副大臣・大臣政務官会見

青木副大臣会見要旨

2019年10月2日(水) 11:00 ~ 11:24
国土交通省会見室
青木一彦 副大臣 

質疑応答

(問)これから副大臣として優先的に取り組む政策と、副大臣就任にあたっての抱負を、まずよろしくお願いいたします。
(答)このたび、副大臣を拝命いたしました参議院の青木一彦です。
私は、平成26年9月からおよそ1年間、国土交通大臣政務官を務めさせていただきました。
この間、道路等の社会資本整備や東日本大震災からの復興をはじめ、様々な取組を推進してまいりました。
こうした経験からも、国土交通行政は、国民生活や国民経済の基盤となる、極めて重要かつ幅広い分野を担当していると認識いたしております。
今回、副大臣として、安全・危機管理及び海上保安、都市、道路、住宅、港湾、航空等の分野を担当することになりました。
その中で申し上げますと、例えば、近年は中国公船の領海侵入や外国漁船の違法操業など、わが国の周辺海域を取り巻く状況が厳しさを増しております。
海上保安体制を強化するなど、わが国の領土・領海の堅守に全力を挙げてまいります。
また、道路・港湾・空港など、国民生活やわが国の経済成長を支える重要な社会資本について、必要な整備を着実に進めるとともに、計画的な維持管理及び老朽化対策にもしっかりと取り組んでまいります。
更に、人口減少・少子高齢化が進む中でも持続可能なまちづくりを進められるよう、立地の適正化や魅力ある都市空間の形成、新技術の活用により都市・地域の課題を解決するスマートシティの取組等を進めてまいります。
赤羽大臣は、国土交通省の直面する様々な課題に対し、現場第一主義で取り組むよう重視されています。
私もこれまでの経験を活かしながら、同じ姿勢で取り組み、国土交通行政がしっかりと前に進むよう全力を挙げてまいります。

(問)来年1月からSOx規制の強化が開始され、目下のところ事業者の最大の懸案事項になっているのですが、その辺りについて国土交通省の取組方針を改めてお聞かせください。
(答)船舶へのSOx規制強化につきましては、条約により、健康や環境への悪影響の低減のために全世界的に行われることになっており、わが国も環境先進国として適切に対応する必要があると考えております。
本規制に適合するためには、硫黄分の低い高品質な燃料油に切り替える必要があることから、国土交通省では、業界が規制へ円滑に対応できるように様々な取組を行っております。
石油業界と規制適合油の性状についての調整を行ってまいりました。
今年の夏には、実船12隻によるトライアル運航を行い、問題がないことを確認しました。
また、規制適合油の使用に関する手引書を作成し、関係業界に周知しており、9月10日には手引書の最新版を公表したところです。
次に経済面ですが、今回の規制対応に伴って発生する諸コストについては、社会全体で適切に分担いただくことが必要であることから、燃料サーチャージの導入促進のためのガイドラインを公表いたしました。
また、荷主も含め広く社会の理解を得るため、経団連等との共催で東京においてシンポジウムを開催したほか、全国各地で説明会を開催しました。
規制開始まであと3か月と迫っております。
荷主、海運事業者をはじめとする関係事業者が円滑に規制に対応できるよう、引き続き、あらゆる対策に全力で取り組んでまいります。

(問)インフラ整備と維持管理・老朽化対策について、所管される道路、港湾、空港の各分野についての方針を教えてください。
(答)まずは道路から申し上げます。
道路のインフラ整備は、自然災害等から国民の生命や財産を守るほか、民間投資や観光交流などが進み、わが国の成長に寄与するなどの多様な効果が期待されるものであると考えております。
三大都市圏環状道路をはじめとした高速道路ネットワークなど、重点的に整備しているところです。
道路の老朽化対策につきましては、平成26年度より、全国の橋やトンネルなどについて、5年に1度の頻度で近接目視による点検を行ってまいりました。
平成26年度から平成30年度までの1巡目の点検結果は、次回点検までに措置を講ずべき施設がおよそ8万施設存在しました。
このうち、点検結果を踏まえ平成30年度までに修繕に着手した橋梁は、地方公共団体管理で20%。また、修繕が完了した橋梁は12%にとどまっており、地方公共団体の措置が遅れているという内容となっております。
今回の1巡目の点検結果を踏まえ、特に地方公共団体に対し、技術面や財政面での支援を行い、道路の老朽化対策が計画的に進むよう努めてまいりたいと思います。
そして港湾。
港湾のインフラ整備は、わが国経済の国際競争力強化、民間投資や観光交流の促進、国民の雇用の確保や生活の質の向上のほか、安全で安心な地域づくりに不可欠なものと考えております。
生産性と成長力の向上につきましては、国際コンテナ・バルク戦略港湾や国際クルーズ拠点の形成などについて、重点的に整備を推進しているところです。
国民の安全・安心の確保につきましては、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を着実に実施するなど、災害対応力を強化します。
また、供用後50年以上を経過した施設が20年後には港湾施設のおよそ7割になるなど、老朽化対策が喫緊の課題であると認識しており、点検・維持管理・更新など、計画的、総合的な対策が必要である一方、多くのインフラを管理する地方公共団体では、財政面、体制面、技術面で課題があることから、国土交通省としても、各種支援を実施しているところです。
今後とも、必要な港湾のインフラ整備に努めていくとともに、老朽化対策に全力で取り組んでまいります。
そして航空。
航空分野のインフラ整備につきましては、「明日の日本を支える観光ビジョン」が定める訪日外国人旅行者2020年に4000万人等の目標達成に向けた基盤整備として、大変重要なものと認識しております。
首都圏空港につきましては、2020年までに、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の高速離脱誘導路の整備等により発着容量を年間およそ8万回増加させます。
2020年以降には、成田空港の第3滑走路の増設等により、発着容量を更に16万回増加させる機能強化を進め、世界最高水準の年間およそ100万回を目指すことにしております。
これでニューヨーク、ロンドンと肩を並べる発着容量になると思います。
地方空港におきましては、ゲートウェイ機能を発揮していくため、那覇空港・福岡空港における滑走路増設事業等に取り組んでおります。
また、航空分野の維持管理・老朽化対策については、「インフラ長寿命化計画」を踏まえ、空港ごとに策定した維持管理・更新計画に基づく、計画的な空港施設の点検や修繕の実施、新技術を活かした効率的な維持管理の推進、国が有する維持管理ノウハウを地方空港管理者と共有するための会議の定期的な開催等に取り組んでまいりたいと考えております。

(問)住宅分野についてお伺いします。
今、マンションの老朽化が全国で進んでおり、喫緊の課題となっております。
この対策についてお考えをお願いします。
(答)喫緊の課題であると考えております。
平成30年末にマンションストック総数はおよそ655万戸であり、国民の1割以上が居住する重要な居住形態として定着しております。
このうち、築40年超のマンションはおよそ81万戸ですが、10年後にはおよそ倍の198万戸、20年後にはおよそ4倍の367万戸と、今後急増することが見込まれております。
このような高経年マンションでは、建築・設備の老朽化や管理組合の担い手不足などが生じており、維持管理の適正化や再生に向けた取組の強化が喫緊の課題となっております。
このため、社会資本整備審議会住宅宅地分科会にマンション政策小委員会を設置し、マンション管理の適正化や再生の円滑化に向けた方策について検討を行い、来年1月頃に結論を得る予定としています。
国土交通省としましては、小委員会においての議論などを踏まえ、必要な対策についてこれから検討を深めてまいります。

(問)社会資本整備についてなのですが、先ほど、防災と老朽化の観点から道路と港湾のインフラ整備についてお話をいただきましたが、物流生産性の向上に向けたインフラ整備について今後の取組のお考えをお聞きしたいと思います。
(答)物流生産性、港湾のインフラ整備が全て連携してやっていかなければいけません。
まず、港湾について述べさせていただきます。まず1点目、国際コンテナ戦略港湾政策をやってまいります。
重点的・効率的な集貨、港湾情報システムの活用など、AIターミナルの取組や港湾関連データ連携基盤の構築など、「集貨」「創貨」「競争力強化」の3本柱の施策の推進により、わが国経済の国際競争力の強化、雇用と所得の維持・創出を図ってまいります。
2点目、国際バルク戦略港湾政策を行います。大型船が入港できる港湾の拠点的な整備を推進し、企業間連携による共同輸送の促進により船舶の輸送効率を向上させ、資源・エネルギーの安定的かつ安価な輸入に貢献してまいります。
3点目は、地域の基幹産業の競争力強化のための港湾整備です。
船舶の大型化への対応やふ頭の生産性向上による港湾施設の整備を重点的に推進し、地域の産業競争力強化や雇用確保に資するとともに、国土強靭化のための緊急輸送の確保やドライバー不足等に対応し、国内物流を安定的に支える内航フェリー・RORO輸送網の構築など、わが国の新たな課題に取り組んでまいります。
これに関連して、道路整備等もしっかりと進めてまいりたいと思います。

(問)航空分野についてお伺いします。
今後、観光インバウンドで6000万人等を目指す上で、首都圏空港と同時に地方空港の活性化、機能強化というのが重要になってくるかと思いますけれども、地方空港の活性化に向けた現在の取組、今後の御所見等がございましたらお伺いしたいと思います。
(答)地方空港の活性化に向けましては、国内外の航空ネットワークの充実を図り、内外の交流人口の拡大を促すことが特に重要だと考えております。
このため、国際線については、先ほども申し上げましたが、羽田空港において、飛行経路の見直し、国際線の発着回数を年間およそ4万回拡大し、地域と海外の交流により地域活性化を図ることにしております。
それに伴い、地方空港につきましても、平成29年7月に全国27の地方空港を「訪日誘客支援空港」として認定し、着陸料の軽減や旅客受入施設整備への支援などを行い、地域における国際線誘致の取組を推進しているところです。
また、国内線については、羽田空港の国内線の発着枠を見直し、政策コンテスト枠等の増枠を行うほか、着陸料や航空機燃料税の軽減により、ネットワークの充実を図っているところです。
引き続き、これらの取組を通じて、関係者と連携しながら地方空港の活性化に努めてまいります。

(問)都市政策についてお伺いします。
先ほど、スマートシティの取組を推進されるという御発言がありましたけれども、人口減少時代のあるべき都市像を踏まえた、今後の都市政策について御所見をお聞かせください。
(答)今後、急速な人口減少が見込まれる中で、多くの都市では、医療、介護、子育て、買い物等の生活サービスが成り立たなくなっていくおそれがあります。
こうした中で、生活サービスが維持され、高齢者も安心して暮らせる持続可能なまちづくりを推進することが重要です。
国土交通省では、医療、福祉、商業等の都市機能と居住を誘導・集約するための「立地適正化計画制度」を平成26年に創設し、400を超える市町村で取組が進められています。
今後は、本年7月の「都市計画基本問題小委員会中間とりまとめ」を踏まえ、まちなかの魅力向上、防災対策との連携強化等、立地適正化計画の実効性を高めるための取組を進めてまいります。
具体的には、まちなかにおいて、日常生活に必要な病院や小売店舗等の適切な立地を推進するとともに、災害リスクを踏まえた居住誘導区域の設定を推進すること等により、危険エリアへの住宅等の立地の抑制を図ってまいります。
先ほど言われましたスマートシティですが、更に、自動運転やAI、IoT等の活用により、日常生活における移動手段の確保など、急速な人口減少等に伴い発生する課題解決も可能となることから、こうした先進的技術をまちづくりに取り込み、都市や地域の課題を解決するスマートシティの取組も進めてまいります。

(問)先ほど冒頭の御発言の中にもありましたが、人口減少・少子高齢化という環境変化があるなかで、住宅政策について、どのように進めていかれるか全体像を教えてください。
(答)少子高齢化や人口減少による将来的な世帯数の減少が見込まれる中、将来世代に承継できる良質な住宅の確保が必要であると認識しております。
新築住宅につきましては、耐震性の乏しいストックの建替え等になお一定の需要があり、その中で、省エネルギー性能に優れた住宅や長期優良住宅など、質の高い住宅の供給の促進が必要であると考えています。
既存の住宅につきましては、空き家の発生を抑制し、利活用を推進するとともに、若年・子育て世帯、高齢者世帯などが適切な負担で住まいを確保できるようにするためにも、そのリフォームや流通の促進が極めて重要であると考えております。
いずれにせよ、国民の住生活に対するニーズがますます多様化していく中、こうした観点も踏まえながら、住生活基本計画の見直し等にしっかりと取り組んでまいります。

(問)道路分野についてお伺いいたします。
国土交通省として検討が進む自動車の自動運転ですが、この実現に向けた道路インフラの整備に関して現状の認識と今後の取組についてお教えください。
(答)自動運転につきましては、政府目標として、高速道路におきましては、後続車無人の隊列走行システムの2022年以降の商業化、一般道路におきましては、限定地域での無人自動運転サービスの2020年までの実現、などが挙げられます。
政府目標の確実な達成を図るため、現在、隊列走行や中山間地域における自動運転サービスの実験を進めているところであり、現在の自動運転技術では、歩行者、路上駐車車両等を障害物と検知して手動介入しなければならない、GPSの不感地帯での測位精度が低下する、などの課題が挙げられております。
これを踏まえ、有識者の検討会を7月に設置いたしました。自動運転に対応した道路構造等について検討を現在進めております。
国土交通省といたしましては、引き続き、有識者の御意見を踏まえながら、道路空間の構造や管理の基準等について具体化の検討を進めてまいります。

(問)今朝の北朝鮮の弾道ミサイルの件でお伺いいたします。
官房長官からは、2発撃たれて、1発は島根沖のEEZに落下したとありました。
韓国軍は、北極星系列の弾道ミサイルだったという見方を示しておりますが、海上保安を所管される立場として、どういった御指示と御対応を行っているか教えてください。
(答)現在、いろいろな情報を含めて精査しているところです。
ただ、今伺っておりますのは、国土交通省の担当といたしましては、国土交通大臣の方から、「航空機・船舶等への安全確認をまず徹底すること」、「国民及び関係事業者に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと」という御指示をいただいております。
国土交通省としましては、弾道ミサイルに関する注意喚起や被害情報の収集を現在行っているところです。
弾道ミサイルの1発がわが国の排他的経済水域の中に落下したとみられますが、航空機や船舶への被害情報は現在確認されておりません。
引き続き、関係省庁と密接に連携し対応してまいりたいと思います。

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