大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年5月10日(火) 9:16 ~ 9:30
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
知床(しれとこ)での遊覧船の事故から2週間あまりが経過しました。
改めて、お亡くなりになられた方々、そしてその御家族にお悔やみを申し上げます。
また事故に遭遇された皆さまとその御家族にお見舞い申し上げます。
このような痛ましい悲惨な事故が二度と起きないよう、安全対策の総合的な検討を進めるため、4月28日に「知床遊覧船事故対策検討委員会」を設置しましたが、明日11日の午後3時より、第1回の会議を開催します。
また、同検討委員会における安全対策の検討に加え、まずは、現行規制の確実な遵守を図っていくことも必要です。
このため、2項目から成る「小型旅客船の緊急安全対策」を実施します。
一つ目は、「運航基準の遵守指導」です。
厳しい海象条件下を航行する小型旅客船を皮切りに、全国の小型旅客船事業者に対し、気象・海象情報の確実な把握と適正な判断など、安全管理規程に定められた運航基準の遵守を指導してまいります。
二つ目は、「携帯電話に係る検査の確実な履行」です。
日本小型船舶検査機構において、携帯電話を通信設備とする全事業者について航路全域が通話可能であるかを確認し、通話可能であることが確認できない場合には、常時通信可能な通信設備へ速やかに変更するよう事業者に要請します。
また、変更に応じない場合は、国土交通省から直接変更を求めることとします。
この「緊急安全対策」を確実に実施しつつ、「知床遊覧船事故対策検討委員会」において安全対策の総合的な検討を進めてまいります。
詳細は、この後、事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)知床遊覧船事故対策検討委員会の初会合についてですが、今、開催を表明されまして、こちらの開催のねらいと今後のスケジュール感などについてお伺いします。
(答)第1回の検討委員会では、事務局から「知床遊覧船事故の概要」や「小型船に関する制度の概要」、「御議論いただきたい主な論点」等をお示しした上で、委員の皆さまに総合的に御討議いただく予定です。
詳細については、会見後、事務方から説明します。
事故の発生後、私も現地に赴き、乗船者の御家族の方々と面会させていただきましたが、このような痛ましい、そして悲惨な事故が二度と起きることがないよう、徹底的な安全対策を講じていかねばならないと、私自身、強く決意したところです。
本検討委員会の結果なども踏まえつつ、国土交通省として、安全対策をしっかりと講じてまいります。
スケジュールについては委員の先生方にもお諮りしたいと思いますが、できるだけ速やかに結論を得ていただけるよう、お願いしたいと思っています。
 
(問)先ほど大臣の方からも、こうした運航基準の遵守が全国的にも旅客船で守られているのかということと、通信手段、これが確実に通じるのかということについて実態を調べるということがありました。
こうした発表をされるということは、これは何らかの責任というか、これまでのやり方がちょっと不備があったのではないかと、そのあたりのことを認められてのことなのでしょうか。
そのあたりの御意見をお伺いしたいと思います。
(答)今回、この事故に対して検討委員会のほうで安全対策、いわゆる制度として、また、その制度の中で定める安全の規程として不備がなかったかということも含めて検討していただきたいと思っています。
そのうえで、それまでの間、現行の規程をしっかり守っていただく必要がある。
こういう観点から、この2つの項目について、全国的にしっかり指導していこうとした形にしたものです。
(問)現段階での国土交通省の責任ということは言及されないということですね。
(答)もちろん検討委員会のほうで、全体的な安全、法体系も含めて安全管理規程のあり方等について検討していただいて、もし不備があればそれを正していかなければならない、それは国土交通省の責任だと思っています。
 
(問)会社側の安全管理体制についての大臣の所感をお伺いします。
観光船の運航会社、知床遊覧船が昨年二度事故を起こしたことを踏まえて、北海道運輸局は去年特別監査を実施しています。
今回の事故対策本部会議後の記者ブリーフィングにおいて、特別監査というものについて、国は安全体制のチェックがメインだとしたうえで、去年10月にも北海道運輸局が会社に対して聞き取りなどのフォローアップを行って、改善対策を確認したとしています。
一方で今回の事故における会社側の安全管理体制について、社長自身が記者会見で安全管理が行き届いていなかったと述べているほか、家族説明でも納得が得られていないと認識をしています。
去年の特別監査で安全体制のチェックを行った一方で、今回の事故に関して社長自身が安全管理が行き届いていなかった認識を示していることついて、監査・指導が十分だったと思われるか大臣の受け止めをお願いします。
(答)今回の事故に関し、4月24日より実施している特別監査において、知床遊覧船の安全管理体制に問題がなかったか徹底的に確認を進めているところです。
同社に対しては、昨年の遊覧船「KAZUI(カズワン)」の2度の事故を受け、北海道運輸局において、昨年6月に特別監査を実施し、7月に安全管理規程の遵守等の指導を行うとともに、その後10月に、同局職員が同社の本船及び事務所を事前通告なしで訪問し、改善内容について確認を行ったところです。
国土交通省としては、こうした監査等を行ってもなお、今回の事故が発生したことを真摯に受け止めており、明日、第1回を開催する「知床遊覧船事故対策検討委員会」において、監査のあり方を含め、安全対策の総合的な検討を行ってまいりたいと思っています。
 
(問)今回の知床沖の遊覧船事故に関して、乗船者の方々の氏名公表にあたってどのような考え方で臨んでいらっしゃるか、1点お伺いできるでしょうか。
(答)乗船されていた方々の氏名については、御家族等から、乗船者の氏名の公表を差し控えていただきたいとの声も寄せられていたところです。
国土交通省としては、一つは、乗船者の安否の確認等を待たれている御家族等のお気持ちに配慮する必要があること。
二つ目に、乗船されていた方々全員の御家族等に対して、国土交通省はじめ関係機関から御連絡を取ることができていたことから、事故発生直後での公表は控えるようにしました。
なお、発見された後、死亡が確認された乗客で、身元が判明した方については、御家族への確認など必要な諸手続きを経て、順次、報道機関に伝達させていただいています。
 
(問)今回、救助のため潜水士を乗せたヘリコプターの現地の到着が救助要請から3時間以上かかっているということに対しての大臣の受け止めをまずお伺いしたいです。
加えて、今回の事故現場というのは、海上保安庁の機動救難士の「1時間出動圏」には含まれていなかったということなのですけれども、こうしたことも含め、救助体制の強化を求める声があることについて、大臣の所感をお伺いしたいです。
(答)今回の事案に対する海上保安庁の対応については、ヘリコプターからの吊上げ救助等を行う要員を同乗させる必要があったことに加え、悪天候が重なったため、状況に応じた対応を行ったものと認識していますが、航空機等の現場海域への到着に時間を要する結果となりました。
また、本事案が発生した北海道東部海域は、海上保安庁が捜索救助を実施する場合、現状において、ヘリコプターからの吊上げ救助を行う機動救難士等がヘリコプターに同乗し出動してから1時間で到達することができない海域です。
このような状況に鑑み、海上保安庁では、更なる救助・救急体制の強化が必要であると考えており、海難救助体制のあり方に関する検討を実施するとともに、各航空基地のヘリコプターの増強や機動救難士が配置されていない航空基地への機動救難士の配置などを進めるなど、捜索救助に万全を期してまいりたいと思っています。
 
(問)先ほどの御回答で、1個だけお尋ねをしたいのですけれども、大臣、最後、国土交通省としては監査をしてもなお事故が起きたことを真摯に受け止めておりますというお話がありましたけれども、真摯に受け止めていらっしゃるというのは事故の何について真摯に受け止めているという理解をすればよろしいでしょうか。
(答)今回、先ほど申し上げたような特別監査を行ったにもかかわらず、こういう事故が起きた事に対して、先ほども申し上げましたが、法体系も含めて安全管理体制に不備がなかったのかということも含めて、今回検討させていただきたいと思っています。
それにあたって、我々として、今回こういう事故が起きたことを真摯に正面から受け止めて、見直しをする、議論をする、そいういう姿勢についてということが一つと、やはり、14名の方がお亡くなりになり、12名の方が今なお不明であるという事実に対して、我々は真摯に対応していかなければならない。
そいういう二つの意味もあり、そういう言葉を使わせていただきました。
 
(問)山下八洲夫元参議院議員が国会議員になりすまして新幹線チケットを騙し取ったとして逮捕された事件について伺います。
この事件についての国土交通大臣としての受け止めと再発防止に向けた取り組みの検討についてありましたらお聞かせください。
(答)まずそのニュースを見た時に、同じ国会議員として働いた仲間として恥ずかしい思いをしました。
再発防止については、これは国会議員の活動に関する制度の一つだと思いますので、国会等で議論される事だと思いますけれども、私も国会議員としてその議論に真摯に加わりたいと思います。

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