大臣会見

石井大臣会見要旨

2019年5月31日(金) 9:05 ~ 9:19
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から報告するものはございません。
このほか、私の方から1点報告がございます。
「スマートシティモデル事業の選定」についてであります。
国土交通省では、3月15日から4月24日まで、民間企業、地方公共団体等からなるコンソーシアムを対象に、モビリティ、防災・インフラ、エネルギー・環境などの分野におきまして、新技術・官民データを活用し、都市や地域の抱える課題解決を加速化させるスマートシティモデル事業の公募を行ったところ、73件の御提案をいただきました。
これを受けて、有識者の方々の御意見を伺い、今後の進め方を次のとおりとすることといたしましたので御報告いたします。
まず、事業の熟度が高く、全国の牽引役となる先駆的な取組を行う「先行モデルプロジェクト」を15事業、選定いたしました。
「先行モデルプロジェクト」につきましては、スマートシティ実証調査予算等を活用いたしまして、今年度からの新たな取組みへの着手、事業の成果やボトルネックの調査分析等に対し国が支援を実施するとともに、プロジェクトで得られたノウハウについて全国に横展開を図ります。
また、「先行モデルプロジェクト」に加えまして、国が重点的に支援を実施することで事業の熟度を高め、早期の事業化を促進していく「重点事業化促進プロジェクト」を23事業、選定いたしました。
「重点事業化促進プロジェクト」につきましては、専門家の派遣、計画策定支援等を実施していきます。
更に、これら2つのプロジェクトを含めまして、今回の御提案のうち一定のレベルと意欲が確認できたコンソーシアムにつきましては、「スマートシティ推進パートナー」といたしまして、ともにスマートシティの進化を目指すこととし、今後、内閣府、総務省と共同で立ち上げを検討しております官民連携のプラットフォームにも参画いただいて、関係府省で連携して支援をしていきたいと考えております。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上であります。

質疑応答

(問)先ほど冒頭説明がございましたスマートシティの関連ですけれども、最後の方に官民連携のプラットフォームを立ち上げると仰いましたが、その狙いと構成などについて、より詳細にお願いいたします。
(答)先般4月19日の経済財政諮問会議におきまして、総理から、IoT等の新技術を活用したスマートシティをまちづくりの基本とし、便利で快適なまちづくりを、関係閣僚と連携し、戦略的に推進するよう、国土交通大臣に対して指示があったところでございます。
世界各地でスマートシティの取組が進む中で、わが国が取組の先導役を果たしていくためには、官民の知恵やノウハウを結集することが重要であることから、今般、内閣府、総務省、国土交通省の3府省が共同で、スマートシティ推進のための新たな官民連携プラットフォームの立ち上げを検討しているところであります。
今回、国土交通省のモデル事業に提案があった地方公共団体、民間企業等のコンソーシアムのうち、一定のレベルと意欲が確認できたものは「スマートシティ推進パートナー」として、このプラットフォームにも御参画いただきたいと考えております。
立ち上げ目標時期等の詳細につきましては、関係者で調整を進めておりまして、夏頃を目途に、できる限り早く設置したいと考えております。

(問)29日にレオパレス21が、外部調査委員会が建築確認の虚偽申請が組織的に行われていたと、そういったことなどを認めた最終報告書が公表されました。
こういったこの最終報告について大臣の所感がどうなのかということと、また、同社が取締役を刷新して、経営体制を見直して信頼回復につなげるとしていますが、これについても大臣のお考えをお願いします。
(答)レオパレス21が施工した共同住宅の事案について、同社が設置した外部調査委員会による調査報告及び同社の再発防止策等の報告が、5月29日に国土交通省にありました。
報告書は一昨日受け取ったばかりでありますが、原因究明結果の報告の中では、初期の一部シリーズについて、全社的かつ組織的に事実に反する記載を行って確認申請図を作成していたなどと組織的な不正が認定されており、極めて遺憾で、言語道断であると思います。
国土交通省といたしましては、今後、国の外部有識者委員会において、報告を受けた原因究明結果等の内容を検証いただき、工事監理や建築確認検査のあり方を含めまして、国としての再発防止策の検討を行っていただく予定であります。
委員会よりいただく予定の提言を踏まえて、必要な対策を講じてまいります。
また、民間企業の役員人事に対するコメントは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、所有者・入居者等の不安の払拭に向けて、新しい体制の下で適切な対応がなされるよう、引き続き厳しく指導してまいりたいと考えています。

(問)先日、川崎市で児童らが襲われる事件が起きましたけれども、それを受けて、先日、関係閣僚会議もありましたが、国土交通省として改めてどのような対策をされる方針なのかお考えをお聞かせください。
(答)29日に開催されました「登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議」におきまして、安倍総理からは、徹底した捜査による全容解明と関係省庁との情報の共有、通学路の安全確保の徹底、不審者情報の共有と迅速な対応の徹底の3点について御指示がございました。
国土交通省では、これまでも、昨年度「登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議」でとりまとめられました「登下校防犯プラン」に基づき、関係施策を推進しております。
今回、川崎市で発生した事件につきましては、現在、警察において、犯行の動機・背景を含め、その全容解明に向けて捜査が行われていると承知しております。
国土交通省といたしましては、今後、関係省庁と連携いたしまして、更なる対策を検討するとともに、引き続き、学校関係者等からの相談には積極的に対応してまいりたいと考えています。

(問)所有者不明土地の問題について伺います。
所有者不明土地の利用円滑化特別措置法が明日6月1日から全面施行となりますが、利用権の設定数を10年間で累計100件とする目標の達成ですとか、不明土地問題の根本的な解消に向けてどのように取り組まれるのか大臣の所感をお伺いします。
(答)地域福利増進事業などの新制度の円滑な施行に向けましては、ガイドラインの整備や地方公共団体への説明会の開催等を行ってきたところであります。
今後は、地方整備局ごとに地方公共団体、法務局等と連携して設置いたしました地方協議会を通じて、地方公共団体への支援や、モデル事業による先進事例への支援等により、制度の活用を促進してまいりたいと考えています。
また、所有者不明土地の発生抑制・解消に向けての抜本対策につきましては、政府一体となって取り組んでいるところであります。
法務省におきましては、民法や不動産登記法等の改正に向けた検討が進められていると承知しております。
国土交通省といたしましても、2月の国土審議会のとりまとめで示されました、土地の利用・管理に関して必要な措置の方向性等を踏まえまして、更に検討を深めまして、2020年までに土地基本法を改正するとともに、これを具体化するための施策の検討を進めてまいります。
また、2020年までに国土調査法等を改正いたしまして、地籍調査の円滑化・迅速化を実現してまいります。

(問)昨日、JR東海の会見が行われて、金子社長が、リニアの開業について、未着工がこのまま続くと開業時期に影響を及ぼしかねないという発言をされました。リニアの開業が遅れる可能性に言及したわけですけれども、これについて大臣の受け止めを教えてください。
(答)リニア中央新幹線につきましては、全長、品川・名古屋間ですね、約286kmのうち、約半分の区間で工事契約が締結され、2027年の開業を目指して工事が本格化しているところであります。
このうち、静岡工区につきましては、工事契約は終了していますが、現在、トンネル掘削に伴う大井川の減水に関して、水資源の確保や自然環境の保全等の観点からJR東海と静岡県との間で協議が進められているところであり、トンネル掘削工事には至っていないものと承知しております。
静岡工区を含むリニア中央新幹線の事業では、トンネル掘削に伴う水資源への影響等が懸念されていることから、JR東海に対しましては、地元の理解を得ながら、環境保全についての配慮が適切になされるよう求めてきたところであります。
リニア中央新幹線は、国民生活や経済活動に大きなインパクトをもたらす重要な事業であり、予定通りの開業への期待が大きいことから、JR東海及び静岡県においては、引き続き大井川の減水等に関する協議を鋭意進めていただきたいと思っております。

(問)それに加えて、何か政府の方からJR東海と静岡県の間に入って調整を行ったりする考えはありますでしょうか。
(答)国土交通省としても、この静岡工区の工事を含む事業全体が円滑に進むよう、引き続き必要な調整や協力等は行っていきたいと考えています。

(問)レオパレス21についてですが、29日に再発防止策と新しい役員人事が発表されましたけれども、同じ日に不適合事案についても判明して、国土交通省の方からも発表がありました。
今後の調査の中で、不適合事案が更に増える可能性も大きくて、更に新しいものも未だ判明するような状態で、こういったレオパレス21の会社としての姿勢とか対応というのが十分であるかどうか、そのように受け止められるか大臣のお考えを教えてください。
(答)レオパレス21において、耐火建築物の界壁に係る新たな不適合事案が判明したことは誠に遺憾であります。
当該事案に関しては、所有者等への説明、特定行政庁への報告、原因究明結果の6月21日までの報告を求めるとともに、夏前に対象物件の調査完了、不適合が明らかとなった物件の10月までの改修完了を指示をいたしました。
レオパレス21に対しては、他にも不適合がないか徹底した調査を行うよう指示しておりまして、所有者・入居者等の不安の払拭に向けて、新しい体制の下で適切な対応がなされるよう、引き続き厳しく指導してまいりたいと考えています。

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