大臣会見

羽田大臣会見要旨

2012年10月19日(金) 11:48 ~ 12:16
国土交通省会見室
羽田 雄一郎 大臣

閣議・閣僚懇

 本日、国土交通省関係の閣議案件はございません。
 次に、私から1点御報告をさせて頂きます。
 一昨日、高知県内における国土交通省発注の土木工事に関し、公正取引委員会から、官製談合防止法に基づく改善措置要求を受けました。
 また、今回で当省に対する改善措置要求が三回目となることから、全省庁的な改善措置を求める要請を受けました。
 入札談合等の不正行為、とりわけ官製談合はあってはならないことであり、国土交通省の直轄事業に関し、改善措置要求を受けたことは極めて遺憾なことであります。
 こうした事態を厳粛に受け止め、国民の皆様に深くお詫びを申し上げます。
 一日も早く国民の信頼を回復できるよう、再発防止に最大限の努力をして参ります。
 このため、私自身の大臣報酬の自主返納をするとともに、一昨日公表しました「当面の再発防止対策」の着実な実施及び事実関係の調査と徹底した再発防止対策の検討に全力を尽くして参ります。
 私からは以上です。

質疑応答

(問)今、大臣からご説明ありました官製談合の関係ですが、再発防止に向けての事実関係の調査は重要だと思いますが、事実関係の調査については、いつ頃までを目途にとお考えでしょうか。
(答)入札談合等の不正行為、これは言うまでもなく今申し上げたように、あってはならないものであります。
官製談合、これはとりわけ絶対になくさなければならないという思いであります。
国土交通省の直轄事業に関して、この改善措置要求等を受けたことは、極めて遺憾であります。
このために、直ちに実施すべき対策として、職員のコンプライアンスの推進強化のため、各地方整備局に局長を本部長とするコンプライアンス推進本部を設置し、計画的な取組を推進することと致しました。
また、入札契約手続きを見直して、予定価格作成時期の後ろ倒し、入札書と技術提案書の同時提出など、出来る限りシステムとして個人の不正が入り込む隙のないものとして再構築すること等の、当面の再発防止対策を一昨日決定したところです。
さらに本件事案については、伴野副大臣を委員長とする調査検討委員会を9月18日に開催し、実態の解明と再発防止対策の検討を進めているところです。
今回の改善措置要求等の内容を十分に踏まえ、引き続き有識者の委員の御指導を仰ぎながら事実関係の調査等を進めるとともに、職員による不正行為には厳正に対処していきたいと思っておりまして、現在、調査の見通しについては、調査途中の段階ですので、いつとか具体的に申し上げるような状況ではありません。
(問)大臣から、特にいつ頃までにという御指示はされていないのでしょうか。
(答)伴野副大臣を委員長として、検討委員会を立ち上げて、どのような部分を精査していかなくてはならないかということも含めて、任せておりますので、私の方からいつまでというのは、差し控えたいと思います。


(問)田中法務大臣の関係ですが、辞任する意向という報道がありました。
午前中の閣議も欠席されました。閣僚の一人として、政権運営に与える影響など、どのようにお考えでしょうか。
(答)私は報道でしか聞いておりませんので、官房長官の方でしっかりと把握されていると思います。
報道でしか分かりませんので、コメントは差し控えたいと思います。


(問)一昨日の臨時閣議で、野田総理大臣から経済対策の指示がありましたが、国土交通省としてどのように取り組んでいくのか、考え方や方向性、または重点ポイントをどこに置くのかをお願いします。
(答)一昨日、野田総理大臣より「日本再生戦略」の重点3分野、グリーン、ライフ、農林漁業等の実現の前倒し、そして東日本大震災からの早期復旧・復興や、大規模災害への防災・減災対策、規制改革等の財政措置によらない経済活性化策を柱立てとする経済対策の検討をするようにとの指示があったところです。
国土交通省では、本年7月に人口減少や少子高齢化、財政制約、さらには震災を契機としたエネルギー制約等、我が国が直面する課題を克服し、子ども達や孫達の世代に素晴らしい国土を残すために、持続可能で活力ある国土・地域づくりの実現に向けて、国土交通省が取り組む政策を取りまとめたところです。
なお、これらの主要政策の多くは、「日本再生戦略」に盛り込まれていると考えておりまして、今後国土交通省としても、これら主要政策をベースに実現・前倒し出来る施策や、被災地の早期復旧・復興、大規模災害への防災・減災対策として有効な施策を対策に盛り込めるよう、鋭意検討していきたいということです。
(問)速効性が求められる対策だと思いますが、このような面については国土交通省で新たに何か新しく提案するものはないのでしょうか。
(答)今検討最中でありますので、速効性のあるものとしてですが、いつ何時災害が起こるか分からないわけで、自然災害の多い国であります。
そのような意味では全国防災・減災ということで、しっかりとした国民の命を守るという観点を入れ込んだ中で早急に行わなければならないものというのはあるのだと思います。
 

(問)改めてお聞きしたいのですが、間もなく9月の訪日の外国人の数字が発表されると思います。
尖閣の影響が出るのは、おそらく確実かなということだと思うので、そこで中国人の観光客が少なからず減るということになりますと、目標である年間900万人という数字がかなり厳しいものになると思われますが、その辺の所感をお願いいたします。
(答)今言われたとおり、今の現状、これが続いていくと900万人というのは大変厳しい数字だと思っております。
ただ、中国は訪日の旅客が大変多い国でありますが、ここでのデモ等も状況は大変改善されてきているということもありますし、是非、訪日中国人の旅客数の回復と、またASEAN諸国からの訪日客が大変多くなっておりますので、こういう所には期待をしていきたいと考えております。また中国における、いろいろな訪日のためのキャンペーン等は、中国側から中止されなければ、是非計画は実行していきたいと思っております。
そのような中で御理解をいただきながら訪日旅行客が増えていくようにしていきたいと思っております。
関係省庁とも連携を取りながら、理解を求めながら進めていこうと思っておりまして、今日の午後、訪日外国人の数字が発表になると思いますが、それを見た上で、また今後どのような対策を取るのかも検討していきたいと考えております。
(問)具体的に巻き返し策のようなものは、まだということですか。
(答)やっと落ち着きつつあるところでありますので、今計画されているものが実際に実行されるというところからのスタートだと思っておりまして、しっかりと実行することができれば、また今後新たな展開というものが考えられるのではないかと思います。


(問)関連ですが、大臣は尖閣の問題については長期化も覚悟してというところで、海上保安庁の体制については以前からおっしゃっておりますが、その観点から言うと観光の面で訪日客の見通しとしては、なかなか復旧・回復は難しいのではないかと思うのですが、中国の訪日客の見通しについて、大臣はどのようなお考えをお持ちなのかお願いします。
(答)今の状況は大変厳しいと思っております。
日中国交正常化40周年の、記念すべき年でありますが、それもいよいよ年末が近づいているわけであります。ただ中国国内がだんだん落ち着いてきておりますし、日本側が企画している訪日促進のためのキャンペーン等が中止にならずに実行できるという段階までくれば、我々として新たな、戦略的な観光誘致というものが出来るのかなと考えておりまして、そこのところを見極めて今後の対策を考えていく必要があるのかなと思っておりまして、その理解を深めるために外交努力もして頂いておりますし、関係省庁と緊密に連携を取りながら、しっかりと観光立国としての、また観光庁を所管する国土交通省として対応をしていきたいと思っております。
現状は、まだ大変厳しい状況だという認識を持ちながら進めていかなければならないと思っています。
(問)そうすると見通しについては、今後こちらが計画しているキャンペーン等々が実際に向こうで実行出来るかどうかの見極めが大事だということでしょうか。
(答)その見極めが大変重要だと思っております。
 

(問)三党党首会談がありますが、閣僚として赤字国債の成立の見通しはこれからですが、党首会談に期待することをお願いします。
(答)私は国土交通大臣を拝命する前、ねじれ国会と言われる中の参議院の国会対策委員長を務めさせて頂いている中で、やはりこのねじれの中では、歳出の予算が確定したら与野党を越えて、歳入については特例公債等を含めて、与野党共に理解をしながら、進めて行くことが必要なのではないかと思います。
このルール作りが何とかできると、国民の皆様の不安も払拭でき、企業を経営されている皆様の不安も払拭できるのではないでしょうか。
やはり今後の予算がどうなるのかが分からない中では、国民の大きな不安をあおってしまうと考えておりまして、経済的にもよろしくないと思いますので、この特例公債と歳出予算が決まった段階で、同時並行で決まって行くことが今後必要ではないかと思います。
そのルール作りになるような党首会談が出来ればありがたいと考えております。
このことについては、どこが政権を取っていても、しっかりと考えていかなければならない問題でありますので、そこは与党を経験した各政党がしっかりと認識を持って国民生活に不安を与えないように、経済政策に穴を開けないようにしていくことが、日本の国の発展にとって大変重要ではないかと、私個人としては考えております。
そこは党首会談等を見守らせて頂く中で、是非、建設的なお話が出来ればありがたいと考えております。
 

(問)繰り返しになりますが、田中法務大臣のことについてですが、昨日、参議院の決算委員会で、公務を理由に欠席したということで強い批判が出ております。
大臣は辞任の必要性を含めてどのような認識をお持ちでしょうか。
(答)昨日の欠席がどのようなことで欠席になったのかは、詳細に知らないものですから、そのことについてのコメントは差し控えたいと思います。
(問)暴力団との関係もあったということが指摘され田中大臣も認めており、今日も野党から野田総理大臣の任命責任は重いという声が出ているのですが、それについては大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)そのことについてもコメントは差し控えたいと思います。
 

(問)TPPの交渉・参加問題についてですが、昨日来日したUSTRのカトラー米通商代表補が国土交通省担当(稲葉国際統括官)と対談したようですが、事実関係と自動車分野での市場解放問題は国土交通省関連の協議の中で進展したのかどのような認識をお持ちでしょうか。
(答)カトラー氏は日米の両政府間の通常の意見交換の一環として日本に来日しております。
そういう中で国土交通省にも来られて、稲葉国際統括官に15分程度挨拶されたと聞いております。
従来から示されている自動車分野の米国の関心事項について、今後とも建設的な議論を続けて行くことが話題に上ったと報告を受けておりますが、常にアメリカ側からは自動車関連のことは言われており、その一環だと考えております。
その中で進展があったとは思っておりません。
 

(問)尖閣問題ですが、領海だけでなく上空へも侵犯が激しく、スクランブル発進も数十回に達しているとの報道があります。
中国へ依存するよりも、先ほど大臣が仰ったようにアジアの他のところへ目を向けていくべきだと思います。
先週お伺いしたベトナムの近くのミャンマー・ヤンゴンに新しく日本の飛行機が通ることは御存じでしょうか。
(答)もちろん知っております。
中国に余り依存しないようにという御発言だと思いますが、中国も大国でありますし、その他の国もやはり大変親日家が多い国は、ベトナム、タイ、ミャンマー等多くあります。
そういう意味では、先日私もタイとベトナムへ行って参りましたが、しっかりと色々なことで日本も協力できることが多くあります。
そういう意味で色々な形で交流・親交を深めていく、また技術の支援ですとか国の発展のために我々が出来ることは多いと思います。
残念ながら日本は自然災害の多い国でありまして、自然災害とは共存しなければならないという国でありますが、その中で日本は技術革新等も進んできましたし、また今後も更に技術革新が進んで行くのだと思っておりまして、そういう意味ではこれから発展していきたい国々からは注目をされているところでありますし、我々の技術や人材育成で世界に寄与できることはしっかりしていくべきだと思いますし、そのことによって日本という国を理解頂くことは大変重要なことだと思っておりますので、しっかり進めていきたいと思います。


(問)八ッ場ダムの関連ですが、利根川の河川整備計画を検討する有識者会議で、信憑性の疑われるような氾濫図が資料提供されて、それでなくても見直しを求める人達の不信は強いところにこのようなものが出てきて、さらに不信が強まったのかなという感じがするのですが、大臣の所感と氾濫図を撤回させる考えというのはあるのかどうか教えてください。
(答)新聞報道で知った訳でありますけれども、報道のあった氾濫図は、国土交通省から日本学術会議等に浸水図としてお示ししているものでありますけれども、これは群馬県が昭和22年に作成した群馬県水害被害図を基に、いくつかの前提を明示した上で提示しているものと聞いており、捏造という指摘には当たらないと考えてます。
ただこの浸水図は利根川の河川整備計画の目標流量の算出にも用いていないと承知をしており、八ッ場ダム建設推進の狙いというような指摘も、私としては当たらないと考えております。
詳細については事務方にお聞きいただければと思います。
(問)利根川の本川の整備計画をやっていますが、支流の方も整備計画をするべきだと、議員連盟の方からも大臣に要望したいということで動いておりますが、支流の整備計画については、どのようなお考えを持たれていますか。
(答)現段階では、利根川河川整備計画策定をしているところですので、その状況を見ながらになると思っております。


(問)昨日の復興決算委員会で、復興予算の関連で高速道路の料金の支援をすべきではないかという質問がいくつかあったと思うのですが、全国防災で被災地以外の所に使うよりも、まず福島等被災地で使った方が良いのではないかと思うのですが、高速料金の東北地方の無料化について、今一部の原発周辺の東北から避難している人に使っていますが、それを拡大するような意思は大臣お持ちでしょうか。
(答)これは常に指摘をされておりますが、どうしていくかということは大変難しい部分があると思っておりますし、東電との調整も必要であると考えておりまして、決して私もこのまま放置しているつもりはありません。
やはり子ども達は、なるべく遠くに行って、お父さんが福島県内で働いていて週末会いたい、という御希望もあるというようなお話も伺っております。
そういう意味ではしっかりとどのように把握していったらいいのかも含めて検討していかなければならないと思っておりまして、小さな赤ちゃんであれば母子手帳を持っていますからどこで出生したか判りますし、そこから今離れている状況を把握するとか、また、学校を転校していたりしていれば、どこからどこへ転校したか判るわけですから、そういう意味ではしっかりと復興大臣や、東電ともこれは相談していかなくてはいけないかもしれませんが、私としてはそのようなことを把握して、何とかしてあげられないのかなという想いは強く持っておりまして、復興大臣と調整が出来ればいいなと思っております。
(問)現状は警戒区域とか、その区域で対象者を絞ってましたが、これをもう少し別の要件で拡大するという方向でしょうか。
(答)やはりお子さんを持っている親御さんであれば、なるべく遠くに安全な所へという想いもあると思います。
そういうところをどうやって分けるかということは大変難しい部分になってきて、どこまで支援するのかということも調整もしなければなりませんし、私としては単身赴任でお父さんが残って仕事をされていて、子ども達だけでもということで、お母さんと子ども達が地方に出てらっしゃるということについては何とか把握出来るのではないかなと思っておりまして、そこは復興大臣と調整をしていかなければならないという課題ではありますけれども、チャレンジをしていきたいと私自身は思ってます。


(問)先ほど中国からの訪日について厳しいという御認識と、今後も大臣なりに誘致をしていきたいとおっしゃってましたが、一方で先般靖国神社に私的にとは言え参拝され、神道の自由は勿論あるわけですが、一方で観光を担当する閣僚の御判断としてはやや矛盾する部分もあるようにも思うのですが、その辺はいかがお考えですか。
(答)野田内閣として公式参拝は自粛するようにと、これはしっかりと厳命されているわけで、公式参拝はあり得ないんだということは、世界に対してもしっかり訴えており、政府として決定していることであります。そのなかで私個人として私的に参拝をさせていただいたということでありまして、海外からこのことについて色々な事が言われるのが本当に、そこまで踏み込んで言われることについては、私としてはそれを切り離して考えていただければと思っております。

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