大臣会見

太田大臣会見要旨

2015年9月15日(火) 10:11 ~ 10:38
国土交通省会見室
太田昭宏 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議における案件報告はございません。

質疑応答

(問)関東地方や東北地方の豪雨による被害について、現在の対応状況と今後の対策についてお聞かせください。
(答)今回の台風18号による大雨により、7名の方がお亡くなりになり、今なお15名の方が行方不明となっています。
お悔やみとお見舞いを改めて申し上げます。
今回の災害におきましては、本日時点で、茨城県鬼怒川、宮城県渋井川等、19河川で堤防が決壊、54河川が氾濫し、少なくとも1万3千棟の浸水被害、16都県115箇所で土砂災害が発生したことが判明しております。
これまで、国交省では海上保安庁がヘリで107名を救助したほか、全国の地方整備局等から、TEC-FORCEのべ838名派遣、災害対策車両を最大174台派遣して、排水作業と堤防決壊箇所の応急復旧等に取り組んでいるところです。
このうち、鬼怒川の排水でありますが、ポンプ車最大51台により、24時間体制で排水作業に当たっています。
現在、浸水面積は当初よりかなり減りまして約10㎢まで減少しております。
天候にもよりますが、今週末に排水を完了することを目標にして今努力をしているところです。
また、決壊した堤防の締め切り作業については、今週末には完了させることを目標にしています。
これも24時間体制で、根固めブロックを上下流から同時投入して作業に当たっている状況にございます。
私は12日に常総市の被災地に入り、浸水と排水作業の状況を確認し、そして、避難所にも行ってお見舞いを申し上げてきました。
引き続き、現在行っている排水等の作業を一刻も早く終えるよう、全力を尽くしてまいります。
なお、宮城県の渋井川については、県の川になりますが県に代わって国が工事を実施するということにしております。
現在、排水作業と堤防決壊箇所の締め切りが完了しているという状況にございます。

(問)昨日、阿蘇山が噴火しました。
観光への影響なども懸念されるところですが、現在の対応状況などについて教えてください。
(答)阿蘇山につきましては、昨年8月30日に小規模な噴火が発生したことから、「火口周辺規制」を求める噴火警戒レベル2に引き上げておりました。
その後も、火山活動が活発な状況が続いていたわけですが、昨日、午前9時43分、中岳第一火口から、これまでよりも規模の大きい噴火が発生いたしました。
気象庁では、噴火の発生後、9時50分に噴火速報を発表するとともに、10時10分に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルをレベル2から、「入山規制」を求めるレベル3に引き上げたわけです。
警戒が必要な範囲は火口から概ね2㎞の範囲であります。
気象庁は、阿蘇山に常時2名の職員を派遣させております。
また、噴火後直ちに、機動観測班を現地に派遣している状況です。
更に、九州地整がヘリによる上空からの状況調査を行いました。
これまでの調査では、噴火後、火山活動に新たな変化はございません。
気象庁は、今後、更に大規模な噴火が起こる可能性は低いものの、同程度の規模の噴火の発生の可能性はあるというのが現状における判断です。
引き続き、気象庁を始めとする国交省において、厳重な観測・監視、正確かつ迅速な情報提供を行い、火山の専門家や地元自治体との連携を密にし、対応してまいりたいと思っております。
観光についての影響が懸念されているわけですが、現在は噴火レベル引き上げに伴う立入規制の範囲内に宿泊施設はなく、観光客等の下山も無事終了していると承知しています。
観光庁においては旅行者の安全確保を図るべく、旅行業協会及びJNTOに対しまして国内外の旅行者及び旅行予定者への正確な情報提供を依頼いたしました。
今後とも、旅行者の安全確保が最重要であるということを踏まえるとともに、観光に与える影響を最小化するため、現地の意向をよく伺いながら正確な情報提供を行っていきたいと考えております。

(問)水害の件ですが、今回の水害現場で懸命に復旧作業に当たっている国交省職員の方々に心から敬意を表します。
その上でお聞きしますけれど、鬼怒川からの越水があった常総市の若宮戸地区で、民間業者のメガソーラー開発に伴って自然堤防の掘削があったと。
これが越水の原因になったというふうに一部で指摘されている問題があります。
菅官房長官が昨日この件について検証する考えを発言されました。
実際に掘削が越水の原因となったのかどうか。
国交省の事前の対応に瑕疵はなかったのか。
こういったことが焦点になると思いますが、検証となれば第三者の目も必要となると思いますが、大臣、具体的にどのような検証をお考えでしょうか。
(答)まず、今の御質問のとおりですが、申し上げておきたいのは、御質問のソーラーパネルが設置されていた若宮戸地区は、今回の洪水で大きな被害をもたらした堤防決壊地点ではなくて、その約4㎞上流にある別の地点だということはまず申し上げておきたいと思います。
ここの地区で越水がありました。
堤防決壊はないと。
越水はいくつかの箇所で、当然あるわけですが、あるのが全体の状況です。
若宮戸地区について申し上げますと、掘削が行われた土地は、河川区域外の民有地となっています。
このために、所有者による掘削を河川管理者が制限することは法的にできません。
国交省としては、掘削されたところにつきまして、大型土のうを積んで対策を取っていた。
そういう意味では、この地点の上下流を含めて、他と同レベルの高さという状況にあったと思っています。
この民有地において自然堤防であるわけですが、この自然堤防、民有地で河川管理者が掘削を制限できないのかという気持ちがいろんな方からあるんだと思います。
全国でも、河川区域内の民有地が実態的に堤防のような役割を果たしているという、いわゆる自然堤防という箇所が随分ありまして、そこで農作物を作っていたり、いろんな形態があって、同じ自然堤防といっても相当なだらかなところもあったりします。
ここは、土地の掘削を規制するということを考える一方で、これが財産権の制限になるために慎重な検討が必要になると思います。
土地の所有権と安全性の確保の問題としては、様々な議論があると思います。
この箇所については、そうした経緯の中で、土のうを積んで対応をしてきたというのが現状でございます。
(問)大臣今、自然堤防であると仰いましたけれども、これまで水管理・国土保全局の説明では、ここは堤防と見なしていないとはっきり仰っていたのですが、見なしてこなかったと。
ここは砂丘があってもなくても同じだと仰っていましたが、これは自然堤防だったとお認めになるということでよろしいですか。
(答)認める認めないというのではなく、これは自然堤防ということは通例言われていることです。
(問)地元の話を聞くと、建設省時代の昔から、自然堤防として河畔砂丘という珍しい地形ですが、保存していこうというふうに地元との間で共通認識があったというのですが、今回掘削されてしまった。
法的になかなか手が出せないと言うことですが、掘削について気付いた時期についても、掘削されて初めて気付いたと本省が言っていたり、下館河川事務所は、掘削前計画段階から話が来ていた、地元から苦情がきていたとかいろいろ混乱しています。
先ほども伺いましたけれども、これは第三者の目とか、御本人達による検証であると自己弁護的になると思うのですが、現在対応で大変だと思いますがどうやって検証していきますか。
(答)ここは、第三者といきなり言う前に、我々としては、国民の生命と財産を守るということは、我々の大事な使命ですから、まず我々がきちんと調べさせていただきます。
(問)確認ですが、自然堤防というくくりでよろしいですか。
(答)自然堤防とは何かという定義自体が定まっていません。
そういう意味では、従来からここは自然堤防という位置付けにあったということだと思います。
(問)水害を防ぐために機能するものとして国交省も見ていたということでよろしいですか。
(答)どういう意味ですか。
(問)自然堤防とは、それがあることで水害があることを防ぐ、要するに人工堤防に代わりうるものだということですが。
(答)当然そこは堤防だと位置付けしているわけです。

(問)先ほど、阿蘇山の観光について御発言がありましたが、今2㎞の範囲が規制されているということで、逆に言うと、その外の部分についての観光への影響というところ、それからそこは安全なのかどうか、もう一言お願いします。
(答)約2㎞のところを立入規制をする区域とするということです。
そこは、2㎞を立入規制ということは。
そこは、入ると危険が伴うのでやめてくださいと、こういう話です。
その他の外のところは、どの火山でも一緒でありますけれども、そこは立入規制をしないで、そこに入るということは結構であると、こういうことです。

(問)先日、首都圏の高速道路料金についての考え方が示されましたけれども、この狙いを改めて教えていただきたいということと、外環道の建設について、どのタイミングでの完成を目指すのか、2020年なのか、それより後になるのか教えてください。
(答)首都圏の高速道路料金につきましては、本年7月に公表されました国土幹線道路部会の中間答申などを踏まえて、国交省が、先週11日に具体方針を公表いたしました。
具体的には、料金水準や車種区分を整理・統一し、利用距離に応じて料金を支払っていただく、公平な料金体系に移行します。
この上で、都心の渋滞緩和を目指して、圏央道や外環をより「賢く使う」料金体系を導入します。
「賢く使う」ということは、例えば、八王子から成田に行く場合に、都心を迂回して圏央道を使う場合でも、都心経由と同じ料金にすることで、都心への交通流入を減らすということです。
今回の新たな料金体系の導入により、できあがった環状道路を「賢く使う」ことで、首都圏の交通流動の最適化を目指してまいります。
今後は、この具体方針を踏まえまして、高速道路会社等が新しい料金に関するパブリックコメントを実施するなど、必要な手続きを行った上で、来年の4月に新たな料金体系を導入するということになります。
首都圏三環状道路の整備とにつきましては、今年の3月7日中に中央環状が全通しました。
そして、圏央道につきましては、昨年の6月28日に相模原愛川から高尾山の間が開通しまして、東名、中央道、関越道が接続いたしました。
更に今年の11月、東北道まで接続する予定であり、更に来年度には、東関道、成田空港まで接続する予定になっています。
東京外環につきましては、千葉県区間が平成29年度に開通予定です。
残る東京都区間については、東京オリンピック・パラリンピックを見据え、事業を推進してまいりたいと思います。
このように1日も早い首都圏三環状道路の完成を目指して、地元の協力を得ながら整備を推進してまいりたいと考えております。
(問)今の最後のところで、東京オリンピックを見据えてというのは、それに間に合うようにという御趣旨でしょうか。
(答)できるだけということです。
それを目標にというよりも、できるだけというのが現状だと思います。
見据えてというのは、それに間に合えばこしたことはないと、まだそこの確証というのは今はないという部分があるということです。

(問)消費税の話なんですけれども、今、財務省の方で検討されている案ですけれども、マイナンバーカードを持っている方が軽減の対象になるということで、例えば、外国人観光客等は対象から漏れると思うのですけれども、その点、どのように観光への影響を考えられるかどうか、いかがでしょうか。
(答)財務省が出した案については、これも含めて与党で、この消費税負担軽減策、軽減税率の話は協議されると思いますので、私がそこを前提にしてというより、まずそこを見守っていきたいと思っています。

(問)沖縄県知事が辺野古の埋立て承認を取り消す手続きを開始しました。
これに関しまして防衛省が国交大臣に取消処分の効力停止と処分の取消しを求める行政不服審査で対応する見込みだと思われます。
この場合の、大臣の御対応についてお伺いしたいと思います。
(答)そのような報道があることは承知しておりますが、そこは仮定の話でありますので、コメントすることは控えさせていただきます。

(問)大臣、すみません、1つ補足で。先程、堤防の検証をきちっとやると仰ったと・・
(答)検証をきちっとやるとは言ってません。
(問)きちっと調べる。
(答)調べると。
(問)何を。検証とは仰ってないということですか。
菅さんは検証されるお考えを示したということだったと思うんですけど。
検証ではないんですか。
きちっと調べる。
何を調べると言ったらいいんでしょうか。
(答)菅官房長官も「国土交通省で越水や破堤の原因究明のための調査を行い、その上で必要な検討措置が取られるというふうに思ってます」と発言しています。
同趣旨だと思います。
(問)若宮戸地区に関しても掘削が影響・原因となったかどうかを含めてですか。
(答)そうですね。
そこは先ほど申し上げましたように、民有地とか、そういうことなんですが、その越水ということとの関連性については、これは私が先ほど申し上げましたとおりですが、これまでの経過も含めて少し調べさせていただくということです。

(問)首都圏の高速道路について質問ですが、千葉県の高速道路、京葉道ないしは千葉東金道路について、値上げについては、来年4月ではなく、激変緩和措置を取るということですが、それは先ほど言ったとおり、圏央道・外環道が完成するまで激変緩和措置を取られるのか、それとも徐々に上がっていくのか、どういうお考えでしょうか。
(答)その区間について、正確に私は申し上げるという材料は今ありませんが、来年の4月1日から先ほど申し上げた原則ということ、そして答申に従ってやるということ、そして、その後更に都心への流入というものをどういうふうに考えて、その時々の渋滞に対して、どういう対応をするか、いわゆる自動運転等ということもにらみながら、料金設定をどうするかということが次の課題として出てきますが、来年の4月1日からは先ほど申し上げたとおりでございます。
それぞれの区間について高くなるか低くなるかということについては、詳細は後からその区間について、お知らせをしたいと思います。

(問)豪雨に関してですが、今年の1月に新たなステージに対応した防災・減災の考え方をとりまとめられたと思いますが、その際に比較的発生頻度の高い豪雨とそれを超える豪雨について、対応を分けて考えるという趣旨の考えを示したと思いますが、今回の豪雨はいわゆる津波で言うところのL1ではなくL2に当たるものだったというふうに大臣は現段階でお考えでしょうか。
(答)そう私は判断します。特別警報ということが一つの基準になるかと思います。

(問)熊本県阿蘇市が今日、噴火の影響で、昨日の18時現在で周辺の宿泊施設で101件、374名のキャンセルが出ていると阿蘇市が発表したということですが、これについての受け止めをお願いします。
(答)こちらで言っているのは気象庁から言っている2㎞以内の立入規制ということ、そして観光ということについては、そうした状況について観光庁よりJNTO等に対して、旅行者等へ正しくお知らせするよう依頼したということです。

(問)今週末に何か強行採決があるのではないかということで、日本も戦争があれば受けて立つ国になろうとしてますが、その発端となった尖閣ですが、この巷間の伝えるところによると日中韓の首相会談もあるとか言って、そういう状況の中で、尖閣は中国の領空・領海侵犯は相変わらずあるのでしょうか。
それとも収束、平和裏に終わりそうなところに来ているのでしょうか。
(答)3年前の9月11日以来、相当中国公船の領海侵入が続いていたわけですが、例えば、この1年間ということを申し上げますと、中国公船の領海侵入が35件発生しており、一昨年と同様の状況が続いています。
中国公船が接続水域を航行している状況も一昨年と比べて変化はなく、外国漁船の活動も活発化しており、依然として予断を許さない状況だと認識しています。
こうした状況にあり、海上保安庁として、我が国の領土・領海を守り抜くという方針の下、事態をエスカレートさせないよう、冷静かつ毅然とした対応を続けております。
今後とも、関係省庁と緊密に連携しながら、時々の情勢に応じて対応するとともに、尖閣専従体制等の必要な体制整備を推進して、領海警備に万全を期してまいりたいと思います。

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