大臣会見

石井大臣会見要旨

2018年8月3日(金) 10:38 ~ 10:54
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、私の方から1点御報告がございます。
本日、平成30年度予備費の使用について、閣議決定が行われました。
国土交通省関係では、昨日、政府としてとりまとめました「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」を踏まえ、計61億円を計上しております。
具体的には、災害を受けた地域において、市町が行う堆積した土砂の撤去に要する経費、災害を受けた河川について、国や県が行う河川の浚渫及び樹木の撤去に要する経費、災害を受けた地域において、国が実施するまち・住まいの復旧・復興調査に要する経費、深刻な影響を受けた観光業の風評被害を払拭するために、府県が行う中国地方等の観光支援等に要する経費の4つの取組であります。
今回の予備費や当初予算の災害復旧等の経費を十分に活用いたしまして、引き続き、被災地の早期の復旧・復興に取り組んでまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)冒頭に御発言のありました「生活・生業再建支援パッケージ」について質問いたします。
これを踏まえて予備費の使用を決定したとのことですが、このうち国土交通省関係の具体的な事業内容についてお願いします。
(答)昨日、政府としまして、被災地の生活の再建と生業の再建に向けて、緊急に対応すべき施策を「生活・生業再建支援パッケージ」としてとりまとめました。
被災地を覆う多くの土砂の処理や住宅再建、観光業の風評被害対策、河川の浚渫などが、今後取り組むべき重要な課題であると考えております。
今回の予備費では、当該パッケージを踏まえまして、国土交通省関係では、計61億円を計上しております。
具体的内容を申し上げますと、第一に、まちなかに堆積した廃棄物、がれき、土砂につきまして、環境省と連携し、まずは市町村が地区単位で一括撤去し、後から国土交通省と環境省で費用を精算することを可能とする、撤去の迅速化と市町村の負担軽減を目的とした「新たなスキーム」を推進いたします。
その一環として、広島市などの3市4町で「堆積土砂排除事業」を実施いたします。
第二に、住宅の再建について、特に被災が集中した地区について、被災自治体を積極的に支援いたしまして、まち・住まいの早期復旧・復興につなげるため、国が被災自治体と連携しまして、被災状況や地元の意向に応じた復旧・復興手法を検討する直轄調査を実施いたします。
第三に、観光業の風評被害対策について、観光需要のピークである8月、9月に観光需要を迅速に喚起するために、熊本地震等の際に実施してきました旅行商品の割引、いわゆる「ふっこう割」より即効性のある宿泊料金の低廉化支援など、各府県の判断による地域の実情やニーズにきめ細かく対応した対策を実施します。
第四に、災害応急復旧につきまして、甚大な浸水被害が発生し、台風期に備え、早期に治水安全度の向上を図る必要がある、国管理河川の高梁川、肱川等の4河川並びに岡山県、広島県及び愛媛県の管理する河川におきまして、河川の浚渫及び樹木の撤去を緊急的に実施をいたします。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係府省及び自治体と連携しながら、被災地の生活の再建と生業の再建に向けまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

(問)今の西日本豪雨に絡み、昨日、広島県が、野呂川ダムについて、緊急放流が規定に反していた可能性があると発表しています。
これに対する大臣の受け止めと、国として対応することがあれば教えてください。
(答)野呂川ダムは、2級河川野呂川水系野呂川に設置された、広島県が管理するダムです。
御質問の件につきましては、広島県からは詳細な報告を受けておりませんけれども、「平成30年7月豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害のあり方検討会」を広島県が設置いたしましたので、その中で今回の記録的な豪雨におけるダム操作についても検証を行うと聞いております。
国土交通省としましては、この検討会の委員として国土技術総合研究所や地方整備局等の職員を派遣することとしておりまして、県と一緒に検証等を行ってまいりたいと考えております。

(問)毎年この時期になると伺っていますが、自賠責保険の繰戻しの件であります。
昨年、大臣と麻生大臣の折衝で、23億2000万円繰戻しになったということなのですが、やはり2年連続してやらないと被害者救済はできないと思っております。
大臣の今年にかける決意を伺えればありがたいです。
(答)一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しにつきましては、財務省と協議を行った結果、平成30年度予算において、23.2億円の繰戻しが行われることとなりました。
これは平成15年度以来、実に15年ぶりでありまして、交通事故被害者の皆様や、その御家族の不安の声にもお応えする、重要な一歩となったと考えております。
財務大臣との間で交わした新たな合意におきましては、平成31年度以降の毎年度の繰戻額について、「被害者等のニーズに応じて被害者保護増進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう十分留意しつつ」、協議の上、決定することとするなど、従来よりも踏み込んだ内容となっております。
一般会計への繰入金については、被害者保護増進事業等の貴重な財源であり、被害者及びその御家族の皆様の声に応えまして、今後も着実に繰戻しがなされるように、新たな合意に基づきまして、まずは平成31年度の予算要求において、財務省とよく協議してまいりたいと考えております。

(問)新東名高速の件で、昨日の社整審道路分科会の部会で6車線化が妥当だと判断されました。
これに関して、現在見込んでいる完成目標を含めたスケジュール感と整備効果をお聞かせください。
(答)新東名および新名神高速道路につきましては、今年6月に閣議決定されました「未来投資戦略2018」も踏まえまして、ダブル連結トラックの導入やトラック隊列走行の今後の実現も見据えまして、6車線化など既存ストックを活用した機能強化が必要と考えているところであります。
このうち、特に東名高速の静岡県区間の課題が大きいことから、新東名高速道路の御殿場ジャンクションから浜松いなさジャンクションの6車線化について優先的に取り組むことといたしまして、昨日の社会資本整備審議会事業評価部会において審議され、了承いただいたところであります。
今後速やかに、関係自治体に意見聴取の上、高速道路会社と高速道路機構の協定を踏まえた申請に基づきまして、事業許可等の手続きを進めてまいります。
目標でありますけれども、概ね2年後から順次共用することを見込んでおりますけれども、詳細については今後精査していきたいと考えております。
また、効果ということでありますが、東名、名神および新東名、新名神は全国の高速道路のうち延長は7%なんですけれども、貨物輸送の約半数が利用しているということで、物流において非常に重要な役割を果たしております。
新東名6車線化により走行性が向上することに加えて、先程申し上げましたように、ダブル連結トラックやあるいはトラック隊列走行を今後実現しようといたしますと、低速度の大型車と高速度の普通車が混在することになるわけですが、その混在を減少させることができる、4車線から6車線にすることによって。
混在の減少やあるいは大規模災害時などのリダンダンシーが強化されることによって、東名と新東名のダブルネットワークの安定性・効率性の更なる向上が期待をされるところと考えております。

(問)個人的にはキューバのグランマ通信の日本特派員をやっていますが、会社としては霞が関通信という会社をやっています。
この会社で、前の副大臣をされていた松島みどりさんとか、また、国土交通省の政務官をされていた藤野公孝さんを、顧問・会長に戴きながら定期航空政策研究会というのをやったんです。
これで何回も大臣にお願いしたのですが、いわゆる在日大使館から、東京オリンピック・パラリンピックの開催前に、なんとか羽田の空港を旅客便専用にしないと、今の成田1本だけでは、絶対問題が起こるんじゃないかという指摘を受けております。
何回かこの話をさせていただきました。
先週、エアカナダが成田空港で、小さな滑走路、1400mのLCC専用の航空滑走路に入ってですね、リターンができなくて、数時間、航空機の到着、発着が遅れたと。
1本しか正規の4000mの大型機用の滑走路がないからそうなったんです。
これは、航空会社がそうですし、先般の大阪の、関西の地震を見ましても、津波、地震で、大量の都会、いわゆる都内に住んでいる人たちが帰っていくだけでも大変ですのに、これが個々に滞在するオリンピック・パラリンピックのお客が成田までたどり着くというのは、そういった自然災害が起こった場合は、トラブルが起きるのは火を見るより明らかです。
ですから、やはりこの1、2年、この東京オリンピック・パラリンピックが開くまでに、何としても羽田の空港を旅客便専用空港にして、滑走路が4本、5本あるんですから、それに対応できるし、また、いざとなっても歩いてでも行けるような距離ですので、いざとなったときにそういったトラブルが発生しないと思うのですが。
我々の会の声、大使館から何とかしてくれという声を受けているものですから、今一度、大臣に検討するようなことを考えていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)何回かこの場でお答えしたかと思いますけれども、各国から羽田空港への乗り入れの希望はたくさん寄せられておりますけれども、今の状況では、とても満杯で御要望に応えできない状況でありますから、今、南風時に都心上空を通る新たな飛行ルートを設定して、年間3.9万回の発着回数を増やそうという取組をさせていただいているところであります。
地元の皆様に丁寧に説明を重ねているところであります。
これができたとしても、すべての御要望を消化することはとても難しいのですけれども、かなりの御要望はカバーできるのかなと思っております。
また、成田の方も、現状の2本の滑走路の運用の見直しによって離発着回数を増やすほか、中期的には3番目の滑走路を整備するということで大幅に離発着回数を増やそうという取組をしておりますので、羽田、成田合わせて首都圏空港として、年間この2つの空港で百万回の発着回数を目指そうと、そういう取組をしているところではありますが、今のところ、羽田を旅客専用という検討は行ってはいないところであります。

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