大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年7月26日(火) 10:47 ~ 11:03
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告があります。
現在、東京のタクシー初乗り運賃は2kmまで730円ですが、これを1.059kmまで410円に引き下げる等の運賃改定の申請があり、審査手続きを開始したところです。
この初乗り運賃の引下げを実施した場合、東京のタクシーは短距離帯においても海外の主要都市、これはニューヨークやロンドンと比べたものでありますが、同程度の運賃で利用できるようになります。
この初乗り運賃の引下げについて利用者の方々に周知を図るとともに、短距離利用の拡大の効果等を検証するため、タクシーの日であります8月5日から9月15日まで、新橋駅東口、浅草駅前、新宿駅東口、東大病院前の4カ所において、初乗り410円のタクシーを試験的に導入する実証実験を行うこととしました。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)経済対策についてお伺いします。
財投など、様々な仕組みが検討されていますが、国費について、一部では最低でも国費の投入は2兆円から3兆円が必要なのではないかとの声もあるわけですが、大臣はどのくらいの規模が必要とご認識でしょうか。
また理由についても併せてお伺いしたいと思います。
(答)経済対策につきましては、今月12日の総理指示に基づきまして、現在、政府内においてとりまとめに向けた調整が行われているところです。
経済対策の策定に関する総理指示については、21世紀型のインフラ整備や、熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対策の強化といった、国土交通省に密接に関連する施策が柱として示されております。
国費の額も含めまして、必要な経済対策の規模については現時点で私からはお答えすることは差し控えたいと思いますが、総合的かつ大胆な経済対策を実行するとの総理からの御指示を踏まえまして、これらの施策が着実に実行できるようしっかりと検討してまいりたいと思います。

(問)羽田空港の国際線発着枠を増やすために、都心上空ルートの設定について、近く国と地元自治体とで合意する見通しとなっておりますが、その意義と課題についてお伺いしたいと思います。
(答)羽田空港の機能強化については、急増する訪日外国人旅行者の受入れ、我が国の国際競争力の強化、地方創生等のために必要不可欠であると認識しております。
そのため、飛行経路の見直し等により、羽田空港の発着枠を約4万回拡大することを目指しまして、現在関係自治体と協議を行っているところです。
具体的には、これまでの説明会等でいただいた声も踏まえまして、飛行経路の運用方法の工夫や環境対策、安全対策等につきまして、関係自治体と協議を重ねているところです。
国土交通省としましては、関係自治体の理解を得まして、羽田空港の機能強化に必要となる施設整備に係る工事費、環境対策費につきまして、予算措置をしてまいりたいと考えております。

(問)先週外遊をされていたと思いますが、外遊の成果と、アジアの高速鉄道で新幹線のシステムを採用するように働きかけたということで、手応えを教えてください。
(答)先週7月19日から23日まで、ドイツ、マレーシア及びシンガポールを訪問いたしました。
ドイツでは、ドブリント連邦交通・デジタルインフラ大臣と会談をいたしまして、本年の9月24日、25日に開催予定のG7長野県・軽井沢交通大臣会合に向けまして、昨年の議長国であるドイツとの連携を強化していくことで一致をいたしました。
今後、テーマとなります自動運転や交通インフラ整備につきまして、有意義な会合となるよう準備を進めていきたいと考えております。
また、マレーシア・シンガポールにおきましては、両国政府要人との会談や高速鉄道シンポジウムの開催等によりまして、安全性、初期コストに加えて、トータルライフサイクルコストにも優れていることや、工期を遵守するというプロジェクトマネジメントへの信頼性等、新幹線の優位性を説明いたしまして、我が国として最良の提案を行う用意があることを幅広く訴えました。
この他、港湾や都市開発等の分野におきましても、担当閣僚と意見交換を行ったところであります。
今回はマレーシア・シンガポール間で高速鉄道の基本的な枠組が合意された直後という効果的なタイミングでトップセールスを行えたと思っておりますが、引き続き日本の優位性を強力にアピールすること等によりまして、日本の企業が受注できるよう最大限の努力をしていきたいと考えております。

(問)タクシーの実証実験ですが、実験と言うからにはいろいろなことを調べられると思いますが、どのようなことを調べるのでしょうか。
(答)これは先ほども申し上げたとおり、今回のタクシーの初乗り運賃の引下げというのは、短距離利用の拡大を目指しているということで、それがどれだけ効果があるか、新たな需要を発掘できるか等を検証するということが主な目的です。
(問)しかしながら、運転手さんに直接聞くと割と反対意見の方が多くて、反対の理由が、駅待ちができなくなるとか、絶えず車を流してお客さんを探さないといけなくなるだとか、いろいろな懸念材料もあると思いますが、こういったものは実験の期間中にしっかりと国としてフォローするというかお調べになるご予定があるのでしょうか。
(答)まず、今回は、タクシー事業者の方から、初乗り運賃の引下げの要請を受けてということが前提としてございます。
当然、各社とも従業員であるドライバーの方からのいろいろな御意見も踏まえて、なおかつメリットがあるとの御判断をされて申請をされているということがまず前提としてあると思います。
それで、タクシーの初乗り運賃の引下げは、近距離であってもタクシーを使っていただくという新たな需要を作るとか、低迷しているタクシーの需要を喚起するとか、あるいは距離に応じた運賃体系をより徹底することによって、今まで2キロまでは同じ料金でしたから、それより短距離の利用者の方について利用者間の公平性を高めるとか、あるいは、国際的な主要都市と同程度の運賃を実現する等の効果があると考えております。
一方で、短距離の利用者を敬遠するような事態というのは、運賃改定の趣旨を損なうだけでなく、利用者利便の確保の観点からもあってはならないことでございますので、これは、運賃改定後の状況を注視しつつ、必要に応じて利用者利便のために必要な措置を講じていきたいと考えております。
(問)先ほど、事業者と運転手の関係を仰いましたけれども、事業者と運転手の関係は、運転手は歩合制で給料が賄われているものもありまして、かつ、事業者と運転手の間の関係において、当然、横並びの関係ではないことは間違いないと思うのですけれども、個人事業主や零細企業と言っても過言ではないと思うのですが、運転手1人1人の生活をもう少し考えられた形での実験というのが、私は望ましいと思うのですが。
(答)タクシー事業者も、会社として売り上げがおそらく伸びるだろうという前提で、運賃の申請をなさっていると思います。
伸びるということは、当然それぞれのドライバーの方の手取りも増えるというお考えで御申請をなさっているのではないかと理解をしております。
(問)国としてどう捉えるかというのは、また別の問題だと思うのですが、そのために実験をなさると思うのですが。
(答)実験は、先ほど言いましたように、新たな需要を掘り起こすことが大きな目的ですから、そういった効果があるかどうかについて、検証していくことでございます。
(問)タクシーの件ですが、業者としては、年内にも認可が出ればということを言われているのですが、審査している最中だと思いますが、目途としてはどれくらいまでに出したいというお考えでしょうか。
(答)標準処理期間というのは、大体6ヶ月とされております。
申請受付を終了したのは7月4日ということでございますので、それから考えてみれば、大体想像がつくと思いますが、国土交通省としては、可能な限り早期に手続きを行っていきたいと考えております。

(問)空港のコンセッションについてお尋ねしたいのですが、仙台空港で第1号が始まった後も、福岡空港、高松空港でもコンセッションの検討が進んでいますが、その中で地元自治体が出資を望んでいるというケースがありますけど、地元との連携強化という面ではメリットも考えられますが、空港運営を受注する民間業者からすると、民間の自由なサービスの発揮の阻害要因にもなるという懸念もあると思いますが、地元自治体が出資するということについて見解を教えて下さい。
(答)空港のコンセッションにつきましては、滑走路とターミナルを民間企業が一体運営することによって、民間のノウハウを活かして空港や地域の活性化を図るということが大きな目的です。
仙台空港につきましても、高松空港につきましても、地域や民間企業の御意見も伺いながら検討を重ねまして、今般、運営委託の具体的な方針を定めた実施方針を策定したところです。
この実施方針では、香川県の御要望を受け入れまして、自治体による出資受け入れを入札条件としましたが、これは民間の自由な経営を確保しつつ、地元自治体と運営会社が連携して空港の利用促進に取り組むことを狙いとしたものでございます。
国土交通省としましては、高松空港の活性化が図られるよう平成30年4月からの運営委託開始に向けて着実に手続きを進めてまいりたいと考えております。
(問)今後も同じように地元の自治体が出資を望むケースが出てくると思うのですが、それに対して国土交通省としては特に問題視をしないというか受け入れる方向で考えていくということでしょうか。
(答)御指摘のように民間による機動的な経営というのも重要でございますから、当然出資比率ですとか、役員の構成だとかそういうところは十分配慮していきたいと考えております。

(問)先ほど羽田空港の発着枠に関して、4万回拡大というお話がありました。
この4万回というのは発着便の月間の回数なんでしょうか。
(答)年間です。
(問)在日大使館の有志の間から、オリンピック前に成田国際空港に入っている全国際便を羽田空港に移してほしいという要望が出ているようです。
既に調査によると現在、深夜早朝便はガラガラでどこも使っていなくて、これを使うと成田国際空港だけじゃなくて、関西国際空港や中部国際空港の国際旅客便は全部入っても大丈夫だろうというデータが出てるようです。
そういうことは検討されているのでしょうか。
(答)成田は成田で国際線の基幹空港として利用されておりますし、羽田は羽田の役割がございますので、役割をしっかり分担しながら、進めていきたいと考えております。
また、当然地域の騒音問題等もございますので、地域の皆さんのご理解をいただける範囲でしっかりと進めていきたいと思っています。
 

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