大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年11月1日(火) 9:17 ~ 9:41
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
以上です。

質疑応答

(問)昨日、海運大手の日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社が定期コンテナ船事業の統合することで合意したと発表しました。
これについての意義と大臣の受け止め、また、今後の国土交通省の対応などについて伺います。
(答)昨日、外航海運3社が、定期コンテナ船事業の統合を目的とした合弁会社を、来年7月を目途に設立することを発表しました。
外航海運は、わが国経済や国民生活を支える重要なインフラでありますが、近年は、中国の景気減退や船舶の過剰供給などにより、世界の大手海運企業が軒並み赤字決算となるなど、大変厳しい状況にあります。
このような中で、各社は効率的な事業運営の確保と規模の経済を追求しているところですが、今般の統合はわが国外航海運企業の競争力を高め、利用者への安定的なサービスの提供につながるものと期待しております。
現時点においては、新設される合弁会社の設立形態の詳細は明らかにされておりませんが、国土交通省としては、コンテナ船事業の統合が所期の効果を発揮できるよう3社からの相談にきめ細かく対応してまいりたいと考えております。

(問)10月30日に訪日客が2000万人を突破したと発表されました。
大臣からは先日も書面でのコメントをいただきましたが、改めて10ヶ月での目標達成となったことについての所感を伺いたいのが1点。
もう1点ですが、4月以降は訪日客の伸び率のかなりの鈍化が見られるのですが、今後も15%近くの伸び率が2020年まで必要なことを考えますと、足元での伸びの鈍化が気になります。
これについての大臣の所感を伺いたいと思います。
(答)本年1月からの訪日外国人旅行者数は、法務省の協力を得て、JNTO(日本政府観光局)が独自に推計を行ったところ、10月30日に、2000万人を超えたことが判明いたしました。
長年の目標であった訪日外国人旅行者数1000万人を突破したのが3年前であることを考えますと、この3年間にわが国の観光をめぐる情勢が急激に変化したことを実感しております。
一方で、今年3月にまとめられました「明日の日本を支える観光ビジョン」においては、インバウンドについて、2020年4000万人、2030年6000万人との新たな目標が示され、これに向けてすでに動き出しているところです。
このため、目標達成に向けて、現在の観光の成果の勢いを継続し、更に加速させていくべく、文化財や国立公園等の地方の観光資源の魅力の磨き上げや、空港・港湾等のインフラ整備等の観光ビジョンに掲げられた施策を、これまで以上にスピード感をもって実施する必要があると考えております。
なお、伸び率が鈍化しているという指摘がございますが、母数が増えておりますので、伸び率自体は逓減していくと見込まれますが、実数は増えておりますので、さほど懸念を持っているわけではありません。
いずれにしましても、2000万人は1つの通過点であり、観光先進国の実現のために、更に取組を進めてまいりたいと考えております。

(問)リニア中央新幹線についてですが、本日南アルプスを貫通するトンネルの長野県側工事が着工されます。
東京・名古屋間の中でも最難関の工事の1つですけれども、これに対する大臣の所感をお願いいたします。
(答)本日、JR東海において、中央新幹線の南アルプストンネル長野工区工事の起工式が長野県大鹿村において行われる予定と聞いております。
この工事については、大鹿村長と大鹿村議会が協議のうえ工事開始への同意を表明したことを受け、本日の起工式に至っていると聞いております。
リニア中央新幹線の建設事業が円滑に実施されるためには地元の理解と協力が不可欠でございますので、国土交通省としましても、引き続きJR東海に対しまして、地元住民等に丁寧に説明しながら安全かつ確実に施工が行われるよう、指導・監督してまいりたいと考えております。

(問)訪日客2000万人の件ですが、足元にある旅行消費額が減少しているのですが、これに対する大臣の受け止めと、どのように分析しているのか。
また2点目に、2015年の観光立国実現に向けたアクションプログラムで、2000万人を達成する年に外国人旅行者の消費額4兆円を目指すとされているのですが、現状のペースではこの達成は難しいのではないかと思いますが、これについてどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
(答)観光庁が10月19日に発表しましたインバウンドの消費動向調査によりますと、本年7月から9月期の3ヶ月間の外国人旅行消費額は前年同期比で2.9%減少し、9717億円となっております。
また、一人当たりの旅行支出は前年同期比で17.1%の減少となっております。
この外国人旅行消費額及び一人当たり旅行支出が減少した主な要因は、為替レートの円高方向への動きであると考えております。
為替の影響に加えまして、中国を始めとする旅行者の高額商品購入額の減少はありますけれども、現地通貨ベースで分析をしてみると、消費額は引き続き概ね増加傾向にありまして、市場全体の消費マインドは落ち込んでいるものではないと認識しております。
一方、消費というよりも宿泊や飲食が増えているということが実態でありますけれども、全体の旅行消費は現地通貨ベースでいきますと必ずしもマイナスではない、むしろ若干増加傾向のところもあるということであります。
国土交通省としては、「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づいて、長期滞在の傾向のある欧米豪やビジネス旅客をターゲットとした訪日プロモーションの強化や国際会議(MICE)の誘致促進に取り組むとともに、広域観光周遊ルートの形成促進、文化財・国立公園の観光活用の推進等により、旅行者の「モノ」から「コト消費」へのニーズに対応した、もう一泊滞在したくなるようなわが国ならではの魅力的な地域づくり、体験づくり等を進め、できるだけ幅広い国々からの旅行者に多様な消費を行ってもらえる国を目指して、関係省庁と連携し各施策の推進に努めてまいります。
なお、今年、旅行消費額4兆円の達成の見通しがどうかということでありますが、今年の1月から9月までのインバウンドの旅行消費額は前年同期比で10%増の2兆8556億円となっております。
1年間どれだけになるかということは、今後の為替動向等の影響も受けますので、現時点で見通しを申し上げることは難しいと考えております。

(問)外航海運の関連なんですが、先ほど、きめ細かく対応していきたいとおっしゃいましたが、詳細をもし御存じだったら教えて欲しいのですが、今回の統合に関しては、あくまで民間の計画、合意形成に基づいた動きというふうに理解していいのか、それとも国土交通省もある程度シナリオというか、プロジェクトに参画したり、日本連合としてこういうふうにというような、アイデアとか計画に参加したという認識を持っていてよろしいのでしょうか。
(答)今回の海運3社の定期コンテナ船事業の統合については、あくまでも民間ベースの動きであると承知しております。

(問)今の質問の関連で、結局、3社の昨日の決算では、来年3月期の決算見通しを揃って下方修正して、しかも日本郵船と川崎汽船は過去最大の最終赤字に陥るという厳しい状態になっています。
そういう意味では、それこそ新会社の設立を含めてスピード感を持って対応することが必要と思いますが、激励という意味も含めて、会社に対する、その辺りのスピード感についてのお考えをお願いします。
(答)民間ベースの動きでございますので、基本的には見守る立場ではありますけれども、来年7月を目途に設立することを発表されておりますので、これが所期の目的、効果を発揮できるように我々もできる支援はやってまいりたいと考えております。

(問)環境性能あるいは構造関係の国際基準のWLTPが、昨日当局からも導入の時期を明示したということですが、これから国際レベルで車の環境性能、あるいは安全性能、こういうものが標準化、統一化されていくことについて、ユーザーの認知は少ないと思うのですが、かつての10・15モードからJC08に替わったとき、今回JC08になり、まず環境のスタンダードに入れていくわけですが、今後構造にも入れていくだろうと。
構造の中でいうと特に衝突安全性能の強化、あるいは世界への普及ということだと思いますが、日本はどのようなリーダーシップを取っていくのかということと、国内市場向けには見かけの燃費もまた変わっていくというふうに思いますが、どのようにユーザーに認知・周知させていくのか、具体案があればお願いします。
(答)専門的な御質問でございますので、自動車局で答えられる方いらっしゃいますか・・・今、いないみたいですから、改めて自動車局にお問い合わせいただけたらと思います。

(問)昨日テレビで、この間日米交渉で決まりました、米国線の就航のニュースが流れました。
国土交通省の方からも次長が行かれて、いかにして乗客がこれからプラスになるかというニュースが流れました。
その件と、それから問題は、このオリンピックでも復興五輪ということがカムバックしているようですが、空港の問題で成田空港から東北への航空路線はほとんどないので、海外から着いても成田からは、1回東京へ来て、新幹線に乗るか、または羽田に移って国内線に乗るかしかないのです。
そういう中でやはり米国の4大航空会社が羽田に移動したように、東北へのアジアや欧州の客を誘致するためにも、アジア・欧州路線の羽田移転が望まれると思います。
その点、欧州の航空会社の中には日本からの集客が少ないということで、オーストリア航空なども9月末で日本への就航を止めてしまって、中国に切り換えるというふうに成田利用というのは、航空会社にとっては大変辛い目をあわせているわけです、アジアとか欧州の航空会社に。
そういう点で一言、御感想をお願いしたい。
(答)今、2つ仰った気がしますが、成田の国内線の充実という・・・
(問)国内線のアクセスが全く出来ないですね。
(答)全く、東北地方にですか。
(問)はい。
(答)そのことと、もう1つは成田の国際線の活用との2つですね、仰ったのは。
(問)はい。
それと、米国の昨日の4大航空会社が就航した件と。
(答)その所感と、3つですね。
分かりました。
まず、30日に羽田-ニューヨーク便、羽田-シカゴ便が新規就航するということになりましたが、今年の2月の日米航空交渉の結果を受けまして、10月30日より昼間の時間帯を活用して、日本の航空会社によるニューヨーク線、シカゴ線、また米国の航空会社によるミネアポリス線が開設をされております。
これによって、利用者の皆さんの利便性が大きく増えると思っておりますし、日米間のビジネスや、観光交流が一層促進されるというふうに期待をしているところです。
それから成田の国内線の充実というのは、各航空会社の御判断によるものだと思いますが、一方で、先日ある方から指摘を受けたのですが、今年度、高速道路の圏央道の茨城県の区間が開通しまして、関東の内陸部と成田空港が高速道路で直結されるということになると、成田の国内線の需要が増えるのではないかという御指摘を受けました。
そういうニーズが高まってくれば、自ずと航空会社もそういうインセンティブが働くのではないかと思います。
それから成田の国際線の活用ということですが、成田はアジアにおける国際ハブ空港の地位を確立していこうということですので、引き続きアジア、北米間をはじめとする国際線の乗り継ぎ需要を取り込んでいくことが重要と考えております。
乗り継ぎ需要を的確に取り込むためには、需要の高いピーク時間での発着容量の拡大が必要ですので、成田空港では高速離脱誘導路を整備したり、あるいは第三滑走路の整備に向けた関係自治体との協議など、容量の拡大に向けた取組を進めております。
国土交通省としては、引き続き空港会社等とも連携をしながら、成田空港の国際ハブ空港化に向けた取組を進めていきたいと考えております。

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