大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年5月25日(火) 10:03 ~ 10:13
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から報告するものはございません。
このほか、私から1点報告があります。
無電柱化推進計画の策定についてです。
国土交通省では、平成28年12月に議員立法により成立した「無電柱化の推進に関する法律」に基づき、平成30年4月に「無電柱化推進計画」を策定し、これまで無電柱化を推進してきたところです。
本日、今年度から令和7年度までの5箇年を計画期間とする新たな「無電柱化推進計画」を策定します。
本計画では、5年間で約4,000kmの無電柱化に着手することとしておりますが、一番のポイントは「新設電柱を増やさない」という考えのもと、これまでの道路上の電柱のみを対象としていた計画から、全ての電柱の削減に向けた取組を初めて盛り込んだことです。
今後、本計画に基づき経済産業省や総務省、電線管理者等と連携をとり、新設電柱設置の抑制も含め、無電柱化を加速してまいります。
詳細は後ほど資料を配付させていただきます。
私からは以上です。
 

質疑応答

(問)JR東海の新幹線の運転士が走行中に離席した問題について、大臣の御認識と他社も含めた今後の対策、対応について教えてください。
(答)今月16日に東海道新幹線で発生した、運転士が列車走行中に一時運転席から離れていた事象につきましては、21日にJR東海の金子社長が国土交通省に来られ、直接報告を受けたところです。
JR東海の社内規定において、運転士が乗務中に心身異常を自覚した場合には速やかに指令に連絡する等を定めていますが、今回の事象では、規定に定められた対応が適切に行われておらず、大変遺憾です。
この件については、いろいろな御意見があるかと思いますが、一番大事なことは、指令に指示を仰がなかったというルール違反があり、また、3分間であったとしても運転資格のない者に運転を委ねたことは、重大な規律違反だと思っています。
JR東海に対しては、なぜこのような事象が発生したのか、安全な走行システムが確立している新幹線において、今回のような対応をしても大丈夫だろうといった雰囲気、緩みが社内にまん延していなかったか等、私は安全神話に陥ることが最大のミスだと考えているので、安全神話に陥ることがないようにしっかりと検証するよう指示しました。
その上で、今回の事象を運転士個人の問題とすることなく、会社として再発防止を図るため、しっかり検討してもらいたい、例えば、そもそも体調の優れない者は乗務させないなど運行管理を徹底する。
今回の問題は生理現象ですから、簡易トイレは新幹線に載せてありますので、乗務に当たり、非常事態に備え簡易トイレを運転席に携行できるようにすること。
また、発作的な体調不良等が発生した場合などは、躊躇なく列車を止めることを徹底する。
そうした場合のリスク管理をどうするかJR各社でしっかりと検討していただきたい。
また、運転士のほかに、運転の免許を有する車掌を配置した列車を増やすローテーションが可能かどうかなどについて、私からも問題提起をさせていただきました。
具体的な方策については、今後、速やかにJR東海において検討を進め、報告をするよう指示したところです。
その他JR東日本・JR西日本は、これをJR東海の問題と捉えずに、そうした危機管理について各社ともどうするべきかということを改めて検討するよう指示したいと思います。
国土交通省としましては、高速、大量輸送の交通機関である鉄道においては、安全の確保が大前提ですので、安全の確保が徹底されるよう、JR東海の検証結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
(問)関連して追加で1問ですけど、運転士が運転席を離席したことは国土交通省の省令に違反するという指摘もありますが、省令違反などの可能性はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)ルールで規定するものでありますので、検証結果の報告を受けて、国土交通省として行政処分はそれに照らして対応することになります。
 
(問)乗員乗客約80人が負傷した北海道のJR(せき)(しょう)(せん)脱線炎上事故から27日で10年となります。
大臣の所感をお聞かせください。
また、JR北海道は、人口減などによる鉄道収入減に直面する中、安全を最優先しながら経営難を克服する道の模索が続いていますが、今後のJR北海道の支援について大臣のお考えをお聞かせ願います。
(答)まずJR北海道では、平成23年5月に石勝線において列車が高速走行中に車両部品が落下したことにより、脱線、火災に至り、乗員乗客79名が負傷する事故が発生しました。
さらに、その後も検査データの改ざんが発生するなど、異常な事態が続いていたために、国土交通省として、JR北海道に対し、平成26年1月に「輸送の安全に関する事業改善命令及び事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令」を発令しました。
これを受けて、JR北海道は、安全性向上に向けて改善に取り組んできたと承知をしておりますし、国土交通省としては、常設の監査体制による保安監査などを通じ、JR北海道による鉄道輸送の安全が確保されるよう、しっかりと指導してきたところです。
これにより、JR北海道においては、近年、事故に至るおそれのあるインシデント等の件数は減少傾向にあり、一定の効果があらわれてきていると認識をしているところです。
他方、JR北海道は地域の人口減少等による輸送需要の減少に加えまして、今般のコロナウイルス感染拡大の影響もあり、運輸収入が大幅に減少し、大変厳しい経営状況に置かれていると承知をしておりますが、経営状況が厳しかろうとも、輸送の安全確保は鉄道事業者の最優先事項だと、当然のことでありますけれどもそういう認識をしております。
そうしたことを踏まえて、今般、JR北海道に対する支援については、まず、輸送の安全を確保する観点から、令和3年度において、老朽化した鉄道施設の更新等に係る助成金で約180億円の支援を行うこととしており、また、4月末に施設のメンテナンスの自動化等の設備投資に対して300億円の出資を実施したところです。
引き続き、輸送の安全を最優先としつつ、経営基盤の強化が図られるよう、JR北海道に対し、必要な支援策を講じてまいりたいと思いますし、今回法改正をして行う支援は、相当踏み込んだ支援の内容となっていると承知をしておりますので、JR北海道のこれからにつながるよう、有効な使い方をしてもらいたいと考えているところです。

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