大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年2月10日(金) 10:16 ~ 10:37
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件ですが、当省提出の2本の法律案が閣議決定されましたので、御報告いたします。
1本目は、「都市緑地法等の一部を改正する法律案」です。
これは、人口減少社会における潤いある豊かな都市空間の形成に向けて、都市内の緑地・公園・農地等について、都市公園の活性化・魅力向上や老朽化対策、積極的な緑地創出の促進、都市農地の適正な保全等の施策を講じるものです。
2本目は、「水防法等の一部を改正する法律案」です。
これは、水害・土砂災害の頻発、激甚化に対する取組を加速させるために、多様な関係者の連携体制の構築、要配慮者利用施設における避難計画の作成等の義務化等を図り、洪水等からの「逃げ遅れゼロ」と「社会経済被害の最小化」の実現を目指すものです。
2つの法律案とも、詳細は事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
このほか、私の方から1点御報告があります。
公共工事設計労務単価等については、2月3日の会見で見直しを行うよう指示したことを発表しましたが、この度、関係機関との調整が整いましたので、その概要をお知らせいたします。
新たな公共工事設計労務単価は、全国平均で前年度比プラス3.4%となり、コンサルタント等の技術者単価は同じくプラス3.1%となっております。
新単価については、3月1日以降に契約締結する発注案件等について適用できることとしており、ゼロ国債を含めた第三次補正予算による発注工事については、新単価が適用できることになります。
今回の改訂によりまして、公共事業の円滑な執行に万全を期し、施工時期の平準化を加速するとともに、現場に従事する技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、改めて建設業者団体に対し、適切な賃金水準の確保を要請するなど、処遇の改善を図ってまいりたいと考えております。
詳細については、後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)本日、米国で日米首脳会談が始まります。
先週の時点では詳細がまだ固まっていないとのことでしたが、現在では日程や同行するメンバーなど固まりまして、トランプ政権の政策や方向性も明らかになりつつあります。
改めて首脳会談で何を望み、どのような成果を期待しているか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)首脳会談においては、日米の経済関係を更に高めて、協力していくことによってどのようにウィン・ウィンの関係を構築することができるかということで、建設的な議論が行われることを期待をしたいと思っております。

(問)いくつかありますが順番にお尋ねさせてください。
まずJR山手線の新駅および周辺開発の起工式が、本日行われています。
石井大臣の受け止め、それから新駅の期待などお聞かせください。
(答)本日、JR東日本と都市再生機構が主催いたしまして、仮称ですが、品川新駅新設・品川駅北周辺地区土地区画整理事業の起工式が行われると聞いています。
これらのプロジェクトは、田町駅と品川駅の間にあったJR品川車両基地の跡地を活用し、新たなまちを整備するとともに、その中核に山手線・京浜東北線の新駅を設置する大規模な開発プロジェクトです。
新駅周辺地区においては、これからの日本の成長を牽引するような国際交流拠点の形成を目指し、都市再生機構を施行者とした土地区画整理事業が実施されます。
山手線では、西日暮里駅以来49年ぶりの新駅設置となります。
また、今回新駅が設置される品川駅・田町駅間は、山手線の駅間で最長の区間となっておりますが、そこに駅が新設されることにより、周辺地区を含めた利用者の利便性の向上につながるものと考えています。
国土交通省といたしましては、これらのプロジェクトについて、わが国国際競争力の強化を図る上で、極めて重要な事業と認識しております。
まち開きは、2024年頃に予定をされておりますが、新駅はオリンピック・パラリンピック東京大会が開催される2020年の春に暫定開業される予定です。
世界中から多くの外国人旅行者が訪れる機会での開業は、大変喜ばしいものと考えております。

(問)東京などのタクシー初乗り運賃の引下げから10日ほどが経ちました。
ここまでで分かっている利用状況の変化ですとか、トラブルや苦情の問い合わせなどが寄せられていないかどうか教えてください。
(答)東京の新しいタクシー運賃の導入後5日間の運送について、サンプル調査を行っております。
その結果、それ以前の1週間前の実績と比較をいたしまして、730円以下の利用回数が約9%増えております。
特に410円以下の利用回数が約23%増加となっております。
運賃改定の効果については、短期間で評価するのは難しいと思っておりまして、今後、定期的に輸送実績を集計し、検証していきたいと思っております。
利用者からの苦情等については、東京タクシーセンターにおいて、新しい運賃の導入後1週間で受け付けた苦情件数が102件ございました。
これは前と比べて特に件数自体が増えたということではございません。
大体同程度の件数ということですが、その102件のうち12件が短距離利用者への接客マナー等に関するものであったとの報告を受けております。
引き続き、運転者の接客マナーの向上等について、タクシー事業者に対して指導していきたいと思っております。
新しい運賃によりまして、訪日外国人や高齢者を始めとする利用者が短距離でもタクシーが使いやすくなるとともに、新たなタクシー需要の喚起につながることを期待しております。
(問)補足をお願いします。
まず、9%、23%増加したということですが、これは要するに短距離の需要、利用が増えたという理解でいいのでしょうか。
(答)詳細については事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
(問)苦情件数の102件のうち12件の内容を御紹介いただきましたが、残りの9割程度はどういった内容でしょうか。
(答)それも事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

(問)8日の衆議院予算委員会で、麻生財務大臣がJR北海道について、「国鉄を分割しても黒字になるのは3つだけ、他はならないと思っていた。
今だったら止められるかもしれない」と述べています。
また、JR北海道の経営再建については、「根本的なところを触らずにやるには無理だ」と、実質的な株主である国の積極的な関与の必要性を示唆しています。
大臣の受け止めと、大臣自身のお考えを教えてください。
(答)国鉄の分割民営化に際しては、全国一元的な経営形態を改め、適切な経営管理や、地域の実情に即した運営をできるようにするとともに、旅客の流動実態に適合し、地域的に自然な形の分割となるよう、旅客流動の地域内完結度に配慮して、旅客部門は6社に分割されたところであります。
これによって、効率的で責任のある経営ができる体制が整えられた結果、全体としてサービスの信頼性や快適性が格段に向上し、経営面でも、JR本州3社に続いてJR九州も完全民営化されるなど、国鉄改革の所期の目的を果たしつつあると考えております。
一方、JR北海道は、地域における人口減少やマイカー等の他の交通手段の発達によりまして、路線によっては輸送人数が大きく減少し、鉄道の特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい状況に置かれています。
JR北海道自身も様々な経営努力を重ねてきておりますが、国としても、これまで経営安定基金の運用益の下支えや経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸付などの支援を行ってきたところであります。
今後、地域における持続可能な交通体系のあり方について、関係者がともに考えていく必要がありまして、国としても、北海道庁と連携しながら、これらの協議に参画し、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応につきまして、検討してまいりたいと考えております。

(問)本日、閣議決定されました都市緑地法等の改正案には、都市農地の保全・活用に関する見直し事項が含まれていますが、大臣の考える現代における都市農地の役割、また、今後期待することなどをお伺いします。
(答)今般の都市農地に関する改正は、昨年、閣議決定された「都市農業振興基本計画」において、農地を「都市にあるべきもの」とする方針転換がなされたことを踏まえ、その適正な保全を図るよう措置するものであります。
従来、特に市街化区域内農地というのは、将来、市街化するということを前提に考えられたものですが、人口減少局面に当たっては、市街化区域内にある農地も、決して宅地化していくということが望ましいということばかりではなく、農地の生産機能のみならず、景観面とか環境面とか防災機能などの都市農地の多面的な機能があるということを再評価することが重要と考えております。
このため、今回の改正では、従来一律500㎡であった生産緑地地区の面積要件を条例により引き下げ可能としておりまして、小規模な農地であっても保全を可能とする等の措置を講じます。
公園・緑地とともに、都市における貴重なオープンスペースとしての農地の保全・活用策を講じることにより、人口減少社会における潤いある豊かな都市空間の形成を図りたいと考えております。

(問)自動運転というか、保安基準の緩和がありました。
大臣御案内のとおり、ハンドルやブレーキが必要ないみたいな報道が先走っていて、(ツイッターでは)安全は保たれるのか、今日からでも走り出すのか、みたいなミスリード感が報道に出ているとあって心配をしています。
先ほど技術政策課で話を聞いてきたのですが、当局として公道実験の環境整備をどう考えて、これからどのように進めていかれるのか、コメントをいただけたら助かります。
(答)今般の法令改正は、あくまで実証実験のためであり、本格的な自動運転が可能となるというものではございません。
無人自動走行による移動サービスの実現に向けた実証実験のため、速度制限や走行ルートの限定、緊急停止ボタンの設置等の安全確保措置が講じられることを条件に、ハンドルやアクセル、ブレーキペダル等の安全基準を緩和できることとするものです。
これにより、ハンドルやアクセル、ブレーキペダル等の装置を備えない車両についても、公道走行実証実験が可能となるものです。

(問)JR北海道の件ですが、麻生財務大臣が新幹線をさっさと札幌まで通さなければ公的な黒字にはならないと仰っていますが、新幹線の札幌延伸の時期について、何かコメントはございますか。
(答)延伸の時期は今の予定どおり、変わりはありません。
(問)麻生大臣に言われても、特に早めたりということはないのですか。
(答)私は横で聞いておりましたが、麻生大臣一流の発言だと理解いたしました。

(問)設計労務単価についてですが、3月1日以降の契約より適用するということですが、労働者の賃金水準を確保するためには直轄事業だけでなく自治体の工事でも適用が必要かと思います。
その件について、都道府県や市町村などにどう対応を求めていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)だれか分かる人いますか。
(事務方)設計労務単価自体は国の直轄事業で基本的に扱っていますが、自治体の事業においても活用されているのが実態です。
国の直轄事業の設計労務単価については、3月1日に改訂することを10日付けで発表しますので、自治体においても、同じように早い段階から準備いただければと考えています。

(問)日米首脳会談で話題になるか分かりませんが、米国の高速鉄道など、米国のインフラ整備について国土交通省としてどういう協力ができるのでしょうか。
(答)これから具体的にインフラ整備に関する政策も明らかになっていくと思いますので、今の時点で明確なことは申し上げられませんが、トランプ大統領が日本の新幹線を評価したという報道も承知をしておりますけども、従来から米国に対して、例えばテキサスの高速道路計画とか北東部マグレブのリニア高速の計画ですとか、インフラ分野の協力についてはこれまで順調に推進してきておりますので、今回の日米首脳会談の結果を踏まえ、引き続き適切に対応していきたいと考えています。

(問)水防法等の改正についてお伺いしたいのですが、避難訓練・避難計画の義務化ということで、改めて義務化によってどんな減災効果が期待されるのかという点と、対象となる施設が極めて多いと思うのですが、法律が施行されて以降の実効性の担保をどのように図っていくのでしょうか。
(答)昨年の台風10号による豪雨被害により、岩手県岩泉町の小本川が氾濫し、グループホームの入所者9名が亡くなったということがございました。
こういった被害を受けまして、今般の水防法等の改正では、災害時の要配慮者利用施設について避難計画の作成と避難訓練の実施等を義務化しました。
高齢者や障害者、入院されている方等が、災害の被災を受けない、あらかじめきちんと準備をしておくことによって「逃げ遅れゼロ」を目指していくことで大きな効果を発揮できると期待しております。
この実効性を担保するため、避難計画や訓練をやっていない施設について、市町村長が、法律用語については後で確認いただきたいのですが、きちんと指示をして、守れない場合は施設名を公表していくことを可能とすることを講ずることによって、実効性を担保するという法律の内容になっていたかと思います。
詳細は後ほど確認いただければと思います。

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