大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年6月30日(金) 10:36 ~ 11:00
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議におきまして、平成28年度国土交通白書を配付いたしました。
平成28年度国土交通白書のテーマは、「イノベーションが切り拓く新時代と国土交通行政」といたしました。
わが国が抱える諸課題を克服し、持続的な経済成長を実現するためにも、イノベーションを創出し社会実装していくことが不可欠であります。
特に、国土交通省の所管する行政分野は、国民の暮らしや経済、社会に大きな関わりのある分野であり、国民の意識や時代の要請を先取りした取組が重要であると認識しております。
このような現状認識を踏まえまして、今回の白書におきましては、国土交通省が現在取り組んでおります、i-Constructionや自動走行等の先進的な取組事例を紹介しております。
また、今後のイノベーションの創出と社会実装に向けました国土交通分野における課題や、未来に向けた国土交通行政の役割について記述しておりますので、是非、御一読いただきたいと思います。
詳細は、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

質疑応答

(問)昨日、建設業と自動車運送事業の働き方改革に関して、関係省庁連絡会議が開かれました。
今後国土交通省としては改革の推進に向けてどのような取組を講じられるお考えでしょうか、お聞かせください。
(答)3月に決定されました政府の「働き方改革実行計画」におきましては、建設業、自動車運送業につきまして、5年の猶予期間を設けて時間外労働の上限規制を適用することとなりました。
この適用に当たりましては、施主、荷主等の協力も含めて、全政府的なバックアップが必要であることから、昨日、野上内閣官房副長官を議長とし、末松国土交通副大臣を議長代理とする連絡会議が開催されまして、関係省庁による取組を開始したところであります。
昨日の連絡会議におきましては、建設業につきましては、国土交通省の取組を参考にしていただいて、国の発注工事において、目標件数を設定するなど週休2日工事を推進するとともに、地方公共団体や民間の発注工事も含めまして、適正な工期の設定等に向けたガイドラインを策定していくこととされました。
自動車運送事業につきましては、運行の効率化等による生産性の向上、女性・若者等の多様な人材の確保・育成等の平成29年度、30年度に取り組む施策を盛り込んだ「当面の対応方針」を、この8月頃にとりまとめるとともに、できるだけ速やかに行動計画を策定することとされました。
長時間労働の是正は、将来の担い手を確保する観点から重要な課題であります。
私といたしましては、関係省庁連絡会議での議論を通じまして、施主や荷主、また、利用者などの理解と協力を得つつ、実効性ある方策を講じまして、長時間労働の是正にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

(問)昨日、米国政府が米国に乗り入れる航空便の検査を強化するという方針を表明しました。
日本の空港も対象になるということですけれども、これを受けての大臣の所感と国土交通省の今後の対応をお願いいたします。
(答)米国政府は、6月29日(現地時間6月28日)に、米国内に到着する国際旅客便を運航する航空会社に対して、より厳格な保安対策を取るよう指示することを発表いたしました。
この措置は、米国に乗り入れる本邦航空会社に対して既に通知されておりまして、国土交通省にも米国政府より情報の提供がございました。
ただ、その詳細につきましては、テロ対策という性質上、明確にすることは差し控えさせていただきたいと思います。
国土交通省といたしましては、措置の対象となる航空会社及び米国への直行便が出発する空港、これは7空港でございますが、この7空港の管理者と連携いたしまして、航空保安の確保と利便性の両立に努めてまいりたいと存じます。

(問)今月5日に、奄美空港でバニラ・エアを利用した車いすの男性が、車いすごと同行者の方に担いでもらってタラップの階段を上ろうとしたところ、職員に制止されて、結局腕の力で自力で上るという事案が発生しました。
こうした事案があったことついての大臣の所感と、国土交通省の対応についてお聞かせください。
(答)お尋ねの件について、6月5日、奄美空港発関西空港着のバニラ・エア便において、車いす利用のお客様が御搭乗の際、タラップを自力で上がられたという事実があったことは承知しております。
現在、航空局において、当時の詳細な事実関係についてバニア・エアから確認しておりますが、航空会社には、障害者の方々を含む航空利用者が安全で快適に旅行していただくために適切な対応を取っていただくことが必要であると考えております。
バニラ・エアは、既に奄美空港において車いす利用者向けの昇降器具を導入する対策を講じておりますけども、今一度、現在のサービスの提供のあり方について、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、利用者目線でよく検証するよう指導しております。
また今後、他の航空会社も含め、同法の内容等の周知徹底を改めて行うこととしているところです。
(問)障害者差別解消法で、障害者に対しては、正当な理由なく障害を理由に障害者に差別的な対応をすることは禁止されていますが、そもそも今回の事案については、大臣のお考えとして、禁止された行為に当たるとお考えなのかというのと、今後、他の航空会社に指導されるということですが、具体的に何かあればお聞かせいただけますか。
(答)今回の事案の詳細については現在確認しているところですが、いずれにいたしましても、私は障害者の方に寄り添った対応をしていただくことが重要であると考えておりまして、バリアフリー施策もハードとソフト両方ありますが、今回は特にソフト面での対応、やはり心のバリアフリーということをしっかりとやっていただくことが重要であろうと思っています。
今後の具体的な周知徹底については事務方よりお聞きいただきたいと思います。

(問)先ほどの米国の入国の件ですが、2点ほど確認させてください。
時期というのはすぐ始まるという理解でよろしいのでしょうか。
何か目途があったら教えてください。もう1つは、大空港になると乗り入れに関して、米国行き、ヨーロッパ行き、他の地域と見極めが難しいと思うのですが、基本的に日本で入国する場合に全体として強化していく、行き先別だとかなり煩雑になると思いますので、結局、出国する段が厳しくなるという理解でよろしいでしょうか。
(答)まず時期ですが、米国の安全保障会議でのケリー長官の御発言では、今後数週間以内、又は数ヶ月以内に措置を実施されるようにすると発言されていると承知しています。
もう1点の御質問の趣旨は、米国行き便以外にもやるかどうかということでしょうか。
(問)空港の保全のところで、例えば羽田空港で御客様にいちいち、あなたは米国に行くのですかと聞いた人にチェックを強化するのか。
(答)米国から求められている対象は米国行き便のお客様ですから、それははっきり分かりますよね。
(問)それはあくまで、米国行きの人を対象に強化していくということですか。
(答) 米国から求められているのはそういうことです。御質問の趣旨が、米国以外に行く国際便に対しても、そういうことを拡充するのかという御趣旨ですか。
(問)いえ、結果としてそうならざるを得ないのではないですかという質問なんですが。
(答) 米国便行きのみやるということは物理的に可能です。
他の国際便をどうするのかは、今後、ICAO(国際民間航空機関)での議論や他国の動向等を見極めつつ対応を検討するということかと思います。

(問)3点あるのですが順番に聞かせてください。
1点目、熊本空港の民営化に向けた枠組み案が近く示される見込みになっています。
地元からの要望ベースでは、復興ですとかターミナルビルの新設という特殊事情もあるのですが、進捗状況と民営化への期待をお聞かせください。
(答)熊本空港の運営の民間委託については、震災からの復興のシンボルとして大変意義のある取組と考えております。
民間委託を通じて新たな運営会社となる民間事業者の創意工夫により、新たなターミナルビルの建設が進められ、更なる空港サービスの向上や航空ネットワークの充実が図られることを期待しています。
国土交通省としては、震災からの復興の加速化に資するよう、平成32年度からの運営委託の開始に向けて、地域の関係者と連携しながら、引き続きスピード感をもって手続きを進めてまいりたいと考えておりまして、本日14時に、民間投資意向調査の実施について事務方より公表する予定です。
(問)民営化後の御期待などはございますか。
(答)更なる空港サービスの向上や航空ネットワークの充実が図られることを期待しているということです。

(問)東京メトロに関してですが、昨日東京メトロの新社長が、都営地下鉄との乗り継ぎの際の値下げを東京都と協議していることを明らかにされました。
これについての石井大臣の受け止めと国土交通省として今後の対応などがあればお願いします。
(答)この東京メトロと都営地下鉄の運賃の乗換負担軽減につきましては、国土交通省、東京都、東京メトロ、都営地下鉄の4者で議論を行っているところです。
平成26年1月の「東京の地下鉄の運営改革会議」中間とりまとめ以降、共通乗車券の有効期間拡大等の取組が既に行われております。
この両事業者の運賃一元化につきましては、減収要因となる等の課題がありますが、利用者の利便性を高める取組であると考えております。
今後とも更なる運賃の乗換負担軽減の取組につきましては、先ほど申し上げた4者で議論を深めていきたいと考えております。

(問)白書に関してですが、建設業などではイノベーションが進まない要因として閉鎖的になりがちだったり、中小企業が多かったりすることも背景にあると見られますが、御指摘のような競合を生み出していくためにどういったことが必要なのか、そして国土交通省としてどう対応されていくのか、その辺りもう一言いただけますでしょうか。
(答)昨年度からi-Constructionを始めておりますけれども、これは直轄の土木工事を中心にやっているのですが、発注時に条件付けた工事以外に受注者からの自発的な申し入れでやっている工事もあるのですが、地方の中小企業の皆さんも積極的に取り組んでいます。
ですから決して中小企業だから進まないということは、私はないと思っています。
むしろ中小企業の方が小回りが効くといいますか、そういう面もありますから経営者の判断によって積極的に御取組いただける面もあろうかと思います。
一方でこういう取組をやるに当たっては、例えば積算条件に配慮する、i-ConstructionであればICT建設機械をリースをしようとすればそれは従来の建設機械より費用が高くなるということがありますし、あるいは週休二日制を広げていこうとすれば工期の問題であったり、現場が長くなりますから現場管理費等が従来よりかかったり、そういう発注の際の見積もりの積算上の配慮はしっかりやっていく必要があると思っております。

(問)働き方改革に関する所感と対応について伺います。
明日から7月に入りまして、今年も8月までの2ヶ月間にわたって全府省、内閣府を中心にワーク・ライフ・バランス推進強化月間が実施されますけれども、その中で朝型勤務の「ゆう活」という取組がありますが、現在こうした中で首都圏の鉄道各社も通勤ラッシュの取組である東京都が推奨している「時差ビズ」の動きなどが広がろうとしているのですが、こうした中、大臣として国土交通省として、今後呼びかけたいこと、あるいは注目する効果や課題など所感がありましたら改めてお願いいたします。
(答)ゆう活も3年目を迎えるということになりまして、今政府としては働き方改革を掲げておりますが、働き方改革の実現に向けての大きな雰囲気作りといいますか、きっかけになるということで大いに期待をしているところでして、フレックスタイムなども活用しながらなるべく早く帰っていただくということもありますし、幸いこの7月、8月は国会がなさそうでありますから、深夜に及ぶ質問作業等もないのではないかと思いますので、なるべく早く帰っていただいてワーク・ライフ・バランスを確保していただくということで、国土交通省としてもこの政府全体の取組に全面的に協力をしていきたいと考えているところです。
(問)関連して、運輸・建設業界に国土交通省として呼びかける動きとか、あるいは今後の対応で何かこういったところをやりたいとか、ありますでしょうか。
(答)業界に対してこの7月、8月に特に何か呼びかけるということはありませんけれども、先ほどの御質問にありますように、今、全体として、業界に対しては働き方改革、長時間労働の是正ということは、機会あるごとに訴えておりまして、猶予期間を置いて、長時間労働の法的な規制も導入されるといったこともありますので、7月、8月ということに限らず、建設業界も運輸業界も、あるいはそのほかの観光業界等々ございますけれども、いろんな機会を通じて、引き続き長時間労働の是正、働き方改革については、呼びかけをしていきたいと考えております。

(問)空港民営化の第1号の仙台空港が明日で1年ということで、この1年の民営化の取組について、大臣がどう評価されたのかということを伺いたいと思います。
(答)国管理空港の運営民間委託の第1号として、昨年7月に仙台空港が民間委託を開始してから1年が経過をするところでございます。
この間、仙台空港におきましては、民間ならではの柔軟な発想で様々な取組が進められております。
例えば、本年4月には、需要変動リスクの軽減や新規就航・増便を促すための新たな着陸料等の料金体系が導入されておりますし、また今後、LCC向けのターミナル施設の整備などの積極的な設備投資も計画されているところでございます。
こうした取組もありまして、仙台空港の国際線の利用客は、前年同期比で約1.7倍に増加するなど、民間委託の成果が着実に出てきているものと考えております。
今後、こうした民間委託の取組を全国の空港に展開させるためには、各空港の地域の方々の御理解を得られるように丁寧な説明を行うとともに、地元からの御意見をよく聴くことが重要と考えております。国土交通省といたしましては、引き続き、空港分野におけます民間委託の取組を更に推し進めまして、空港や地域の活性化に貢献していきたいと考えております。

(問)日曜日に東京都議選挙を控える中で、稲田防衛相の失言や下村幹事長代行への加計学園からの献金疑惑が報じられてます。
自民党への逆風となっていると考えますけれども、大臣のお考えについて教えてください。
(答)東京都議選は非常に重要な選挙ではありますが、地方選挙でございますので、政府の一員として、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

(問)空港の民営化の話で追加でお伺いしたいことがあります。
仙台空港の民営化が呼び水となって、先ほどの熊本空港など、全国各地で民営化の空港の動きが加速していますが、これをどう評価されているか、国土交通省はずっと政策的に民営化を取り組んできたわけですけれども、思った以上に早いスピードで広がっているのか、それとももうちょっと広がって欲しいのか、そこら辺の評価を教えてください。
(答)既に、関西国際空港、伊丹空港が一体としてコンセッションになりましたし、また、仙台空港もコンセッションになりました。
そのほかに、四国の高松空港、福岡空港、北海道、それから熊本空港ですね、広がっております。広島空港もございます。
着実に広がりつつあるというふうに考えております。
先行事例の関西国際空港や仙台空港が順調にいっているということで、各地域も積極的に動いていただいているのではないかというふうに考えております。
 

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