大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年7月2日(金) 10:46 ~ 11:00
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から2点報告があります。
1点目は、駅ホームにおける視覚障害者の安全対策についてです。
視覚障害者がホームから転落する悲惨な事故については、現在も後を絶たない状況が続いていることから、国土交通省としては、まずは、ホームドアの整備を一層推進することとしております。
一方、ホームドアの整備には多くの時間や費用を要することから、ホームドアによらない安全対策も喫緊の課題と認識しています。
このため、昨年9月、視覚障害者団体からの御要望を受け、ホームドアのない駅における安全対策について検討するよう、私から鉄道局に指示していたところです。
その後、
鉄道局において検討会を設置し、視覚障害者団体の方々からの御協力をいただきながら検討が進められ、本日、これまでの検討結果を中間報告としてとりまとめました。
中間報告の中では、視覚障害者が転落された原因等を分析した上で、1点目は、AIカメラ等の新技術を活用して駅係員等が円滑に視覚障害者の方々の介助等を行う転落防止対策の導入、2点目は、視覚障害者が鉄道事業者や歩行訓練士等の協力のもとに実際のホームや車両を用いた歩行訓練の実施、3点目は、鉄道利用者が点状ブロック上に立ち止まったり荷物を置く等により歩行動線を遮らないことなどを啓発するための車内モニターや駅ポスター等の製作、最後に、専門的な知見を有する方々の協力を得ながら、本検討会の活用を含めた転落案件の調査体制の整備、などをとりまとめています。
今回のとりまとめは中間報告であり、引き続き、この検討会等を活用しながら、ホームにおける視覚障害者の皆さまの安全対策の不断の改善、実行に努めてまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
2点目は、モンゴル国の新ウランバートル国際空港の開港についてです。
円借款により建設され、日本企業連合が空港運営に参画している新ウランバートル国際空港は、7月4日に開港を迎えることとなりました。本案件は、2014年4月に当時の太田国土交通大臣のモンゴル訪問によるトップセールスを契機として、総理を始め閣僚級による働きかけや、航空専門家の派遣等の技術協力により、空港運営権の獲得に至ったものであり、海外インフラ展開法により海外業務が明確化された成田国際空港株式会社が初参画する案件でもあります。
このような新空港は、日本・モンゴルの二国間協力の新たな象徴として、高い空港運営能力を有する日本企業連合により運営されることで、観光や流通を促進し、モンゴル国の発展に寄与するものと期待しているところです。国土交通省としては、引き続き、新空港の円滑な運営に向けて支援するとともに、インフラシステムの海外展開に積極的に取り組んでまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上です。

質疑応答

 (問)千葉県八街市(やちまたし)のトラック事故に関して伺います。
事故を受けて、菅総理大臣が先日の閣僚会議で通学路の総点検を行って、その上で緊急対策を速やかに実行すると表明されましたが、これに関して、国土交通省の対応についてお聞かせください。
(答)6月30日の閣僚会議では、菅総理大臣から、通学路の総点検や交通安全対策の強化などの方針とともに、関係大臣に対する対策検討の指示がありました。
これを受けまして、文部科学省や警察庁などの関係省庁と連携して、通学路における総点検の進め方や効果的な対策について早急に検討してまいります。
その際、今回の事故を受けて、多くの児童が利用する通学路において、例えば、抜け道として利用されていて、大型車の交通量が多い区間や、信号がなく直線で車のスピードが出しやすい区間など、危険性が高いにもかかわらず、歩行空間の安全の確保などの対策が十分に講じられていない区間について、「ハンプ」や「(きょう)さく」といった速度抑制装置の設置や、速度規制を含めた面的対策など、関係機関と連携した、総合的な対策の検討が必要と認識しております。
見落としている危険なところ、対象とされていないところもここだけではないと承知をしておりますので、関係省庁と連携し、スピード感を持って通学路等の総点検を速やかに実施してまいります。
 
(問)三菱電機の検査不正の問題でお伺いします。
今週、三菱電機で鉄道車両向けの空調機器の検査の不正が発覚して、その後に安全の要となるブレーキ装置に関係する空気圧縮機でも不正が見つかりました。
三菱電機は、過去にも同じような不正を繰り返しており、今回組織的な関与があったんじゃないかと疑われています。現状で国土交通省として把握している事実関係と、大臣の受け止め、今後の対応策などをお聞かせください。
(答)本件については、6月30日に三菱電機に対し、事実関係と原因の調査を行い、その結果を速やかに報告するよう指示したところです。
同社からの報告によると、まず、空調装置については、三菱電機が鉄道事業者との契約に基づき実施する検査の一部において、検査成績書を自動で作成するなどの不適切な検査が実施されていたとの報告がありました。
もう1つ、空気圧縮機(コンプレッサー)については、装置の一部を改良した際に、従来から変更となっていない部品についても鉄道事業者との契約に基づき検査を行うこととされていましたが、この検査が省略されていたとのことでした。
空調装置のみならず、鉄道の安全運行に深く関わるコンプレッサーについてまで、長年にわたり適切な検査が実施されてこなかったことは、大変遺憾です。なお、コンプレッサーを含むブレーキ装置全体については、車両の供用開始時等に国土交通省が鉄道事業法に基づく安全上の確認を行っています。
また、日々の運行にあたっては、これは当然のことですが、鉄道事業者において、車両の定期検査、運行前の点検時に所要のブレーキ力が確保されていること等が確認されているところです。
これまでに事故等の報告はなされていないものの、本事案を踏まえ、国土交通省では、6月30日に全国の鉄道事業者に対して、コンプレッサーの点検をより入念に行うこと、その際に、不具合が確認された場合には速やかに報告すること等について鉄道局から指示したところです。
国土交通省としては、三菱電機に対して、これら装置以外にも不適切な事案がなかったかも含め、安全面を中心に詳細な報告を求めるとともに、その結果を踏まえて必要な対応を検討していきたいと思います。
言わずもがなですが、公共交通機関は安全が大前提ですので、そこは本当に揺るがせないようにしっかりと厳しく対応していきたいと考えております。
 
(問)令和2年7月豪雨についてお伺いします。
4日で発生から1年となりますけれども、熊本県などで甚大な被害が出ましたけれども、復興状況だとか豪雨への備えについて大臣の御見解をお願いします。
(答)明日で令和2年7月豪雨から1年を迎えます。
改めまして、この豪雨災害で犠牲となられた皆さまに哀悼の誠を捧げるとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
私自身も、熊本県をはじめ被災地に足を運び、その被害の甚大さ・深刻さに大変衝撃を受け、言葉を失ったほどでした。
この地域の復旧・復興に向け国土交通省が先頭に立つとの決意を持ち、この1年間全力で取り組んでまいりました。
国土交通省としては、発災直後から全国の地方整備局等よりTEC(テック)-FORCE(フォース)を派遣し応急対策等を行うとともに、関係省庁や地元自治体と連携しつつ、昨年7月末に政府としてとりまとめた被災者支援対策パッケージに基づき、被災者の住まいや交通の確保、国による権限代行も活用した河川・道路等のインフラの復旧などに取り組んでまいりました。
令和2年7月豪雨災害は九州だけではなく全国に及び、これまでに、鉄道施設に大きな被害を受けた13事業者20路線のうち、JR久大(きゅうだい)(せん)など10事業者17路線が運転を再開するとともに、球磨(くま)(がわ)の決壊した2箇所の堤防の本復旧等を完了するほか、国道219号等の球磨川沿いでは14の橋梁が流失しましたが、国による権限代行により西瀬(にしぜ)(ばし)など4橋で仮橋による復旧を完了するなど、鋭意復旧を進めている状況です。
去る3月末には、流域のあらゆる関係者で協働して取り組む「球磨川水系流域治水プロジェクト」をとりまとめたところであり、これに基づき、河道掘削(くっさく)(ゆう)(すい)()、宅地嵩上(かさあ)げ、田んぼダムによる雨水貯留や森林の保全・整備などを進めるとともに、地元の御要望を受けて、今年度から本格的に検討を開始した「流水型ダム」も含めて、流域治水の取組を進めているところです。
また、観光面で大きな被害のあった熊本県の人吉(ひとよし)温泉や大分県の天ヶ瀬(あまがせ)温泉などでは、支援対策パッケージに基づく国の支援も活用し、施設復旧が進められております。
2箇所とも視察させていただきましたが、大規模な被害の状況で、いまだ道半ばと承知しております。
令和2年度3次補正予算においても更なる支援策を講じたところですが、今後も観光地の再生に向けた取組を支援するとともに、被災地における需要喚起策についても、復興の状況を踏まえつつ、しっかりと取り組んでまいります。
国土交通省としては、引き続き、被災者に寄り添いながら、1日も早い復興、被災地・被災者の思いにかなう復興を成し遂げられるよう全省を挙げて、被災地の早期復旧・復興、生活と生業の再建に全力を尽くしてまいります。
 
 

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