大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年10月12日(金) 11:15 ~ 11:36
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件について、国土交通省関係の御報告はございません。
次に、私から、1点御報告をさせていただきます。
10月8日(月)から本日早朝まで、タイとベトナムに行って参りました。
タイについては、チャチャート運輸副大臣と会談し、ジャルポン運輸大臣の署名をいただいて、鉄道のノウハウの共有、セミナーの共催等、大臣間での鉄道分野の協力に関する覚書を締結することができました。
また、インラック首相やウィラポン・タイ中央銀行理事長とも会談し、高速鉄道の整備や、治水対策の国際コンペに関する我が国の優れた技術・ノウハウについて一層の理解を深めていただくとともに、今後の日・タイ間の協力について意見交換をさせていただきました。
ベトナムでは、成長が著しいビンズン省において、クン人民委員長と会談をさせていただき、日本企業が取り組んでいるビンズン新都市における街づくりや、ベトナムにおけるエコシティ開発に関する協力について意見交換をさせていただきました。
また、ビンズン新都市においては、新たに開校した学校での記念植樹をさせて頂き、約700人のベトナムの子ども達からも温かく迎えていただきました。
今回のタイ・ベトナム訪問で、改めて我が国の技術や人材育成等への強い期待が示されたところであり、これを糧に、我が国の両国に対するインフラ展開を加速をしていきたいと考えております。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)今御報告ありました海外出張の件ですけれども、改めてどのような成果があったのか、またどのような手応えを感じてこられたのかということ、具体的にはタイの鉄道分野の技術協力について今後どのように進めて行くのか、それが日本企業の鉄道プロジェクトにどのように繋げていくのかを教えてください。
(答)タイやベトナムの要人と会談をしたわけですが、タイのインラック首相はじめとする政府要人に対して鉄道分野及び防災分野のトップセールスを行うことができたところです。
また、我が国の優れた技術・ノウハウだけではなく、人材育成・雇用の創出、細やかな維持管理といった我が国の強みについて理解を深めていただけたと考えてます。
特にタイ国との関係では、大臣間での鉄道分野の協力に関する覚書を締結できたことについては、日・タイ間での鉄道協力に新たな時代を切り開くものであり、大変な成果であると考えています。
私は現場主義というものを日常言わせていただいていますが、今回の出張では海外インフラ展開の現場を見ることができ、大変有意義な視察、会談になったと思っております。
そういう意味では今後、しっかりと鉄道分野において、タイの運輸省、日本の国土交通省、事務方のハイレベルの協議の場を早く設置しようといったことも合意出来たところであり、そのような意味では今後タイの鉄道分野における展開について、しっかりと連携をとってやっていけるのかなあと思っており、(チャチャート)副大臣の方から、日本の車両を見てみたいというお話もあり、また、10月から12月にあちらからは視察団も派遣したいという旨の話もありました。
そのような意味では、日本の今の新幹線の通った後の街の発展など、こういったものもしっかりと見ていただく、現地視察をしていただくことによって理解を深めていただきたいと思っておりまして、その中で日本が安心・安全に、そしてタイ国の経済発展に大きく寄与できるのだと思っております。
特にチャチャート運輸副大臣からも、「今回の鉄道分野における合意は、タイの未来を変えるほど重要なものである。」という御発言もございました。
「日本で言えば、1964年に新幹線が開業して、飛躍的に発展したが、タイにおいても、経済成長において重要な時期を迎えており、日本と同じような飛躍的発展を期待している。」と新幹線に言及して発言をされたところです。
そのような意味では、これからも国土交通省、そしてタイ運輸省としっかりと連携をとる中でタイ国の経済発展に寄与できればと考えているところです。

(問)インフラ輸出は政府として非常に重要な取組みとして進められていると思いますが、今後大臣としては、今回はタイ・ベトナムですが、それ以外例えば、今後このように訪問したいですとか、トップセールスしたいというお考えがあれば教えて下さい。
(答)今朝戻ってきたばかりでしたので、帰国報告書が閣議に出せませんでした。
そのような中で、閣僚懇で今回の成果を報告いたしました。
また、今後いよいよベトナムが来年国交樹立40周年を迎えます。
そのような意味では、これを機に大きく飛躍できるのではないかと思っております。
特に新都市の開発だけではなく、下水の関係、水処理の関係、環境問題、また地下鉄のプロジェクトもベトナムのホーチミンでは進んでおります。
そのような意味では、今回ハノイではなくてホーチミンへ行ったのも、日本の円借款も含めて事業が行われている、また企業が進出をして新都市開発や、また大阪市が下水場処理に力を貸しているというような、いろいろな場所を現場主義で見て来ました。
やはり、国交樹立40周年を機にもっと大きくベトナムと日本の関係が深まるのではないかという発言もさせて頂いたところ、枝野経済産業大臣からも大変重要な指摘だという話しを頂きまして、インドネシアやミャンマー等、今後日本としてお互いに協力しあう中で、大きく発展するところがあるのではないかというご発言もありました。
今後も、やはり関係省庁と連携をとりながら取り組んでいきたいと考えているところです。

(問)現在、復興予算の問題がかなりクローズアップされておりますが、まず大臣のこれについての御所感をお願いしたいのと、国土交通省として今後この問題についてどのように対応されていくのか、どのように指示をされるのかをお尋ねします。
(答)東日本大震災からの復興にあたっては、東日本大震災復興基本法で明記をされている通り、被災地の復興だけではなく、全国各地における企業活動や国民生活に支障を及ぼしている等、その影響が広く全国に及んでいることを踏まえて、活力ある日本の再生を目指す、ということとされたところです。
また、このために東日本大震災からの復興の基本方針において、実施する施策として、被災地域の復旧・復興施策が勿論最重要とは思いますが、この他、東日本大震災を教訓とした全国的な防災・減災のための施策や、被災地域と密接に関連する一体不可分で緊急に実施すべき施策が位置づけられたところです。
このための具体的な復興施策として、社会基盤の防災対策の強化、国の庁舎の防災機能の強化、国内外の旅行需要の回復喚起などが盛り込まれているところです。
国土交通省においては、こうした基本法、基本方針に則って合同庁舎の耐震化や道路の耐震化等、必要な事業を実施しているところです。
一方で、今ご指摘されましたように、復興予算を被災地以外に用いることについて、様々な議論がされていることは承知しております。
国土交通省としては、被災地の一日も早い復興を第一に考えて全力で取り組んでいるところです。
しかし、首都直下地震、また東南海の巨大地震等の発生が懸念される中で、国民の命を守る防災・減災対策を全国的に早急に進めることも、重要な課題であると考えておりまして、平成25年度概算要求においても必要な額が確保されることに向けて、国民の皆さんの理解が得られるように、今後ともしっかりと、発信も含めてしていきたいと考えております。

(問)先程の復興予算について、具体的に沖縄県の国道や合同庁舎4号館の耐震改修などがありますが、そのような事業が全国防災対策費として使われている国土交通省の施策について、一切問題がないとお考えか、改めて教えて下さい。
(答)しっかりと精査する必要があると、私も考えております。

(問)精査する必要があるというのは、今後また精査して問題がある点が出てくるかもしれないということですか。
(答)そこは精査してみないとわかりませんので、今は言及は避けますが、しっかりと精査して、やはり国民の皆さんに理解を得られるように努力することが重要だと思っておりますので、しっかりと精査することだと思います。
ただ東日本大震災の復旧・復興は第一でありますから、このことについては国土交通省としては全力を挙げておりますし、これからも全力を挙げていく所存であります。
そういう中で、やはり首都直下型地震、東南海の巨大地震等、自然災害等も本当に今年は多かったわけでありまして、やはりこういう事にも国土交通省としては目配りをしていかなければならないと思っておりますので、今回の基本方針においても、やはり全国の防災・減災というものがしっかりと盛り込まれている、また経済的にも大変大きな影響がありました。
もちろん観光面においても全国の観光地で大変大きな被害を受けているわけでして、そういう中でしっかりと、そういうものも日本の経済を良くしていくために、応援していかなければならないということであります。
そういう事も含めて、しっかりと国民の皆様に御理解を頂けるように、精査も行い、そして理解も得る努力を続けていきたいと考えております。

(問)事業の中で、盛り込む時に既に当然基本方針があって、その基本方針の下で今回の要望をされたということですけれども、また改めて精査するというのはどういうところでしょうか。
(答)今回報道等を聞かせていただくと、どちらかと言うと被災地以外には使ってはいけないんだという報道が多いわけでありますが、基本法にも基本方針にもしっかりと被災地だけではなくて、やはり経済にも影響があった、観光にも影響があったということもしっかりと謳われているわけでありますし、またそういう意味では全国の防災・減災ということもしっかりと書き込まれているわけでありまして、その事について、やはり国民の皆さんにしっかりと理解をされていないのではないかと、復興予算イコール被災地にしか使ってはいけないという報道しか国民の皆様には見えていないわけでありまして、やはりそうではないと、もちろんそこが第一であるけれども、今首都直下、東海・東南海、いつ起こるかわからない自然災害に対して、やはり強靱な国土を作っていくのが国土交通省の役割であり国の役割でありますから、しっかりとその事を盛り込んだものだったのだと、しかしなかなか復興予算という形での御理解を頂けないのは私も理解しますので、そこでしっかりと説明していく、精査していく必要があるのではないかと思います。
今後の予算の使い方については、全国防災と復興予算を分けるとか、いろいろな工夫も必要なのかなと思いますが、やはり国民の皆様に理解して頂くためには、やはり報道も、被災地にしか使ってはいけないという報道をされると、ちょっと我々としては、しっかりと説明責任はありますが、報道の皆さんにも理解を頂いて、報道としても発信をして頂ければ有難いなと思います。

(問)大臣のおっしゃられかただと、減災・防災のために全国で、基本方針のとおりやっているというような意見があるということでは、これ以上精査しなくてもいいよということでしょうか。
(答)ただ国民の皆さんに理解をされなければ、それは国民の皆さんの大切な税金ですから、国民の皆さんの理解というものが一番重要だと思っておりますので、理解をされないのであれば、精査をして分けるとか、やはりそういう事も必要だというふうに思いますが、今回の基本法、そして基本方針には、しっかりと明記されているわけで、その事が国民の皆様には知られていないということが今の現状だと考えております。

(問)問題は無いけれども、報道などによって、国民に理解されていない面があるので、それを精査して、より理解を深めてもらうようにするということでしょうか。
(答)国民の皆さんへの発信もやはり行っていかなければならないと思いますので、国土交通省として防災・減災とか、また観光等に使われている今の予算について、ホームページ上でしっかりとこういう事で予算を取って、こういう使われかたをしますとか、そういう事も広報として必要なのかなと思います。
国土交通省はどちらかというと技術力と実現力でありまして、なかなか広報が私はうまくいってないのではないかと、東日本大震災においても、やはり地方整備局が本当に発災初日から、寝袋に寝てお風呂にも入らず、1か月以上不眠不休で働いていたわけですが、なかなか報道では国民の皆様には見えていないと思っております。
私は現場主義で現場に行けば行くほど、現場に携わった皆様からは感謝の声しか出てこないが、その部分が国民の皆様全体となると復興が遅いのではないかという形でしか報道がされないものですから、やはり我々としては東日本大震災の復旧・復興は第一であると考えておりますし、これを全力で取り組んでおりますし、これからも取り組んで行く所存であります。
やはり国民の皆様にはこのことがどのような形で決まって、どういう形で使われているのかをしっかり理解して頂くことが重要だと今の報道を見ていると感じますので、しっかりと広報も含めて精査してやっていくということです。

(問)ここ数日、日野自動車や三菱ふそうのバス・トラックのリコールの届け出がございましたが、改めまして大臣の自動車のリコール制度についての考え方をメーカーのリコール隠しの問題等もございますのでお伺いしたいと思います。
(答)今週の10日水曜日にトヨタ自動車のパワーウインドースイッチの不具合に関して無償修理のリコールの届け出がありました。
今般のリコールの対象台数は日本での約46万台を含め、世界合計約743万台で、同社のリコールで過去最大と聞いております。
不具合があることは好ましくないと思っておりますが、リコールはメーカーが不具合を率先して速やかに公表して、改修するものであり、事故、トラブル等の未然防止に大変有効だと考えております。
そういう意味では、トラック等も含めてリコールはなるべく早く公表して、しっかりと事故、トラブルの未然防止に活用されるべきだと考えております。
国土交通省としては、引き続き各社に対して適切にリコールが実施されるよう指導監督していきたいと考えております。

(問)海上保安庁の巡視船が尖閣諸島沖の警備に集中し、地方では出動要請に対して対応できないという話も聞きます。尖閣諸島沖の警備の状況を教えてください。
(答)尖閣諸島の現在の状況等のお話をさせて頂きます。
10月1日以降、海上保安庁では尖閣諸島周辺の接続水域付近において中国公船の海監8隻及び漁政5隻、台湾海岸巡防署所属船3隻を確認しております。
2日及び3日に海監が領海に侵入しておりますが、昨日11日までに全ての船が同諸島周辺を離れているのが現状であります。
引き続き尖閣については、関係省庁と緊密に連携しながら、情報収集に努めるとともに、その時々の情勢に応じ、哨戒体制を強化するなど、領海警備に万全を期していきたいと思っております。
また、尖閣以外の海上保安庁の業務につきましては、先般もありましたが、支障なくしっかりと対応できる体制を取らせて頂いております。
今のところは大丈夫です。

(問)関連してお聞きしたいのですが、(尖閣諸島を)国有化して約1ヶ月が過ぎましたが、今は中国公船が周辺海域から台風の影響もあってか去っておりますが、(警備が)長期化するとこれから海上保安庁の体制として今後続くのであれば具体的にどのような体制強化の策を講じるのか、もしあれば教えてください。
(答)長期化する覚悟は、我々持っております。ただ、内容について申し上げることはできませんが、しっかりと予算、人員確保も含めて対応していきたいと思っておりますし、今後しっかりと対応できるように準備をしているところです。
それ以上のことは差し控えさせて頂きたいと思いますが、関係省庁ともしっかりと連携を取りながら万全を期していく所存であります。

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