大臣会見

前田大臣会見要旨

2011年12月13日(火) 10:33 ~ 10:57
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

閣議案件については、特に私からご報告することはありません。

質疑応答

(問)高速道路についてお伺いします。
先日の有識者委員会から、中間とりまとめということで、提言がなされましたが、内容としては、建設債務償還後も利用者負担を求めることや、外環道など大都市部の高速道路を優先的に建設するなどの提言がまとめられました。
それを受けて、昨日、松原副大臣から外環道の建設再開をするという発表がありましたが、提言を踏まえて、改めて大臣から受け止めをお願いします。
(答)外環道については、松原副大臣の記者会見の結果を見ておりますが、関越道と東名道とを結ぶ路線、今まで、非常に重要な環状の機能を果たせずにおりました。
地元の事情等があってなかなか進まなかった。
確か大深度といいますか、地下でやろうということだと思います。
有識者委員会においても特に、3・11等を受け、日本の成長戦略というようなことで、リンクを結ぶといいますか、一つはミッシングリンクの解消という点もあります。
それから、国際戦略都市的な、特に中枢である東京の環状が出来ていないということについての大きな経済的、あるいは国際的な成長戦略上の欠陥といったものを早く解消するためにという意味では、有識者会議の指摘のいくつかの項目をしっかり受け止めた結果の政策方針であると思っております。
それから、有識者委員会においての負担の問題についてもご指摘を受けたと思いますが、利用者負担で管理している高速道路については、適切にその機能を維持していく観点から、償還後も利用者に負担を求めていくことも含め、幅広く検討すべきとされたわけです。
マニフェストとの関係等もご指摘かと思いますが、これは、党において更にこれから議論していただくことになるかと思いますが、私も当時のことを思い出すわけですが、作るほうについては、高速道路というものをこれからもどんどんということではなく、よほど検証して進めようということだったのですが、時代が出来上がって供用している施設の維持管理・更新の時代に急激に入ってきた。
道路もそうですし、よく言われる全国の鉄橋などは相当数、今危険な状況になっております。
下水道などもそうです。
全国で何千カ所と毎年道路が陥没し、時には事故につながると言うようなこともあります。
公共社会基盤が随分と整備されてきたわけですが、これが維持更新という時代に入ってきて、これをいかに効率的に、その時代にあった、地域にあった、そして、将来の社会構造、人口構成なども含めて、そういうものにあった施設のマネジメントをするかという、維持管理・更新という言葉だけではなかなかとらえきられない、もっと総合的なマネジメントという考え方で行っていくべきだと考えておりまして、これは民主党のマニフェストの総体にもあう方向だと思うわけです。
省内に政策官チームができあがって4つの柱と8つの方向を立てたわけですが、その8つの方向の一つに入っております。

(問)先日、政府が税制改正大綱を閣議決定をしました。
この中で国交省関連では、認定省エネ住宅の普及を打ち出しておりますが、似たような制度で長期優良住宅制度があると思いますが、このような制度との兼ね合いなどについて大臣の所感をお伺いします。
また、認定省エネ住宅というのはいつ頃開始される予定なのかお願いします。
(答)長期優良住宅に加えて、新たに認定省エネ住宅ということで、省エネを推進しようということです。
長期優良住宅の中に長期優良住宅の備えるべき機能としていくつかの項目があります。
その中に省エネというものが入っておりますが、その省エネを更にトップランナー基準と言いますか、省エネの水準を高いものに上げて、その認定ができたものについては、長期優良住宅と同じようなインセンティブを与えようという政策です。
COP17も何とか先に向けて方向性を見い出したようです。
日本は非常に厳しい状況に追い込まれております。
そういうことも含めて、やはり低炭素まちづくりというものをやっていかなければなりませんが、単体で言うと、この住宅の省エネ、低炭素化というものは本当に喫緊の課題だと思います。
来年度は低炭素まちづくり法案というものも通常国会に提出しようとすべく、今詰めているところであります。
そういう中で、認定制度等も見い出していくということになるかと思います。
これも先ほど申し上げた、低炭素・循環型社会、持続可能な国づくりをやろうという国交省の方向に沿っての八つの政策の方向の中に入っておりまして、四つの柱の一つの柱です。
今、政策官チームができて、民間の識者の方々も参与として参加してくれて、議論をずっとやり始めたところであります。

(問)八ッ場ダムの検証について伺います。大臣もご出席されたと思いますが、12月1日の有識者会議の中で、八ッ場ダムができたことによる効果で水位がどれくらい低減されるかという質問が有識者からあったことに対して、関東地方整備局から聞いているということで、事務局が「最小で30センチ、最大で60センチ水位が低下する」ということを答えられていましたが、以前、関東地方整備局に取材した時に、そのような計算はやっていないということをおっしゃられておりました。
江戸川区では、一番最下流ですが、そこでは低減効果は無いというふうに職員の方がおっしゃられていました。
検証については、情報の正確性が必要だと思いますが、この情報についてはお確かめいただけないでしょうかという点が一つです。
それから、前回こちらで質問させていただいた時に、やはりこれも情報の正確性ですが、栃木県知事がカスリーン台風によって352名の命が失われたと、この件に関して八ッ場ダムとは全く関係のない地域ですと言いましたところ、大臣がパブコメで出してくださいということでしたので、これは取材ではなく、パブコメで出してみました。
その見解が、関係地方公共団体からなる検討の場の構成員に対する意見については、検討主体としてコメントする立場にございませんということで、情報の正確性がここでも担保されておりません。
これについても改めて情報の正確性ということが検証の正当性にもつながると思いますので、御確認するべきだと思われますが、いかがでしょうか。
(答)その確認でありましたらやりましょう。
事務局において是非その確認をしてください。
それから今さっきの、江戸川において八ッ場ダムの洪水調節の水位低下があまりないということは、現地の江戸川の専門家の話だったのでしょうか。
工事事務所でしょうか。

(問)職員の方です。
(答)それは個人的にどういう見識と言いますか、利根川流域の全体の、いろいろな複雑な検討をやっておりますから、そういうことを承知した上でのお答えかどうかということはわかりませんが、ただ定性的に言えば、低減効果というものは八ッ場ダム地点から始まって、ずっと延々と、たぶん何百キロかあるのでしょうね。
百数十キロ、二百キロ近くあるのでしょうか。
ずっと下ってきて、しかも関宿で分派するわけですから、そして江戸川にということ、しかも海の近くになるとこれは海水面にゼロに落ち着くわけですから、そういう意味では下流にいくに従って、特に、江戸川というものは、海に近い所では、その効果は低減するということは定性的には言えることかなと、こういうふうに思います。
それから、カスリーン台風ということについもこれもちゃんと確認をさせますけれども、定性的に言いますと、カスリーン台風は昭和22年のあのとき、吾妻川流域と言いますか、八ッ場の流域にはあまり大きな雨ではなかったのです。
むしろ東の、まさしく栃木県側だとか、群馬県の東の方だとか、あちらの方に大量の豪雨があっての洪水でありましたから、洪水の特性から言うと、栃木県側に大きな被害が出たということはあっただろうと思います。
しかもそれが集まっての上で、渡瀬遊水地のちょっと上流なのでしょうか、ずっと下ってきた所で破堤して、それが埼玉県から東京湾、江戸川区なども含めて大きな被害をおよぼしたということだと思います。

(問)江戸川区では数日かけて洪水が押し寄せてきたために、被害は1名だけでした。
(答)浸水という意味ではね。
あの当時であってもそうして浸水の予想、そして待避、避難、そういったものがうまくいけば被害は最小限にとどまるわけでありまして、それが東日本の大きな教訓になると思います。
ハードによってある一定の外力に対してはなんとか押さえると、しかしそれを超えた場合には人命が第一ということで、多重防災もソフトも含めて、人命第一で人の命を守っていくということが、これからの防災のあり方だと思います。

(問)先日、高速道路のあり方検討委員会がまとめた中間とりまとめで、大都市間のネットワークの強化がうたわれて、その中には新名神高速も含まれていました。
新名神の未着工区間の着工判断については、とりまとめを受けてどうお考えかお聞かせください。
(答)新名神の具体的な所については、地元の方々のお話も、知事さん市長さんなど自治体の長のお話を伺っていて、非常に緊急性が高い、先ほど外環道のお話をしましたが、近畿中枢におけるそれと同じような性格の機能をもっていると認識しています。
しかし、今まさしくそういった事を含めて、関連の自治体、国交省、NEXCOなども含められると思いますが、そういったところで検討をしていると承知しております。

(問)八ッ場ダムについてですが、前原政調会長が党側の意向として、疑問点への回答がない間は着工を容認できないという趣旨の方針を示されましたが、国交省の回答に向けた作業の進捗状況はいかがでしょうか。
(答)すでに具体的な疑問点は、官房長官経由で受け取っておりまして、それに対する回答を制作して、今、党に提出しているところです。
なるべく早く、いろいろ御意見を伺い、こちらからも説明する機会を持ちたいと思っております。

(問)高速の検討委員会の受け止め関連で、今回、本四の問題も提言がございまして、具体的な今後の料金水準と、今後、国交省と地元で見解がわかれていますが、負担の問題、そこはまさに早急に話し合って欲しいということでしたが、具体的にどの位の水準の料金と負担で話し合いをしようと思っておられるのか、具体額はともかくとして、例えば半分位とか、もし決まっていることが頭にありましたらお願いします。
それと、本来、今年の震災の前に話し合いが行われるはずが震災でストップしてしまって、その直前の状況からいっても地元の同意を得るのはかなり難しいことになってくるかと思うのですが、どのような姿勢で話し合いにのぞまれるお考えか、この2点についてお願いしたします。
(答)どの位ということについては、有識者委員会のまとめが出まして、本四だけではなく、確かにものすごくコストはかかっているわけですから、それに対してどのように考えるべきかという方向を示していただいたので、それを受けてこれからのお話です。
具体的には、本四の出資団体があり、地元の県なども出資しているわけですが、国交省が主体になって調整会議を開催しようというところまできております。

(問)調整会議を再開するということでしょうか。
(答)そうです。
新しい方針に基づいて、知事さんなどが入って調整会議を再開するということです。
年内にも開催しようかというところまできているようです。

(問)八ッ場ダムについての法定計画との関係ですが、河川法に基づいて河川整備基本方針は出来ていますが、具体的な河川整備計画というものが出来ていません。
今回は相当ということで1万7千トンという数値が出ていますが、これは2005年に出ていた河川整備計画案で1万5千トンと出ていましたので齟齬があるわけですが、法定計画としての妥当性というか正当性がないのではないかということが1点、それから特ダム法に基づいて、基本計画が工期と事業費総額を定めておりますけれども、これも検証の中で工期も延びるし総額も増額となるということが想定されるということが書かれておりました。
この特ダム法の手続きと河川法の手続きはどのようになさいますでしょうか。
これは予算を付ける前にどうするかという決着が必要だと思いますがいかがでしょうか。
(答)そういった趣旨のことも、確か質問の中に入っていたと思います。
特ダム法については、1都5県が関わっているわけですから、計画を変更する時には議会の承認を得た上での知事さんの了解が必要となっているはずです。
したがって、今までのプロセスの中で精査をしていって、地質調査等を行ったりして対応を具体的に精査をしていくにつれて、多少工費が上がったりだとかがあることは承知をしていて、そういうものは既に了解を得ているのだろうと私は理解をしております。
了解を得てないと、計画変更はできませんからね。

(問)検証の議事録を読んでいただきたいのですけれども、検証の場で、公開で行われた検証の幹事会というのがございまして、1都5県全てが増額には応じられないということが言われております。
法律に基づけば、増額については1都5県の了承が要りますので、そこは動かなくなります。
(答)そこについては、これからの協議を通じてということになると思います。

(問)党の方との調整ですが、回答は既に提出済みという理解でよろしいでしょうか。
それから意見調整ですが、目途としてはいつ頃までに、どういう方々が調整をするのかということの予定が立っていれば教えて下さい。
(答)提出は、既にしたと思います。
昨日、回答について私も説明を受けましたので。
今、党の方の政策調査会というものは、あらゆるものが集中しているものですから、なかなか日程が取り難いということろですが、いずれにしても、私がどういう判断をすることになったとしても、どういう結果であれ予算に反映をさせなければならないわけですから、それがタイムリミットだと思います。

(問)前原政調会長と直接お会いしてお話をされるということでしょうか。
(答)そうです。

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