大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年1月12日(金) 10:30 ~ 10:51
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、私の方から特に御報告するものはございません。
このほか、私の方から2点御報告がございます。
1点目は「2017年の訪日外国人旅行者数について」であります。
2017年の訪日外国人旅行者数につきましては、2017年12月末までの1年間で約2869万人、対前年比19.3%増となったことが判明いたしました。
安倍政権発足以降、政府一丸となって、観光を地方創生の切り札、わが国の成長戦略の柱と位置づけ、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充など、これまでにない大胆な取組を矢継ぎ早に実行してまいりました。
これに加えまして、CIQや多言語表記をはじめとした受入環境整備関係者の御協力や、JNTOをはじめとしたインバウンド関係者によるプロモーション等もありまして、この訪日者数の増加に繋がったものと考えています。
他方、外国人旅行者の個人旅行化・コト消費化が進んでいる中で、様々な課題も見えてきております。
このため、今後、2020年訪日外国人旅行者数4000万人等の目標に向けまして、政府を挙げて、更に高い次元の観光施策への取組を加速させていく必要があると考えております。
詳細は来週の観光庁長官の会見にて説明をさせていただきます。
2点目は「海外出張について」であります。1月15日から18日にかけて米国を訪問いたします。
今回の出張では、1月16日にワシントンD.C.において開催される「日米インフラフォーラム」に出席し、イレイン・チャオ運輸長官及びベン・カーソン住宅都市開発長官との政策協議も実施する予定であります。
日米インフラフォーラムは、日米経済対話を通した協力の一環として、昨年10月にチャオ運輸長官と私が署名した交通インフラ分野での覚書に基づいて初めて開催するものであります。
日米の産官学の関係者が一堂に会し、インフラメンテナンスやPPP分野での日米それぞれの知見を共有することを目的としています。
チャオ長官、カーソン長官との会談では、昨年10月に署名した交通インフラ分野での協力覚書や高齢者の住まいに関する共同研究等について意見交換したいと考えております。
詳細は後ほど資料を配付します。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)訪日外国人についてですが、昨年2869万人ということで、5年連続過去最高を更新したことになりますが、これについての所感と、御発言ありましたけれども、今後の4000万人に向けての更なる需要掘り起こしに向けた重点課題は何だとお考えか教えてください。
(答)2012年に836万人であった訪日者数が昨年2869万人と、5年で約3.5倍になったことは、安倍政権の取組が成果となって現れているものと認識しております。
一方で、外国人旅行者の個人旅行化・コト消費化が進んでいる中で、様々な課題も見えております。
このため、今後2020年訪日外国人旅行者数4000万人等の目標に向けて、政府を挙げて、更に高い次元の観光施策への取組を加速させていく必要があるものと考えております。
(問)特に重視したい国ですとか、どういったスタイルに対応したいといったことはあるのでしょうか。
(答)昨年2017年は、アジア地域からの訪日外国人旅行者数が大きく伸びた一方、欧米豪の地域におきましても順調に増えております。
2020年の訪日外国人旅行者数4000万人等、観光ビジョンに掲げられた目標を達成するためには、今後も、幅広い国や地域から旅行客を確実に増加させていくことが必要であります。
そのため、アジアからの個人旅行客やリピーター客の取り込みに加えまして、欧米豪における認知度の向上や、デジタルマーケティングの本格導入等を通じたプロモーションの高度化により、訪日需要を掘り起こしていきたいと考えております。

(問)来週の17日で阪神・淡路大震災から23年になりますが、直下型地震ですとか、首都直下地震への備えとして、住宅の耐震化ですとか木造密集市街地の対策ですとか、今後の重点課題についてどのようにお考えでしょうか。
(答)阪神・淡路大震災のような地震災害から国民の生命・財産を守るため、様々な取組を進めていくことが重要であります。
まず、住宅・建築物の耐震化につきましては、阪神・淡路大震災を契機として、平成7年に制定された耐震改修促進法に基づき、平成32年までに耐震化率を95%とすること、特に住宅については平成37年までに耐震性が不十分な住宅を概ね解消することを目標としております。
平成25年時点の耐震化率は住宅が約82%、多数の者が利用する建築物が約85%にとどまっていることから、地方公共団体の更なる普及・啓発の取組を前提としました、より分かりやすい総合的な補助メニューを平成30年度予算案に盛り込むなど、一層の取組の充実を図ってまいります。
地震時等に著しく危険な密集市街地につきましては、平成28年度末時点で約4000ヘクタール存在しておりまして、最低限の安全性を確保し、平成32年度末までに概ね解消するとの目標を「住生活基本計画」において定めているところであります。
このため、道路・公園の整備や建築物の不燃化等について支援しており、更に現在、より延焼防止性能の高い建築物への建替を促進するため、建ぺい率規制の緩和などの建築基準制度の見直しに向けて取り組んでいるところであります。
道路橋の耐震化については、緊急輸送道路について優先的に耐震対策を進めており、現在、落橋を防止する対策はほぼ完了するとともに、被災後、速やかに機能を回復させることを目指した対策は77%完了しているところです。
高速道路や直轄国道につきましては、少なくとも大規模地震の発生確率が高い地域におきまして、平成33年度までに完了するよう、耐震補強を計画的に進めているところであります。
無電柱化につきましては、道路の防災性等の向上の観点から電線共同溝事業等を推進しておりまして、更に電柱の倒壊により救援・復旧活動に支障を及ぼすことを防ぐため、直轄国道をはじめとする緊急輸送道路等約3万4000kmにおきましては、電柱の新設を禁止する措置を講じられたところであります。
今後、同様の措置を講じていない地方公共団体へ普及を図るとともに、既設電柱の占用制限についても検討してまいりたいと考えております。
今後とも引き続き、住民の方の理解を得るとともに、地方公共団体等とも連携を図りながら、今申し上げたような施策にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

(問)地震関連でもう1点お尋ねします。
5日に緊急地震速報が結果として過大予測となって出された件について、大臣の受け止めをお願いいたします。
また、改善など精度向上に向けて対応しているのであれば、併せて教えてください。
(答)1月5日11時02分に発生しました、茨城県沖の地震と富山県西部の地震について、気象庁の緊急地震速報システムにおいて、同一の地震として処理してしまった結果、関東地方を中心に震度を過大に予測した緊急地震速報を発表しました。
緊急地震速報は極めて短時間に揺れを予測するために、技術的に限界はありますけれども、社会的に影響の大きい情報でありますので、予測精度の向上が課題であると認識しております。
気象庁では、1月10日の「緊急地震速報評価・改善検討会」において、改善方策に関して有識者からの意見聴取を行ったところであり、2月のこの検討会の技術部会において、具体的な予測手法の改善を検討することとしております。
3月下旬には、震度を適切に予測するための機能強化、ソフトウェアの改修等を行うこととしております。
予測精度については、引き続きその向上に取り組んでまいりたいと考えております。

(問)話題変わりまして、別件でもう1点お尋ねします。
15日で軽井沢スキーバス事故から2年となります。
改めて大臣の所感と、国土交通省のこれまでの対応・対策についてお聞かせください。
(答)来週1月15日で、軽井沢スキーバス事故の発生から2年となります。
改めて事故で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々の1日も早い快復をお祈り申し上げたいと存じます。
当日は私、海外出張の出発日に当たるため、秋本大臣政務官が事故現場を訪問し、献花をさせていただくことを予定しております。
国土交通省では、こういった事故の再発防止の徹底を期すために、事故発生直後に有識者からなる「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」を設置しまして、平成28年6月に85項目に及ぶ総合的な対策をとりまとめまして、これらを着実に実施してきたところであります。
具体的に申し上げますと、昨年4月からは、改正道路運送法により導入いたしました、貸切バス事業許可の更新制を開始いたしました。
昨年8月からは、各ブロックに設けられた適正化機関による貸切バス事業者の巡回指導を開始いたしました。昨年12月からは、運行管理者の必要選任数の引き上げを行いました。
更に今月からは、改正旅行業法に基づくランドオペレーター、旅行サービス手配業の登録制を開始したところです。
国土交通省といたしましては、軽井沢スキーバス事故のような悲惨な事故を2度と起こさせないとの強い決意を新たにしまして、貸切バス事業者等の関係者とともに、引き続き総合的な対策を着実に推進しまして、貸切バスの安全・安心の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

(問)JR北海道の赤字路線の見直しを巡って、本日、国と北海道、JR北海道が3者による協議の場を初めて設けるということですが、議論に臨む目的ですとか基本姿勢はいかがでしょうか。
また、今の状況で聞くのは時期尚早かも知れませんが、いつ頃までに結論を得たいとお考えか、お聞かせください。
(答)本日、国土交通省、北海道庁、JR北海道の3者で、JR北海道の事業範囲の見直しや経営自立に向けた方策について、幅広く意見交換を行うこととしております。
今後も必要に応じて、このような意見交換の場を設けまして、北海道庁及びJR北海道と密接に連携しながら、夏頃までに、大まかな方向性についてとりまとめてまいりたいと考えております。
(問)今の関連ですが、JR北海道への支援スキームとして、北海道とJR北海道からは、鉄運機構の特例勘定の活用ですとか、過疎対策事業債の活用ですとか、輸送密度2000人未満の路線の上下分離方式などの要望が上がっています。
これに対して大臣はどのようにお考えなのか。
あと、JR北海道は輸送密度2000人未満という線引きで経営から切り離したいというのが今のところの考えなのですが、このJR北海道の方針について大臣は容認されるのかどうか。
仮定の質問にはなるのですが、輸送密度2000人未満の路線は他のJR各社にも、計算では3700km以上あるのですが、JR各社が今後、2000人未満線区の切り離しだとか上下分離を提案した場合、大臣として容認していくお考えがあるのかどうか、お知らせください。
(答)JR北海道の置かれている厳しい状況を踏まえまして、今後、北海道の各地域において、持続可能な交通体系を構築していく必要がございます。
北海道庁やJR北海道からの提案や要望も含めまして、様々な方策について幅広く検討を行ってまいりたいと考えております。
また、上下分離方式など地域における路線のあり方や持続可能な交通体系を構築するための方法につきましては、地域の関係者の間で、しっかり話し合っていただくことが重要と考えております。

(問)訪日客についてですが、もしかしたらまだなのかも知れませんが、消費額4兆円を超えるとの見通しを既に示されてますけれども、足下の最新の情報など、もしございましたら教えていただきたいのと、先ほども仰っていますけれども、促進策についても可能であれば教えてください。
(答)旅行消費額については、来週の観光庁長官の会見で公表する予定ということで、私はまだ知っておりません。
それから先ほど申し上げたように、2020年インバウンド4000万人等の目標を達成するためには、今後も幅広い国や地域から旅行客を確実に増加させていく必要があります。
昨年末に開催しました観光戦略実行推進タスクフォースにおきまして、新幹線におけるWi-Fiの整備など、世界最高水準の旅客サービスを目指すことですとか、バーチャルリアリティーといった最新の技術を活用して、わが国の文化財などの観光資源をより魅力的に紹介する取組を進めるべきことですとか、あるいは文化財や国立公園の紹介の多言語化をスピード感を持って進めるべきことなど議論したところでして、こういった高い次元の観光施策をしっかりと実行してまいりたいと考えております。

(問)昨夜から新潟県三条市で、JR信越線が線路上で動けない状態になっているかと思いますが、今把握されている事実関係と、国土交通省としての対応についてお聞かせください。
(答)1月11日、昨日JR東日本信越線東光寺駅から帯織駅間において、雪のため列車が動けなくなり、現在も同駅間に停車しております。
NHKさんの速報によると、当該車両が移動を開始したようですが、JR東日本からは、現在除雪車による除雪作業を行っているとの報告を受けております。
国土交通省としましては、JR東日本に対して今回、乗客の救済や運転再開に時間を要したことについて、しっかり検証するとともに、再発防止策を講じるよう指示しました。
また、これから雪が強くなることも予想されますので、明日は大学入試センター試験が予定されていることから、今後の運行情報の適切な提供や長時間の駅間停車が生じないような運行を指示しました。

(問)今朝、閣僚会議で鳥インフルエンザの対応があったかと思うのですが、国土交通省での指示や対応状況についてお伺いします。
(答)国土交通省では、総理指示を踏まえまして私から情報収集や所管事業者等への情報提供、またリエゾン派遣など、関係自治体との密接な連携、自治体からの支援要請に備え、照明車等の資機材の派遣のための準備、防疫措置への協力について所管事業者に指導等について、関係当局に既に指示したところです。
現在、四国地方整備局及び四国運輸局よりリエゾン、連絡員を香川県及びさぬき市に派遣しております。
また、防疫措置支援のための資機材、投光器ですとかフォークリフトですが、香川県からの要請に基づき派遣しております。
更に、今朝開催された関係閣僚会議を受け、直ちに省内の幹部会議を開催し、情報の共有を行うとともに、今後地元自治体等の要請に対し、関係局が密接に連携して迅速な対応を行うことを確認しています。
更なる感染拡大の防止のため、関係省庁と緊密に連携し、可能な限りの協力をしてまいりたいと考えております。

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