大臣会見

冬柴大臣会見要旨

2008年5月16日(金) 9:20 ~ 9:40
参議院議員食堂
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

 おはようございます。 本日の閣議は一般案件が1件、国会提出案件が20件、法律の公布が3件、政令の決定が7件と人事案件です。当省に関係するもので特にご報告することはありません。
私から二点、ご報告があります。
一つは、本日、閣議の前に、福田総理の主宰の下、「道路特定財源等に関する関係閣僚会議」が開催され、私も関係閣僚の1人として出席しました。この会議は、今月13日に閣議決定した「道路特定財源等に関する基本方針」の具体化を進めるために設置されたものであり、第1回目の本日は、福田総理からご挨拶があった後、出席大臣による意見交換が行われました。私からは、特に、1点目として、道路関係公益法人や道路整備関係の特別会計関連支出の無駄について、引き続き徹底した排除に努めることが一つ。2点目として、道路行政を預かる立場としては、国民の皆様のご理解を得ながら、真に必要な道路整備を着実に進めることが不可欠であると考えており、その際には、重点化、効率化を図ることを基本に取り組んでいくことなどを申し上げました。3点目としては、地方道路整備臨時交付金は再可決した翌日の14日に地方に配分を終え、ほぼ例年通り、例年より若干遅れで、発注手続きが取られるということを申し上げました。総務大臣からもそれに対して評価のお言葉をいただきました。いずれにしても、今後、関係各大臣との連携の下、閣議決定の方針に沿って、必要な検討を国土交通省としても積極的に進めていく決意です。
次に、中国四川省において発生した大地震に対し、国際緊急援助隊救助チームに、海上保安庁から特殊救難隊員及び潜水士、潜水士は水に潜るだけではなく、高いところに登り降りしたり、ヘリコプターから飛び降りたりする技術を持っており、従来からこのような救難対応には力を尽くしていますが、そういう者を構成員とする13名を成都(チョンツー)へ派遣しています。業務で培った能力を遺憾なく発揮し、一人でも多くの人命を救助してもらいたいと考えています。
私からは以上です。

質疑応答

(問)北海道の国交省の外局で職員が逮捕されたという事案が発生しましたが、これについてのご所感と今後の再発防止策を教えて下さい。
(答)去る5月13日に当省の職員及び元職員、とりわけ北海道開発局の現職課長並びにかつて同局の部長及び課長という重責にあった者が、競売入札妨害罪の容疑によって逮捕されたという衝撃的なことが起こってしまいました。国民の皆様の信頼を裏切るものであり、極めて遺憾でありまして心からお詫びを申し上げなければなりません。今後、捜査当局に対し全面的に協力を行うことはもちろんのことですが、事実の解明に努めるとともに、一日も早く国民の信頼を回復できるように再発防止に全力を尽くしてまいります。このため、昨日、北海道開発局に事実関係調査、再発防止等の検討のための体制を整備しました。今後、国土交通省は職員管理等の観点から、また、農林水産省は農業農村整備事業に対する指揮・監督の観点から、両省協力して実態を調査し、再発防止に向けた取組みをしていくことといたします。昨日、北海道開発局に設置をしました調査検討委員会ですが、今回の事件を踏まえて北海道開発局として事実関係の調査を行い、その結果を踏まえた再発防止策を検討する必要から設置します。現在、捜査が続いており、事実関係が不明の部分が多い中での活動となりますが、今回のような事案の根絶に向けて総力を挙げて取り組むこととしたいということです。構成としては、委員長には北海道開発局長、委員長代理には北海道開発局次長、委員には開発監理部長(総括)、事業振興部長(入札、契約、技術基準)、建設部長、農業水産部長、港湾空港部長、営繕部長、開発監理部次長、首席監察官で構成をします。当面の活動内容ですが、検察当局の捜査状況を見ながら、次のような事項から調査、検討を進めていきます。関係する入札契約関係データの点検、調査検討事項の整理、調査手法の検討などです。また、今後、外部有識者の参画を得て透明性・中立性の確保も図っていく所存です。

(問)入札に関わる不祥事がやまなく、大臣がこれまで何度か国民に対してお詫びされていると思いますが、やまないことの一つとして被疑者個人の犯罪でありますが、監督責任として、大臣も含めて局長等の責任という部分についてはどのようにお考えですか。
(答)もう少し事案がはっきりした段階で判断したいと思います。私もこんなことばかりで、いつも国民の前で謝ってばかりです。私も、コンプライアンスの確立のためには、抽象的なことはやらずに、いろいろ職員と話すときには、人生を過ってはだめだよ、民事、刑事、公取にまで追いかけられるんですよ、退職金も返戻を求められることだってあるんですよ、年金だって減額されるんですよと、そういうことを考えたときに、いくらかわかりませんが、人生を根本から過ってしまうような、ご家族も大変肩身の狭い思いをするわけです、そういうことを具体的に申し上げて、絶対手に染めてはならない、そしてまた周辺でそのようなことがあれば、遠慮なく言ってほしい。内部告発という言葉がありますけど、そういうことをされても決して不利益扱いはしないから、ということでやっているんですけれども、またこのようなことが明るみに出ました。だいぶ前の事案のようではありますけれども、また明るみに出て、国土交通省が信頼を落としてしまう。本当に情けない話です。事案の概要がわかり次第、その内容によって厳正な処分をしなければならない。私はそのように思っています。

(問)昨日、民主党の菅直人代表代行などが、関東地方整備局を訪れて、かなり領収書を見せる見せないで押し問答になりました。その一件についてご所感をお願いします。
(答)見せるべきものは全部見せるべきだと私は思っています。ただ、書類の保管の期限その他がありますので、保管されてないものについては物理的にお見せできないわけですけれども、あるものは何も隠し立てする必要は全くない。事案は、私の方から詳細に資料提供しているわけですから、それに基づいてやっているわけで、私どもとしてはできるだけのことはしなければならない。それから、タクシーチケットの問題については、私は、参議院で指摘されたときに、4月1日から全部扱いを統一しました。したがって、タクシーチケットの請求及び交付の仕方、使用日時の記載、使った残りの半券については1年間保存する、しかもそこに書かれたことについては所用の帳簿に全部書いてこれについては長期保管する。証票書類についての半券は、少なくとも1年間は保存する。こういうとをきちんと通達いたしまして、各局、各整備局においてそのような扱いとし、管理する者の名前も全部指定してやっていますので、今後はそのようなことは起こらないと思うんですけれども、今までの分について、指摘されれば本当に無駄遣いと言われてやむを得ない使い方があったということについてはその時も反省をし、そのように手続きを改めた次第です。ただ帰った時間その他は記録されており、大変労働強化されていることは事実です、忙しいです。その点について、私は職員が過労死になってしまうのではないかと思います。ただ配置転換もきちんとして、働き方ももっと工夫して欲しいと申し上げています。弁解のように聞こえたらいけないので余り言いたくありませんが、仕事がものすごく複雑で精緻になっています。総合評価方式等で全部やるということになると、机の上が一杯になるぐらいに書類を積み上げることとなり、大変な手続きになってしまいます。そういったことから、本省にいる職員は夜中の2時、3時まで働いているという事実もあります。しかし、それとタクシーチケットが年間5百万円近くも使うという話は別問題であり、このように常識に外れることはやってはならないと思います。

(問)北海道開発局の件ですが、背景の一つに再就職先を確保するというようなことが言われます。大臣は個人をいろいろとそのように反省させれば防止できるのではないか、とおっしゃいますが、そういった再就職先の確保というシステムが崩れない以上は、また今後も起こりうる可能性があると思いますが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(答)事案がまだ分かりませんし、今逮捕されており、再就職のためにやったのかどうか分かりません。ただ、現在公務員制度改革をやってもらっています。そして、すぐ天下りは駄目だとおっしゃいますが、今、地方は57歳とか58歳となっていますが、本省では54歳、55歳で勧奨退職を行っています。それから65歳の共済年金を受給するまでの期間、本当に働かなかったら生活できません。それをどうするのか、そういった点をパッケージとして、公務員改革をその議論と一緒にやってほしいと私は申し上げています。そうでないと、天下りは禁止だとか、省庁で斡旋してはいけないということだけ先行されると、私はもう勧奨退職は全部やめたらどうかとなります。定年も60歳、65歳にするというのは大変ですが、何かを考えないと辞めてから年金を受け取るまでの間、長く空くということになりますので、その間に就職についてもいろいろ制限されるということになると、国家公務員のライフスタイルをどう考えるのか、そこら辺の問題があります。では勧奨退職などやめたら良いのではないかと言われると思いますが、国土交通省では去年900人が勧奨退職しています。それをしないと、新しく500人近い職員が採用できなくなります、定員がありますから。その辺のところが隘路になっています。これは国土交通省だけではないと思います。国土交通省の場合、特に複雑なのは、一般職員と技官という相当精緻な技術者がたくさんいます。こういう人たちの再就職先など、いろいろ考えていくと、こういうものを一括してパッケージで公務員改革をやってほしいということを言っています。

(問)今日の道路の関係閣僚会議で、総理から一般財源化の使途について、方針やお話はありましたでしょうか。
(答)無駄を徹底的に排除してほしいと。道路特定財源だけではなく、一般の他省庁についてもやってほしいと。これをきちんとしなければ、国民の信頼回復はあり得ないというような、いつもの話ですが、特にされていました。

(問)道路特定財源に絡んだ無駄な支出が国会で取り上げられて、国土交通省としては他省庁よりも抜きん出て対策を講じられたわけですが、若干気になるのが全て自粛ということです。法律上は別に問題ないが自粛するというご発言が相次いでいますが、法律自体で今後そういうことを止めさせるという改正などはお考えではないのでしょうか。
(答)それはものすごくたくさん論点が出てくるのではないでしょうか。

(問)せっかく関係閣僚会議で各省庁を束ねて行うわけですから、自粛ではなく、抜本的な部分で、今後そういう支出ができないようにすることをお考えになられた方がよろしいのではないでしょうか。
(答)一度、これから考え、検討もします。ただ、これから、公益法人改革を行おうとしています。公益法人を一般法人化しようとか、公益性認定ということでまた別途行おうとか、今、いろいろな議論があります。しかしながら、そのように独立して法人格をつくった以上は、そこに自由ができてしまうわけです。それを国が指示したり、いろいろ監督したりすることは、法律上定めることによりある程度はできますが、国家公務員を直接指揮監督するようにはできません。そういう意味で隔靴掻痒であるわけですが、協力を求めるとか、要請するということになります。しかしながら、私どもの特定財源から支出のあった先の法人については、要請したり、協力を求めたりしていますが、私どもがこれからそこにいろいろな意味で発注しないということになると、兵糧攻めのようになるわけですから、死命を制せられるわけです。ですから、そういう意味では、我々が言っていることについて協力いただいているということです。

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