転者は車を入れたり出したりするときには中に入りますし、従業員の方も、近くにおられます。また、そういうものが飛散してご近所に迷惑をかけてもいけません。そういう意味では、私は決して等閑に付していいとは思いませんが、もうちょっと実情を調査した上で、やりたいと思っております。


(問)近畿地整の淀川のダムの問題ですけれども、ここにきて、京都府、大阪府、滋賀県の三知事が、どちらかというと消極的と受け止められる姿勢を表明していますが、これについてどのように思いますか。
(答)それぞれのご意見ですから、我々はご意見を伺いながら判断しなければならないわけで、できるだけ皆さん方に、現在置かれている状況を、十分ご理解を賜りながらご意見を頂戴したいと思っていますが、河川管理者としてはいろいろなご意見をお伺いしながら、判断はきちっとしなければいけないと思っています。


(問)どれくらいの時間をというのは考えていますか。知事たちとの話し合いということについて。
(答)これはその状況によりますから期限を切ってどうとか言うべきではないと思いますが、十分に話し合いをしていきたいと思っています。今回の地震で一つ感じたことがあります。磐井川というのが、一関市の方へ流れている川です。昭和23年に一関市では、磐井川の氾濫で大洪水に見舞われて、550名にも達する人が亡くなったという事件があります。そのことを契機に、磐井川の上流で五つのダムを造って、上流の水源あたりから大きな山がありますが、そこへ降った雨水が集まって、急激な急流になって流れないように、五つのダムを造ったということです。そのダムがあるから、そこが貯水をしてくれて、一挙に下に出なかったということで、非常にナーバスになっていて、この水は大丈夫なのかと再三聞かれました。それで、私も15日に、ダムを視察させていただきました。このダムが安全かどうかということが、最大の関心事でしたが、我々の専門家は「大丈夫です」ということをおっしゃっていただいたので、私は市長さんにそのことを伝えましたら、大変喜んでいただきました。なんとか、一挙に出てくることのないようにお願いしたいと。祭畤もちょっと下ですね、その下に土砂崩れによって河道閉塞が生じていまして、そこが崩れないだろうかと心配されていました。これは、TEC-FORCEの支援により、私も昨日見ましたが、本当に短時間の間に長さ120メートル、幅19メートルの河道を掘削して、細長い河道を全部造って、そこから水を徐々に流していました。こういう、一挙に水が出た時に、上流で貯水するということは、非常に大事なことだということがよく分かりました。いろいろな議論があると思いますが、それぞれに十分に理解していただいて、問題は淀川水系の場合は、1千8百万人の人たちが住んでいる場所ですので、安全ということを第一に考えて、やっていかなければいけないと私自身は考えています。これに対するご意見がたくさんあるということは、十分承知していますので、よく調整をしながら進めていかなければならないと思っています。


 

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