大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年9月7日(金) 10:16 ~ 10:35
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

 それでは、これから、国土交通省の平成25年度概算要求、税制改正要望、組織・定員要求について、説明させて頂きます。
 昨日の政務三役会議で、これらについて正式決定し、本日開催される民主党国土交通部門会議での御議論を経た後、財務省及び総務省に提出いたします。
 まず、平成25年度概算要求について説明いたします。
 今回の概算要求においては、一般会計予算の総額で、対前年度比1.04倍の4兆7,410億円、さらに全国防災を含む東日本大震災からの復興対策に係る経費として、8,754億円を要求することと致しました。
 また、財政投融資は、対前年度比1.04倍の3兆3,733億円を要求いたします。
 公共事業予算については、近年削減が続き、平成21年度と比較しますと、平成24年度予算で2.5兆円の削減がなされている状況であります。
こうした中、「日本再生戦略」等の推進に向け、選択と集中を行いつつ、重点要求等を最大限活用し、真に必要な公共事業予算が確実に確保されるよう、対前年度比1.05倍の4兆1,343億円の要求を行います。
 なお、全国防災関係費を含めた場合、公共事業関係費は、対前年度比1.06倍の4兆4,244億円の要求となります。
 国土交通省では、これまで公共事業費が大幅に削減される中で、様々な改革に率先して取り組んでまいりました。
具体的には、「持続可能で活力ある国土・地域づくり」及び「社会資本整備重点計画」を踏まえ、選択と集中を更に加速させるとともに、ハード・ソフトの両面から総合力を発揮して経済活性化等を図ることとしています。
「持続可能で活力ある国土・地域づくり」に掲げた施策のほとんどは、「日本再生戦略」にも盛り込まれており、このたびの概算要求は、これらに基づいて、東日本大震災からの復興、防災・減災対策の強化に全力で取り組むと同時に、デフレ脱却と経済活性化に向けて成長戦略を推進していくため、既存予算の抜本的な見直し・組み替えを積極的に行ったものであり、その意味で今回の概算要求はこれまでの改革の取組を総括するものと考えております。
当該予算を通じて、子ども達や孫達の時代に誇れる国土づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、平成25年度税制改正要望について御説明致します。
 本年度の要望では、まず、住宅、自動車、印紙税という消費税率の引き上げに伴う要望が大きな項目となっております。
 また、我が国の経済・社会の再生に向けて国土交通行政が果たす役割の大きさに鑑み、消費税関係の項目も含めて、
1).住まいの質の向上や災害に強い国土づくり、公共交通の安全確保など、「暮らしの安全・安心の確保」に関連する税制
2).国際競争力強化や不動産・建設投資の促進など、「成長戦略の推進」に関連する税制
3).低炭素社会の構築や地域の活性化など「持続可能で活力ある国土地域づくり」に関連する税制
の3つを柱立てとして取りまとめたところです。
 最後に、平成25年度組織・定員要求について御説明致します。
 今回の要求においては、引き続き厳しく組織・定員の合理化を進める一方で、特に体制面の強化を図るべき分野として、
1).海洋権益保全のための警備など、海上保安業務執行体制の強化
2).関越道高速ツアーバス事故を受けた、公共交通の安全確保対策の強化
3).東日本大震災等を受けた、気象庁等における防災業務執行体制の強化
4).物流政策やインフラ国際展など、日本再生戦略を推進するための体制の強化
を重点分野として選定しています。
 特に、海上保安庁においては、長官を補佐して重大事態対処に当たる「海上保安監」の設置、那覇周辺海域の現場業務を担当する「那覇海上保安部」の設置等を要求するとともに、定員についても前年度を上回る増員要求を行います。
 平成25年度概算要求、税制改正要望、組織・定員要求については以上です。
 次に、高知県内の入札談合事案についてお話しさせて頂きます。
入札談合事案については、奥田副大臣を委員長とする調査検討委員会を直ちに立ち上げるよう指示したところですが、本日、お手元の資料のとおり、省内に委員会を設置しましたので、御報告します。
以上です。

質疑応答

(問)先程もお話し頂いた、「高知県内の入札談合事案に係る再発防止対策検討委員会」の中の趣旨の中にもあるのですが、国土交通省の職員が入札関連情報を漏洩した疑いがあるという報道がなされています。
この報道についての大臣の認識についてお伺いします。
(答)高知県内における国土交通省発注の直轄事業に関して公正取引委員会が排除措置命令及び課徴金納付命令の前提となる事業者に対する事前通知を行ったことについては聞いておりますが、現時点ではその内容の詳細については承知しておりません。
このために、本件事案について先程申し上げた調査検討をするための委員会を奥田副大臣の下に設置をさせていただいたところであり、実態の解明と徹底した再発防止策を検討していただくと思っております。
仮に、職員による不正行為の事実が確認された場合には、厳正にしっかりと対処していきたいと思っているところです。

(問)先程大臣は、震災からの復興に加えてデフレ脱却あるいは経済活性化についても言及されました。
円高ですとか電気料金の値上げなどで、日本の産業は非常に厳しい状況が続いています。
そういう産業の再生について、今回の概算要求でここがポイントだというような点があれば教えてください。
(答)基本的には中小企業対策も国家戦略の中にしっかりと位置づけられており、そういう意味では網羅されております。
(事務方説明)例えば、「持続可能で活力ある国土・地域づくり」の中で、特に今回は特別重点要求でグリーンの要求を4倍で出せるようになっております。
その中で、低公害車の促進、小型自動車の新たな開発、海洋フロンティアの開発、公共事業の関係或いはまちづくりの関係でいろいろ低炭素に関する取り組みを加速していくという中で新しい産業の成長の種を作っていくという内容を大きく盛り込ませて頂いているところであります。

(問)そういうことについて、大臣はどのような期待をお持ちですか。
(答)新たな試みもございますし、また防災・減災という意味では地方の公共事業を担っている中小企業の皆様にも大いに活躍して頂かなければならないと考えております。
そういう意味では新たな需要として既存の公共事業を行っている中小企業の皆様にもしっかりと仕事をして頂き、いざ災害があったときに、大きな役割を果たして頂ける中小企業の皆様をしっかりと支えていかなければならないと思っております。

(問)尖閣諸島の問題で、海上保安庁の警備についてお伺い致します。
国が買い取るという方針を打ち出した後、中国が大変硬化して中国の政府が尖閣問題を制御できなくなる危険性がある。
日本の政治家はその覚悟があるのか。武力衝突に発展する可能性も示唆しております。
海上保安庁はかつて福田内閣の時に、100隻の漁船がある朝、突然尖閣を囲んだという実績からいって、いつ何時同じことが起こるかもしれませんが、海上保安庁はどのような警備をされるのでしょうか。
(答)海上保安庁としては、その都度、そのケースにおいてしっかりと警備、また強化をしているところであります。
今までの教訓、今回の教訓を踏まえて、しっかりと警備の強化について検討を進めているところであります。
今後とも尖閣諸島については安定的に監視していくという状況を常に努力させて頂きたいと思っておりますし、海上保安庁だけではなく政府一丸となって、外交というツールを使いながらしっかりと尖閣については対応していきたいと考えております。

(問)物流関係の組織が今回2つ作られましたが、その目的を改めて教えて頂きたい、また、それまで政策統括官が物流を統括していく体制だったかと思いますが、この政策統括官と物流審議官の関係がどうなるのかを教えて下さい。
(事務方説明)物流問題は今回の日本再生戦略でも非常に重要な要素として捉えられていますが、今まで組織だった体制がなかったものですから、局長クラスの物流審議官を作らせて頂くとともに、今までの政策統括官に代わって進めさせて頂きたいと思っております。
(答)今、組織的な話は官房長からさせて頂きましたが、私も常々物流関係は今後の日本の発展にとって大変重要な案件であると考えております。
私は国土交通委員会だけでなく農林水産委員会等にも所属しておりましたが、今後の海外展開とか色々なことを考えた中では物流というものが大変重要であると考えております。

(問)高知県内の入札談合疑惑ですが、今の時点では国土交通省の職員が漏洩していた疑いがあるとの報道がなされているということで書かれているのですが、現在まだ省内ではそのようなことは確認ができてないのかということと、早急に日程調整を行い第1回の調査検討委員会を開催するということで、日程の目途と大体どれくらいのスケジュール感で検討を進めていくのかをお聞かせ願います。
(答)職員がどのくらい関与しているのか、まだ承知しているところではありません。
奥田副大臣をトップとした調査検討委員会を設置する中で、しっかりと調査をしていくことだと考えております。
委員会の日程、スケジュール感についても、なるべく早く第1回の委員会を開いていただく中で、しっかりと調査をして頂きたいと考えております。

(問)海上保安庁の警備強化について伺いたいのですが、巡視船の増強を予算に盛り込まれていると思うのですが、船を増やして、大型化して、船を強化したとしても、今回も突破されて上陸されましたが、その件について今後どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)今回要求しているのは、1,000トン級の巡視船、また30メートル型の巡視船艇ということで、大型なものと小さなものとヘリコプター等の整備を図るということにしておりますが、今回のような上陸ですが、増やしたのに上陸されたということに対しては、しっかりと今後この教訓を踏まえた上で考えていかなければならないと思っております。
海上保安庁としては上陸させないという方針の中で対応していただいたということでありますが、海の場合、やはり気象条件等が大きく係わってきます。
そういう意味では、今回法律を通して頂いた中で、仮に上陸をされてしまった時に、遠方離島においては海上保安官がしっかりと対応できるようにしていただきまして、そのことも踏まえてしっかりと対応していきたいと思っております。
今回上陸されてしまいましたけれども15分で逮捕と、前回はやはり備えが薄かったという中で、12時間上陸されたまま、警察官をヘリコプターで運んで逮捕に至るまでに12時間かかってしまいました。
そういう意味ではそのようなことがないように、あらかじめ準備させていただきました。
対応としては、上陸させないということが勿論方針ですが、その中で気象状況等を勘案した中で、今後ともしっかり対応していきたいと思っております。

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