大臣会見

繰り上げ石井大臣会見要旨

2016年6月2日(木) 17:36 ~ 17:57
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で特に私の方から御報告するものはございません。
以上でございます。

質疑応答

(問)自動車メーカーのスズキが先月31日に燃費不正の件で記者会見をして、不正の台数ですとか、法令遵守の意識が希薄だったことなどを明らかにしました。
これについての石井大臣の受け止め、それから国土交通省としての対応はいかがでしょうか。
(答)5月31日にスズキから、国の燃費試験に際し提出する走行抵抗値につきまして、2010年以降、不正を行っていた経緯や再発防止策について再度報告がありました。
今回の報告においては、スズキが不正があったという認識を明確に示しておりますけれども、このスズキの不正事案は国の自動車審査制度に対する信頼を揺るがす行為であり、改めて猛省を促したいと思っています。
国土交通省といたしましては、スズキが走行抵抗値について本来の方法により再測定を行った結果をはじめとしまして、今回の報告内容全般について速やかに検証を行うこととしておりまして、明日スズキの本社に立入検査の実施をいたします。
また、スズキに対しましては、今回の事案についての責任を明確にするとともに、再発防止策の具体的なスケジュールを示し、再度報告するよう指示をしたところであります。
国土交通省といたしましては、スズキの不正行為の全容について速やかに把握した上で適切に対処してまいりたいと考えております。
立入検査の詳細は事務方にお問い合わせをいただきたいと思います。

(問)昨日の総理の会見で、リニア中央新幹線の計画の前倒しと、整備新幹線の建設の加速が示されました。
国土交通省としての受け止めと今後の対応についてお願いします。
(答)昨日総理から、現下のゼロ金利環境を最大限に生かし、未来を見据えた民間投資を大胆に喚起し、低利の貸付制度によって21世紀型のインフラを整備すること、その具体策の一つとして、リニア中央新幹線の計画前倒し、整備新幹線の建設加速によって全国を一つの経済圏に統合する「地方創生回廊」をできるだけ早く創り上げることが表明されました。
リニア中央新幹線につきましては、本日閣議決定の骨太の方針2016におきましても、「建設主体の整備を更に促進するため、財政投融資の活用等を検討する」と記載されたところであります。
私といたしましても、リニア中央新幹線名古屋・大阪間の早期開業や整備新幹線の整備は重要な課題と認識しております。
今後、具体的な施策を検討することになりますが、まずリニア中央新幹線につきましては、現在進めております品川・名古屋間の工事に財投の長期・固定・低利の貸付を活用することによりまして、名古屋開業後のJR東海の経営体力回復期間をできる限り短縮をし、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手できるようにすることを目指してまいりたいと思います。
一方、整備新幹線につきましては、建設資金の確保のために行っております将来開業線区の貸付料の前倒し活用につきまして、財投の長期・固定・低利の融資を活用することにより、借入金の金利負担を縮減し、その建設をより着実に推進することを考えております。
いずれにいたしましても、今後、関係者と緊密に連携をしながら、具体的な検討を進めてまいりたいと思います。

(問)最初の質問のスズキの燃費の不正のことでお伺いしたいのですが、先ほど大臣は「再度報告を求める」と仰られてましたけれども、それはいつ頃までに求めるのか。
それから、31日の報告で責任の明確化、再発防止策のことを求めていらっしゃいましたが、再発防止策はスケジュールが足りないということでしたが、責任の明確化の方についても何か足りない部分があったと感じていたのか、その2点を教えてください。
(答)責任の明確化についても、国土交通省に対しては的確な御返事がないものと認識をしております。
(問)いつぐらいまでに再度報告ですか。
(答)なるべくすみやかに報告していただきたいと思います。
(問)いつまでとか期限は。
(答)期限は切っておりません。

(問)整備新幹線について質問です。
整備新幹線の建設促進をこれから加速化させていくということなんですけれども、リニアの方は財政投融資の活用を検討して、これからスキームを作っていくという御発言がありましたが、整備新幹線についても財政投融資の活用を検討されていくということでよろしいでしょうか。
(答)昨日、総理から、現在のゼロ金利環境を最大限に生かして、低金利貸付によってインフラを整備すると、その例として、リニア中央新幹線に加えて整備新幹線についても言及があったところでございますので、国土交通省としましては、今後、関係者と連携をしながら整備新幹線についても財政投融資の活用について、検討を行ってまいりたいと思っています。
(問)整備新幹線に財政投融資を活用するとなると、東北新幹線などが財政投融資の借入金によって建設されて、結果的に国鉄の債務が増大した一因になった反省から、整備新幹線は原則として、公共事業方式で建設して、JRから開業後、受益に応じて貸付料を受け取るという形が原則となっていると思うのですが、その原則が,かつてのような形に逆戻りするのではないかと、今お聞きして思ったのですが、それについてはいかがでしょうか。
(答)整備新幹線の場合は、今は財源として、将来開業線区の貸付料を前倒し活用するということで、前倒し活用する分を民間から借りているのです。
民間から借りる分を財投から借りるということであって、その財投の返済は将来開業線区の貸付料で返済するということですから、大元の財源は変わらない訳です。
だから、民間から借りていた分を財投から低利・固定・長期に借りる、それで金利負担を縮減する。
(問)昔のようなスキームに戻るというようなことではないのでしょうか。
(答)そうではございません。
いわゆる財政資金を投入するということではないということです。

(問)午前中に、自賠責保険あり方懇談会がありました。
大臣が替わるたびにお聞きしているのですが、特別会計から、6,100億円余りの積立金が一般会計に貸し出され11年間、1円もお金が返ってきていない。
あり方懇では、毎回のように国土交通省は財務省に返済をお願いするのですが、役所間でお願いするということは、いかにも国土交通省が財務省の下にあるという気がするのですが、取り返す気は国土交通省としてあるのか、それから、平成30年が次の期限なので、石井大臣が在任されているかわからないですけれども、あと2年間どのようにしてお金を取り返そうと思ってらっしゃるかをお願いいたします。
(答)かねてより、一般会計に貸し付けた分は返済してもらうことは当然のことでございますので、今後とも財務省とよく協議していきたいと思います。
(問)今年度は保険料は上がらなかったのですが、もう3年据え置かれている。
あり方懇の委員が幾度と仰っているとおり、返してもらわなければ被害者救済もままならないし、もちろん加入者負担についても色々な問題が起きかねないと。
口では返してくれ返してくれと言うのですが、それを10年以上返してもらえない実態で、大臣はどれほど本気度があるのか、もう一度確認してよろしいですか。
(答)それは相手のあることですから、こちらの都合だけでというわけにはいきませんけれども、これは返してもらうのが筋ですから、なるべく早く返してもらいたい。
ただ、相手のあることですから、引き続き協議をしていきたいと思っております。
(問)積立金は、税金ですか、保険の加入者が払った金ですか。
(答)保険の加入者が払ったお金です。

(問)スズキの関係で明日の立ち入りなんですが、責任の明確化という意味で、会長とか社長とかそういった経営幹部へ話を聞くということは考えられますか。
(答)考えられるとは思いますけど、詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

(問)河川氾濫についてですが、先日、最大想定による洪水の浸水想定区域と家屋倒壊等氾濫想定区域について各地方整備局から発表がありました。
関東・東北豪雨などを受けた流れだと思うんですけど、改めて意義づけを伺いたいということと、今年度まで70くらいという水系の予定を立てていらっしゃったと思うんですが、進捗状況を教えて下さい。
(答)5月30日から、関東の那珂川水系をはじめとしまして、洪水浸水想定区域と家屋倒壊等氾濫想定区域の公表を進めております。
これは関東・東北豪雨ということもあるんですが、もともとは昨年の水防法改正によりまして、想定最大規模の降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を、洪水浸水想定区域として公表することに基づくものでございます。
もともと水防法の改正を昨年の通常国会で行った、その法律に基づいて今回公表しているということでございます。
また、昨年の関東・東北豪雨の場合は、「施設では守り切れない洪水は必ず発生する」との考え方のもと、国土交通省では「水防災意識社会再構築ビジョン」に取り組んでいるところでありまして、今回の公表はそのソフト対策の一つでもあります。
施設で守るとするのはいわゆる計画規模の洪水ですけれども、これは100年とか150年に1回くらいの雨でありますが、今想定される最大規模の降雨というのは1000年以上、公表した事例では、4000年とか5000年に1回くらい、そういう雨の規模が全然違うわけです。
そういったものに対してどう対処するかということの、一種のソフト対策を促すという趣旨でやっているわけです。
こういった情報によりまして住民の皆さんに、水害の危険性に対する理解を深めていただくとともに、市町村においてハザードマップの見直し等を進めていただきまして、適切な避難勧告等の発令や、住民等の主体的な避難などの取組みが進むことを期待しております。
6月1日現在、24の水系で家屋倒壊等氾濫想定区域を公表しているところでありますけど、今後、順次公表してまいります。
「水防災意識社会再構築ビジョン」におきましては、今年の出水期までに約70水系で公表することとしておりましたが、熊本地震の影響で九州管内が難しくなってきました。
一部の水系で計算に時間を要していることから、今のところ今年の出水期までの公表は約60水系となる見込みです。
他の水系も、作業をできるだけ早く進めまして、来年の出水期までに109水系全てを完了させたいと思っております。
引き続きスピード感を持って取り組んでいきたいと思っております。
(問)新たに想定浸水区域なり家屋の倒壊の区域に含まれたという住民の方が多く出てくることになると思います。
かなり不安が大きい面があると思いますが、そういった点にどう対応していくお考えでしょうか。
(答)不安といいますか、ある意味で危機意識を持ってもらうと。
想定される最大規模の雨が、めったに来ない雨ではありますけど、降ればここまで浸水があり得るんだと、それは今の施設では守り切れない洪水なんですよ、という危機意識を持ってもらうことが「水防災意識社会再構築ビジョン」なわけです。
施設で守り切れない洪水が発生しうる。
その時は避難等のソフト対策で命を守ってもらう。
そういう意味での警鐘を鳴らしているということでございます。
ある意味で危機意識をもってもらわなければならない。
今までのハザードマップで対象になっていないから安全ということではないんです、という警告を発しているということでございます。

(問)熊本地震の関係でお尋ねします。
建物そのものの被害のほかに、防煙壁という天井に取り付けた壁みたいなものも一緒に落ちているということが最近の取材で分かってきまして、落ちれば当然ながら下に人がいれば怪我するなり命を落とすこともあるわけですし、そもそも火災への対策という意味でも機能しなくなることが考えられ、加えて、避難所になっているところでは、耐震構造を施した箇所でも天井や照明の一部が落下して建物が使えなくなるという事態になっているが、大臣はそのような事態をどのように受け止めになるのか、また国としての対応や対策についてどのように進めていくつもりなのかお聞かせください。
(答)この度の熊本地震において、商業施設等に設けられた防煙垂れ壁、天井からつり下がっている防煙壁、これは天井を伝わって煙が流れるのを防ぐというものですが、それが落下していることが報道されていることは承知をしております。
それ以外にも天井が抜け落ちるなど、いわゆる非構造部材に被害が生じているところでございます。
国土交通省としましては、5月26日に熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会を、国立研究開発法人建築研究所と連携して開催したところであります。
国土交通省や日本建築学会等が実施している現地調査について、幅広く収集・整理をしまして、建築物被害の原因分析を行うこととしています。
この委員会では、天井や内外装材などの非構造部材も含めて調査することとしており、その結果を踏まえて、防煙垂れ壁を含む非構造部材に関する対応の必要性を含めて、予断を交えず検討してまいります。
なお、高さ6メートルを超える大規模な空間に設けられるつり天井に関しましては、平成25年に建築基準法において規制強化を行っております。

(問)もう1点、先ほどの浸水想定の件ですが、危機意識をもってもらうというお話がありました。
家屋倒壊等氾濫想定区域という名称は長い感じがしますが、大臣は率直に名前が分かりやすいか分かりにくいか、どのようにお感じですか。
(答)役所は正確を期そうしてこのような名前になることがよくあるが、略称等をつくってもいいかなという感じはします。

(問)熊本地震から1ヶ月半が経ったのですが、本日から航空便が通常運航に戻ったのですが、受け止めをお願いします。
(答)熊本空港につきましては、運航が再開して、その後8割ぐらい、更に9割に戻って、今回震災前の数字に戻ったということでございますので、復旧・復興に弾みがつくのではないかと期待をしています。

(問)リニアと整備新幹線のことでお聞きしたいのですが、リニアについては前倒しが可能なのは8年を前倒すという理解でいいのかということと、財投の規模としては大臣はどのくらいを想定しているのか。
整備新幹線については、おそらく札幌延伸だと思うのですが、どのくらい前倒すことを考えているのかお聞かせください。
(答)リニアについても整備新幹線についても、財投をどれぐらい投入するかということはこれからです。
リニアについてはJR東海や財務当局とも協議しなければいけませんし、整備新幹線についても整備している主体と協議しなければいけませんので、具体的なことは今後でございます。
リニア中央新幹線について申し上げれば、まずは品川・名古屋間。名古屋まで開業したあと、今の予定だと8年間、経営体力を回復して、名古屋・大阪に着工すると。
ご指摘のとおり、この経営体力回復期間をなるべく短縮して、名古屋・大阪の着工を早めて大阪までの開業を前倒ししましょうという考え方です。
整備新幹線については、どの区間を行うかということも、これからの検討課題でございます。

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