大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年4月24日(金) 10:43 ~ 11:04
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 私の方から3点御報告をさせていただきます。
まず1点目は、JR西日本福知山線脱線事故から15年についてです。
明日4月25日、福知山線列車脱線事故から15年を迎えることとなる訳ですが、まず、事故で犠牲となられました乗客106名の皆さま、そして、15年経った今なお、深い悲しみや苦しみが癒えることのない全ての御遺族の皆さまに心よりお悔やみ申し上げたいと思います。
また、事故で被害に遭われ、その後も治療やリハビリに御苦労されている全ての被害者の皆さま、そしてお支えになられていらっしゃる御家族の皆さまに対しましても、改めてお見舞いを申し上げます。
15年前の事故発生直後に私も同じ兵庫県ということで、現地に入らせていただきました。
凄まじい事故の状況に大変大きな衝撃を受けるとともに、犠牲となられた方の中に多くの地元の方々もいらっしゃるなど、大変、私自身、身近な問題として受け止め、今後このような鉄道事故の再発防止を誓いまして、また、鉄道の安全の実現について、いかにあるべきかということを考える契機となった、大変大きな事故でありました。
今、国土交通大臣として、私は本年の追悼慰霊式に出席させていただき、こうした思いを直接お話しさせていただきたいという強い希望がありましたが、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、本年の追悼慰霊式につきましてはJR西日本において開催されないこととなり、大変残念に思っております。
この事故を受けまして、安全のための社員教育の適正化、また、安全に係る設備投資の充実、これはATS-Pの整備などですが、経営トップのリーダーシップの下で安全管理体制をいかに構築・運営していくかという、運輸安全マネジメント制度の導入などがこの大きな事故を契機に進められたわけであります。
こうした取組は、この痛ましい事故を教訓として行われたものでありますが、引き続き緩むことなく、また、安全神話に陥らないように、鉄道の安全確保のために不断に取り組んでいくことが必要であると改めて痛感しているところです。
この福知山線列車脱線事故という大変痛ましい事故を決して風化させることなく、二度とこのような事故を繰り返さないように、また国民の皆さまが安心して公共交通を御利用していただくことができるように、国土交通省の責任者として全力を挙げて、また省を挙げて公共交通の安全対策に取り組んでまいりたいと決意しているところです。
2点目は、トラック運送業に係る標準的な運賃の告示についてです。
トラック運送業につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、外出が自粛される中、多くのトラックドライバーの方は大変な不安、心配を抱えながらも、国民生活と経済を支えるため、物流を維持するために献身的な御尽力をいただいているところでありまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
他方、トラック運送業では、長年、コストに見合う適正な水準の運賃が収受できていなかったため、ドライバーの皆さま方の賃金水準は全産業平均に比べて低く、また長時間労働の状況も相まって、近年人手不足が深刻となっています。
このまま放置されると、国民の皆さまの生活と我が国の経済への深刻な影響を及ぼすことが大変懸念されるところです。
こうした状況を背景に、一昨年末、議員立法によりまして、貨物自動車運送事業法が改正され、国土交通大臣が望ましい適正な運賃水準を標準的な運賃として告示する制度が創設されました。
国土交通省では、トラック運送業者の適正な運賃収受の下支えとなる環境を整備することによりまして、ドライバーの労働条件を改善し、安定的かつ持続的な物流を確保するため、本日、改正法に基づき標準的な運賃を告示することとなった次第です。
詳細は後ほど資料を配付させていただきます。
3点目は、伊丹空港でのサーモグラフィーの運用開始についてです。
先週金曜日17日より、羽田空港の国内線の保安検査場において、出発する旅客の皆さまに対し、サーモグラフィーによる体温確認を開始しておりますが、本日より、伊丹空港におきましてもサーモグラフィーによる体温確認を開始することといたしました。
これから迎えるゴールデンウィークに際しまして、不要不急の帰省や旅行などの都道府県をまたぐ移動をしないことに加えて、特に発熱のあるような場合には、航空機への搭乗を厳に慎んでいただきたいということを、国民の皆さまに改めて要請させていただきたいと思います。
この件についての詳細は、後ほど資料を配付させていただきます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)与党ではテナント事業者に対して直接支援を、立法措置も含めて考えようという案がでており、また、野党でも賃料の一時的な肩代わりを政府系の金融機関で行うという案が考えられているという動きがありますが、大臣として与野党の動きに対しての御所感と今後の国土交通省の方針を教えてください。
(答)このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、地方自治体から休業要請等によって、飲食店をはじめとするテナント事業者の方々にとりましては、ビルの賃料、テナント料の支払いが大変大きな負担になっているというのは認識しているところです。
そうしたことについて、これまで国土交通省としても不動産関連団体を通して、3月31日と4月は2回にわたって賃料に対する柔軟な対応とそれに対してのオーナーサイドに対する損金算入の実現や国税、地方税の猶予、減免といったことを御報告しているところですが、こうした中でやはり飲食業をされている方にとって、家賃問題というのは大変大きな問題だということで、与野党の中で、今、御質問にありましたような立法措置を含め、様々な支援策の検討がされているというのは聞き及んでおりますが、今、言われたような中身であるかどうかについては、私どもまだ承知をしておりません。
そのことについて何かコメントするということではありませんが、国土交通省としては、これまで申し上げてきたとおりビル賃貸事業者の方々に対して、入居されている飲食業等のテナントの皆さま方が、今回のコロナウイルス感染症の影響によって賃料の支払いが困難な場合には、是非、まず支払猶予などの柔軟な措置を検討いただくよう、改めて要請を行いたいと思っておりますし、また、それに伴う各種の支援策について周知を行っているところです。
この立法府の動きは当然よく見ながら、我々としては引き続き現場の状況をしっかりと把握して、オーナーとテナントの皆さんとの間で円滑に話し合いが行われ、私、以前申し上げましたが、この双方はパートナーシップだと思っておりますので、パートナーシップが維持・強化され、事業継続が確保されるように必要な支援は適時適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)全国知事会が昨日、大型連休中の人の移動を最小限とするために、国が管理する道路の通行規制や駐車場の利用禁止などの特例措置を国に求める緊急提言をまとめました。
感染拡大を食い止めたいという強い思いも感じられますが、大臣の御見解を教えてください。
(答)私どもも、政府全体で大型連休中の人の移動をどう抑制するかというのは大変大きな問題だと思っております。
また、同時に国民の皆さまの生活と経済活動を支えている物流に支障を生じさせないと。
この2つを両立させるような中で最大のことをしていかなければならないと考えております。
これまでも申し上げてきましたが、新型コロナウイルスまん延防止の観点から、都道府県をまたいだ不要不急の移動を自粛することが重ねて重要だと考えており、先日発表したように国土交通省といたしましては、できることということで検討して、高速道路については土曜、日曜、祝日の普通車と軽自動車の3割引、移動を抑制するということで割引はしないという決定をしたところです。
同時にサービスエリア、パーキングエリアにつきましても、レストランや土産物店は営業自粛すると。
長距離ドライバーの方々が休憩することに支障がない範囲で最大限の営業停止を行っていただきたいということです。
これが1つです。
国が管理する国道におきまして、現在、道路情報板で「不要不急の外出は自粛してください」という周知を行うほか、道の駅で同様な呼びかけを既に行っているところです。
他方、国が管理する道路については、道路の中でも重要な幹線道路であり、物流を担うという大変大きな意味があって、物流を確保することは極めて重要であるという観点から、全国の国道を、通行規制を行うことは現実的には大変難しいと考えております。
なるべく高速道路の利用の自粛をできる範囲で行っていただき、同時に国道についても不要不急の移動は自粛していただくということは告知もしますし、また、高速道路のことについてはテレビのコマーシャル等もしっかり行いたいと思っております。
なお、駐車場につきましては、観光等の利用が大半で、物流への影響が小さいと判断できる箇所につきましては、しっかりと閉鎖するという方向で検討してまいりたいと思っております。
引き続き、都道府県の知事さんからの意見を十分にお聞きしながら、都道府県をまたいだ不要不急の移動の抑制に向け、何ができるのかしっかり追及しながら取り組んで、進めてまいりたいと考えております。

(問)建設業界のコロナウイルスの影響についてお尋ねします。
先日も大臣は言及されていたのですけれども、大手ゼネコンの間で感染拡大を受けた工事中止の動きが更に本格化してきました。
感染防止は非常に重要なのですけれども、一方で、出水期を前に災害復旧ですとか、下請への影響ということが懸念されます。
国土交通省としての対応について、お考えをお聞かせください。
(答)大手ゼネコンの一部、一部という表現が正しいかわかりませんが、工事を一時中止するという方針が出て、そうした動きがあることは、当然よく承知していますが、国土交通省の直轄工事におきましては、基本は、受発注者間で協議を行って、受注者から申し出がある場合に、一時中止等を行うということにしておりまして、応急的な対応が求められる災害復旧工事の中止はないと承知しております。
ただし、今後、状況の変化の中で、この災害復旧工事等においても、受注者から一時中止等の申し出があった場合には、事情を十分に聴取しながら、施工体制の工夫等によって、必要最小限の対応ができないか、しっかりと協議をしてまいりたいと思っております。
その中で言われているのは、感染拡大防止で止めるということだけですと、下請の皆さんへの影響について心配されるところですが、こうした工事の一時中止等の際には、下請の皆さんや建設技能労働者の事業、生業の継続に支障が生じることがないよう十分に配慮するとともに、下請契約における工期の見直しや適切な代金の支払いなど、元請と下請の間の取引の適正化については、より一層しっかりと徹底に努めるように求めているところです。
現場で働かれている方に対しましても、今月7日に閣議決定されました緊急経済対策におきまして、雇用調整助成金の拡充も、一人親方を含む個人事業主も対象とした給付金制度の創設、納税の猶予の特例も盛り込まれているところですので、こうしたことも現場の職人の皆さんにも適用できるということも周知、徹底していきたいと考えております。
ですから、必要な工事については基本的にはやっていただけるように頑張りますけれども、受発注者の中で一時中止ということになれば、それはしっかりと丁寧に国土交通省としても対応していくと。
中止しない工事につきましては、これまでもやっていましたが、建設現場の「三つの密」の回避など感染拡大防止対策を徹底すると。
そして、工事の円滑な執行に万全を期すように、これは元請、下請全般に指示が徹底して、ややもすると下請建設企業にしわ寄せが生じることのないように、しっかりと適切な対応を求めてまいりたいと考えております。

(問)長崎港に停泊中のクルーズ船で新型コロナウイルスの感染者が出た件についてですけれども、1隻で集団感染が発生していまして、そこに他に同じ社のクルーズ船が2隻停泊しているということですけれども、国土交通省として対応していることがあれば教えていただきたいと思います。
(答)まず、長崎市内の三菱重工業長崎造船所に2月以降、停泊中のクルーズ船コスタ・アトランティカ号、これは乗客は乗船しておりませんけれども、乗員等623名が乗船されております。
これまでに336名の方に対して検査が実施され、実はこれは本日10時半、県のほうも発表されていると承知しておりますが、91名の方が陽性であったと聞いております。
本件の対応につきましては、関係省庁とも連携しながら、長崎県への支援を行っているところでありまして、国土交通省としては、船舶の技術や運航に知見を有する立場から、長崎県庁へ職員3名を派遣しており、造船所、船会社等との連絡調整等を行っているところです。
国土交通省では、運行会社等に対して、まず、乗員等の行動の正確な情報を開示すること、そして、船内の感染拡大防止のための措置を講じること、及び陰性の方の速やかな帰国について検討することを指示しているところです。
現在、国内に停泊しているクルーズ船についてですが、今申し上げたクルーズ船と同じ三菱重工長崎造船所にはそのほかにイタリア籍船が2隻、広島港にパナマ籍船が1隻、横浜港に日本籍船が2隻、大阪港に日本籍船が1隻、そして、三菱重工横浜製作所に英国籍船1隻、これはダイヤモンド・プリンセス号ですが、修繕等のために停泊しております。
またそれ以外に、昨日、イタリア籍船1隻が給油のため長崎港に入港し、乗員が下船を行わない等の条件の下で、一時的な給油や必要な物資の補給のため停泊をするということで認めたわけですが、本日夕刻出航予定と承知をしております。
引き続き、関係省庁とも連携し、しっかりと適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

(問)2点お願いします。
1点目は、テナントへの賃料助成の部分ですが、1問目にもありましたが、自治体から1兆円の臨時交付金を使って、代理納付の仕組みを活用して賃料助成制度をという要望が不動産業界団体から出ていると思うのですが、この要望に対して大臣の御見解とどう対応されていくのかお願いします。
2点目は、昨夜、皆さんにもメールがいったと思うのですけれども、省内に陽性者が4例立て続けに出ておりまして、他の報道では、10名くらい他にも発熱を訴えている方がいらっしゃるということですが、現状把握されている感染者の状況と今後執務を運営されていく中でどういった対応をされていくのでしょうか。
2点お願いします。
(答)2点目からでよろしいですか。
国土交通省本省におきまして、今週20日月曜日に1名の新型コロナウイルスへの感染が確認をされました。
そして、保健所による調査の結果、21日火曜日に感染した職員と同じ執務室に勤務する職員2名が濃厚接触者に認定されたため、この2名を自宅待機として健康観察を行っておりました。
また、昨日23日木曜日には、この濃厚接触者の1名及び体調不良を訴え自宅待機をしていた2名の計3名の職員の新たな感染が確認されているところです。
さらに、詳細は後ほど事務方よりお知らせいたしますが、つい先ほどもう1名の感染が確認をされました。
現時点で感染が確認されたこれらの職員はいずれも自動車局の職員であり、彼らの所属する課室においては、基本的には職員を原則出勤させない措置を既に取っております。
また、これらの職員が勤務していた執務室、共用部分のエレベーター等は、既に業者による消毒を実施しております。
保健所の指導を受けながらやっているところですが、そうしたことを引き続きやりながら、来週は補正予算の審議もありますので、そうした業務上も万全の体制が取れるようにしっかりとフォローもしていかなければいけないと考えております。
これが2点目です。
1点目は、まだ正式に煮詰まった話でないのですが、臨時交付金の活用については、政府としてはまだ何も決まっておりませんので、そうした希望があるというのは担当の局は承知をしているかもしれませんが、その点についてはまだ審議はしておりません。

(問)先ほどの質問に関連してですけれども、これまで計5人省内で感染した方が見つかったということで、いずれの方もレクなどで大臣と直接長時間接触したような可能性があるのか。
その辺りはどのように認識しているでしょうか。
(答)1例目の職員については、私を含めた政務三役は濃厚接触者に該当しておりません。
2例から4例目については、最終的には保健所において判断することになるわけですけれども、国立感染症研究所感染疫学センターが公表している濃厚接触者の基準に照らせば、私ども政務三役は濃厚接触者には当たらないと考えております。
つい先ほど判明した5例目については、現在詳細を確認中ですので、追って事務方よりお知らせしたいと思いますが、基本的には濃厚接触者には該当しないと考えております。

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