大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年10月20日(火) 11:10 ~ 11:23
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で報告するものはございませんが、そのほか1点報告させていただきます。
「Go To トラベル事業」の利用実績についてです。
7月22日から9月末までの宿泊割引に係る利用実績について、10月15日までに事務局へ報告があったもので申し上げると、少なくとも約2518万人泊、割引支援額で約1099億円です。
これは、一人泊当たりの旅行代金で見ると約1万2000円余りとなっております。
また、8月の利用実績に基づいて、利用価格帯の分布について分析を行ったところ、1万5000円未満の宿泊商品の割合がおよそ8割程度となっています。
こうした分析から、価格帯の高低に関わらず幅広く御利用いただいているものと認識しているところです。
国土交通省といたしましては、Go To トラベル事業の適切な運営に努め、何回も申し上げておりますが、本来の目的である「ウィズ・コロナ時代における新たな安全・安心な旅のスタイル」の普及・定着を目指し、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、本格的な旅行需要の回復、さらには幅広い観光関係事業者の経営の安定化と雇用の維持、そして地域経済の活性化に、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

質疑応答

(問)タクシーの感染症対策についてお伺いします。
乗客が正当な理由なくマスクの着用を拒否した場合に、乗車を断ることができるよう運送約款の変更を一部のタクシー会社が申請をしているとのことですが、国土交通省の考え方や現在の検討状況についてお聞かせください。
(答)タクシーは、新型コロナウイルス感染症の拡大の中でも、感染のリスクや不安を抱えながら、まさにエッセンシャル・サービスとして、高齢者の皆さんや妊婦さんを含む地域住民の運送を担い、公共交通機関としての使命を果たしていただいていることに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
一方で、タクシーを利用される方の中で、例えば酔ったままマスクを着用せずに、大声で話しながら乗車される方が散見され、運転手の皆さまの生の声で、大変不安を抱えているという声もよく聞くところです。
国土交通省といたしましては、タクシーの利用者の皆さまにおかれては、特別な御事情があってマスクをかけにくいという方を除き、基本的にはマスクの着用をはじめとする感染拡大の防止、予防に、御理解と御協力を賜りたいと考えております。
そうした中、今御質問がありましたように、一部のタクシー事業者から、マスク着用の求めに応じない利用者の乗車を拒否できる旨を、新たに運送約款に規定する申請がなされております。
このことにつきましては、事業者の御懸念についてはよく理解できるものであり、適切に検討し、対応してまいりたいと考えております。

(問)先日18日に、調布市つつじヶ丘の住宅街の道路が陥没した件について伺います。
付近では東京外環道のトンネル工事が行われていましたが、道路陥没との因果関係と今後の対策について教えてください。
(答)一昨日、東京都調布市の市道において、陥没が発生いたしました。
また、最近、この周辺の住宅の壁のひび割れなどの被害も発生しているところです。
今御質問がありましたように、この周辺地域の地下において、東京外かく環状道路のトンネル工事が実施されており、今回の陥没は、シールドマシンの先端が陥没箇所の下を130m通り過ぎた後で発生していると承知しております。
ただ、今回の陥没の原因及び工事との関係について、速やかに特定するために、当該トンネル工事を一旦中止し、昨日より、東日本高速道路株式会社において、有識者委員会を開催したところです。
昨日の有識者委員会においては、まず、トンネル自体の損傷は確認されていないことから、原因究明のためにボーリング調査等による地盤状況の確認が必要であること、また、今後、現地調査を速やかに実施し、陥没のメカニズムの究明を行っていくことなどが確認され、引き続き、調査を実施していくと伺っています。
国土交通省としても、有識者委員会に参画しながら、住民の方々の不安をできるだけ早く取り除けるように、東日本高速道路株式会社の調査、また、原因究明に協力してまいりたいと考えております。

(問)羽田新ルートを巡る横田空域の交渉締結後に、三沢の米軍の臨時訓練空域が拡大されたとの報道が出ていますが、戦後75年経つ中で、日本に米軍の空域が残って、空域の「貸し借り」が続いている状況について、大臣の所感を教えてください。
もう1点が、交渉の経緯等の情報の開示がなく、国民に見えない状況にありますが、改善の必要性についていかがでしょうか。
(答)米軍の空域の使用に関する調整については、航空行政を所管する国土交通省として、その必要性、目的、範囲等について、従来より関係機関と十分に協議を重ねて対応しております。
その対応に当たっては、民間航空の安全確保に万全を期することを前提に、それぞれの空域ごとに、空域の形状や使用方法等を判断し、調整しているものです。
御質問にあった、空域間で貸し借りを行っているということはありません。
なお、米軍が使用する空域の調整過程については、米国との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、従来より公開は差し控えさせていただいておりまして、現時点でその方針に変わりはありません。

(問)北海道白老町(しらおいちょう)にあります施設のウポポイについて伺います。
7月にオープンして3か月が経過しましたけれども、この間、インターネット上でウポポイや、施設で働くアイヌ民族の職員に対して誹謗中傷するような書き込み、投稿が相次いでいます。
こういった現状について大臣はどのように受け止めていますか。
(答)よく御承知だと思いますが、ウポポイは、我が国の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化を正しく理解できる拠点として、また、将来に向けて先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として位置づけられています。
昨年5月に施行された「アイヌ施策推進法」においても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を目指すものであり、アイヌの人々に対する差別の禁止も同法では規定されております。
私自身も開業前にウポポイの施設を訪れましたが、ウポポイはアイヌ文化に直接触れることができる拠点というだけでなく、我が国の歴史と共生社会のあり方に関する大切な学びの場でもあると、私自身強く感じました。
また、開館以来、多くの皆さまに御入場いただき、特に、青少年の皆さんが教育旅行等を通じてウポポイを訪問され、大変勉強になったなどの声をいただき、高い評価を得ていると承知しています。
国土交通省といたしましては、アイヌの人々が言われのない差別を受けない社会、さらには、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けまして、引き続きウポポイのPR活動の強化や、コンテンツの充実などにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
なお、アイヌ文化に関する様々な疑問につきましては、ウポポイの主たる構成施設であります「アイヌ民族博物館」のホームページ上に、「よくある質問」への回答が掲載されておりますので、御覧いただければ理解が深まるものと思っております。

(問)調布の陥没の件について、今回陥没した箇所の調査は始めていると思うのですが、これまで外環道のトンネルを掘り進めてきた別の区間など、今回の陥没箇所の前後も含め、追加の地盤調査など、何らかの新しい調査を行う考えはありますでしょうか。
(答)まず、一般的にトンネル工事の実施に当たりましては、事前にボーリング調査等を実施し、地質状況を調べながら工事を実施しているところであり、この東京外かく環状道路における本線シールドトンネル工事につきましても、事前に200mピッチでボーリング調査を行っているところです。
今回の陥没の原因及び工事との関係について特定するため、先ほど申し上げましたように、昨日から有識者委員会を開催しているところでありまして、陥没箇所周辺において現地調査を速やかに実施し、地盤状況の確認を行うことが必要であるとの御意見をいただいているところです。
これまで堀り進めてきた区間の調査の取扱いについては、今後、有識者の皆さまの御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。

(問)Go To の件ですが、利用状況が伸びている一方で、地域クーポン券が全国どこにでもある店で使える。
例えばユニクロでも使えるということに違和感を覚えるという声があります。
ファーストリテイリングは、2021年8月期決算で過去最高益の見通しであり、税金を使っての支援は必要ないのではないかという声もありまして、そもそもGo To の観光産業支援という考え方から当てはまらないのではないかという批判もあるのですが、それについてどのように受け止めますか。
(答)もちろん、今回、地域共通クーポンという制度を作ったのは、観光地に行っていただいて、その観光地でお土産物など消費をしていただくという趣旨であります。
ただ、その地域に今言われたようなお店があったり、コンビニエンスストアなどがあったりする中で、それを排除する、線を引くというのはなかなか難しいと思いますし、どの店をどうするかという話は今回とらなかった。
例えば、食べ物で言いますと、農林水産省が所管するGo To Eatをクリアしたお店であれば使えるとしたわけですが、物販の方はそういった線は引いていませんので、そうした御批判はあるかも知れませんが、私は現状の方法、やり方というのはやむを得なかったのではないかと考えます。
御指摘はしっかり甘んじて受けたいと思います。

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