大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年11月10日(金) 10:46 ~ 11:12
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告がございます。
宅配ボックスの設置促進に向けた取組でありますが、宅配ボックスの設置促進は、再配達の減少につながることから、働き方改革の実現のためにも、また、物流生産性革命の推進のためにも、非常に重要であると考えております。
今般、共同住宅における宅配ボックス設置を更に進めていくために、その設置に係る規制の明確化を図ることにつきまして、本日付けで通知を発出いたします。
具体的には、このハッチングしておりますような共用の廊下と一体となった宅配ボックスの設置部分、壁なんかがあっても扉がなく廊下と一体となっている、こういった設置部分につきまして、これは建築基準法の容積率規制の対象外となることを明確化いたします。
これによりまして、共同住宅の共用の廊下等に宅配ボックスの設置を検討する際に、容積率の規制を気にする必要が無くなりますので、より柔軟に宅配ボックスの設置が可能になるものであります。
また、事務所等共同住宅以外も含めた設置促進に向けまして、宅配ボックスに関する現状調査を行い、容積率規制について更なる施策を講じることができないかを検討するよう、事務方に指示したところであります。
これらの取組を通じまして、宅配ボックスの設置が更に進んでいくことを期待しております。
詳細は、後ほど事務方から説明させます。
私からは以上であります。


 

質疑応答

(問)宅配ボックスについて、2点お伺いします。
今回の容積率の規制の明確化によって、今後宅配ボックス設置、拡大はどれくらい見込まれるのか、効果の程はどれくらいなのかをまずお聞かせください。
(答)従来、共同住宅の共用の廊下に設置される宅配ボックスは、容積率規制の対象とするかどうか、地方公共団体ごとに判断が分かれておりまして、容積率規制の対象となると、設置を断念するケースもありました。
今般、共同住宅の共用の廊下と一体となった宅配ボックスの設置部分は、建築基準法の容積率規制の対象外となることを明確化いたします。
このことにより、住宅事業者は、既存の共同住宅が容積率を目一杯使っている場合、これは対象になるとなかなか新たな設置が従来は困難であったわけですけれども、この容積率に余裕がない場合でも規制を気にせずに、住民ニーズに応じ宅配ボックスをより柔軟に共同住宅の共用の廊下に設置することが可能になります。
加えて、再配達の削減に資する宅配ボックスの設置促進は、働き方改革の実現や物流生産性革命の推進になると期待しております。
具体的にどのくらい設置が拡大するかという数については、今の時点ではまだ把握はできておりませんが、今後、共同住宅にどの程度宅配ボックスが既に設置されているのか、あるいは潜在的なニーズがどのくらいあるかについては調査を行うこととしております。
いずれにいたしましても、宅配ボックスを利用する居住者の方、また、住宅事業者、物流事業者にとって、それぞれ良い効果があると思っております。
(問)続けて宅配ボックスなんですけれども、今回規制を明確化した上で、更にどのような課題が残っているとお考えでしょうか。
それに対しては、今後どういう方向で検討を進めていくお考えでしょうか。
(答)重ねてになりますが、今般の運用の明確化によりまして、共同住宅の共用の廊下と一体となった宅配ボックスの設置部分については、建築基準法の容積率規制の対象外としたところであります。
一方で、共同住宅であっても、宅配ボックスの設置部分が、これは扉がないということで一体として考えていくことでありますけれども、ここを扉を設けると独立した部屋になる、ということで、扉により部屋として廊下と明確に分けられている場合は、今回の対象外なんです。
また、事務所など共同住宅以外の建物に宅配ボックスを設置する場合についても、今回の措置では対応できません。
今後、そういった場合は、更なる施策の検討が必要となるということでございます。
施策の検討に当たっては、既にある程度把握している宅配物の取扱個数に加え、宅配ボックスそのものの状況についても把握が必要と考えておりまして、先程も申し上げましたが、まずは事務所など共同住宅以外の建物も対象にしまして、どの程度宅配ボックスが設置されているのか、また、潜在的なニーズがどれくらいあるのか、こういった調査を平成29年度末を目途にとりまとめたいと考えております。
その成果を踏まえて、施策の内容を具体的に検討していきたい考えております。

(問)日産自動車の不適切な完成検査問題でお伺いいたします。
日産自動車の西川社長は、先日の決算会見で、来週、国土交通省に対して、不正の原因または再発防止策についての報告をしたいと発言をしていました。
それに対して大臣としては、一連の事案を踏まえまして、報告書にどのような点が盛り込まれる必要があるかとお考えになるか、御所見をお伺いします。
(答)11月8日の日産自動車の中間決算会見において、西川社長が、来週を目途に国土交通省に最終報告書を提出したい旨の発言をされたことは承知しております。
9月29日に日産自動車に指示を行った事実関係の詳細調査、再発防止策の検討については、その後発覚した一連の不適切事案を含めまして、1ヶ月を目途に報告するよう指示しているところであります。
日産自動車においては、事案の徹底的かつ詳細な調査を実施し、事実を包み隠さず明らかにするとともに、不適切事案の原因や背景の究明を行い、完成検査を確実に実施するための再発防止策を、しっかりととりまとめた上、報告していただきたいと考えております。
国土交通省といたしましては、今後、立入検査結果の精査や報告内容の詳細を把握・検討した上で、一連の完成検査における不適切事案につき、厳正に対処してまいりたいと考えています。

(問)インバウンドの関連でお伺いいたします。
訪日外国人旅行者数ですが、先月までで2119万人余りでありまして、このままの推移でいきますと、今月あるいは先月末あたりで、昨年を超えるのではないかと思うのですが、現在の状況についてお伺いいたします。
(答)本年1月からの訪日外国人旅行者数は、法務省の特別な協力をいただきまして、日本政府観光局が独自に推計を行ったところ、11月4日に昨年の訪日数である2404万人を超えたことが判明いたしました。
観光先進国の実現に向け、政府一丸となった成果が着実に現れているものと考えております。
現在、10月の訪日数について分析中でありまして、現時点で年間の見通しを申し上げることは困難でありますけれども、今後とも、他省庁と連携しながら、新たな観光資源の開拓に向けた取組の加速化や魅力ある公的施設、インフラの大胆な公開、開放などの施策を引き続き積極的に推進していきたいと考えております。
(問)もう1点お伺いします。今の話の続きでもありますが、一方で、訪日外国人消費額8兆円の目標も政府として掲げられていると思いますが、観光庁でも先ほど一部でましたナイトタイムエコノミーでありますとか、あるいはスノーリゾートといったコト消費の拡大に取り組んでおられると思うのですが、今後の取組について改めてお願いします。
(答)昨今、世界における旅行の形態は、団体旅行から個人旅行に、またモノ消費からコト消費に移行しております。「明日の日本を支える観光ビジョン」及びそれを踏まえました観光立国推進基本計画におきましては、2020年の訪日外国人旅行消費額8兆円の目標を掲げておりまして、その達成のためには様々な面で旅行消費を促していく必要があると考えております。
この中で、外国人観光客の消費支出割合に占める娯楽サービス費の割合を見ますと、わが国は2013年時点で約1.1%である一方、米国は2012年時点で10.4%、フランスは2013年時点で7.8%となっておりまして、この分野を伸ばすことが必要と考えております。
このため、国土交通省では、『「楽しい国 日本」実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議』を開催しまして、ナイトタイムエコノミーの振興を含めた新たな体験型観光の充実に向けた具体策の検討を開始したところであります。
来年3月までに、観光資源の体験メニューの充実、体験満足度の向上のための方策につきまして、提言のとりまとめを行うこととしております。
また、冬季オリンピックのアジアでの開催が続く中、アジアのスノースポーツ人口の増加が見込まれることも踏まえまして、わが国のパウダースノーや温泉等の強みを活かしたスノーリゾートを活性化するための検討も、関係省庁や関係機関と進めてまいります。
先ほど申し上げました旅行消費額の目標達成に向けて、体験型観光の充実などの施策展開に向けて、今後とも政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

(問)飛行機からの落下物の関連ですが、11月7日に大韓航空機から部品が落下して見つかっていないという事案が発生しました。
昨今、有識者会議も立ち上げられて、いろいろと対策を検討されている中だと思いますが、改めて、こうした部品落下についてどう受け止められておられるか、また対策の方向性を改めて伺えればと思います。
(答)11月7日に、仁川空港発20時45分成田空港着の大韓航空機について、到着後の機体の点検において、左翼のフラップ(高揚力装置)のゴムシールの欠落が見つかったとの報告がございました。
欠落の原因については大韓航空が現在調査中でありますけれども、国土交通省といたしましては、今回の事案を受けまして、大韓航空に対し原因の分析と再発防止を文書で要請したところであります。
航空機からの落下物につきましては、これまでも未然防止策や事案発生時の対応強化の観点から総合的な対策を検討してきたところでありますけれども、更に対策の充実を図る必要があると認識しております。
今月6日には、有識者や関係者からなる「第1回落下物防止等に係る総合対策推進会議」を開催したところでありますけれども、会議の議論等を通じて、実効性のある落下物対策を検討し、更なる対策強化に努めてまいりたいと考えております。

(問)群馬県の上野村で8日にヘリが墜落して、4人の方が亡くなる事故がありました。
この事故についての受け止めと、再発防止に向けて何か動きがあるかどうか、伺います。
また、フライトレコーダーがこの機体については積まれていなかったという事実が判明していますが、古い機体に対するフライトレコーダーの搭載等、お考えがあればお聞かせください。
(答)11月8日に群馬県多野郡上野村において、東邦航空が運航するヘリコプターが墜落し、搭乗されていた4名が亡くなるという航空事故が発生しました。まず亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げたいと存じます。
今回の事故を受けまして、運輸安全委員会が航空事故調査官を現地に派遣し、昨日より調査を行っております。
早期の原因究明に向け、調査が進められるものと承知しております。
また、国土交通省では東邦航空に対し、運輸安全委員会の調査の進捗に応じた必要な措置を講じるとともに、その進捗を待たずして想定し得る原因を考慮して当面の再発防止策を検討し実施するよう、事故発生当日に指示しています。
国土交通省では、運輸安全委員会の調査の進捗等を踏まえ、適切に対応していきたいと考えております。
それからフライトデータ・レコーダーの件ですが、フライトデータ・レコーダー及びコックピット・ボイスレコーダーの搭載については、国際民間航空機関の国際標準を踏まえ、わが国において義務づけの対象となる航空機の範囲や、その機器の性能を定めております。
最大離陸重量が7トンを超えるヘリコプターについては、最初の耐空証明等の取得日が平成3年10月11日以降のものを対象に搭載を義務づけておりますが、今回の事故機については、昭和63年に耐空証明を取得していたものであり、対象外であったということです。
(問)その範囲を広げてというのは今のところ考えていらっしゃらないということでよろしいでしょうか。
(答)これについては航空局、どうでしょうか。
(事務方)先ほど大臣から説明があったとおり、国際標準に基づいて義務づけの対象としておりまして、メーカーなどもそれに対応して作っているということでございます。
範囲につきましては、今回のヘリ墜落事案とは関係ないのですが、簡易型のフライトレコーダーにつきまして、来年度、実証実験の予算要求をさせていただいております。
そうしたことも考えまして、また国際標準の動きも考えながら考えていきたいと思います。

(問)航空機からの落下物ですが、港区で走行しているバスでも最近、羽田着の航空機を対象とした落下物対策のPRがなされておりますが、落下物で困るのは港区だけではなく成田空港であれ、関西国際空港であれ同じです。
主に落下物は、到着機からよりも、出発便からのものが多いようですが、事前に検査して出発させるような体制は、考えられないものでしょうか。
(答)本年9月に航空機からのパネルの落下事案が相次いだことなどから、国民の皆様から強い不安の声が上がっており、落下物対策の更なる強化が必要と考えております。
先ほど申し上げました、今月6日に、第1回落下物防止等に係る総合対策推進会議が開催されまして、いろいろな御意見をいただいております。
その中で、発生部位等の傾向を踏まえて、地道に対策を講じれば、落下物をある程度防止でき、航空の信頼確保に向けて関係者が同じ方向を向いて連携して対策を講じるべきといった御意見もいただいております。
今後この会議により、関係者が一丸となって落下物を防止するための実効性のある対策が速やかに講じられることを期待したいと考えております。

(問)昨日、出国税について観光庁長官の方に中間とりまとめの提言書の手交があったかと思いますが、日本人からも現在徴収を検討しているということで、LCC等の普及で若者や低所得者の海外旅行に行く機会が増えている中で、1000円という負担を新たに求める、増税になるということについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
また定額徴収となると、低所得者ほど相対的に税の負担が大きくなる逆進性の問題もございます。
その点についても併せて御意見を伺いたく存じます。お願いいたします。
(答)日本人も負担をするということと、LCC等への影響という2つですね。
まず日本人出国者も負担をするということについてでありますが、税方式となった場合は、日本人出国者からも御負担をいただくことになりますが、この点については検討会でも様々な御意見があったと聞いております。
今回のとりまとめにおきましては、まず国際観光振興が経済成長とともに国際相互理解の増進やわが国の国際社会における地位向上にも極めて重要な役割を果たしており、健全な国際観光市場全体の成長には、双方向の交流拡大を目指さなければならないとしております。
また、訪日外国人旅行者が増加し、自然・文化・気候・食の体験等によりわが国への理解を深めることは、草の根レベルで外交や安全保障を支える礎となるとともに、わが国のブランドイメージの向上等につながり、日本人に対しても外国旅行時の観光やビジネスをはじめ、様々な局面で恩恵をもたらすとされております。
その上で、どのような対象に負担を求めるかという点については、今回の財源が、空港・港湾の出入国環境の円滑化・利便性向上等の施策に充てられ、国際空港・海運ネットワークの維持・拡大にも資することを踏まえれば、わが国と外国の往来の起点である出入国という行為に着目し、広く薄く負担を求めることは、受益との関連でも一定の合理性があるとしております。
例えば、最新技術を活用したCIQ体制・保安体制・チェックイン手続きによる安全・安心な出入国手続きの円滑化が実現し、インバウンド増大に伴う様々な観光施策を通じて航空ネットワークが拡大することによりまして、日本人・外国人の出国者はともにメリットを享受するものと考えられます。
また、日本人出国者に対しては渡航先における邦人保護対策等の充実により、その負担を還元することも考えられるのではないかという御意見もありました。
いずれにいたしましても、具体的な施策については、財源が確保されることとなった段階で、予算編成過程において政府部内で調整することになるものと考えておりますが、関係者の御理解をいただけるよう、引き続き説明をしてまいりたいと考えております。
それからLCC等への影響ということでありますが、今回の財源の検討は、観光ビジョンに掲げられました2020年4000万人、2030年6000万人などのインバウンドの目標達成等に向けて、高次元の観光施策を実行するための財源確保を目的とするものであります。
このため、インバウンドの伸びに水を差すことは本末転倒であるとの認識の下、特に訪日旅行需要への影響については、検討会においてもLCCや日韓航路を運航する事業者からヒアリングを行っております。
事業者からは需要への影響について、適切な使途であれば、中長期的にはプラスの影響が期待できるとの御意見が多かったと聞いております。
このほか、国際観光旅客の獲得において競争関係にある近隣アジア諸国との競争環境についても配慮が必要との御意見や、訪日旅行支出全体に占める割合からは、1000円以内であれば需要には大きな影響はないのではないかという御意見がありました。
このため、この度のとりまとめにおける負担額の水準として、「近隣アジア諸国との競争環境や訪日旅行需要への影響等を考慮」し、「1人1回の出国につき1000円を超えない範囲」という表現になったと認識しております。
今後、財源が確保されることとなった段階では、事業者からの御意見も踏まえて、訪日旅行需要を喚起し、政府目標の達成につながるような施策を講じていくこととしたいと考えております。

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