大臣会見

石井大臣会見要旨

2015年12月18日(金) 11:01 ~ 11:18
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。

質疑応答

(問)昨日、運輸安全委員会が北海道内で起きた貨物列車の脱線事故に関して、貨物列車の安全性向上に取り組むよう大臣に求める意見が出されました。
この意見が出たのは初めてのことになりますが、安全性向上に対する大臣のお考えと国交省の今後の取組みについてお願いします。
(答)昨日、運輸安全委員会より、JR江差線で発生しました3件の貨物列車脱線事故の調査結果を踏まえ、貨物列車走行の安全性向上に関する意見が出されました。
調査の結果では、車両・軌道・積荷の積載などの因子が複合的に組み合わさったことが脱線の原因であると指摘されております。
元より安全性を確保するということが最重要のことだと思っておりますが、今回の意見に対して国土交通省としましては、昨日、まず事故調査報告書及び意見の関係者への周知を行いました。
併せて、鉄道事業者に対し、軌道整備の実施について注意喚起を行いました。
今後、保安監査等により、再発防止策の実施状況等を確認し、安全な運行が確保されるよう、鉄道事業者等を指導してまいりたいと思います。
また、貨物列車走行の安全性については、これまで、既に、荷物の偏り、偏積対策に関する検討会を開催し、昨年末に一定のとりまとめを行いました。
これに基づきまして、コンテナ積付けのガイドライン・マニュアルの作成や、貨車の輪重を測定し、偏積をチェックする装置の開発等の対策を進めております。
今回の意見を踏まえまして、年明けにも、関係者及び国で構成する検討会を開催し、車両、軌道、積荷等の課題について、総合的な観点から対策を検討してまいります。

(問)内閣府の検討会が、昨日、南海トラフ巨大地震の長周期地震動が超高層ビルに与える影響を初めて公表いたしました。
最大で揺れ幅が6メートルにもなるという大阪のケースもあるといった内容です。
これに対する建物という意味で所管される国土交通省としての受け止め方、そして今後こういった超高層ビルのこういう関係に対処する法令が実質ないといった状態ですが、そういったことも含めて今後の対応があるのかお聞かせください。
(答)昨日、内閣府において、南海トラフ沿いの巨大地震において想定される長周期地震動のモデルが公表されました。
長周期地震動については、固有周期の長い超高層建築物等が共振した場合、比較的ゆっくりとした大きな揺れが長時間発生することが指摘されています。
例えば、平成23年3月の東日本大震災におきましては、震源から約700km離れた大阪府の咲洲庁舎で大きな揺れが長時間にわたり観測され、対策の必要性が再認識されたところであります。
国土交通省におきましては、内閣府の検討と並行して、超高層建築物等に及ぼす影響について検討を進めてきましたが、その考え方を案としてとりまとめました。
本日より、パブリックコメントを開始したいと思います。
対策案の詳細は、本日、担当官より説明させていただくことになりますが、超高層建築物を新築する場合等に必要な対策を求める内容となっております。
国土交通省といたしましては、超高層建築物等における長周期地震動対策について、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
(問)今、御説明のありました長周期地震動の内容ですが、もう少し詳しくと言いますか、具体的な対策等お答えいただけませんでしょうか。
(答)対策案の詳細は、本日、担当官より説明させますが、内閣府のモデルでは、三大都市圏及び静岡地域において、超高層建築物等への影響が大きいとされていることから、これらの地域においては検証が必要になります。
新築の超高層建築物は、大臣認定を取得した上で建築することになりますので、この認定に際しては、今回の長周期地震動を用いた構造安全性の検証をしていただくことにしております。
既存の建築物につきましては、設計時に想定した地震動がありますので、今回の地震動がそれを上回る場合には、改めて、構造安全性の検証をしていただきたいと考えております。
その結果、改修等が必要となる場合には、それぞれ必要な措置を講じていただくことになりますが、合意形成が難しい区分所有マンションについては、国として改修設計、改修工事に要する費用の一部を補助する制度を用意し、支援することとしております。
いずれにしましても、こうした考え方について意見募集を2ヶ月間行いまして、行政庁、事業者等への説明会を通じて、広く周知をはかり、関係者の意見を踏まえて対策を決定の上、適切に対応していきたいと考えております。

(問)2点お伺いします。
1点目は、今日、今この時間行っていると思いますが、JR東海のリニア中央新幹線の南アルプストンネルの着工が今日からということですが、リニアの意義を含めて御所見をお願いします。
2点目は、三菱航空機の国産初の小型旅客ジェット機のMRJの開発計画が延期されたことについての御所見をお願いします。
(答)本日、JR東海において、リニア中央新幹線の南アルプストンネルの起工式が今、行われているのでしょうか。
この南アルプストンネルは全長約25キロで、難度の高い工事であることから、JR東海は慎重に工事を進める方針であると聞いております。
国土交通省といたしましては、工事実施計画の認可の際に、JR東海に求めたとおり、地元の理解と協力を得ながら、環境の保全に努め、安全かつ確実に工事を進めていただきたいと考えています。
それから、MRJにつきましては、一昨日、16日に三菱航空機及び三菱重工が初号機納入までの全体スケジュール、これまでは平成29年度第1四半期ということでありましたが、この初号機納入までの全体スケジュールの見直しを行っている旨、発表をしたことは承知しております。
見直し後の具体的な納入時期については、同社が今月末までに公表する予定であると聞いております。
国土交通省としましては、設計・製造国政府としての責務を果たすため、開発の進捗に合わせ、引き続きMRJに対する安全性審査を適切かつ円滑に進めていきたいと考えております。
(問)開発の遅れによって受注に影響があるという懸念もあると思うのですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)そういう指摘があることは承知しておりますけれど、具体的なことについてはコメントを控えたいと思います。

(問)JR江差線の関連についてお伺いしたいのですが、新幹線の開通を控えて、今後、貨物と新幹線が同じ線路上を走ることもあると思うのですけれども、開通を控えて、JR北海道には今後より一層の安全性の向上が求められると思うのですが、これについて大臣どのようにお考えなのかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたとおり、今回の事故調査報告書及び意見については、関係者に既に周知をしておりますし、鉄道事業者については、保線等の軌道整備の実施について注意喚起を行っております。
また、保安監査等により、再発防止策の実施状況等を確認し、安全な運行が確保されるよう鉄道事業者等を指導していきたいと思っております。
当然のことながら、北海道新幹線につきましては、青函トンネルで新幹線と貨物列車が共用するわけでございますので、しっかりと安全性の確認をしていきたいと思っております。
(問)江差線の関係ですけれども、年明けにも開催する検討会の関係者というのはどういった方達を想定しているのか、あとスケジュール感として、いつぐらいまでに、安全対策というのをまとめられる考えでいらっしゃるか教えてください。
(答)これについては、今後の課題でございますので、今の時点ではまだ詳細には決まっておりません。

(問)今日開かれた政府の「まち・ひと・しごと創生会議」で、政府機関の地方移転を巡る対応方針が決定しました。
国土交通省関係では、北海道と兵庫県が観光庁の誘致を提案していますけれども、今後3月末の決定に向けて、この検討が深まっていくと思います。
大臣としては、観光庁の地方移転について、どのようなお考えをお持ちかお聞かせください。
(答)中央省庁移転の検討に当たっては、まず1つは、危機管理業務を担うものでないこと、2つ目には国会や他省庁との対面業務、フェイストゥーフェイスで業務を行うことに支障がないこと、3つ目に、移転により国全体の政策の企画立案・実施により高い効果が期待できること等を総合的に判断して検討していくこととされております。
観光庁については、今も総理を議長とする観光ビジョン構想会議が開かれているように、国会や官邸等との対面業務が必須でございます。
そういったことであって、現在地から移転した場合には、機能の維持が極めて困難になると思っておりまして、移転については慎重に検討していきたいと思っております。
(問)正式なオファーではないと思うのですが、大阪の方でも今、副首都というか、そういう動きを大阪維新の会が提案しているらしくて、明日から任期だと思うのですが大阪市長になられる吉村さんが、観光庁の移転を希望しているという新聞報道もあるのですが、やはりそれも同じく、大阪であっても今の観光庁自体を移すことを慎重に考えるべきではないかという見解で変わらないでしょうか。
(答)この移転は、どこに移転するから良いとか悪いとかではなくて、今ある所から移転するのに当たっての判断基準が先ほど申し上げたことでございますので、観光庁の移転については、慎重に検討していきたいと思っております。
(問)3番目の要件になっている、移転することで政策の立案機能が高まることには、あまり当たらないという大臣はお考えですか。
(答)立案機能は、別に場所にはあまり影響がないかもしれませんが、今、事実上やっていることを考えると、全国からいろんな有識者の方に集まっていただいて検討しているということを考えると、比較的東京がやはり皆さんお越しになりやすいのかなという感じがいたします。 

(問)岩手県のJR山田線の事故の関係で、JRからどういった報告が現段階まであったかということと、国交省としてその事故をどう分析なさっているのか、復旧スケジュールで年度内も厳しい見方なのか、その3点をお願いします。
(答)JR東日本山田線については、12月11日に発生した斜面崩壊により、土砂に車両が乗り上げて脱線したということで、現在、運転を見合わせておりまして、山田線と並行して運行する路線バスへの振替輸送が実施されております。
その状況については、逐次報告を受けております。
JR東日本によりますと、崩壊した斜面の更に上の方の地盤にひび割れがあるのを確認したため、このひび割れを含めた地盤の調査を行っているということで、復旧工事はこの調査結果を踏まえて行われる予定だと聞いております。
安易に工事をやると、二次災害等が起きる懸念もあるということだと思います。
国土交通省としては、二次災害に注意しながら復旧工事が安全かつ確実に行われるよう、JR東日本に求めていきたいと思います。
復旧の目途については、まだ承知しておりません。

(問)辺野古の問題が最近クローズアップされて、かつ尖閣の話題がないのですが、中国の空域や海域への侵犯等は相変わらず続いているのか、それとも収束ぎみになっているのですか。
(答)尖閣周辺海域への中国公船の往来については、荒天時を除いて、接続水域にほぼ毎日来ていると聞いております。
領海侵入件数につきましては、一昨年52件、昨年32件ですが、今年は既に33件発生しているということで、状況に大きな変化がないと認識しております。

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