大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年7月4日(金) 11:21 ~ 11:38
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 これから資料を配布致しますが、本日の閣議で7月8日付けで国土交通事務次官に本田勝国土交通審議官を任命するなど、幹部職員の人事異動について御承認を頂きました。
 次に私の方から、一点御報告がございます。
 この度、「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」を取りまとめました。
公表を致します「国土のグランドデザイン2050」は、2050年を視野におきまして今後の国づくりの理念、そして全国の各地域、都市、このあり方を示したものでございます。
2050年の国土を考えるに当たりましては、いくつかの要件がございます。
急激な人口減少、少子化、そして異次元の高齢化の進展、更には都市間競争の激化がグローバリゼーションの中で益々出てくる。
そして巨大災害が地震を始めとして切迫をしている。
更にまたICTの劇的な変化など、技術革新の進展といった、様々な時代の潮流を踏まえて、2050年の日本というものをどういうふうに国土形成をしていったらいいのか、という社会形成に係わることを検討をずっとしてきたところでございます。
特に、約6割の地域で人口が半分以下になり、しかもその中でも3分の1、全体の2割で人が住まなくなるという、人口減少による地域の消滅の危機というのが迫っているということが指摘をされています。
また首都直下、南海トラフ巨大地震という巨大地震が切迫し、更にまた昨今もそうですが、地球の温暖化等も関係があるかとも思いますが、災害の激甚化、局地化、集中化というものが顕著になってきた。
これらの危機感を国民と共有して未来を切り開いていくためのビジョンを描く必要があるという考え方でございます。
この度のグランドデザインのキーワードは、「コンパクト+ネットワーク」です。これによりまして、多様性を持った地域が相互に連携し、人・モノ・情報が対流する国土をつくっていきます。
また、「コンパクト+ネットワーク」を交通革命、この中身はリニア、あるいは自動運転、LCC等これらの交通革命や、新情報革命、準天頂衛星が2018年に揃ってきます。
この準天頂衛星による高精度測位社会をつくるという、そうした新情報革命というものもありまして、これがより進化をするということでございます。
対流するという、多様性と連携ということと対流ということは大事なワードになっておりますが、対流というのは科学的に言いましても化学的でもそうですが、多様性がある、そして温度差が生ずるがゆえに対流が起きると、違いがあるからこそ価値が生まれ、違いがあるからこそ連携をするという角度で、これから対流というのが地域のそれぞれのところから、その個性を活かしていくという中で違いが生まれて対流が行われて、それを連携していくということが大事でその形としては「コンパクト+ネットワーク」という形になるという考え方でございます。
更に、グランドデザイン実現のための基本戦略としては、「小さな拠点」を、コンパクトと言ってもその集落と集落と集落を結ぶ真ん中のところに、集落を結ぶ「小さな拠点」の形成というものは不可欠でありまして、この「小さな拠点」の形成、これが計算をしますと5,000箇所程度の「小さな拠点」をつくる。
そして「高次地方都市連合」の構築、60~70箇所というふうに考えております。
そしてリニア中央新幹線の整備による「スーパー・メガリージョン」の形成、そしてユーラシアダイナミズムと、災害に強い国土づくりの観点から「日本海・太平洋2面活用型国土」形成、これらを組み合わせていくという構想が出ております。
「田舎暮らし」の促進による地方への人の流れの創出などを掲げて、中間報告を3月に出させて頂きましたが、今回のグランドデザインをまとめさせて頂いたところです。
今後、このグランドデザインを踏まえまして、国土形成計画の見直しに着手を致します。
その際、各地域においても活発な議論を行って頂きますよう、このグランドデザインについても各ブロックにおいて御説明を行ってまいります。
また広く国民の方々に対しましても、未来の国土づくりに関する議論を大いに盛り上げ、各自治体もこれから我が町はどうやって生き抜いていこうという機縁になればと思っておりまして、「日本未来デザインコンテスト」を実施するということを致したいと考えています。
詳細につきましては、この後事務方から説明をさせて頂きます。
 私の方から以上です。

質疑応答

(問)昨日、北朝鮮に対する日本の独自制裁の一部解除が決まりました。
中には北朝鮮籍船舶の入港禁止措置の一部解除だとか国交省に関わる部分がありますが、大臣の御所感と今後の対応について教えてください。
(答)日朝政府間の協議の合意に基づきまして、北朝鮮側が、本日、拉致被害者等を含む全ての日本人に関する包括的な調査、この特別調査委員会を立ち上げて調査を開始するということになりました。
これを踏まえて、政府として、我が国がとってきた制裁措置の一部を解除するということです。
このうち国土交通省関係におきましては、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置の一部を解除するということと致しました。
具体的には、本日の閣議におきまして、人道的観点から北朝鮮内にある者に対しまして、食料、医療品、衣料その他の人道上妥当な物資を輸送するための船舶の入港につきまして、入港禁止措置の例外に当たるものとして決定をさせて頂いたところです。
今後、国交省としましては、関係省庁と当然連携が必要でありますので連携を取って、入港船舶の検査を行うなどを始めとして、対応に万全を期していきたいと、このスタートを切るということに致しました。
拉致問題は安倍内閣にとっても最重要課題でもありますし、国土交通省としましても、まずはこの一刻も早い問題解決に向けましてよく連携を取って、全力で取り組んで行きたいと思っていますが、各省庁に跨る今回の一部の制裁措置の解除ということになりますので、よく連携を取って万全を期して行きたいと思っているところです。

(問)先日、沖ノ鳥島での桟橋の作業事故に関しまして中間報告がまとまりましたが、原因は一定程度分かった訳ですが、工事の再開など国交省の今後の対応について聞かせてください。
(答)京都大学の間瀬委員長を始めとして、専門家の方々に様々な角度から検証して頂きました。
中間報告がまとまったということで、貴重な御努力に感謝を申し上げたいと思います。
桟橋が転覆した原因について当然調査をした訳ですが、重量の増加というものが見られた。
そしてレグの位置、桟橋の揺れ等によって、桟橋の安定性が相当程度低下していた。
この安定性が低下している状況下で引き出し作業、(桟橋を)引っ張った訳ですが、この結果複数の外力が合わさって作用したということが明らかになって発表されたところでございます。
今後は、この中間報告で指摘されているように、受注者に於いて今回の施工の総点検をまず行って、有識者の意見を良く聞いて、施工計画の再構築を行って頂くということになります。
その後発注者であります、関東地方整備局がこの中間報告を踏まえまして、施工計画の確認を行って、そして工事の再開ということに段取りとしてはなります。
この今回の中間報告を受けて、そして施工計画を作り、そして有識者と相談をし、そしてこれで行くということが決まって、それを国交省として確認をして、そしてスタートということになりますから、今の段階では速やかに工事を再開という希望はありますけれども、なんと言っても安全が一番大事なので、速やかに進めるということは心の中に置きながらも、安全ということを最大限に留意して、多くの方が亡くなるという状況がありましたものですから、二度とこうした事故にならないように、万全の工事が行われるようにということで、現在(工事再開が)いつということについて時期は決まっておりませんし、申し上げられる状況にはございません。

(問)今回の次官人事ですが、内閣人事局が初めて行ったと思いますが、これまでの運輸省出身と建設省出身の方が交互に(次官に)就くような人事、その慣例通りといいますか、その慣例に従ったということでしょうか。
(答)ここは、総合的に人事というものは判断をして、ベストの人事を行うということが大事です。
それが結果として、そういうことになったということでありまして、極めて有能であり、的確な仕事をしてこられた、そうしたことも含め、総合的にベストの人事を行うということです。
単なる慣例ではございません。

(問)先程質問がありましたが沖ノ鳥島の工事再開ですが、まだ(工事再開の)時期が決まっていないということですが、完成時期が現行の予定から延びる可能性はあるのでしょうか。
もし延びるのであれば、どういった影響を予測されているでしょうか。
(答)ここは、まずこの施工計画がどのくらいの時間で出来上がってくるかということにかなり関わって来ると思います。
基本構造をそう変えることがないということでいけるのかどうかということも含めて、他のところでは一度設置して成功している事例もありますから、その期間に関わると思います。
私としては、この夏にもそういうことが行われて秋にもということは、それは望みとしてはありますが、そこを期限を切らない方がむしろ一番大事な、もう二度と事故を起こしてはいけないということが一番大事ですから、そこは急がせないようにしっかり安全ということでやってもらいたいと思っているところです。
影響は予算面や色々なことで、またそれがどのくらいの変化を見せるかということも計算をしなくてはいけませんので、現在はまだそういう計算は出来ておりません。

(問)完成時期は遅れるというような認識でしょうか。
(答)今は私がそういうことを申し上げるという時期にはないということです。遅れることもあり得るということでしょう。

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