大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年6月3日(金) 11:03 ~ 11:30
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
今日の閣議の中で、特に私の方から申し上げるべきことはありませんが、総務大臣から国家公務員の採用枠のトータルの話が出ました。
私の方からは、東北地方整備局を中心として、今、大震災の復旧・復興作業に掛かっておりまして、全国の地方整備局、運輸局から応援部隊を出していると、こういう大震災の復旧・復興の時期でありますから、そういう意味では、国土交通省の地方整備局、運輸局の人員確保については十分配慮をしていただきたいという話を申し上げました。
また、海上保安庁、それから航空局の管制関係では、海上保安庁の職員の訓練ですとか、あるいは航空管制の訓練等でも、人を育てるために時間も大変掛かりますので、重要な任務ということでいろいろ考えていただきたいというお話を申し上げました。
当然ながら、国土交通省としても、私から官房長に、日ごろから職務の中身をよく精査して、すでに役割を終えた職場は無いのか、そして今日の社会の中で必要な国土交通省としての新たな仕事というものが当然ながら出てくるわけですので、民間企業で言えば、常に組織の職務内容を見直しして、必要が無くなったものについては縮小するし、必要なものについては追加していくという、常にそういう意識を持って全体を見てほしいという話を申し上げました。
現在、国土交通省の職員は6万人を少し超えておりますが、かつては7万人でございました。
おおよそ1万人ほどこの10年くらいで縮小してきたところであります。
いずれにしましても、常日ごろ、民間企業と同じように、自分たちの国土交通省内の仕事の見直しを行って、国民の皆さんの税金で私たちは仕事をしているわけでありますから、そういう意識を持って仕事の効率を上げ、国民の皆さんの命と暮らしを守るという意識を持って仕事に挑戦していきたいと考えているところであります。
 また、前回の記者会見の中で、国際バルク戦略港湾の結果を発表いたしましたが、残念ながら、最終段階で選定にもれた港もございます。
穀物関係では、清水港・田子の浦港ですが、これについては、この間申し上げたように、名古屋港を中心として連携を組んで頑張っていただきたいというお話を申し上げました。
鉄鉱石では鹿島港が選定されませんでしたけれども、鹿島港については、臨海部に火力発電所等もございますし、また、鹿島のコンビナートや製鉄所もございます。
そういう意味では非常に重要な所でありますので、改めてこの震災を契機にその果たす役割を認識して、後背地に企業が集積しているわけですから、しっかりと日本の経済を引っ張る港として更に努力をしていただきたいと思います。
それから、室蘭港でございます。この港については石炭を中心に取り扱う港としての話でございましたが、そのトータルの取扱量が少なかったということで残念ながら選定には至りませんでした。
しかし、この室蘭港は鉄鋼産業だけではなくセメント企業、あるいは石油精製企業などが後背地にございます。
また、全国22港のリサイクルポートの一つに指定されておりますし、シップリサイクルなどのリサイクルに関する取組も進められております。
こうした機能を有しておりますので、室蘭港には更に取組を進めていただいて、今回の提案の中に取り組まれました苫小牧港と連携しながら、物流コストの削減を進めて、大いに取り組んでいただきたいと思います。
今回選定した港が多かったのではないかという話がありましたが、前回私も申し上げましたように、これは選定されたからといって良かったということではなくて、これから更に競争をしていただいて、その中でも世界的に有数な港になるようにそれぞれが切磋琢磨していただかなければなりません。
そういう意味では、今回選ばれなかった港も頑張っていただきますし、また、選ばれた所もお互いに切磋琢磨して、競合は国内の港ではなく世界の港、韓国の釜山港や中国の港でありますから、世界を見て、常に切磋琢磨しながら頑張っていただきたいということを冒頭に申し上げさせていただきます。

質疑応答

(問)今回の不信任案採決をめぐる一連の動きですが、復旧・復興に一刻の猶予も無い中で、被災地からは政治的な混乱ということで批判が出ているわけですけれども、その受け止めをお願いします。
(答)今回、不信任案が提出されたわけでありますが、これは自民党、公明党、みんなの党等もそれぞれ課題があったと思います。
私としては、今、東日本大震災の復旧・復興の最中でありますから、与党も野党もなく、それに専念するということが今の政治の果たすべき役割だと思いますので、そういう意味では国民の皆さんに混乱を与えたことについては、申し訳なく存じております。
昨日は昨日として、一つの結論が出たわけでありますから、心を新たにしてこれまで国民の皆さんから御要請を頂いております案件について、国土交通省としては全力を挙げてその課題解決のために取り組んでいくという気持ちで前進してまいりたいと思います。

(問)先ほど一定の結論が出たと言われましたけれども、総理は昨日の会見で、年明けまでの続投を示唆されているわけですが、依然としていつ退陣するかという解釈が分かれていて、混乱が更に続くのではないかという懸念もあると思いますが、その辺はいかがでしょうか。
(答)このことについては国土交通省の所掌範囲外でありますから、官邸の方で大いに疑念に答えるように努力をしていただきたいと思います。

(問)閣僚の一員としては特にどうでしょうか。
(答)閣僚の一員としては、自分の職責に全力を尽くすということだと自分自身に言い聞かせております。

(問)大臣は昨日の臨時閣議が終わった後のぶらさがりの中で、総理は一つのけじめを付けられたという御感想を述べられましたけれども、夕べの総理の会見を御覧になって、本当に一つのけじめになったのかどうか、その点の御感想を頂ければと思います。
(答)けじめを付けたということは、代議士会であれだけ鮮明に、いろいろ至らないところもあったと、したがって、自分としてはそういうことをいろいろ反省しながらも一つのめどを付けることによって、一つのけじめを付けたいというお話をされたので、そのように申し上げたわけであります。
その後のことについては、先ほど申し上げたとおり、官邸の方でもいろいろ考えているようでありますから、そのように対処していただければと、そう考えております。

(問)2次補正の関連ですが、総理は2次補正の編成に意欲を見せられたのですけれども、国交省としては、東北の高速道路無料化の車種の拡大を検討されており、財源の問題等課題が山積していると思うのですが、これについてどういう形で実現を図るお考えでしょうか。
(答)常に、あることを行うときには財源が必要なわけでありまして、今回の第1次補正予算では、一所懸命、内部で財源をひねり出して対処するということになりました。
第2次補正ではひねり出すところが内部では無いと思いますから、当然ながら、新たな財源探しということになると思います。
それについては、当然財務省が判断されると思いますが、財務省、財務大臣と総理の間で論議していただくことになると思います。
とにかく、国土交通省内で新たに何か出せと言われてももう出すところがありません。
今御指摘のありました高速道路の東北地方における無料化の話でございますが、これは予算委員会等でも民主党内はもとより自民党、公明党から要請されております。
特に、公明党からは東北地方の復旧・復興のためにも無料化を車種を問わず行うべきだという御指摘を頂いておりますので、財源がなかなか難しかったものですから、まずは6月20日から、中型車以上の車、そして被災された方々については無料で御通行いただくという体制にすることといたしました。
これについては池口副大臣の方から既に報告がされていると思いますが、それ以降、第2次補正予算の中で予算を組みまして、第2次補正予算が通った以降、東北地方を中心とした被災地の復旧・復興を後押しするために、全車種で無料化を図りたいという計画をしているところであります。
中型車以上というと観光バスなども入るわけでありますが、観光客の中には自家用車で行かれる方もずいぶんおりますので、全車種で無料化を行うことが必要なのではないかと考えているところであります。
いずれにしても第2次補正予算が成立しないと、全車種無料化ができませんので、国土交通省としては第2次補正予算の中にこれを盛り込んで、是非、第2次補正予算が早期に成立するように、努力をしていきたいと考えているところであります。

(問)総理の辞任の時期ですが、現在総理のリーダーシップでいろいろ復興事業を進めている中で、いつ辞めるのかということは、やはり復興事業にも影響が出ると思うのですが、国土交通大臣として、総理はいつ頃まで続けていって、いつ頃になったら辞めても大丈夫だと思ってらっしゃるのかということと、党内では、鳩山前首相が菅総理との約束とおっしゃているのが、2次補正早期成立の目途がついた時ということで、これに照らして考えると6月か7月位には総理を辞めるという選択肢もあるわけですが、これを踏まえて、どのように大臣は思っていらっしゃいますか。
(答)これは、なかなか難しい話で、鳩山さんと総理がお話になったわけで、私は総理大臣ではありませんから、目途はいつだということを私は言う立場にありませんので、これは官邸の方で聞いていただきたいというのが一つ、それから鳩山さんとの発言については、これも菅さんと鳩山さんと確か幹事長と平野さんですか、確か4者で話し合ったと聞いているのですが、従ってその場にいたわけではありませんので、このことについても菅さんと鳩山さんに直接聞いていただかないと、今の御質問に答えるのは難しいと思います。

(問)今のことに関連しますが、総理は辞任時期を明示しないかたちで退陣表明をされたのですが、一部では既に死に体であるという批判もあり、中途半端な状態で職責を担い続けるということについて、大臣のお考えはいかがですか。
(答)国土交通省は死に体になっていません。
東北地方の復旧・復興に全力を尽くして行っていますから、そのような見方もあるのでしょうけれども、国土交通省としては東北地方整備局も全力で行っていますし、冒頭に申し上げたように、全国の地方整備局や運輸局のメンバーも東北に入って仕事をしていますから。
国土交通省としては6万人の職員が一丸となって、今、日本の復旧・復興、そして地域における経済を支え、そして国民の暮らしと命を守るという気持ちで全力で行っていますから、国土交通省としては、現在微動だにしないで前進し続けていると言えると思います。

(問)国民から見れば、復旧・復興が本当に早期に進むのかという疑問が出てくると思いますが、いかがでしょうか。
(答)それについては、実績でお応えしたいと思います。
私も5月31日までに仮設住宅を3万件完成させたいということで行ってまいりましたが、土地の確保が難しかったということがありました。
5月2日の時点で3万件を超えて発注しておりましたから、1か月ぐらいでおおよそ仮設住宅は完成するという見方をしていたのですが、造成が必要な土地もあり、私の見方が甘かったわけでありますけれども、しかし実績として、5月31日時点で2万7千2百戸完成しておりますし、また賃貸住宅関係が確か1万5千戸ほどは入っていたと思いますけれども、その他トータルで5万戸を超える家に仮設住宅的にお住まいいただいてますので、私としてはこれからも実績でお応えするように一所懸命努力していきたいと考えております。

(問)先ほど大臣は、心を新たにして全力で職務に取り組みたいとおっしゃいましたが、鳩山前総理は今朝、菅さんのことについて、政治家同士だから約束したことを守るのは当たり前だと、それができなければペテン師だと、人間の基本にもとる行為をするのなら党の規則で辞めてもらうように導いていかなければいけないという発言をしております。
とても心新たに全力で職務に取り組むような状況ではないと思いますが。
(答)私のことを言ったのです。
私はそのように心を新たにして前進していきたいと、国土交通大臣として申し上げたのです。
鳩山さんの発言、総理の発言はいろいろあるでしょうけれども、私はそういう気持ちで前進したいということです。
私の考えです。菅さんや鳩山さんのことを私が申し上げる立場にありませんから。

(問)菅さんと、鳩山さんについてですが、鳩山さんの今朝の発言にしても、この有様を大臣は有権者に対してどのような言葉で説明されるのでしょうか。
(答)それについては、国土交通省は国土交通省なんです。
どんな政権であっても国土交通省なのです。
6万人の職員とともに、国民の命と暮らしを守ろうということで、全員が心を一つにして行っているのですから。
どのような状況であろうとも、私は国土交通省のトップとして、自分自身の職責を全うするという気持ちには全く変わりはありません。

(問)同時に閣僚の一員でもあるわけですから、この一連のドタバタ劇について、地元の支持者なり国民に対してどのような説明をされるのでしょうか。
(答)今申し上げたように説明をします。

(問)関連ですが、三井国土交通副大臣が辞表を返されて、ご本人も続投すると話されているのですけれども、こういった状況で一度副大臣の職を辞して、その方がまた戻ってくるということについては国交省内からも懐疑的な声があるようですが、それについては理解されるのでしょうか。御認識も含めてお願いします。
(答)三井副大臣の政治家としての行動については、私としては理解をして、今回一つの結論が出たわけです。国土交通省の三役の中で、大変大事な仕事をしてこられました。
私の念頭にあるのは、復興会議における国土交通省の取りまとめをしていただいておりましたので、これは是非続投をしていただきたい。
やはり、これまでずっと積み上げてきたものがございますから続投していただきたいと考えますし、様々な形で三井副大臣にはやってきていただきましたから、そういう意味では、今日総理もおっしゃっておられましたが、今朝、三井副大臣ともお会いをして、改めて副大臣を続投していただけますねというお話をして、三井副大臣も自分の仕事として一所懸命やりますという話でしたから。
国土交通省内のどういうところで疑念の声が挙がっているのか具体的に教えてもらいたいと思いますが、私は、三井副大臣という方は代え難い人でありますし、是非、三井副大臣にはこれまでと同じように頑張っていただきたいと考えております。

(問)今回の一連の鳩山さんの動きについては、大畠大臣はどのようにみていらっしゃいますでしょうか。
(答)これは鳩山さんに聞いてください。

(問)鳩山さんの行動について、同じ鳩山グループの大畠さんとして、個人的な政治家としてどのように思っていらっしゃいますでしょうか。
(答)今日は個人の政治家としてきているのではなくて、国土交通大臣としてきているのですから。

(問)国土交通大臣として、総理大臣を務めた方が自らの後任である総理大臣に対する不信任に賛成すると一時はおっしゃいました。
こういう対応についてどう思われますか。
(答)これは鳩山さんに聞いてもらうしかないですね。
私はそういう立場で今きておりませんから。
申し訳ないですが、今は国土交通大臣としてきておりますので。

(問)JR北海道の事故の関連で特別保安監査が延長されましたが、理由というか特別な要因等があったのでしょうか。
(答)延長されたということは私も聞いておりませんが、今回のJR北海道の事故については、大変乗客の皆様に不安な思いをさせてしまいまして申し訳ございません。
国土交通省としては常に国民の命と暮らしを守る仕事をしようという方針で行ってきたわけであります。
今回のJR北海道の事故については、私も部分的に報告を受けておりますが、部品が落下して、それが1つの引き金になって次々とこのようなことになってしまったと、どうしてそういう部品落下に至ったということについては徹底して原因究明と再発防止を行っていただくと同時に、煙が出た後、関係者の皆さんがどのように乗客の方々の命を守るかというところについては、いろいろと問題があったのだろうと思います。
したがいまして、そのところの総見直しを求めたいと思います。
いずれにしても、原因究明とこれは全国の鉄道にも影響するものでありますから、しっかりと検証していただいて、機械的、製品的な再発防止策と、類似の事案に遭遇したときにどのような心構えで行わなければならないのか、マニュアルが、これは手順書でありますが、マニュアルはマニュアルとしながらも人命救助を常に第一にして行っていかなければいけません。
いかにマニュアルに忠実だったとしても、結果的に人命救助という観点から問題があったとすれば、やはりマニュアルそのものに課題があったと思うし、マニュアル以上に人の命を大事にするという気持ちで行動していただくことが必要でありますので、そういうことからいろいろと複雑な要因等もあると思いますが、いずれにしても徹底して原因究明、そして再発防止策、マニュアルの検証、職員のあるべき行動についても御提言をいただきたいと、そういう意味では、時間がかかったとしてもより良いものを作っていただくように私としては期待したいと思います。

(問)三井副大臣についてですが、辞表を提出するという現政権に明確なNOを突きつけた人がまた戻ってくるということは、国土交通省として一体的に業務を行うということと矛盾すると思いますし、辞表を提出した人が本当に現政権のために一所懸命仕事をしてくれるのかというふうに客観的に見て疑念の気持ちが国民の間にも出てくると思うのですが、そういうことに対してはいかがお考えでしょうか。
(答)国民の間というか、質問されている気持ちの中にはおありになると思いますが、明らかに不信任案に対しては反対票を投じているわけですから、その行動をおこすという要因が解消されたという意味では、現政権に対して信任するという意思表示をされているわけですから、その時点で辞表を提出されたときの疑念というものは消えたと私は受け止めております。

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