大臣会見

前田大臣会見要旨

2012年4月10日(火) 9:43 ~ 10:06
国土交通省会見室
前田武志 大臣

閣議・閣僚懇

閣議案件についてですが、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置を1年間延長する旨の閣議決定がなされましたが、今日の閣議において、当該延長措置を国会へ付議するための閣議決定がなされました。
それから、私から1点御報告がございます。
 復興事業の推進のための新たな入札・契約方式の検討についてでございます。
復興まちづくりがいよいよ進んでくるわけですが、市町村等において、専門的な人材等、一般にはなかなか確保できませんから、その市町村のマンパワーやノウハウの不足の課題に対応するために、また、事業のスピードアップを図るために、民間事業者のノウハウを活用した新たな入札・契約方式の検討を行うことといたしました。
中身については、よく言われる、PMだとかCMだとか、それからコンソーシアム方式といったことを活用して、スピードアップと民間のいろいろなノウハウをうまく組織的に活用していこうということであります。
もちろん復興庁とも連携してやってまいります。
 もう1点、私の方から申し上げると、月曜日は利根川、江戸川、特に古利根川だとか、中川、綾瀬川、あの辺は大変な内水被害地帯なのです、もともと低湿地の所、利根川、荒川が乱流していた所が特に開発されたことで、あそこには首都圏外郭放水路でポンプアップする、あの辺の市街地がちょっと雨が降ると水浸かりになるシーンがよく雨降るごとに出てましたが、それに対して、大深度地下みたいなものですが、そこに大きな水路を掘って、そして集めて、最終的には江戸川でポンプアップしてはくという事業を完成させています。
ここ数年、完成以来、随分効果が出ており、そこを見てまいりました。
だいたい最大200m3/secくらいの洪水をはけるようにしてありまして、ものすごい大きいポンプで、毎秒50トンくみ上げるようなポンプを4基設置しておりまして、今までの実績で言うと、去年なども9回くらいはいているのです。
毎年7回前後、やはりそういう梅雨であったり台風であったりというときに、そこが稼働して、何とか内水常襲地帯の治水をやっている。
あえて申し上げているのは、意外とこういうことが流域の方々はあまり御御存じないのです。
むしろ映画のロケなどに使われて、パルテノン宮殿だとか、地下の大きなものすごい構造物ですから、そこに行ってまいりました。
もう一つ主眼は、利根川、江戸川筋に今、コウノトリが来て、そこで住めるような、そういう生物多様性をまず河川敷と言うか、河川に沿って生物多様性を確保しよう、再現しようという事業が、埼玉、茨城、千葉、栃木、4県の地元の市や町で連携して行われておりまして、その現場に、2週間程前には荒川の方でもそういう所がありまして、見てまいりました。
やはり河川敷というものは、特に、利根川、江戸川、荒川の広い遊水地になっている河川敷というものは、まさしく生物多様性という観点から、河川事業をやっていくべき所だと思っておりますので、見てまいったということであります。
以上です。

質疑応答

(問)この後、首都高速の有識者会議の第1回が開かれるかと思いますが、具体的に何をやられるのかということと、首都高速自体でも大規模改修についての話合いが始まっているのですが、それとの棲み分けというものは、どのような整理をされているのか、教えてください。
(答)後段の方から言いますと、首都高に設置されている委員会は、御存知のとおり、首都高速道路というものはオリンピックを契機にできたわけですが、もう何十年も経っているわけです。
当然、維持更新の時代になってきて、そこをどのように診断して、長寿命化できるものは長寿命化して、そして補強すべき物は補強し、更新すべき物は更新し、そしてこの時代に合った維持管理、マネジメントしていくにはどうしたらいいか、そういった専門的・技術的な検討委員会が首都高の方に立ち上がっておりまして、検討を深めてくださっております。
それから今日立ち上がる有識者委員会ですが、これは技術的というよりも、この時代、そしてこれから先を見た場合に、どうしてもそういった問題意識を強く持っているのですが、首都のど真ん中に高架で高速道路があるというのはいかがかなと、もっと進化する国際戦略都市の東京にふさわしい、安全な、しかも、直下型等の災害があるわけですから、そういった災害にも耐えうる、そしてそのときに大きな機能を発揮するような、しかも都市そのものが大成して、非常に魅力に満ちた価値が格段に高まるような、そういう高速道路の都心中枢における再生のあり方、そういったことを議論していただこうという会議であります。
イメージとしては、ボストンであったりパリなどもそうですが、都市の高速道路というものが随分再生してきました。
それを日本流で世界の先端として魅力溢れるようなものに再生するにはどうしたらよいかという観点からの議論を行っていただくということです。

(問)大容量の蓄電池の普及について、省内の検討体制を設けて取り組んでおられると思いますが、国交省としてどういった方向で取り組んでいかれるのでしょうか。  
(答)これはむしろ国交省の方から、持続可能なまちづくりを言い始め、そして低炭素まちづくり法案を出したわけですが、検討の段階から個別の1軒ごとの蓄電と言いますか、集合としての街区全体の、自然エネルギーを導入したり、あるいはエネルギー問題がこれだけ厳しくなっていますから、ピークカットをまち全体で行うということになると、当然大容量の蓄電池というものが必要になります。
これは実は、まだ世界では実用的に実現していないわけであって、個々の技術については日本が世界最先端であります。
したがって、ぜひこれを持続可能な低炭素まちづくりの中で実現しようということで、政策官などを中心に、そして政策参与などが中心に随分進めてきてくれておりまして、もちろんこれは主務が経済産業省になりますので、枝野大臣などにも随分早い機会から私も申し上げていて、経産省の方では有識者会議的な委員会ができていて、そこに国交省も入っております。
国交省の方は、省内で議論していく体制が整っておりまして、中心に政策官がいるということです。
もちろん復興庁などと連携して、東日本の復興においてモデル的にぜひ再現したいと思っております。
特に環境未来都市という特区的なものを内閣府で選定しました。
東北において5か所くらい選定されているはずですが、そういった所でモデル的にぜひ低炭素まちづくりの中に蓄電池を、定置型蓄電池と言いますが、日本においてそのモデルを実現したいと思っております。

(問)今の二つに関連しますが、まず高速道路有識者会議が開催されますが、社整審でなぜ議論しないのかということと、もともと社整審にした理由として、道路とかダムとか下水道であるとか、個々にばらばらに議論するのではなくて、都市をどう作っていくかということで、都市計画全体に関わるものとして社整審でやはり大きな議論して、例えば、歳入と歳出で今後50年ぐらい先を見越して、国土交通省として維持管理費も含めてどれぐらいの予算が取り分けられるものなのかという、収支全体で考えるべきことなのではないかと思うのですが、なぜ、いちいち有識者会議ということで、小さな諮問に留めてしまっているのでしょうか。
(答)今の前半は大賛成です。
私が赴任以来申し上げているのは、国土交通省の担うべき仕事というものが、まさしく今言われたような、今ある施設をいかに効果的に維持更新していくかというアセットマネジメントの時代になってきたということで、まずは政策官チームを発足させているのですが、おっしゃるように社会資本整備審議会等で議論を当然していただくことになるわけです。
後段の部分の首都高速については申し上げたように、首都高速道路会社において技術的な検討は随分やってくれているのですが、その大きな議論の中では、個別のどういうふうな夢ある絵姿を描いていくかというような議論まではいかなく、もっと総括的な全体的な議論になります。
それについて、有識者会議と言いますが、これは公式のものというよりも私的な勉強会的な議論をしていただく会議というような位置づけになっております。
それはそれで大いにやってもらったらいいと思っています。

(問)そうすると、そういったものが既成事実化して、必要であるという論理として、結局夢はどんどん広がっていきますから。
(答)おっしゃるけれども、民間会社ですから、これはきちんとコストベネフィットと言いますか、そういうものも基本にありますし、全体の首都高速というのはシステムでしょう。
その中でイメージしているのは特に都心の日本橋の上に高速道路が走っているとかそういうところです。
そういう所を本当に魅力ある都市に再生させるようなことがどうすれば可能かというような議論をしてもらうことは大いに自由に有識者にやっていただくということは結構なことかなと思っております。
これは先ほど申し上げた東北のまちづくりにおいて、民間の知恵と組織と、そういったものを導入すると言っているのと多少関係が出てくるんです。

(問)逆に復興庁で13兆円というお金がかかると決まっているわけですから、日本のあちこちからお金を寄せ集めて13兆円積み上げてあげるのであれば、どこかを削ったり、引っ込めたり、押さえたりとかいう議論が必要になるはずです。
予算というシーリングをかけるという発想が無いのでしょうか。
(答)これは岡田副総理のところで非常に厳しくやっておりまして、全体としてはそこで、国交省としても何度も申し上げておりますが、「選択と集中」をやっておりまして、24年度予算は21年度予算と比べるとずいぶん減っています。
7兆1千億円だったのが今年は確か4兆6千億円まで減らしているはずでございます。
だから、一見「選択と集中」ですから、ここだけはどうしても多重性確保のためにやらないといけない、例えば外かく環状などはゴーサインを出しました。
しかし、関東のあそこは集中的にということでやっているわけで、他の所はほとんど付いていない。そういう「選択と集中」をやっている、これが国交省として、ということです。

(問)職員の新規採用の関係ですが、先般来、大臣は採用の際に海上保安庁の職員や航空管制官とか、いわゆる安全にかかる現業系の方々はなるべく配慮したいとおっしゃっていたかと思いますが、もう少しどのくらい抑えられそうか、そういう職種同士はどちらを重視するのかしないとか、もう少し具体的なところがもしあれば教えていただきたいのですが。
(答)最終的には総務大臣が担当しているところで正式に発表になるわけですが、国土交通省内で詰めてきた過程で言いますと、おっしゃるとおりでして、海上保安官と航空管制官については最大の配慮をしました。
したがって、ここでも言ったと思いますが、血が出るようなと、まさしくそうなったのです。
昨日、関東地方整備局に行ってまいりましたが、新人がほんの数人ぱらぱらでして、退職していく人との差を考えると、もう悲鳴が上がっておりました。
しかしあえて、そこまでしてやはり海上保安官と航空管制官達は、本当に治安、安全に関わる話ですから確保したというところです。
そういう省内での努力も認められて、全体としては、岡田副総理、川端事務局長のところで、ある程度、更なる配慮をしてくれて、なんとか海上保安官についても、航空管制官についてもぎりぎりの線は確保できたということです。
これがその他に随分としわ寄せがいってます。

(問)利根川水系河川整備計画についてですが、3月13日の会見の中で、大臣がスキームを考えているということをおっしゃっていました。
どういうスキームなのかということと、もう既にその5人の有識者でこのスキーム自体を評価していただいてほぼ固まっているということをおっしゃられているのですが、具体的にはどういうもので、5名はどなたでしょうか。
(答)まだ、具体的に個人名までは聞いておりませんが、今まで指示もし、私の聞いているところでは、河川整備計画の目標流量であったり、そういったものをもう一度算定をきちんとすると、かなり専門的な分野になってきます。
ですから、そういうところには、意見を異にする学者の方に入っていただけるよう、あるいはこれは前原政調会長なども言っておられた、確率流量的なものが議論されるものですから、きちんとそういう統計学と言いますか、そういう関係の専門家も入るようです。
しかしスキームとしては、恣意的に何か国交省が別のスキームを作ったということになると、これまた逆の立場から客観性を失うものですから、そこは、やはり学術会議などが一番良いのだろうと思いますが、そういうところの権威ある先生方にどういうスキームが良いかということを相談をかけて作りなさいよということを指示しておりました。
そういうスキームがほぼできてきたと聞いております。
それから人選をするということになります。

(問)復興事業の新たな入札・契約方式ですが、地元の雇用への配慮という点でもう少しこの方式でどういうふうにやっていくのかということについてお伺いします。
(答)私の理解では、まとめて大きなまちづくりみたいなものを、今までのやり方からすると、どこかのコンサルタント会社に発注して、できてきて、それで設計書を組んで発注するとゼネコンが受注する、そしてそのゼネコンが専門業者を、コンストラクターですから、専門業者を集めて、そして下請け、更には特殊なものは孫請けだと、そういうことになると。こういう方式をとると、むしろ地元の業者であったり、地元の専門家であったり、あるいは専門でなくても地元の雇用というものを優先的にやるというシステムにはなかなかなりにくいのです。
だからこそ、こういうコンストラクションマネジメントみたいなものを導入するということは非常に良いことだと思うのです。
そこはきちんと条件をつけて、要するに分野ごとにきちんと分離発注するようなイメージです。
そうすると地元のよく知っている業者の方々が随分入れるでしょう、むしろそちらの方を言っているのです。

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