大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年8月31日(金) 10:50 ~ 11:03
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議におきまして、「社会資本整備重点計画」が決定されました。
本計画は、現行計画を見直し、平成24年度から28年度までの五か年の社会資本整備の方向性を示す計画として、策定されたものであります。
今回の計画では、厳しい財政状況等、様々な課題に対応するため、中長期的な社会資本整備のあるべき姿を提示した上で、「選択と集中」の基準を踏まえた4つの重点目標に基づき、真に必要な社会資本整備を着実に進めることとしております。
今後は、この計画に基づき、重点的、効果的かつ効率的な社会資本整備に努めてまいります。
次に、私から1点御報告がございます。
本日、環境省より、常磐道において実施されていた除染モデル実証事業の結果等が発表されます。
これを受け、NEXCO東日本において、工事発生材の処理等について関係機関との調整が整うことを前提にいたしまして、次のような供用目標により、事業が進められます。
広野から常磐富岡間は平成25年度内の供用を、また、浪江から南相馬間は平成26年度内の供用を目指します。
この両区間の間に位置する常磐富岡から浪江間は、平成26年度内の供用を目指す他の区間から大きく遅れることなく、供用することを目指していきます。
早期供用に向けて、地域の皆様の御理解と御協力を御願い致します。
私の方からは以上であります。

質疑応答

(問)先日、南海トラフ地震の被害想定が発表され、32万人の死者が最悪出るというような結果となりました。
今後、国土交通省としてどのような対策を進めていくのか御見解をお願いします。
(答)南海トラフの巨大地震の切迫性が指摘される中、災害に強い強靱な国土づくりを進め、巨大災害に備えることが極めて重要であり、これは国の基本的な責務と認識しております。
このために、「人の命が第一」、「災害には上限が無い」等の東日本大震災の教訓を踏まえ、ハード・ソフト一体となった減災対策を関係機関と連携し、強力に進めているところであります。
具体的には、内閣府の発表で、建物の耐震化率を現在の約8割から約9割に上げることで、揺れによる全壊棟数が約4割減少するという推計結果がありましたけれども、国土交通省では引き続き強力に、住宅・建築物や公共施設等の耐震化を推進していくと、このように思っております。
また津波に対する避難の迅速化に加え、津波避難ビルが効果的に活用された場合、津波による死者数が最大で約8割減少するという推計結果がございます。
これに関して国土交通省では、津波避難施設・避難地・避難路の整備や、仮に津波が越流した場合でも、施設の倒壊までの時間を少しでも長くするために、粘り強い防波堤・防潮堤の導入など、ハード対策が、既に始まっておりますが、今後も進めていきたいと思っております。
あわせて、津波ハザードマップの作成支援など、ソフト対策を組み合わせて総合的な減災対策を関係機関と連携して全国的に進めて参ります。
さらに、万が一、発災した時に備えて、緊急災害対策派遣隊、いわゆるTEC-FORCEの派遣や、南海トラフの巨大地震に対する緊急対応計画を立案し、初動体制の強化を着実に進めていきたいと思っております。

(問)先日、内閣府の有識者会議でUR(都市再生機構)の新しい組織のあり方に関する報告書が出されましたが、この内容についてどのように受け止められておられるのか、それと今後の対応について教えて下さい。
(答)URの改革案につきましては、8月28日の内閣府の調査会において、報告書が取りまとめられたところであります。
この報告書に基づいた対応方針については、今後政府において検討していくことになりますが、報告書に示された組織の分割については、その前提条件である収益移転や、また公的資金の活用、資産評価などの課題について更に検討の上解決していく必要があります。
また、具体化に当たっては、賃貸住宅の居住者の居住の安定に配慮する必要があると考えており、これらの点について今後内閣府の行政改革実施部局と共に検討を進めて参りたいと考えております。

(問)南海トラフの地震などでも推定などがありますが、国の庁舎なども津波の被害にさらされたり、あるいは首都直下地震になれば中央の霞ヶ関の庁舎なども被害にあって、例えば停電が長期化するとか、そのような恐れもあるかと思いますが、官庁の営繕を担う国土交通省として、どのようにそのような問題に対応されていくのでしょうか。
(答)基本的には、耐震化等をしっかりと現在進めておりますし、この庁舎も古いけれどもしっかりと免震構造等を追加して行うなど、着々と進めておりますので、やはりそのような意味では、しっかりと対応していくということであります。

(問)今年度予算の財源を確保するための赤字国債発行法案が成立する見通しが立たないと、財務省においても予算執行を抑制することに触れましたが、国土交通省は国民生活への影響が大きいインフラなどの整備を行っておりますが、考えられる予算執行の抑制による影響と受け止めについて、大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(答)残念なことに、特例公債法案の成立の見込みがないということであります。
やはり、歳出の予算が通ったら、歳入については、ねじれ国会等もありますから、与野党の壁を越えて国民に対して責任を持っていくということが重要だと、私は常々申し上げてきましたし、野党の皆さんにもそのことを訴えてきたつもりでありますが、今このような状況ということについては、大変残念な気持ちであります。
本日の閣議において、特例公債法案が会期内に成立が見込めない場合には、可能な限り執行を後ろ倒すことを検討する必要がある旨の発言が財務大臣からありました。
これを受け、官房長官からも各大臣へ協力の要請があったところであります。
財務大臣から示された案では、復興事業や海上保安等の対策費、或いは建設公債の対象経費である公共事業費の執行は抑制の対象とされておらず、国民の安全を支える業務等にはしっかりと取り組んで行くという方針が出されているところであります。
その上で、国土交通省としても政府全体の方針に従い、国民生活経済活動への影響等を踏まえつつ可能な限り、執行を後ろ倒すよう具体的な対応について検討していきたいと考えております。

(問)一般会計へ繰り入れている6,029億円の自動車安全特別会計のお金についてですが、「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」で指摘されていることをどのように受け止めていますでしょうか。
また、今後どのように要求されて行くかを教えてください。
(答)8月1日に開催されました懇談会では、委員の方々から早期の繰戻しを求める御意見を頂いております。
国土交通省としても早期の繰戻しを求めて引き続き財務省と協議を進めて参る所存であります。
また、来年度の概算要求における具体的な要求内容ですが、現在、最終的な検討を行っているところでありますので、今お答えすることはございませんが、引き続き財務省としっかり協議を進めて行きたいと考えております。

(問)大臣としては任期中に解決したいという要望はございますでしょうか。
(答)今の財政状況の中で、また特例公債法も通らない中で、国民の安心・安全、経済の安定を考える中で、しっかりと財務大臣と話をしていきたいと思っております。

(問)尖閣諸島の問題ですが、野田総理の尖閣諸島の国有化方針を受けて、外国特派員協会のメンバーであります、人民日報が書いた記事で、「日本の政治家は尖閣諸島の問題でいざとなったら武力衝突まで発展する可能性もあるのに、それを隠しているのか」という非常に厳しい論説を出しておりますが、海上保安庁としてはそういう事態に備えて何か対策をしているのでしょうか。
(答)武力衝突はなるべく避けなければならないと思っております。
やはり、安定的、友好的に支配をしており、そういう意味では武力衝突等はなるべく起こさないようしっかり友好的に尖閣諸島を我が国固有の領土ですので、守っていくということであります。
そういう意味で海上保安庁の巡視船と政府でしっかりと警戒態勢も敷いておりますし、ケース・バイ・ケースでしっかりとした備えをしていかなければならないと思っております。
そのことについては政府全体で海上保安庁に対する予算等もしっかりと付けていかなければならないというお話もしていただいておりますので、しっかりと期待に応えられるようにしていかなければならないと思っております。

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