大臣会見

太田大臣会見要旨

2014年10月17日(金) 9:40 ~ 10:05
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
 次に、私から一点報告があります。
 中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その1)については、本日認可することといたしました。
この後、11時に、私からJR東海柘植社長に認可書を手交いたします。
この工事実施計画につきましては、本年8月26日にJR東海から申請があり、その後、「技術基準等への適合」、「環境への配慮」、「工事費や完了予定時期」の主に3つの観点から審査を行ってきました。
その結果、工事実施計画として妥当と判断し、認可することとしたものであります。
リニア中央新幹線は、最速で東京・名古屋間を40分程度、東京・大阪間を1時間強で結ぶことにより、三大都市圏間の人の流れを大きく変え、国民生活や経済活動にも強い影響を与える重要な事業です。
一方で、トンネルの掘削に伴う建設発生土が多いことや、その運搬に伴って地域住民の生活環境や自然環境への影響、事業に伴う水環境や生態系への影響等、多岐にわたる分野での影響が懸念をされています。
また、南アルプストンネル等、難易度の高い工事が想定されているところです。
このため、JR東海に対しては、今後事業の実施にあたって、特に3つの事項の確実な実施を求めたいと思います。
一つ目は、地元住民等への丁寧な説明を通じた地域の理解と協力を得ることです。
二つ目は、国土交通大臣意見を踏まえた環境の保全です。三つ目は南アルプストンネル等における安全かつ確実な施工です。
国土交通省としては、事業の安全かつ円滑な実施が図られるよう、引き続き、JR東海を指導・監督してまいります。
なお、具体的な審査の内容については、この後に事務方より説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)靖国神社の秋の例大祭の時期ですが、大臣が参拝される意向をお持ちか、参拝したという事実はありますでしょうか。
(答)参拝する予定はありません。

(問)閣僚の中には靖国神社に行くということを仰っている方もいますが、閣僚として靖国神社に参拝することについて大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)閣僚が私人の立場で参拝するということは、政治家個人の行動に関する事項ですから、個人の判断にまかせるということだと思います。

(問)リニア中央新幹線についてお聞きします。環境への配慮など指摘がある中、今回妥当と判断した詳しい理由をお聞かせ下さい。それと今後13年後になりますが、開業に至った時にリニア中央新幹線に期待することを改めてお聞かせ下さい。
(答)御指摘のように中央新幹線では、トンネルの掘削に伴う建設発生土が多いことや、その運搬に伴う地域住民の生活環境や自然環境への影響、事業に伴う水環境や生態系への影響など多岐にわたる分野での影響が指摘をされています。
また、首都圏及び中京圏の大都市、ここは大深度地下ということもあり、関東ローム層をはじめとして難工事が予想される上に、南アルプス等を長大山岳トンネルで通過する計画となっており、これも難工事であると想定しているところです。このような中央新幹線の特殊性に鑑みまして、今回の工事実施計画については3つの観点から入念に審査を行ってきました。
一つは技術基準等への適合、二つ目は環境への配慮、三つ目は工事費や工期、この3つの観点であります。
その結果、工事実施のための計画としては妥当と判断し、本日の認可に至ったものです。
もちろんJR東海には工事実施の段階で環境の保全や工事の安全な施工等について地域の協力を得ながら最大限努力して頂く必要があります。
国土交通省としましても工事実施段階において、その実施状況を注視しながら必要な措置が講じられるように指導して参りたいと思っているところです。
また、このリニア中央新幹線が東京~名古屋間を40分程度、東京~大阪間を1時間強で結ぶことによりまして世界最大のスーパーメガリージョンを形成して、三大都市圏間の人の流れが激的に変わる、そして国民生活や経済活動にも大きなインパクトをもたらす重要な事業であると考えています。
加えまして東海道新幹線の経年劣化に対しまして抜本的な対策を行うための代替経路を確保して、また大規模災害に備えて大動脈を二重系化して、リダンダンシーを確保するという効果も有していると思います。
また三大都市圏以外の沿線地域につきましては、三大都市圏とのアクセス・利便性の向上により、地域の振興に寄与することが期待をされます。
さらに東海道新幹線沿線地域についても、東海道新幹線がのぞみ型からひかり・こだま型重視の輸送形態に変化することによって、その活性化に寄与することが期待をされます。
一方、リニア中央新幹線の超電導リニア方式は世界をリードする先進的な鉄道技術であると思いますが、この周辺産業の活性化にも大きく寄与する可能性があり、我が国の技術力立国としての自信自負を将来社会、あるいは国際社会へ大きな希望を与えるものだと思っています。
非常な難工事ということや諸課題というものと同時に大きな意義があると思っており、施工ということには十分360度に渡っての配慮というものをして頂かなくてはならないとこのように考えています。

(問)リニア中央新幹線の認可ですが、市町村や知事意見の中では、評価書の最終版に取り入れられていない部分があります。長野県では、掘削の抗口の削減など色々な要望がありますが、市町村に対しての丁寧な説明を求める一方で、JRが工期を重視するあまりに取り入れていない部分があるわけですけども、この点についていかがお考えでしょうか。
(答)国土交通大臣意見、これは7月18日ですが地元の理解と協力を得るために地域住民等に対して丁寧に説明することを求めました。
これに対しまして、8月26日にJR東海より送付されました補正後の評価書の中では、沿線の皆様からの幅広い質問に対して、直接話を伺い、評価書や図面等を示しながら丁寧に回答する、また各都県の関係部局や市町村に対しては、評価書の送付を速やかに行って内容を説明すると、これは9月19日迄に沿線46市町村に対して行ってきたという状況にございますが、評価書は沿線各県に設置しているJR東海の環境保全事務所の他に都県、市区町村の庁舎等において1ヶ月間縦覧をして、その後もホームページや環境保全事務所において引き続き評価書を公開し、環境保全事務所で質問に対して回答をする、こうした対応を行う旨が記載されて、先ほど述べましたけど、例えば説明ということについては、沿線46市町村に対しまして、9月19日迄にそうした説明を行ったということもございます。
そういう意味では、これらのことを審査をして確認をしたところでございます。

(問)小渕経産大臣について、政治資金の問題が指摘され、閣僚を辞任するべきだという声もありますが、まずこの点について御所見をお聞かせ下さい。そして、閣僚の「政治とカネ」の問題が繰り返し明らかになっており、国民の失望を招いているという今の状況についてどのようにお感じになるか所感をお聞かせ下さい。
(答)小渕大臣自体の問題については、色々指摘をされておりまして、私もその内容については、報道以外には聞いておりませんし、確認も十分されておりません。
この小渕大臣が関係する政治団体に対して、今確認作業を本人ご自身も行っていると聞いております。
ここは小渕大臣ご自身が説明されるべき問題だと思います。
政治とカネの問題については、特に透明性そして公正でなくてはならない。
あくまで法に則って疑惑を与えないようにするということが不可欠だと思います。
現在、色んな指摘がされているところでありますが、しっかりその辺は説明をして身を正していくということが大事なことだと思います。

(問)中央新幹線の事で1点確認ですが、先程、リニアの意義として大動脈のリダンダンシーと地域の振興に寄与するという発言がありましたが、名古屋以西では(駅が)奈良市付近となっており、奈良市付近というのもそういう観点かなと思いますが、一方で京都市とかが京都ルートを主張していますが、この主張について改めて受け止めをお願いします。
(答)京都からは、観光や色んな観点からいって、リニアを京都側にというお話があることは承知をしています。
しかしこの問題については、奈良市付近ということが明確になっている以上、あくまでそこに沿って考えるということが基本だろうと私は思っています。

(問)リニアの認可にあたって静岡県内では大井川の流量問題が各自治体から指摘されていますが、今回の認可にあたってどのように環境面の問題を考慮されたのでしょうか。
(答)JR東海は、補正後の環境影響評価書の中で、大井川に限らず全体で難工事が予想されておりますので、先進ボーリング等最先端の探査技術を用いて地質や地下水の状況を把握すること、そして必要に応じて薬液を注入ということを実施する、あるいは覆工コンクリート、非常に軟弱地盤ということがありますから、トンネルの内側に薬液を注入するとか覆工コンクリートを更にやるとか、あるいは防水シートを設置する、そうしたことによって、水系への影響を回避するよう努める旨の措置を講ずるということを示しています。
特に水資源への影響が懸念されている大井川につきましては、断面の小さい先進坑を先に掘削して通しまして、適切な施工方法をそこで考えると、実際に先進坑を掘って余分なところを取っていくという、断面が30平方メートルくらいになると思いますが、そうしたことを行う、あるいは専門家等による委員会の助言を踏まえまして、環境保全措置を適切に実施すると、こういうことを言っています。
今回の審査では、これらの措置が適切であり、そのための費用が工事実施計画に反映することを確認をしたところです。
今後、これらの措置が着実に実施されるようJR東海を指導していきたいと思います。
私も土木の経験がありますから、今まで難工事であるトンネル工事というものには、黒部とか青函トンネルとか色んな状況がありますが、先進坑を特別に掘ってやってみるということは極めて有効なことだと思っておりまして、難工事ということに立ち向かう、そして十分その静岡県側、そして大井川を巡る地域の懸念というものを払拭していけるように最大限努力しなくてはいけないということについて、しっかり指導していきたいと思います。

(問)尖閣問題で日中間で何か話し合いが行われていると、テレビで言ってますが、何か御存知であれば教えて頂けないでしょうか。
(答)現在のところ、日中間の話し合い、私自身が6月の終わりに劉延東副総理と北京でお会いをしたりということを始めとして、色んな動きというものが今日まで行われてきました。
現在その詳細について私は承知をしておりませんが、11月のAPECに向けまして、総理が言っているように首脳会談ができればとおっしゃっているような状況が生まれればよいということを私は思っているところです。

(問)リニアについてですが、2027年までの工期というものも審査の対象だったという話があったのですが、残り13年で山梨の実験線を抜いた240キロぐらいの区間を工事することになると思いますが、大変地権者もたくさんいますし、その間には土地収用の手続き等もあると思います。この工期についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)2027年の目標で進む、そして建設主体としてJR東海がそれを目指しているという以上、私はそこを目指してしっかりやっていただきたいとこのように思っています。難工事であるために、先ほどから申し上げましたように、トンネルとか土質とか色んな事について私も今まで、少なくても議員の中では詳しい方でありますけれども、これから色んなことが工事の上で、難工事ということからいきますと、起きてくるということも想定されますから、何よりも住民の声に答えていけるように、私が指摘した様々なことも含めて遂行していただきたいと思っているところです。

(問)冒頭の話しの中で、環境についても御発言がありましたけれども、環境大臣意見では環境への保全措置をしたとしても、なお重大な影響が出るという話しもありました。今回の判断がこれで本当に環境対策が十分であるというふうに判断した理由をお聞かせください。
(答)国土交通大臣意見で求めた措置が、工事実施計画にどのように反映するか審査をしたわけですが、その結果、例えば河川水の利用への影響を回避するための措置、あるいは建設発生土の運搬時の環境負荷低減のための措置、地元住民等への丁寧な説明、こうした国土交通大臣意見で求めた措置、また独自の観点から8項目及び環境大臣意見が含まれているわけですが、及びそのための費用が工事実施計画に反映されたと確認したところです。
環境は工事のそのものもありますし、工事の路線にも関わりがありましょうし、今ご指摘のあった水ということの影響ということもありますし、残土を運ぶところの影響もありますし、様々なことについて全て指摘をさせていただいたことについて、それらについて行うということについて、JR東海は言っているということを確認して認可をするということでございます。

(問)それで環境への影響は十分軽減されるというご判断でしょうか。
(答)環境への影響という言葉の中には、私が申し上げた以外にもCO2の削減というような案件があったり色々します。それらについては、全て一つ一つについてこれについてはこうするということが言われているので、認可をしたということでございます。

(問)リニアについてですが、これでスタートということになると思いますが、先ほど話もありましたとおり、国際社会へのアピールとしては今回の着工認可はどういう意味を持っているのかというところを教えてください。特に来週、アイラ(IHRA(国際高速鉄道協会))のフォーラムがありますけれども、そこでも(JR)東海はリニアの輸出も狙っていますがその中でリニアというものをどういうふうにアピールしていくのでしょうか。
(答)リニアそれ自体についてはもうすでに昨年2月22日の日米首脳会談でも話しがあって、その後ケネディ大使をはじめアメリカの議員等も実際に試乗しているということもあり、かなり具体化の方向に向かってきている、頭の中では日本はリニアの技術があるのだということを体験していただいているというふうに思います。
そこは私はアピール効果があると思います。しかし、私の今日の心境としては、そうしたこと以上に色んな難題といいますか課題がありますものですから、それらにしっかり対応して工事が順調に行われること、今回は地面から下の部分の認可であるわけですけれども、そうしたことをしっかりやるということの方が私としては一番主流であります

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