大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年2月18日(金) 11:30 ~ 11:53
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
今日の閣議で、国土交通省に関する件で皆さんに御報告する課題はなかったと思いますが、その他について、2件、私の方から御報告を申し上げます。
まず最初ですが、今日の新聞で私も朝一番で目にいたしましたが、防火性能不足サッシについての記事がありました。
それも、書類審査だけで大臣認定という見出しでありまして、これについて、朝一番に国土交通省の担当課の方に、これはどういう状況にあるのかということで、すぐに状況を調べさせました。サッシメーカーが、防火性能が不足しているアルミ樹脂複合サッシを販売していたということでございますが、販売していた企業、業界団体である社団法人カーテンウォール・防火開口部協会が、この大臣認定を書類審査だけで行っていたということが報道されたところであります。
国土交通省としても厳しくこの件については対処してまいりたいと思います。特に私も物作りの世界で仕事をしてまいりましたが、製品に対する検査を書類審査だけで認定していたというのは、私は全く理解ができません。
この大臣認定というものを非常に軽く扱われていることに対して大変残念でありますし、この協会幹部の責任は免れないと思います。
同時に、この事態について、国土交通省の担当部局から事実解明を更に進めて、なぜそういう事態に至ったのか、いつぐらいからそういうことを続けていたのかという事実関係の調査をさせると同時に、性能が不足する製品を使用している建築物等々について、メーカーが責任を持って必要な改修をさせるということも協会に指示をしたところであります。
今後、国土交通大臣認定というもの全般にわたって、現在どのようになっているのかということを関係部局に調査をさせております。
さらに今回の件も含めて、個別の製品ごとに試験による性能確認を徹底して、国民の安全に不信を与えるようなことがないように、体質を改めさせるよう事務方に指示をしたところでございます。
 それから2点目でございますが、日本航空と全日空の社長をお呼びしまして、過日、共産党の志位委員長からも、安全性の確立という観点から、現在の航空会社の運営について確認すべきではないかと御指摘を頂きましたので、日本航空の社長と全日空の社長にそれぞれお越しいただいて、予算委員会等で指摘をされました事項について確認をし、同時に、それに対する回答書を求めたいと考えております。
昨日も穀田議員から、安全性というのは大変に大事なものであると、特に1985年に御巣鷹山で墜落事故があり、大変多くの方々が、本当に残念ながら命を失ったわけでありまして、この航空機事故を私たちは忘れることはできませんし、あの事故以来、絶対安全ということをベースにJALも努めてきたと思います。
これは航空行政全般に言える話でありますから、委員会で御指摘を頂きましたが、この航空行政について安全性の確立というものを私自身確認をし、特に日本航空、全日空の社長に直接この課題について話をして、安全に関する報告をしっかりとさせたいと思っているところでございます。

質疑応答

(問)先日の閣議後の会見で、大臣が高速道路の無料化についてマニフェスト見直しのベスト3に入っているという御発言をされましたけれども、改めて、その御発言の真意について確認をさせていただきたいと思います。
(答)NHKを始め、マスコミで取り上げられておりますけれども、高速道路の無料化ということについて、国土交通省として、社会実験の一つの考え方ということをまとめて、党の御了解をいただき、それを皆様にも正式に発表したところであります。
この高速道路の原則無料化というものを今後どう進めるのかということについて、社会実験を2、3年掛けて行おうということでありますが、その社会実験を行う中で、どのような形の将来像を考えるべきなのかということを検討するために、有識者会議という意味合いもある検討の場を設けたいと。
私どもももちろん考えますが、これは非常に経済にも国民生活にも大きな影響を与えるものでありますから、その検討の場で多くの利用者の方、あるいは他の公共交通機関に対する影響、地域経済に対する影響、そういうものを検証する中で、この有識者会議と言いますか、検討の場の中で検討していきたいと、そういう話を行ったのが主眼であります。
ただマスコミ等で民主党のマニフェストの中で何を見直すべきですかと、こういうアンケートを行ったときに、いろいろな新聞、あるいは、ここにたまたまありますが、NNNの電話世論調査とか、そういったものがいろいろ新聞に出ておりまして、その中に、高速道路の無料化についても見直した方がいいのではないかというものに入っていましたよと。
私が言ったわけではなくて、かつ、民主党として三つ挙げているということでも何でもありません。
これは、マスコミの世論調査の中で、そういうものが指摘されていますよ、ということを冒頭に申し上げまして、そんなことも念頭に置きながら、しっかり皆さんに御理解いただけるような高速道路の原則無料化というものの将来像を作っていくことが必要だろうということで申し上げました。
どうもその部分だけが非常に大きく取り上げられておりますが、私の趣旨としては、そういうことでございます。

(問)民主党の衆議院議員16人が会派を離脱する意向を表明してます。
離脱理由としては、小沢元代表に対する処分、それから政府与党がマニフェストの見直しを検討しているといったことが離脱の理由ということなんですが、こうした動きに対する受け止めをお願いします。
(答)私もかつて1990年2月に初当選をさせていただきまして、いろいろなことがありました。93年には細川政権が誕生する、そのときの大きな社会的な課題というのは政治改革ということでありましたけれども、いずれにしても、それぞれの議員がそれぞれのいろいろなことを感じながら行動するということの一つかなと思います。
いずれにしても、これは党の方で幹事長を中心にいろいろ対応しているということを聞いておりますので、国土交通大臣として、この件についてコメントするべきではないだろうと思います。
よく情報は伺っておりますが、今は私の方からうんぬんということは控えたいと思います。

(問)高速鉄道の海外輸出に関して、フロリダ州の州知事が連邦政府からの補助金を返納する考えを表明しました。
これは去年のアメリカ中間選挙でいわゆるねじれ状況が各州と連邦政府で起きていることも背景にあると思うんですけれども、こういう民間レベルで対処できないようなことが、高速鉄道の輸出にかかわらず、当然アメリカの今後インフラ展開で起きてくると思うんですが、政府の支援の在り方について、今後、高速鉄道のアメリカでの展開について何か御所見はありますか。
(答)日本においても、国民の意思によって政治的なリーダーが替わるということはあります。
フロリダの高速鉄道についても一つのフロリダ州の判断として、このようなことを決断したということでありまして、民間企業のこのような活動に大きな影響を与えることになったわけでありますが、だからといって今、政府が行っている水事業ですとか、原子力ですとか、あるいは高速道路ですとか、高速鉄道ですとか、そういう世界各国から要求と言いますか、期待をされている社会インフラの世界展開という基本的な方針については、全く変わらないと思います。
ただ受け手の国の政治的な御都合でこのような判断をされたものと受け止めておりますが、それは自然体で政府としては受け止めなければならないのではないかと、そのように私は感じております。
いろいろなことが常に起こりますけれども、私自身、経済産業大臣をわずか4か月でありますが経験し、その間に中東等に行きましたが、各国が日本の戦後65年間に培った技術力、あるいは産業力に対しては高い評価をしておりまして、日本のそのような高い技術を是非導入して、国の社会的な水準を上げたいと、こういう期待は強いわけでありますから、そういうものについては、しっかりと応えられるような体制はこれからも更に強化しなければならないという思いもあります。
ただ御指摘のように、各国では様々な政治的な変化もあると思いますが、それはそれとしながら、私はこの問題については、冷静に着実に進めていかなければならないと、そう思っております。

(問)高速道路の料金割引の件ですが、高速道路の無料化という民主党のマニフェストのことがあるにしても、来年社会実験に1,200億円しかつぎ込めない中、年間7,000億円というお金をこの料金割引につぎ込むというのは、未来への投資にもならないと思われるのですが、無駄だとは思われませんか。
(答)今、無駄ではないかというお話がありましたが、この無料化によって、物流ですとか、地域の方にも経済的な変化が起き始めておりますから、そういうものをきちんと検証をして、日本における高速道路というのはどう在るべきかということも含めて検証するということは私は無駄ではないと思います。
このことも含めて社会実験を進めさせていただきますが、そのことの事実関係をしっかりと踏まえて将来の在るべき姿というものを築いていくことは大変大事なものでありますし、私は決して無駄な事業ではないと思います。

(問)フロリダの高速鉄道の件ですが、大臣の御発言の中で水や高速鉄道、原発等のインフラとおっしゃいましたけれども、高速鉄道のアメリカでの展開についても強化していくという理解でよろしいでしょうか。
(答)どの国であろうとも日本における高速鉄道というのは、大変高い技術レベルを持っていますから、アメリカに限らず必要だというところについては大いに活用していただくことが大事だと思います。
特に、アジアについては、中国も高規格鉄道というものをこういうふうにしませんか、ということをアジア各国に提言しているという話は聞いておりますが、私は経済産業省でも申し上げたのですが、日本という狭い国の中だけで物事を考えるのではなく、日本で培った技術を必要とするところについては大いに活用することが日本のためでもあるし、相手の国のためでもあると。
そして、日本で培った高い技術レベルというものを大いに活用することによって、世界の人々にもそれを利用していただこうということは、技術開発をしてきた先人たちの思いにもかなうことでもあるし、大いにこれからも行っていきたいと思っております。

(問)16人の会派離脱問題関連ですが、それによって、昨日、例えば社民党が民主党の党内がおかしいということで、特例公債法等の予算関連法案の協議についてもかなり後退した姿勢を取り始めている等、予算関連法案の年度内成立がかなり厳しい情勢になってきたと私は認識していますが、それについて国交相はどういうふうに捉えておられるか御所見をお願いいたします。
(答)私もその点については非常に心配なところでありますが、これについては官邸を中心に対応しておりますので、私は国土交通大臣としての職責をしっかりと行うということが大事だということを自分自身に言い聞かせております。

(問)関連ですが、総理大臣の総辞職を受けてその問題を解決するしかないのではないかという議論も聞こえてきます。それについてはどうお考えでしょうか。
(答)それは官邸に聞いてください。

(問)高速道路に関連して、むしろ整備の方についてお聞きしたいのですが、高規格幹線道路の計画について地方から要望がある路線もあるのですが、建設の方に対する考え方はいかがでしょうか。
(答)高速道路の地域社会に対する影響が非常に大きいということは、皆さんも御存知のとおりだと思います。
私自身が大臣就任会見のときにも申し上げましたが、日本の国にどのような形で地域社会にも影響を与える国土づくりを行うかと、こういう観点で2050年の日本を頭に描きながら、どのような高速道路が必要なのか、どのような高速鉄道が必要なのか、どのような社会インフラが必要なのか、こういうことを念頭において国土交通省は仕事をしようと。
未来の姿が見えないから、なかなか国民の皆さんもとまどうところがあると思いますので、その中の一環として、未来のことを考え、2050年の時代にはどのような高速道路がどのような形で必要なのか、どのような高速鉄道がどのような形で必要なのかと。
こういうことをまずは想定して、財源の許す限りそれを実行していくと。こういうことが必要なのではないかと。
こういうお話をいたしました。
高速道路についても、もちろんそういうことを念頭に置きながら、今度の高速道路の原則無料化というマニフェストの一つの方向性というものを具体的にどう行うかということを検討する場を私自身、是非作りたいということで指示をしておりますが、その中で今、御指摘の建設というものも非常に大事です。
昨日、予算委員会でミッシングリングと言ったら、私もなまっているものですから、違うじゃないかという指摘がありまして、これはリンクでございますけれども、要するに道路というものはどこか一箇所つながっていないと有効性が出ないので、どういう形でどう高速道路というものを建設していくかと。
正に選択と集中という観点から、できるだけ私自身も地域が必要とするところについては、建設を進めるということを念頭に置きながら、将来の進むべき指針、基本的な考え方をまとめたいと思っています。

(問)昨年の臨時国会で廃案になってしまった割引財源の改正法案ですけれども、昨年の4月の段階では一部それを使って整備をしようという国交省の考え方が示されましたけれども、これについて扱いは優先されるべきというお考えでしょうか。
(答)地域の方からいろいろな御意見を頂いていますから、少ない財源でありますが工夫をして地域の方々のご期待に応えるようにいろいろ努力をしていきたいと思います。

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