大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年11月25日(金) 9:26 ~ 9:45
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、私の方から1点御報告がございます。
本日、平成28年度予算に盛り込まれました、一般会計予備費の使用について閣議決定が行われました。
今回決定されました予備費は、本年8月から9月の台風等の災害に係るJR北海道の復旧費用について、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助を最大限に活用して、災害等に強い鉄道の構築が図られるよう、支援を行うためのものであります。
また、これに加えまして、国土交通省におきまして、平成28年度から30年度において実施予定のJR北海道の安全投資と修繕に対する追加支援の対象を拡充いたしまして、今般の台風等の災害に係る復旧に関連した設備投資の支援を行うことといたしました。
これによりまして、JR北海道が災害復旧に必要な資金を確保できるように措置することとしたいと考えております。
詳細は、後ほど資料を配布させていただきます。
このほか、私の方から1点御報告がございます。
福岡市地下鉄工事における道路陥没事故の原因究明のための第三者委員会の設置についてであります。
この陥没事故につきましては、福岡市からの要請を受けまして、土木研究所において、原因究明及び再発防止対策の検討のための第三者委員会を設置することとしておりましたが、来週29日に福岡市において第1回目の委員会を開催することとなりました。
本委員会で、徹底的に原因究明を行い、その上で再発防止対策を検討していただきたいと考えております。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)22日に発生した地震の件についてですが、これまでの国土交通省の対応は今どうなっているのか、その経過をお聞かせ願えればと思います。
また、東日本大震災の教訓、津波警報などもありましたが、それがどのように生かされたか、その点についても御評価のほどをお願いします。
(答)今回の福島県沖を震源とする最大震度5弱の地震に対しまして、国土交通省では直ちに津波警報や注意報を発表し、避難を呼びかけるとともに、所管施設の被害情報の把握に努めたことに加えまして、福島県、宮城県、岩手県に東北地方整備局からリエゾンを派遣し、被害情報の収集等に当たりました。
また、海上保安庁では直ちに航行警報を発出するとともに、巡視船艇・航空機等によりまして、被害状況の調査を実施いたしました。
地震発生後、一時的に、高速道路の通行止め、新幹線・在来線の運転休止などがありましたが、インフラ関連の施設被害や人的被害は確認されておりません。
国土交通省では、東日本大震災の教訓を踏まえ、防潮堤等の整備を進めるとともに、津波防災訓練、水門・陸閘等の遠隔操作化などを進めてきたところであります。
国土交通省と自治体の合同で避難訓練を含む津波防災訓練を行ってきたことによりまして、今回の地震においては、自治体等の避難の呼びかけに対し、住民の高台避難が概ね円滑に行われるとともに、鉄道事業者や海運事業者、空港等における訓練を行ってきたことによりまして、担当職員と乗客がともに避難するなど、これまでの訓練の成果が生かされたものと考えております。
また、東日本大震災において、水門等の操作員等が多数被災した教訓を踏まえまして、水門等の操作規則の見直しや遠隔操作化、統廃合、常時閉鎖化を進めてきた結果、今回、海岸・河口部の水門等を安全かつ確実に操作することができました。
一方で、津波警報が発表されても避難しない住民や、道路渋滞があったとの報道も承知しております。
まずは、実態の把握を行う必要があると考えております。
その上で、関係機関とともに、引き続き、避難の重要性や避難方法を含めた防災教育を進めることを含めまして、地域の実情を踏まえて効果的なソフト・ハードの対策を推進していくことで、津波防災力の向上を図ってまいりたいと考えております。

(問)先日、トランスアジア航空が経営破綻しました。
日本では、とりわけ仙台とか旭川とか、地方のインバウンドを担っていた側面もあるかと思うのですが、その破綻に対する国土交通省の対応及び影響についてどのようにお考えであるかお聞かせください。
(答)復興航空(トランスアジアエアウェイズ)が、11月22日付けで会社を解散すると発表したことは承知しております。
国土交通省としても、旅客の対応に万全を期すよう、同社の日本支社及び関係する旅行会社等に指示を行ったところです。
復興航空の路線の全便運休を受け、旭川、仙台、函館等の地方空港では、復興航空が一定の割合を占めていたこともあり、台湾からのツアーのキャンセル等によって一定の影響があると考えられます。
一方、日本と台湾は2011年にオープンスカイに合意しており、双方の航空会社は自由に参入、増便できる仕組みとなっております。
このため、地方へのインバウンド需要にも柔軟な対応が可能となっております。
国土交通省としては、地方自治体等関係者とも連携しつつ、復興航空以外の他社による復興航空の路線の引き継ぎや新規就航等の動向を注視してまいりたいと考えております。

(問)JR北海道についてお尋ねします。
冒頭で御説明のありました今回の災害復旧に対する支援とは別に、北海道の地元では、JR北海道の経営面そのものに対しての支援についての要請も日々高まっている状況がございます。
それに対する大臣の受け止めと国土交通省の今後の対応についてお答え願います。
(答)国としてはJR北海道に対して、平成28年度からの3年間で総額1200億円の支援を行うこととしており、これにより当面は、必要な安全投資や修繕を行いながら事業を続けていくことができる見通しであります。
しかしながら、JR北海道は、地域の人口減少やマイカー等の他の交通手段の発達に伴い、路線によっては輸送人数が大きく減少し、鉄道の特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい状況に置かれていると認識しております。
そういった中、JR北海道は、単独で維持困難な線区については、当該線区の地域における持続可能な交通体系の構築のために、地域の実情に即して、地域と協議を行いたい意向を明らかにしており、11月18日に、相談を行う具体的な線区について、社長より説明が行われたものと承知しております。
こうした検討を行う中で、JR北海道が置かれている状況を地域の皆様に認識していただくとともに、国としても、北海道庁と連携しながら、これらの協議に参画いたしまして、地域における持続可能な交通体系の構築のために何ができるのか、検討してまいりたいと考えております。

(問)中央省庁の東京都内の庁舎にあるエレベーターへの戸開走行保護装置の設置状況について、全体の76%のエレベーターで戸開走行保護装置がないということが共同通信の調査で分かったのですが、国土交通省が入っている中央合同庁舎3号館のエレベーターが全部で14基あって、戸開走行保護装置が1基もついていない。他の省庁の庁舎でも、外務省とか文部科学省とか総務省とか、そういったところでゼロのところが複数ある状態です。
まず1点目が、こうした全体の状況を大臣として認識していたかどうか。
2点目が、戸開走行保護装置の設置を推奨している国土交通省として、戸開走行保護装置がゼロという状況をどう受け止め、今後どう改善していくか。
3点目が、他の省庁の分も含めて現状をどう改善していくかということをお尋ねします。
(答)二重ブレーキというふうに申し上げたいと思いますが、御指摘の二重ブレーキが、中央合同庁舎3号館のエレベーターにおける設置がなかったということは、報道で承知いたしました。
御指摘の二重ブレーキは、平成18年にエレベーターの戸が開いたまま「かご」が上昇し、高校生が死亡した事故を契機に、平成21年9月より新設エレベーターを対象として設置が義務付けられたものであります。
国土交通省が管理する中央合同庁舎3号館には、14基のエレベーターがございますが、これらは、平成5年から平成16年までに設置されたものでありまして、義務付けの対象とはなってございません。
国土交通省においては、平成24年にエレベーター製造事業者に対して、軽微な改造で導入できる二重ブレーキが開発されていないか確認を行いましたが、中央合同庁舎3号館のエレベーターに設置できるものは開発されていなかったことから、当時、設置を見送った経緯がございます。
現在、改めて、エレベーター製造事業者に安全装置の設置方法等について調査を依頼しているところであります。
安全装置の設置につきましては、調査結果を踏まえつつ、また、エレベーターの更新時期等も総合的に勘案しながら、できるだけ早期に設置できるよう、検討を進めるよう指示しているところでございます。
また、他の省庁でも設置が進んでいないのではないかということでありますが、今年8月の消費者安全調査委員会報告を踏まえ、既設エレベーターへの二重ブレーキの設置を促進するために、中央省庁についても、9月1日に各省庁に設置促進を通知してございます。
このフォローアップとして、その状況についても適切な時期に確認し、必要に応じて再度検討を要請するなど、引き続き各省庁の設置を促進してまいりたいと考えております。
(問)できるだけ早期に設置を検討するというのは国土交通省の分ということですか。
それとも他の省庁で設置がゼロの分も含めてですか。
(答)できるだけ早期に設置を検討するというのは、中央合同庁舎3号館でございます。
他の省庁については設置促進を通知しておりますので、引き続き状況等を確認しながら促進をしてまいりたいと考えております。
(問)他の省庁で設置がゼロのところがあるということと、全体で76%のエレベーターで戸開走行保護装置がないということも、報道で初めて知ったのですか。
(答)細かい数字は報道等によって承知をしたということでございます。

(問)北陸新幹線の敦賀以西についてお伺いします。
昨日、JR西日本の方が与党の検討委員会に出席されまして、改めて小浜・京都ルートが望ましいというような意向を表明されました。
JR西日本もルートについては政府・与党が決めることであるというようなことは仰っていまして、それは重々承知しているのですが、とはいえやはり、着工5条件の中に「営業主体の同意」というのがありますので、それがある以上、JR西日本の意向は重いものと考えられますけれども、大臣の所感をお伺いいたします。
(答)昨日の与党北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会におきまして、JR西日本へのヒアリングが行われ、早期の大阪までの全線開業が望ましい、小浜・京都ルートが最適である旨の意見が述べられたところと承知をしております。
敦賀・大阪間のルートについては、調査結果をもとに、また関係者へのヒアリングを行った上で、与党で議論が行われるところでありまして、国土交通省としては与党の議論を見守ってまいりたいと考えております。

(問)冒頭のJR北海道への災害支援について、追加で質問させてください。
今回の台風被害について、地元からは従来の国の支援を上回る支援を求める声も出ていましたが、今回の支援措置はそれに該当するのか、該当するならどの部分に当たるのかをお聞かせください。
あと、今回の措置で、地元の交通利便のためにもJR北海道にしっかり復旧してもらいたいという期待、お考えも一言お願いいたします。
(答)従来の鉄道災害復旧補助というのは、国4分の1、地方4分の1、鉄道事業者が2分の1の負担をするということになっているわけですが、今回、全体の災害復旧は根室線の東鹿越駅・新得駅間、日高線(鵡川駅・様似駅間)を除き災害復旧の総額は、約38億円になる見通しであります。
このうち、災害復旧事業費補助の対象となる事業費は、約35億円となる見込みであり、その4分の1の8.6億円を国で支援をするということでありますが、鉄道事業者が負担をする半分の経費、それから今回災害復旧事業費補助の対象外となる部分につきましても、28年度から30年度で措置いたします支援措置の対象の中に含めるということで資金繰りの支援をするということです。
JR北海道におかれては、こういった支援を活用し、早期の復旧に努めていただきたいと考えております。

(問)博多駅前の陥没事故の件で、2回目以降の開催ペースと開催場所、それと工事が止まっている以上、あまり長引かせるわけにもいかないと思うのですけれど、結論を出される時期の見通しについて教えていただけますか。
(答)2回目以降の開催ペース、開催場所等については、検討委員会で御決定いただくところでございます。
最終的な結論を出す時期というのは、まだ明確には決めておりません。
地元からはなるべく早くという思いが、福岡市にはあるかと思いますけれども、一方でしっかりと原因調査をしなければなりませんから、それにどのくらい時間がかかるかということもございますので、委員会等でその辺も含めて御議論をいただきたいと思っております。

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