大臣会見

金子大臣会見要旨

2008年10月24日(金) 9:43 ~ 10:15
国土交通省会見室
金子一義 大臣

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議で法案等に関して当省に関係するものはありません。昨日、総理から経済対策の追加指示が行われ、政府与党関係者向けでありましたが、今日我々にもその中味が配られました。四つでありますが、生活者向け住宅ローン減税の拡大、最大控除可能額を最高に引き上げると、二番目が金融対策・中小零細企業向け省エネ・新エネ設備の初年度即時全額損金算入、地方向けで道路特定財源の一般財源化に際し1兆円を地方に、もう一つ難しいのが、地方自治体、これは一般会計ですが、地方自治体に長期低利の資金を融通出来る地方共同の金融機構の創設、四番目が税体系の抜本改革中期プログラムです。私からの報告は以上です。

質疑応答

(問)経済対策の関係ですが、特に住宅ローン減税の拡大について大臣のご所見をお伺いします。
(答)就任早々、今度の経済対策の中での目玉が住宅だと思っています。また、閣僚になる前に、「骨太方針2008」の中に「住宅」というものが初めは無かったのですが、これに「住宅」というのを入れさせて頂くことが出来ました。それ位の大事な内需の対策であると思っています。今日、総理にもこの「住宅」というキーワードは申し上げていましたが、こういう形で出てきてくれて大変やり易くなったかなと思っています。

(問)道路特定財源の1兆円の地方配分ですが、やり方も含めて大臣のご所見をお伺いします。
(答)地方に財源が無いと、これは決して公共事業だけでなく、一般的な財源が無いという中で、地方に財源を持ってもらうということについては非常に大事なことで、今年度東京都の法人事業税4千億円を地方に再配分してもらいました。この時は東京都の石原都知事が大反対されましたが再配分させて頂きました。それぞれの地方でそれなりに有効に使われた実例も話を伺っています。そういう意味で、この一般財源化に際して1兆円が地方に配分されるということについて、財源を苦しい地方に配分すること自身は私は大変良いことだと評価しています。ここから先、道路との関係でどのような制度設計を行っていくのか、どのような形で地方に配分されていくのか、これについてはこれからです。

(問)静岡空港が3月に開港予定ですが、制限表面を越える立木が見つかり滑走路に関して開港の遅れが懸念されていますが、大臣のご所見をお願いします。
(答)静岡県から現在、今仰られたような航空法の制限表面を突出する立木があると、これが開港前までに伐採してくれるというような話が静岡県との間で出来ていたようですが、それが実現されていないということのようです。ただ、支障物を取り除くことについて県が引き続き努力されているようです。県には最大限の努力をしてもらって予定通りの開港を国からも強く求めて参りたいと、あとは地元の皆さん方の判断を聞いた上で国として最終判断を適正にしていきたいと思います。

(問)広島県福山市の鞆の浦の架橋計画を巡ってかなり反対運動が広がっていて、短期間に10万人の署名が集まり、昨日認可をしないで欲しいという趣旨の申し入れもあったようですが、大臣のお考えをお願いします。
(答)スケジュール的には、今の状況は広島県から中国地方整備局に対して、公有水面埋立ての認可の申請が行われている最中のようです。現在、それを整備局で審査中のようです。そういう意味では、今のご指摘のあった色々な反対をされる、それから史跡、遺跡といったような問題も提示されているようですので、これについては地域の皆様の意見を聴いた上で、整備局に更に意見が、広島県から整備局に意見が寄せられると思っています。整備局としては、そういう状況を県からヒアリングするようです。そして、その上で対処したいというようなことです。    

(問)今回反対派というのは、古い故郷の風景が変わるという意味で反対していると思いますが、国土交通省では観光庁を作ったり、ビジット・ジャパン・キャンペーンのような形で如何に地方に行ってもらうとか、古い日本の風景を残すというように色々と政策を進めてきていると思いますが、そういった意味でこういった反対運動が起きるというか、古い風景を残して欲しいと意見に対しては、大臣個人として法律論とは別にどのように考えていますか。
(答)大事なことだと思います。今まで出来ている、造っている道路でもやはりそれぞれの地域の大事なところは、ある意味保存しながら造っていくということ、あるいは、それに伴ってそれを避けるためにルートを替えていくということは、私も見聞きしています。ただ、この鞆の浦についてどこの段階まで用地買収等々が進んでいるのか、あるいは地元の皆さんとの協議がどこまで今進んでいるのか、必ずしも土地勘が、今のところ私の手元に来てませんが、今のものに対して一般論として申し上げれば、つまり観光、風光明媚なところに良いのかという一般論から言えば、それは避けた方が良いだろうという事になるだろうと思います。

(問)鞆の浦は映画の舞台になっていますが、何の映画の舞台になっているのかご存じですか。麻生総理が盛んに叫ばれているジャパンアニメーションの舞台になっていますがご存じないですか。
(答)知りませんでした。

(問)観光行政を所管している大臣としてはご認識が足りないのではないでしょうか。ご存じなければしようがありません。
(答)はい。

(問)静岡空港の件ですが、静岡県は、開港スケジュールに大きな影響を与えかねない重大な瑕疵を9月まで一切開示してきませんでしたが、この姿勢についてどう思われますか。
(答)私が事務方から伺っているのは、本年6月の報道があり、県からは数次にわたって報告を受けていると。当該物件の除去に努力をされているということを、今仰った情報開示をしていないということではなくて、努力をされているということは聞いているやに報告を受けています。

(問)つまり、航空局へはそういう報告をしたかもしれませんが、一般県民が知ることになったのは、9月の強制収用認定の行政訴訟で、準備書面に書かれていることが分かって初めて静岡県民の知るところとなったのです。今でも、静岡県は公式にこの問題について何らの説明もしていません。
(答)今でもですか。

(問)29日の県議会の全員協議会で説明するまでは、何も言えないという姿勢をずっと貫いています。それは行政機関の姿勢としてどうなのでしょうか。
(答)開港間際に全く知らせていないということは、私としても解せない県の動きですので、調べてみたいと思います。

(問)住宅ローン減税ですが、500万円程度まで拡大ということなんでしょうけど、かなりお金持ちだけになってしまうという気がしますが、税源移譲してしまった以上、所得税、個人住民税まで対象にしないとお金持ちに限定されると思いますが、その辺は個人住民税の減税額の拡充等如何でしょうか。
(答)当然にもう住民税も併せてやっていかないと、国税だけやっても「お金持ち」という言葉がありましたが、そうではなくて実効性がない。団塊ジュニアの世代にとっても実効性がないものになってしまう。俗に言う空振りです。枠はあるが使えない、そういうものではしようがないですから。やはり団塊ジュニアの人達がきちんと使えるようなものにしていく。そのために、総務省とこれから力仕事をやらなければならないなと思っています。

(問)住民税を入れるにしても、最大限活用するには5千万円とかそういう借金は前提になると思います。金融不安のご時世に5千万円の借金をして家を買おうという人がどれだけいるのかなというのは、自分のことを考えても疑問に思うのですが、掛け目を変えるとか、そういうことは踏み込む余地はあるのでしょうか。要するに3千万円くらいでも500万円くらいの効果が出るような。
(答)制度設計はこれから色々。今異常に住宅の価格が上がり過ぎています。

(問)ただそれが急に落ちるという局面ですよね。
(答)これから落ちてくる局面でしょうから。ですから、今の掛け目を変えるというのは一つの考え方です。色々な制度設計というのはあると思います。単に新しい住宅ローンというだけでなく、こういう機会にその手金でリフォームしていくという、言わば投資、借金ではない投資減税というのも、お年寄りが水回り、足回りを直して、住宅寿命を延ばしていくという需要も出てきていますので、そういう投資。借入によらない減税。借入によらない場合の住宅取得、あるいはリフォームの減税も、なんとか実現していけないだろうかなと思っています。

(問)取得に関しても減税していけたらと。
(答)はい。

(問)鞆の浦の件なのですが、先程、故郷の風景を残す云々というのがあったのですけれども、世界遺産の審査に当たるNGOのICOMOSが2度に渡り、計画中止と代替ルートの検討をしているので、少なくとも世界的に如何なものかという指摘を受けているかと思いますが、そのレベルについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)先程、「映画の舞台になったのに知らないのかよ」というお叱りを頂きまして、これは知りませんでした。そういうご指摘を受けて、検討してみたいと思います。

(問)高速道路料金の引下げの件ですが、大臣はかねてから地方に手厚くすると仰っていました。今回も追加経済対策でも大幅という文言で引下げるようですが、具体的に引下げの内容とか幅についてどのようなイメージをお持ちですか。
(答)今、大幅に引下げるという方向で検討中です。中身についてはまだ申し上げる段階に至っていません。

(問)色々なメニューを今。作業中ですか。
(答)1兆円を地方に渡すという、道路特定財源の一般財源化に伴って地方に1兆円というのも出てきていますし、そういうのも含めて全体として、今検討中です。

(問)1兆円を地方に渡すことによって、その分、道路整備のお金が減るということもあり得るのですか。
(答)あり得ます。

(問)大臣としてそのことに関してどのようにお考えですか。
(答)これは1兆円をどのように渡していくのかという中身はこれからの議論になりますから、今日は財源が無い地方に配分を手厚くしていくということについての先程評価を申し上げましたけれども、今日の段階ではここまでです。

(問)1兆円というのは、今特定財源から出ている臨時特例交付金に代わるものだということでしょうか。それとも別枠で支出するということですか。
(答)これは、総理が今外遊されているのですから、必ずしもはっきり意図が分かっていないです。それも含めてこれから制度設計に入るということです。

(問)川辺川ダムの問題で来週28日にも熊本県知事とお会いになるということになっているようですけれども、改めて、会談でどのようなお話をされたいとお考えですか。
(答)まず、反対をされている趣旨を伺うことが最大の目的です。洪水から地域住民を守るというのは国であれ、地方であれ共通の目的ですから、それに代わるものをどのように国・地方が役割分担してやれるのか、その場合にこれまでも色々なやり方が検討されてきたようですけれども、必ずしも十分な効果、あるいは費用の面で相当な負担が地方にも求められることになります。そういう問題も総合的に改めて検討できる土壌を作っていけるようにしていければと思っています。

(問)蒲島知事からは国の方が色々な所見、データを持っている問題であって、代替策というのは国が考えるべきだという発言があるのですが、そのことについてはどのようにお考えですか。
(答)私が聞いている限りでは、これまでに相当データも提供して有識者会議にもそのデータを提供しながら、今までやってきているということは聞いています。ただ、知事が仰るように、まだそのデータが不十分ということであるのならば、出し合って更に検討する場を作ってもらえば良いと思います。今までは、知事の有識者会議を作っておられたんですよね。そこで検討されてきておられると思います。今、解散したのかもしれませんが。それに代わるものを作って、データを出して、更に協議をするという方向になるのかどうか、今の段階では知事のお話を伺いたいと思います。更にそういう要請があるならば、応えられるものは応えていきたいと思います。

(問)ダムに依らない治水を求められている訳ですが、共に考えていくべきことだというのが基本的なスタンスですか。
(答)はい。

(問)九州新幹線に欠陥材が使われていたという報道があるのですが、それについて事実関係と御所見をお願い出来ますか。
(答)開業検査時では15箇所の剥離が確認されていたようです。まだ現在の段階では、剥離の原因について製品自身に欠陥があるのか、施工上の不具合なのか、まだ特定できていないようです。しかし一方では、会社側では、欠陥商品という話も既に出ているようです。きちんと調べてやるべき事はやってもらうと、修繕すべきところはきちんと修繕してもらう、ということで事実関係を今、鉄道建設・運輸施設整備支援機構で確認をしていますから、それ以上の点については詳しく調べてもらって、必要な措置は厳しくやってもらいたいと思います。

(問)リニアの残り4項目の調査指示ですが、前回の会見で年内と仰ってますが、調査を出す時期は、もう少し絞れてきているでしょうか。年内と言っても、まだ2ヶ月程ありますが、かなり早く出せそうなのか、或いは年の瀬まで引っ張りそうなのでしょうか。
(答)今の段階で分かりません。昨日、国土交通省としては報告を受けておりますから、
これから専門家のチェックをし、それを見てからやります。22日に報告書をもらいましたから、一応目途は年内と置いているので、早くかどうかというのは、今はまだそれ以上のことは分かりません。

(問)意欲としては如何ですか。年度内早く出したい、慎重にやっていきたいとか。
(答)私は、地元調整をやって、話をきちんとつけて欲しい。その努力はしてもらいたいと思っていますから、それがスムーズにいくのであれば早く出してもいいし、手こずるならば、ギリギリまで努力してもらいたい。

(問)指示出してから地元調整する訳ですか。
(答)並行してです。どうせ並行してやるでしょうし。

(問)道路の1兆円の関係で確認ですが、使い道が地方に移った場合は必ずしも使い道は道路だけには限定しないということもあり得るのでしょうか。
(答)それは全くまだ分かりません。

(問)そういうこともあり得るのでしょうか。
(答)そういうこともあり得ると言うと、もう肯定してしまう話になるのですけれども。それも含めてどういう制度設計にするかというのは、今のところ白紙です。

(問)観光庁が発足してからまもなく一ヶ月ですが、近く理念や行動指針を発表されるようですが、それよりも前に国際会議を招く課の職員達が海外に行って実際に招致のための活動をしたくても海外に行く旅費が無いとか、あと観光庁の職員であるにも拘わらず、年間の休みが2日、3日しかなくて、観光庁の職員が実際に旅行に行くこともできないということについていくつか改善するべき点があると思うのですが、大臣の御所見を頂きたいのですが。
(答)ちょっと預からせてください。そういう御意見承らせて頂きます。逆に外人報道記者クラブの方々から外務省がレイルパスを貰われている方は非常に限定的なんだそうですね。他の外人記者クラブの方もそういう割引券を貰えるともっと各地区に飛んでいってそういう日本の良さをPRできるという話もあります。今、仰ったのは海外から日本に呼び寄せてくるという意味だと思いますから、趣旨はちょっと違いますが、色々なところで進めていく上で工夫する余地は、これからも沢山出て来るのだろうと思います。今の話はちょっと承らせてください。

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