大臣会見

冬柴大臣会見要旨

2008年6月17日(火) 9:53 ~ 10:26
国土交通省会見室
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)おはようございます。 本日の閣議は、当省に関係するもので、特にご報告するものはありません。私から、2点ご報告申し上げることがあります。昨日の夕刊、あるいは本日の朝刊、残念ながら、我が省の大幹部であります北海道局長品川守が、昨日、入札の妨害ということで逮捕されるという誠に残念な事件が発生をいたしました。平成17年当時の事件のようでありますが、事実関係は、まだ詳らかではありません。いずれにいたしましても、談合というものがあってはならないことでありますし、特に、それに官が関与する官製談合、もう言語道断ですが、こういうことがつい先頃にも北海道の農水関係で、職員が逮捕されたという大変衝撃的なことがあり、国民にお詫びをしたところであります。今回は17年当時の河川入札に関する談合ということで、我が省の最高幹部が逮捕される、誠に遺憾で、私は心から国民にお詫びを申し上げます。早速、昨日、省議のメンバーに集まっていただきまして、私から「我々の仲間であった局長が逮捕されるという残念なことが起こった。これは人ごとではない。我々一人ひとりが反省をして、二度と再びこういうことが起こらないように部下にも徹底をしてもらいたい。」ということを申し上げたところです。コンプライアンスの徹底、規律の保持、国家公務員にとって最も基本的な義務であります。私はそのようなことを申し上げたところです。再発防止のために、本省の中で、できれば事務次官中心に、対策本部を立ち上げて、いわゆる学識経験者も入っていただいて、本当にこれがどういう、事実関係は詳らかではありませんけれども、捜査には全面的に協力をしながら、事案の解明にも努力をし、そしてなぜこういうことが起こったのか、今後こういうことが起こらないためにはどうあるべきなのか、こういうことを十分に検討していきたい、対策を講じていきたい。それが地に堕ちしてしまった国土交通省の信頼を回復する唯一の道だろうと思っています。私は、省の中で、若くて、一生懸命徹夜してがんばっている人たち、あるいは現地を視察いたしましても、そこには本当に一生懸命やっている国士と言える人たちがいます。そういう人たちにとって、こういう不祥事は本当に、かわいそうです。私は、二度とそういうことが起こらないように、率先垂範して、反省し、がんばっていきたいと、このように思っているところです。
 2点目のご報告です。6月14日に発生した、平成20年岩手・宮城内陸地震に対しまして、岩手県及び宮城県の両知事からの強い要請がありました。それは直轄事業施行エリア外ではあるけれども、今般のいわゆる河道閉塞に対処するためには、県だけの力では、緊急的な処置を講じるのは難しい、なんとか直轄で、砂防災害関連緊急事業ということで、直轄でやってもらいたいという強い要請を頂戴いたしました。そこで、我が方も、財政当局とも調整をいたしまして、河道閉塞で緊急に手を打たなければならないと思われる3箇所について、一つは祭畤のあの落橋した下流部分で、相当大きな土砂が河道を塞いでおります。この部分と、それからもう一つは、398号の花山ダム上流の2箇所、計3箇所につきまして、財務省と調整をして、直轄事業ということで、今日から着手をいたしまして、2次災害が起こらないように万全の手を打っています。詳細につきましては、後ほど、事務方から報告をしてもらいます。私からは以上です。

質疑応答

(問)談合の件なんですけれども、水門談合を始めとして、先ほどおっしゃいましたけれども、北海道で別の事業でもありました。この背景について、どのようにお考えですか。
(答)まだ、私、事実関係がわからないので、今、軽々に私がコメントするということは控えます。今後、捜査が進みますし、並行して我々も今おたずねのような問題は、最大の関心事ですので、専門家も入っていただいて詳細に分析して、そういう根を絶つというような対策でないと、毎回このようにして遺憾の意を述べ頭を下げるでは、本当に国民に信頼をしていただく、回復をするということにはならないと思います。したがいまして、今おたずねのことは、誠に核心をついた部分でありまして、我々がこれから詳細に調査をしなければならない課題であると思います。

(問)道路特定財源に関係して大臣が自主返納をなさったり、幹部で給与の処分などありましたが、今回はどのようになるのでしょうか。
(答)私は、また自主返納しようと思っています。まだ、昨日起こったばかりですので、ある程度事案が明らかになった段階で、結果責任ではありますが、発覚したときにその職にあるものが責任を取らなければしょうがないわけです。私自身はその責めは非常に重いと自覚しています。自主返納をする心づもりです。

(問)こういった経歴の人を大幹部に登用してしまったことについては、どのようにお考えですか。
(答)品川局長を局長に指名したのは、私が大臣就任以前の話です。しかしながら、これは誰がどこでどんなことになるのかわかりません。それまでの成績、経歴ということで人事は行われるものですから、それは任命したときがいつであるかということや任命した者が誰であったかということとは、全く別の問題でありまして、省全体で責任を負わなければならない問題だと思います。人事というのは、大変、専門の部署がありまして、そこで詳細に調査をして行われるものですが、ただこういうことが行われていたかどうかなどは、全く秘匿されてわからないわけです。そして、人柄がどうかというようなことを考えても、あの人がとみんな驚きをもって見る事案だったと私は思います。したがって、あの人を局長にしたらふさわしくなかったという評価はすることはできないと思います。しかし、結果的に、今に立ち返ってみればふさわしくなかったということで、その責任を私が負うということになると思います。

(問)品川さんという個人の属人的な要素が強いのか、それとも北海道開発局の構造的な部分が強いのか、大臣の私見としてどのようにお考えですか。
(答)そこが一番大事な核心の部分でありますので、調査をこれからするわけです。しかし、表面的にお付き合いした品川さんという人は、皆さん方もご存じだと思いますが、非常に私は信頼をする局長でした。人柄も本当に優しい心根ですし、私としてはそうだと思いますが、しかし、その人が逮捕されたということは、誠に衝撃でありますし、私の見る目がなかったのかどうかわかりませんが、多くの人がそれを共通に持つ感覚だと思います。

(問)道路特定財源のときは、各地方整備局からいろいろ問題が出て、今回は北海道開発局という地方機関ですが、地方機関のゆるみみたいなものはいかがでしょう。
(答)そういうことも今後詳細に検討していかなければならないことと思います。

(問)局長が空白になっていますが、対応はどのようになるのでしょうか。
(答)本日付けで、官房付にしました。北海道局長は宿利官房長が併任するということで、私からそのようにしたいと決めました。

(問)再発防止の対策本部は、その体制などについて心づもりがあったら教えて下さい。
(答)前起こったのは北海道のことということで、北海道で立ち上げました。立派な先生方にも入っていただいてしましたが、今回は本省の中で、事務次官を中心に対策本部を立ち上げてもらいたいと申し上げたところです。今から作業に入れると思いますけれども、国土交通省だけでなく、誰が見ても納得していただける立派な先生方に入っていただいて、先ほどお尋ねの核心部分についても調査を進めなければ再発防止は図れないと思いますので、その手を打ちたいと思っています。

(問)最初の2つの話は、前段は信頼を回復しなければならないということで、後段の地震の対策については信頼してもらわなければ困るという部分だと思いますが、地震対策、あるいは復興という中で、こういう事態が発生したことについて、改めてお願いします。
(答)まことに残念です。私も15日、ご案内のとおり現地へ朝から夕刻までまいりまして、現場も見せていただきました。そこにはTEC-FORCE、専門家集団ですけれども、このような災害が起こった時には、その対策を災害が起こってから人員を集めたりしていたのでは間に合わないというところから、平時からそういうものをきちんと編成して、一丁事があれば現場に直ちにかけつける体制を組んで、道路、河川、砂防等の専門家を配していました。これが1ヶ月余りで出動しなければならないということは夢にも思わなかったのですが、今回は非常に迅速に、その日に派遣していますし、2日目には207名、今日で237名の専門家が入っています。それ以外に、ダムが大丈夫かという意味で、専門家、独立行政法人等からも3名が入りました。調査した結果、ひび割れとか、ダムの一番上の部分で波打っている部分があるけれども、大丈夫だという判定をいただきまして、一関の市民の方々には、大変安心していただきました。これに対する対策というのも今後講ずるのですが、そういうことは非常に大事だと思います。今回も国土交通省が持てる力を全部発揮してやらせていただきました。例えば、海上保安庁は、海だけのように思われる方が多かったと思いますが、今回は海猿で国民もよくご存じですけれども、特救隊も動員しました。 祭畤、落橋したところですが、そのために河道だけでなく道路も閉塞されてしまいましたので、100名の方が帰れない、動けない、閉じこめられた状態になってしまったわけですが、県からの要請により100名のうち63名を海上保安庁の特救隊がヘリコプターで救助しました。あるいは、ハイルザーム栗駒というところに100名の方が閉じこめられていましたが、そのうち、88名が特救隊が救出して、安全な場所にお運びしました。あるいは、救助犬8頭もヘリコプターで運ぶとか、水、食料等100kgを超えるものを運んだというのも海上保安庁がやりました。その他にも要請に基づいて警察官を多数、諸所必要な所にお連れしました。国土交通省では、気象庁はもちろん地震予報をやっていますが、国土地理院も、どの地点では何センチ地盤が動いたというような詳細な情報を発出するなど、国土交通省を挙げて取り組むことができたと思います。
 
(問)局長の逮捕によって、経験したことがないと思いますけれども、先ほど大臣は自らの責任を重く受け止め自主返納すると申されましたけれども、局長にまでなりますと、官房長官や総理大臣の責任というものに波及しないのでしょうか。
(答)局長人事は所管大臣です。
(問)ただ、行政の長である総理大臣には報告はあるのではないでしょうか。
(答)もちろんお詫び申し上げました。総理は「自分も誠に残念だ。しかし、しっかりやってくれ。」とおっしゃっていただきました。

(問)台湾の巡視船艇が領海侵入しましたけれども、それに対してご所感をお願いします。
(答)海上保安庁は特に領海警備ということで、魚釣島周辺は、24時間365日、巡視船を2隻以上、常時配備して警備しているところです。そこへ 聯合號(レンゴウゴウ)という台湾の漁船が領海内に入ってきました。領海に入っても、そのまま通過して出ていくという方法もありますが、やはり緊張している中に入ってくるわけですから、魚釣島から南東に本当にわずかのところで、船名確認、これは当然しなければならないわけですが、それをしたときに、海上保安庁の巡視船の船長としては、いわゆるジグザグ蛇行しているという認識をしていたようです。後に台湾の船長を事情聴取したところ、自動操縦していたらしいのです。そのため、風波によって確かに動いていたけれども、故意に蛇行していたわけではないという弁明もあり、我々はそれを信じています。近寄って船名を確認しようとしたところ、大きい船と小さい船が並走すると吸引するいう物理的な力が働くようで、そういうものに注意を払いながら船名確認すればよかったと思うのですが、そのために吸引が起り、また、向こうも自動操縦なので引き寄せられるときに逃げるという敏速な対応ができなかったようで、接触し、沈没したということです。その際に船長が左眉と右足の2、3箇所に擦過傷を負うということが起りました。石垣島に連れてきて、海上の事故ですから、海上保安庁において厳正に捜査を遂げたところ、詳細はまた海上保安庁から説明してもらわなければなりませんが、今概略を言ったような事情だったので、我々としては台湾の船長及び海上保安庁の1000トン級巡視船こしきの船長を業務上過失往来危険罪ということで検察官に送致しました。また、こしきの船長は台湾の船長が事故によって擦過傷ですが傷を負っていますので、業務上過失傷害罪も付けて検察官に送致しました。それに対して台湾で民間の抗議船が出てきて、台湾の海上保安庁に相当する巡防署の巡視船3隻が護衛するようにして領海内に入ってきました。当然、我々としては領海から出ていってもらいたいということを申し上げました。民間の船に対しては、我々としては、警告や放水、針路を妨げるような航海など、いろいろな方法で領海外に追い出すという実力行使ができるのですが、政府系の巡防署の船あるいは軍隊の軍艦など外国のそういうものには、そういうことができないようになっています。したがいまして、領海内であるから出ていってもらいたいという警告を強く発しましたが、台湾巡視船に対して放水するとか針路を妨害するということはできないので、台湾巡視艦にそういうことが及ばないように注意しながら、漁船に対しては、魚釣島に上陸されたら大変ですので、そのようなことにならないようにしたところ、魚釣島を時計回りに1周して、出ていったということです。一旦、全船が領海外に出たのですが、巡視艇が一隻だけもう一度領海に入ってきたということがあったようですが、それも我々から出ていってもらいたいと警告を発して、暫くしたら出ていきました。だいたいそういう事情です。それに対して、11管区海上保安本部で台湾に対して遺憾の意を表するとともに、過失割合は別にして、こちらにも過失があったので損害賠償について、法に定められるところによって、交渉をしていく用意がある旨を表明したところです。現在はだいたいそういうところです。

(問)東京メトロ副都心線ですが、開業してから3日間、連日のように小さなミスを繰り返し、利用者に迷惑をかけています。メトロ側が、不慣れな面が多いとまた言い訳をしているんですが、明らかな準備不足ではないかなと思うんですが、何かそのあたりはいかがお考えでしょうか。
(答)私が聞いているところは、不慣れなものもありますし、そういうものもあると思うんですが、たくさん私鉄と連絡をしている部分がありますね。その部分のジョイント部分がうまくいかない。私鉄の方が遅れたり、いろいろしたりした部分もあったようですが、不慣れな部分もあって、今日は、11分、やはり遅れているということです。我々としても、安全、そしてまた乗客の利便という意味で、日本の鉄道というのは定時性を売り物にするくらい、一分一秒所定の時間と変わらないということの信頼があるわけですから、これが大幅に遅れるということは、これは許されないと思います。したがって、我々も、注意深くここのところは指導していきたいと思いますが、どこにどういう理由があったのかは、よく調査した上で、そういうふうにしていきたいと思います。

(問)自主返納は、前回は監督責任を取ってということなんですけど、今回も同じ位置付けになると思うのですが、その辺になると、同等の額をということですか。
(答)私、3ヶ月を心づもりしています。あなたに初めて言うんですけど。誰にも言ってません。もう、3ヶ月、3ヶ月、これで3つ3ヶ月やって、2ヶ月が一回と、私は、自分のときではないんですけど、どうも数えたらもう約1年分が返納になりますので、始末しながらがんばっていきたいと思います。

(問)すいません。ちょっと、あれっと思ったんですけど、人事なんですけれども、逮捕でまだ本人も認否を明らかにしていない段階で、人事を決めてしまったのはどうかと。
(答)これは、ですから、逮捕されたというのは重いですよ。呼び出しを受けたとかではなく、逮捕されたというのは、やはり捜査機関が捜査の結果相当な疑いを持ち、そしてこういう行為ということで、それは何条に、何という法律の何条に違反しているというところまで、罰条まで明らかにして、裁判所に申請して、そして裁判官が捜索令状とか逮捕令状とか発布するわけですから。それでも無罪は推定されてますよ。でも、やはり我々としてはそのままその人をその地位に置くわけにはいきません。したがって、これを大臣官房に移すと。職を解いて、そういうことにするのは今の段階で当然であろうと思います。
  
(問)大臣としてかなりの疑いがあるということですか。
(答)疑いがどうとかとは、そういったことは全く思っていません。しかしそういう国家機関、捜査機関がそこまで疑いを濃厚にして、そして1つのアクションをとった。しかもそれが捜査機関だけではなく裁判所が令状を発布している。これはやはり重く受け止めなければならない。そのままにしておくというのは我々の方がおかしいと思われるのではないか、そういうことです。

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