大臣会見

太田大臣会見要旨

2013年8月30日(金) 11:02 ~ 11:28
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
 二点御報告をさせて頂きます。
 一点目は、特別警報についてです。
本日午前零時より、気象庁による特別警報の運用が開始をされました。
特別警報は、数十年に一度の大雨や非常に大規模な津波など、命に関わる非常事態が迫っている、またはそのような事態が既に発生していることをお知らせするため、極めて重要な情報です。
特別警報が発表された場合には、対象となる地域の住民の方は直ちに命を守る行動をとって頂くよう、強くお願い致します。
 特別警報が効果的に運用されるためには、住民の皆様ひとりひとりがその内容をしっかり理解して、事前の準備も含め的確な行動をとって頂くこと、また地元気象台と自治体がしっかりと連携して住民の皆様に確実に情報を伝達することが何よりも重要だと思っております。
気象庁には、住民の皆様方への分かりやすい伝え方に努めるとともに、地元気象台と自治体との連携を一層強化するよう指示しているところでありますし、またこの3日間くらい皆様に本当に御協力を頂きまして、特別警報の意義ということについて、色々工夫されて報道をして頂いたということを感謝しておりますが、その中でも御指摘されたことが多々ありますので、更に今日からスタートを切ったということを意味あるものにしたいと思いまして、今朝も気象庁に、指摘をされたりあるいは懸念されていることについては、この1週間、2週間くらいの間に再度きめ細かく周知徹底が図られるように努力するようにということを指示させて頂いているところです。
 報道機関の皆様の御協力に感謝を申し上げますとともに、更なる特別警報の伝達や周知、広報での御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 二点目は、地震防災訓練についてです。
 9月1日の防災の日に、「国土交通省地震防災訓練」を実施致します。
本年は、中部地方を中心とする6県3政令市、長野・岐阜・滋賀・静岡・愛知・三重、この6県、そして静岡と浜松と名古屋市の3政令市、250を超える関係団体と約1万5千人の参加を得まして、南海トラフ巨大地震を想定した訓練を実施致します。
 今回の訓練では、8月22日にとりまとめました南海トラフ巨大地震対策計画に則って、陸海空の総合啓開や、TEC-FORCEの派遣、濃尾平野の排水オペレーションなど、関係機関と連携した実践的な訓練を行うということにしております。
 いずれも、詳細は事務方にお尋ね頂きたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)冒頭のお話でもありましたが、9月1日に防災の日を控えています。
大臣は兼ねてより、防災・減災を1つの柱と仰って来られたと思いますが、国土交通省としてこれからそのような防災・減災対策にどのように取り組んでいかれるのかということを、改めて御所見、お考えをお聞かせ頂ければと思います。
(答)南海トラフ巨大地震、首都直下地震、この2つは全く対応が違っているということもありまして、具体的にどういう対応の地震であるのかというものを直視して、それぞれ具体的、実践的に対応しなくてはいけないということが私の基本的な構えです。
正直申し上げまして私は大変な危機感を持っているところです。
そうした意味では、この防災の日ということについても、実践的、具体的、例えば南海トラフの地震ということからいきますと、静岡市の由比の地域の土砂が崩壊するということで、いわゆる東海道のベルト地帯が遮断されるということについての道路を始めとする啓開作業というものを、どう具体的に展開するか、そしてゼロメートル地帯である濃尾平野、そこに津波が襲いかかるといった場合の排水オペレーションをどうするか、そして全般的に三重県の方ではリアス式海岸もありますし、同じ渥美半島といっても田原市の内海の側と外海の側は津波が全く違う対応でもありますから、それらの具体的にどの地域でどういうふうに南海トラフ地震が襲いかかるかということに、万全を期していかなくてはならないと思っているところです。
その静岡県の由比地区、あるいはゼロメートル地帯の濃尾平野の浸水、そうしたことを含めて重要施設への緊急輸送ルートについて陸海空あらゆる方面から総合啓開を行うための計画を策定し、それを具体的に推進していくということに努力をしたいと思っています。
先般も私はこの月曜日(26日)でありましたが、新島を視察させていただきました。
南海トラフ地震が起きた場合に、静岡、愛知、三重、あるいは和歌山、高知ということを想定しますが、その反対側にも津波が押し寄せて、新島では30メートル(の津波)が想定されるということで、新島の中でも30メートルの地域、そして17メートルの地域とそれぞれ違う訳で、それぞれの県、市町村がどう具体的に対応を今しているかという進捗状況をずっと見てまいりました。
そういうことからいきますと、かなり具体的に動きが開始されていると思っているところです。
それらを更に推進し、被害が本当に減災できるようにということを今考えておりますし、また発災したならば時間軸でそれを切って、1時間後にはどういう動きをしたらいいのか、1日後にはどういう動きをしたらいいのかというような時間軸の中からの対応ということも今させていただいているところでございます。
いずれにしましても、国土の安全保障を担うという国土交通省だと思っておりまして、国民の命を守るために万全の体制がとれるよう総力をあげて取り組んでいきたいと考えているところであります。

(問)先日(27日)発表されました7月時点の地価動向報告によりますと、調査対象の3分の2の地点で地価が上昇し、かつ商業地、住宅地ともバランス良く上がっているという傾向が見られています。
この件についての御所感をお願いします。
(答)8月27日に地価ルックレポートが公表されました。
これは全国150地区の地価動向を四半期毎に調査、公表するということになっておりまして、東京、大阪、名古屋圏、そして地方の中心都市等の32地区を入れた、ある意味では土地の高度利用が図られている箇所、土地が動きそうなところ、そこでの地価LOOKレポートということの内容です。
調査対象地区の3分の2で地価が上昇して、従来の下落・横ばい基調から上昇基調への転換が広範に見られるという報告でした。
原因は不動産投資意欲の高まりや、住宅需要の増加によると思っており、不動産関係者からのヒアリングによりますと、昨今の金融緩和も一因であると承知しているところであります。
今後の動向につきましては、引き続き注視していく必要があると思っておりますが、実体経済と連動した適度な地価の上昇によって、土地取引の活性化、ひいてはデフレ経済脱却につながるということになることを私としては期待をしている状況です。
なお一層、これらについて注視をしていきたいと思っているところです。

(問)今回、来年度予算の概算要求で国土交通省分、公共事業費が前年度比17パーセント増という要求ですが、これだけ予算を増やさなければならない根拠というのが何なのか、特別枠もかなり活用して軒並み色んな事業を増やされていますが、きちっと絞り込んで必要な事業を精査されたのか、その辺どのように御説明されますでしょうか。
(答)相当絞り込んで、私は大臣就任後も公共事業につきましては無駄な公共事業は削る、必要な公共事業はやる、そして同時に、今公共事業ということを考えれば、東日本大震災からの復興を加速しなくてはいけないという意味での公共事業、そして特に防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こうしたことをメインストリームにおかなくてはいけないということを思い、そしてよく旧来型のバラマキ公共事業などということが、時折言われる訳ですが、住民の皆さん、地域の皆様に納得していただけるという事業でなくてはならないと吟味をしてきたところであります。
その姿勢は些かも変わりはありません。
そうしたことから概算要求をさせて頂いたところでありますが、今回の概算要求はこれは概算要求ということでありますから、私たちは吟味した上での要求をさせて頂いておりますが、しかし財務省が示しました要求の上限ということで各省ともこの上限に近いところで要求をしていると思います。
今年の場合は、そこをどうこれから年末に向けて精査をするかということで、私としては全て内容については吟味をして提出をさせているわけですが、結果的には全部というわけにはいかないであろうという思いをしています。
ただ、防災・減災、老朽化対策、そしてメンテナンス、あるいは耐震化、その上に首都直下(地震)、あるいは南海トラフ(巨大地震)への備えもしなくてはいけないということからいきますと、相当中味を吟味して絞り込んで行くという姿勢を今後とも貫いていきたいと思っておりますが、しかし一方ではそれらにかなり来年度の概算要求でも今申し上げた防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化等に約半分以上の予算計上という内容にもなっておりまして、全国から色々な要望を受けるのですが、とても全国の要求に応えるという状況にはありません。
財政の制約の中で必要な、そして地元の皆様に納得して頂けるよう、中味をよく吟味して状況をよく把握してということを常に持ってこれから臨みたいと思っているところです。

(問)消費増税前の住宅の駆け込み需要についてですが、戸建ての注文住宅については足下をどのようにお考えでしょうか。
(答)これについては、ずっとこの消費税増税ということの中で注視をしてきたところであります。
現下の住宅市場の状況としましては、本年上期の新設住宅着工戸数が前年比8.6パーセント増という形になっております。
これは国土交通省が、ハウスメーカー等に行っているヒアリングによりますと、金利の先高感やマインドの改善が影響をしていると聞いておりまして、最近では消費税引き上げを控えた駆け込み需要の要因もあるのではないかという声も聞いているところです。
ここのところは、半年前の契約ということで、来年4月1日から消費税が上がるということが予定されているということからいきまして、そこで駆け込み需要だとか、急速な落ち込みということにならないようにということで、住宅ローン減税の大幅な拡充や給付措置というものを取るということを、8月の初めから徹底をさせて頂いているという状況です。
そういう意味からいきまして、急に駆け込み需要、そして急にまたそれ(需要)が減るというような波が起きないようにということを想定して来ているということもありまして、私はその範囲内というものの動きであると思っているところです。
今後、消費税引き上げの最終判断のタイミングを踏まえつつ、給付措置について政府として調整を進めて参りたいと思っているところです。
尚かつ、よく注視をしていきたいと思っているところです。

(問)住宅ローン減税の拡充などの支援措置があるにも関わらず、一部とはいえ駆け込みが起こっているというのは、どのような理由と分析されていますか。
(答)私は急にそこで駆け込みというものが急激に起きているという認識はしておりません。
そうした要因もということですが、全体的には金利の先高感やマインドの改善が影響しているということだと思います。
そして、私も現場の方々の声を聞いたりしておりますが、そうした点からいきますと、この住宅ローン減税の大幅な拡充と給付措置ということについても加味しながら、それぞれの方々は判断をされているというのが現状ではないかと思っています。
尚かつ、住宅は消費税ということで非常に大きな額に及びますから、この辺はよく注意していかなくてはいけないと思っています。

(問)支援措置が不十分であるとか、支援措置の内容が浸透していないというふうには見ていらっしゃらないということでしょうか。
(答)私はその辺はかなり浸透してきたと思っております。

(問)昨日(29日)大臣はリニアの試乗に行かれましたが、改めて御感想と今後期待される点などを教えて下さい。
(答)昨日、JR東海の超電導リニアを実際に試乗致しまして、時速505キロという浮上走行を体験をさせて頂きました。
昨日の試乗ということで言うならば、一番調べていかなくてはいけないというか、私の注視していたのは安全であるかどうか、揺れが大きいかどうか、騒音がどの程度のものか、気持ちの上で不快というような事が起きるかどうか、というようなものを私はよく感じたいと思って乗せていただきました。
昨日も会見で申し上げましたが、スピードはある、しかしそれが(体を)圧迫するようなものではないし、騒音もちょうど造りが新幹線と同じ中身になったと相当な安心感があると思いますが、騒音はありますが普通に話が出来る、あるいはシートベルトは全く必要ない、そして走行中も通路を歩ける、というような状況であったと思っています。
そういう意味では技術水準がかなり高まって現れているという印象を持ったところです。
リニアは東京・名古屋間を40分程度、そして大阪までは1時間強で結ぶということですから、ここは日本の社会、あるいは経済、そうした人の流れ、三大都市圏を結んで劇的な変化というものをもたらすと思いますし、また、世界最高水準のものが、2月22日の日米首脳会談でもこのマグレブ(超電導リニア)の議題が出たわけですが、この世界注目の世界一の水準というものを示していくことが出来る、私は大変経済的と言うだけにとどまらない大きな技術水準の成果というものを誇るべきものではないかと思います。
私はそこでさらに技術的にもブラッシュアップをして、そして技術水準を安定させていくものにして、さらに将来に向けて課題の打開に努めていただきたいということをJR東海にも申し上げたところです。

(問)海上保安庁の職員を増やすという発表がありましたが、これは尖閣諸島の守備を念頭に置いてのことと思いますが、これは人員だけではなく監視艇といいますか艦船も増やしていく予定でしょうか。
(答)この点については既に何回か皆様にも御報告をしたと思いますが、全体的にはこれから海洋国家日本と、国土の面積38万平方キロの12倍に及ぶ447万平方キロの排他的経済水域というものの中における「海洋国家日本」を守っていく上で、救難ということも含めまして極めて重要な役割を海上保安庁はこれから担っていくところであると、強く私は認識をしているところです。
その中の1つに、尖閣諸島をはじめとする領海の警備というものがございます。
尖閣諸島の領海警備におきましては、専従体制の確立に向けて大型巡視船の増強等に取り組んでいるところでありますし、その大型巡視船の新規建造に加えて海上保安官の大幅な増員、係留施設等の整備等が必要になってくるところです。
このように概算要求では必要な経費を計上するとともに、尖閣への増強派遣が必要となった場合の即応体制を確保するために、老朽化した巡視船を代替する等、既存勢力の対応力の強化を図ることが、巡視船を増やすということと、人員を増やすという両面に渡って強化を図るということにさせていただいているということです。
要求した予算に理解が得られるように、必要性をしっかり説明していきたいと思っているところです。

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