大臣会見

冬柴大臣会見要旨

2008年6月13日(金) 9:52 ~ 10:27
国土交通省会見室
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)おはようございます。本日の閣議で、当省の関係では、国会提出案件が1件、「『平成19年度土地に関する動向』及び『平成20年度土地に関する基本的施策』について」の決定をいただきました。政令の決定が1件、「空港整備法及び航空法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」の決定がございました。以上が閣議の決定です。私から2点、今日はご報告がございます。
 1点目は、タクシーチケットの使用に関してです。今般の国会審議を通じて、私なりにいろいろと思い悩むこともあり考えてまいりました。詰まるところ、問題は仕事のやり方にあると思いました。言うまでもありませんが、超過勤務は、真に必要なやむを得ない場合に限られるべきものであります。もちろん、国会中は質問取り、それに対する返事あるいはたくさんの資料要求や質問主意書、これは1週間以内に返さなければいけないということで、大変深夜まで働いている実態はあります。しかし、本当に超過勤務というものが深夜12時を超えて1時、2時までするということは、本当に異常だと思います。そのため、やむを得ず職員が超過勤務をしなければならない場合でも、可能な限り公共交通機関で帰宅できる範囲で仕事を終える努力をするような方策を真剣に検討するように指示しました。さらに、タクシーチケットの安易な使用をなくしたいと思い、試しに、本省でのタクシーチケットの使用を停止するということを指示しました。具体的には、今国会の閉会後の6月23日から、2ヶ月間、8月22日頃まで試行期間として、タクシーチケットを一切使用しないということを行ってみてどのような課題があるか整理をしたいということにしました。特に会計手続き等の面では、検討すべきいろいろな課題があると予想されます。本当に深夜帰宅が必要であれば、職員に立替払いをしてもらい、事後に精算するといった方法も考えられないかどうか、こういうことも検討してみたいと思います。超過勤務の縮減やタクシーチケット使用の改善を徹底していくことで、管理職員等の意識改革や業務執行の改善が図られていくのではないかと期待しています。また、このような試行を通じて、会計処理などの観点から適切な運用方法を整理してもらい、今後のタクシーチケット使用のあり方、改善の方向を見極めてみたいと思います。これは、当省の、しかも本省だけに限ってやってみたらということで、行います。
 もう1点ですが、これも国会審議でありましたが、昨今の鋼材あるいは燃料の価格の急騰ということは、入札で落札してから仕事を完成して引き渡すまでに相当な期間がかかりますが、その間に、ものすごく暴騰し、それが当事者の責に帰するものでもないし、それをあらかじめ知ることもできないというような現状において、そのまま入札の時に使った価格を維持するということは不公平です。落札した人に、その危険を全部負担させるということになりますので、これは法律的に事情変更の原則というものがあり、契約条件の変更を求めることができるという原則があります。第二次オイルショックの時に、「単品スライド条項」というものが、工事請負契約書第25条第5項として入ることになっていましたが、28年間、これが使われたことがなかったのです。しかし、昨今の燃料あるいは鋼材の暴騰ということが、そのまま置いておくわけにはいかないと思いましたので、この「単品スライド条項」を適用するということで、本日付で詳細な運用ルールを定めました。詳細については、後ほど事務方より説明させます。以上です。

質疑応答

(問)先日、総理の問責決議案がでて、国会が止まっている状況ですが、これに対するご所見と法案が一杯残ってしまっていると思いますが、今後の対応をお聞かせ下さい。
(答)今国会は、道路の問題で大変審議が輻輳したわけですが、国交省としては政府提案の11法案と1件の承認案件の12本提出しましたところ、法案2本のうち1本が11日に衆議院で趣旨説明はさせていただきましたが、審議は全く入らずに止まってしまいました。もう1本は、「独立行政法人気象研究所法」という行政改革の一環として、気象庁の中にある研究所を、174名の職員がいるわけですが、独法にすべきであるとの閣議決定に基づいて、そのための法案を提出したのですが、衆参とも趣旨説明すらさせてもらえなかったということで、国会が終わってしまいそうです。甚だ残念です。その1本というのは、気象研究所以外の法律というのは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」というもので、いわゆる200年住宅法案です。今、我が国の住宅政策は、量から質へということで、良いものを作ってきちんと手入れをして長く大切に使うという考え方の転換を図っています。今までは、住宅建設五箇年計画というのが8回更新されて40年間、量を確保するということで進められたわけですが、外国からはウサギ小屋とかいわれるような酷評を受けるような住宅がありました。しかも、だいたい築後30年から35年で壊して建替えるというような一代限りのような住宅が作られていたのですが、その結果、量は余るほどできたのですが、質は公営住宅を見ても5階建てで、箱形で、エレベーターもないというものがたくさんあります。そういうところから、我々は豊かで快適な住生活を国民に保証するためにも、先ほど申し上げたような、もっと違う質のものを作っていこうということで、今回、長期優良住宅ということで提案したのですが、衆参ともに審議をしていただくことなく先送りになったことは誠に残念でありますし、国民生活にも大きな影響を与えることだと思います。したがって、なるべく早く成立できるように次の国会では一番にやっていただきたいと思います。住宅政策というものは非常に大事ですし、詳しいことは申しませんが、200年もつ住宅を作るには、相当しっかりした住宅で、耐震、環境あるいはバリアフリーというような要件を満たすものでなければなりませんし、数世代にわたって、相続以外でも、中古住宅市場で購入される方々がそこに住むということが予想されますので、間仕切り等は柔軟にできるような家を作らなければなりません。そういうことを論議するための法律ですので、大変重要な法律です。積み残しになったということははなはだ残念ですが、そのような感想を持っています。

(問)タクシーチケットのとりあえずの廃止ですが、これは国交省単独の施策で、例えば閣僚懇など他の大臣の方とお話をされたことはありませんか。この2ヶ月間の施策ですが、例えば我々の職場でもチケットがいきなり廃止されたら業務は大混乱だと思います。まず、夜の仕事を見直すことが優先されて、やむを得ずというときはこの2ヶ月間でも自腹を切ってのちに精算という方式は残されるのか、それともとりあえず2ヶ月は一切お金の支払いもストップするというお考えなのでしょうか。
(答)順次お答えしますが、どなたとも、閣僚とも相談していません。役所の人とも相談せずに私の思いつめた気持ちでありまして、非常識かもしれません。そのために、本省だけに限って、しかも国会閉会中、国会開会中だったら動かなくなることもわかりますので、国会閉会中に一度、働き方も考え直してみたいと、やっぱり公共交通機関に乗って通勤するということです。そのためにいろいろな仕事はたくさんあるだろうけど、仕事を工夫しながら課の中でお互いに仕事を分け合って、シェアリングして、みんながその時間には帰るというような習慣といいますか、これを是非身につけていただきたい。それでも今おっしゃるように公共交通機関の範囲内で帰れない人は、一切だめということではなく、タクシーチケットはやめてもらいたい。不評ですから。そして、私どもは、この国会で、無駄遣いということで、非常にいろいろご批判を受けました。その中の一つにタクシーチケットもありました。したがって、タクシーチケットはこの期間は一切発行しません。どうしても必要な場合には、本人が立替払いし、所要の領収証等を会計課で考え、作っていただき、それで後に清算するという方式で、窮屈ですが一度やってくださいという指示を私がしました。そして2ヶ月間の結果を見て、いろいろな問題点があると思うので、工夫し、そして他省庁にも発信するか、その前に、我々には支分部局がたくさんありますので、そういうところでやってみるかです。タクシーについては、ご案内のとおりですが、私どもは4月1日からきちんとした管理方法をとっていますので、それがきちんと守られる限りにおいては、一切不正などはできない、また、国民から疑惑を受けるようなことはできないようにしていますが、一度、大変ドラスティックですが、タクシーチケットは止めさせていただきたいという指示をさせていただきました。2ヶ月の間でいろいろ確認をしていただこうということです。

(問)今のお話はすごく良いアイディアだと思いますが、立替払いを可能にしてしまうと、せっかくのアイディアもいかがかと思います。これまでは自分の身分を明かさなければ使えなかったタクシーが、自分の身分を明かさずにお金を払って、後で国に請求できるシステムになってしまうと思います。もちろん、タクシーチケットそのもの自体が今問題になっていますが、自分の身分を明かさずに自由に乗れてしまう方がもっとよくない結果をもたらしかねない思うのですが。
(答)今いただいたご意見も参考にしながら、そうならないような工夫を会計課でも検討してもらいたいと思います。それから、今日は自腹でも帰りますということを上司にきちんと報告した上でというようなことになると思います。無制限に乗り、それをどんどん請求するということは、会計法上もできません。立替払いした場合に国費で精算する手続法がありますので、そういうものを全て考慮し、当然のことながら、そのような手続きを会計課で考えていただいて、やろうということです。今まで以上にもっと透明性が増すと思いますし、恐らく、激減するするだろうと思います。私でも毎日2万円も3万円も自腹を切って帰れません。翌日朝一番にお金を返してもらえればいいですが、それは無理でしょう。お金が現金で返ってくるには、ある程度、例えば、5日なり一週間なりかかると思います。そのようなことも考慮しながら、大変窮屈な思いをさせて申し訳ないのですが、こういう習慣を考え直すというか、反省する一つのきっかけにしていただければと思い、非常に無理なことを承知で、官房長にお願いしました。そして、これを研究していただこうと思います。いろいろな問題点が出てくると思いますが、それを改善の一つの手がかりにしていきたいというのが本意ですので、よろしくお願いします。

(問)細かい話で恐縮ですが、1月に本省だけでだいたいどれくらいのタクシーの利用があるのか、もしわかればお教えいただきたいのですが。
(事務方)1日に少なくとも200件程度はあるのではないかと思います。
(大臣)6万3千人のうち約4千人が本省にいますが、その人たちに大変ご不便をかけるわけですが、一度、2ヶ月間やってみようということです。

(問)関連してですが、1万円、2万円のタクシー代を支払い毎日帰宅するのであれば、宿泊施設を造ったり、近くのホテルを取ったり、他のやり方もあると思います。そういうタクシーを使わないやり方を検討されるつもりはあるのでしょうか。
(答)そういう工夫もしなければならないと思います。現に、4月1日から非常に窮屈になってやっているわけです。ですから、私はまだ聞いていませんが、激減していると思います。では仕事をしていないかといえば、仕事はやっぱりあるわけで、今おっしゃたような近くのビジネスホテルを利用するとか、ある場合には、気の毒ですが、机の上で寝るということもあります。実際、事務量はものすごい量です。質問主意書や資料要求では、1件でダンボール箱23箱届けたものもあります。とにかく出せということです。本当に見ていただいているかどうかですね。1年以上かかりますよ。それを全部写しを作って出しているのです。その質問の前の晩になったら、秘書と本人がこちらに来て、どうなっているんだと言ってくる方もいます。それも夜中の12時ごろにです。皆、遑々としてやっているのです。やはり、その人たちはタクシーで帰らざるを得ないのです。そういう事実も私は知っています。ですから、国会会期中はとてもではありませんができません。ですけども、ここで閉会しますので、その後2ヶ月は一度無理を承知で試みて、どんなことが考えられるかやっていただきたいと思い、お願いしました。

(問)2ヶ月やってみて問題ないと判断できれば、恒久的にチケットを廃止することも考えていらっしゃいますか。
(答)それはそうです。ですが、いろいろ問題はあると思いますが、代わる方法があるのかどうかですね。誰もこんなことを考えたこともないと思います。本当に動くのかどうか。普通のときだったら動かないと思いますが、国会が終わったときに一度考えて見ようと思います。

(問)民間は既にチケットを廃止しているところが割とあります。
(答)チケット廃止について研究してもらおうと思いますが、どういう方法を代替的に行っているのか。特定の会社と契約すると、癒着ではないかという話にもなりますし、国の場合は本当に難しいです。民間の場合はそれでいいのでしょうが。

(問)そもそも問題の根幹である膨大な仕事量というのがそのままの場合に、残業だけするなといっても非常に残酷なことに、無理なことになりかねないと思いますが、その仕事の減らし方という意味では何かお考えがありますが。
(答)私は前から、事業仕分けというものを予算の項目毎にきちんとやって、その担当者、地方の職員、あるいは学者も入れて一つひとつ検討して、本当に国家公務員でやらなければならない仕事なのか、地方にお任せしていいのか、廃止してもいいのか、あるいはアウトソーシングで民間に全部任せていいのか、それを全部やって仕事を仕分けして整理をすると言っています。仕事を減らすということをせずに、特に公務員の純減ばかりやられると、労働強化をするか、あるいはサービスが落ちるか、あるいはアウトソーシングという形で、今それをOBがいるところに全部丸投げじゃないかという批判を受けましたが、何かでやらないと、仕事はもうどんどん現に複雑化し大量化しています。競争入札あるいは総合評価方式でやろうとしたら、ものすごい量の書類と手続きが必要です。ですからそれ一つとってみても、仕事はものすごく増えてますが、職員の数はどんどん減らせということになります。そういうことを考えたときに、公務員改革とこれはものすごく関わっているし、それから事業評価をもっとやっていかないとと思います。実際におっしゃったとおりです、労働強化です。ですから、そこら辺を一度こういういうふうにすることによって、仕事の仕方もいろいろな問題があるので考えていただきたい。そういう問題点を抽出するいい機会だと私は思いますので、一辺やってみようと思います。 

(問)関連してですが、仕事の仕方だけだとそれこそ大臣のおっしゃるように労働強化につながりかねないというか、現場もそれぞれ仕事をいろいろ工夫しながらやっているところはやっている思います。そういう中でおっしゃったように、規制緩和は進む、人員削減は進むでどんどん仕事量が増えてかなり窮屈になるかと思いますが、具体的にどうサポートするというか、働きやすい職場を作ってあげようという、そういったものを立ち上げたい考えたいといったことはありますか。
(答)そういう今おっしゃったうようにグロスで考えて、問題を考えていただければいいけど、そのチケットが多いのではないかという切り口でおかしいとか、あるいは残業が多すぎるのはおかしいとか、あるいはアウトソーシング、そういうことが丸投げではないかとかいろいろな批判をいただきました。それぞれに理由はあります。ですがグロスで考えればそうならざるを得ないような部分がたくさんあります。ですからこういう問題点を皆さんに理解していただくとともに、何かここで問題点が分かるようにしないと、これはもう循環論でますます具体に役所は何をやっているのだと国民からそのようなご批判を受けることになると思います。ですから一度そういうことを試みとして行うことにより、その中でどういった問題があるのか、こういうことを出してみたいと思います。

(問)国民の理解は得やすいと思いますが、タクシーチケットを無くすということは、ただタクシー業界からは反発などが出るかと思いますが。
(答)反発は出るでしょう。お得意先がなくなるわけですから。ですからそういうものを通じていろいろな意見が噴出するでしょうから、そこで解決を図っていかないと。そのままいくと、いろいろとタクシー業界だって居酒屋タクシーなんていわれたら、タクシーの人も本当に気の毒ですよ。皆さんサービス、やっぱり仕事が少ない中で乗客にいいサービスしようというのは商売をされている人にとっては当然のことでしょう。ですけど、そういうことが大変な批判を受け、また批判は批判で当然の面もありますので、そういうところに一石を投じて、いろいろな問題が起こってくると思いますが、その上で、これで未来永劫といえば大変だと思いますが、2ヶ月間、一度やってみてどのようにするのか考えたいと思います。

(問)単品スライド条項の適用についてですが、業界では地方自治体発注の工事や、あるいは民民の契約でもみてほしいという思いが強まっていると思いますが、その辺についての波及とか、国発注の工事に適用することがどういう影響を波及させていくかとお考えでしょうか。
(答)私どもは率先してやることにより周知はさせていただきますが、それはおっしゃるように民民のことであり、それ以上に容喙はできません。しかしながら、官の工事ではこういうことになっているのに、こういうことについては私が先ほど申し上げましたが、事情変更の原則という古い法の原則があります。これは法律があろうが無かろうがそういう原則はあります。したがって、これも一石を投じることになると思いますし、そういうことが改善される一つの手がかりになるかと思います。地方にはちゃんとそういうふうにやってほしいということは、もちろん周知いたします。

(問)昨日の夕方ですが、羽田空港で日本航空機と全日空機が接触するというトラブルがあったと思いますが、その点についてご感想をお願いします。
(答)幸いに大事故にならなくて、当人同士も接触に気づかなかった。羽田はずいぶん滑走路が混雑しており、私どもも今から5機目ですとかいうアナウンスはしょっちゅうです。先に行ってた全日空機の777が駐機するところに停まっていましたが、その後ろを日航機の747が通り抜けるときに、左翼の端灯に被っているアクリルのものが割れてた。それからか擦った777の後ろにキズが残っているということで、接触したということが言われてますが、 今、もちろん、我々の方も、その関係の事実調査をしているところです。駐機した位置が、777の駐機位置がそれでよかったのか、もう少し前へ出て、後ろを通る飛行機と接触しないようにする必要があるのかどうか、こういうこともこれから検討して、駐機位置というものがきちんと守られるというか、できるような施設、表示などそういうものも必要なのかもわかりません。そういうことを、今後、そういうことが起こらないようにしていこうということです。 今、事実関係を調査中です。なお、飛行とかそれに関する危険というものはありませんでしたので、事故調対象の実施検討に指定はされていません。

(問)大臣、最近宿舎を引っ越されたと週刊誌で拝見しましたけれども、何か引っ越された理由は。
(答)もう6月中に出ろということを、この長い間20年以上住みましたけれども、九段宿舎は耐震能力がちょっと欠けるみたいなことでして、とにかく6月中に出ろということだったんです。それで、4月の末から5月にかけて出張があって、また道路の問題で、鉄火場みたいなときだったもんですから、いろいろ考えた末、確か28日だったですか、私が佐賀の方へ、長崎新幹線の着工式があったものですから、その出張で行って、その前の日は三宅島の方に行ってたかな。その間に秘書さんと引越し会社にお願いしまして、原則として私の服も寝具も、最小限残してあとは放れと、本も本棚に放りました。それを秘書さんにお願いして、私は出張に行っていた。帰ってきたのはもう九段ではなく赤坂に帰ってきました。29日ですか。そういうことでございました。

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