本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から2点報告があります。
1点目は、「地域観光事業支援」措置の一環として実施しております「宿泊事業者による感染防止対策等への支援」について、その進捗を御報告いたします。
本事業は、感染状況にかかわらず、全ての都道府県を対象にして、宿泊事業者が感染防止対策の強化等に取り組む際の費用について、幅広く支援する制度です。
対象品目については、使い捨てマスクや消毒液などの消耗品から、例えば、非接触チェックインシステムの導入などに要する経費など、幅広く感染防止対策に資するものは全て対象として認めているところです。
加えて、昨年の5月に観光関連業界が自らガイドラインを定めた時から以降の対策費用について、過去に遡っての対策としているところです。
本事業については、一昨日28日に出張で伺った宮崎県の観光関連事業者の中でも既に開始されていますが、首長の皆さんや関係事業者の方々との意見交換の中で、本事業は「非常にありがたい支援策」との声をいただいたところです。
本事業については、本日までに47都道府県全てから交付申請がなされており、うち45都道府県に対し交付決定を行いました。
本日から正に事業がスタートする神奈川県を含めて30都道府県で事業が開始されております。
残り15県においても、県の事業ですので、県が要綱の準備や事務局の設置など、事業の開始に向けた準備を行っているものと承知しており、事業者の皆さまに速やかに支援が届くよう、各県に引き続き働きかけてまいります。
2点目は、「地域観光事業支援」のうち、「ステージ2)」相当以下の都道府県で実施される、いわゆる県民割事業に対する国からの財政支援について、これまで補助対象となる旅行の予約・販売期限を10月31日までとしていました。
これについて、7月11日の全国知事会からの緊急提言において、感染状況から未だ事業を着手できていない都道府県もあること等を踏まえ、予約・販売期限を延長するよう、御要望をいただいていたところです。
今般、現下の感染状況も踏まえ、12月31日まで延長することとしました。これについては、詳細は後ほど資料を配付します。
私からは以上です。
(問)北海道開発局の事案に関してお伺いします。
北海道開発局士別道路事務所の前所長が入札情報を漏らしたなどとして官製談合防止法違反の疑いで逮捕されました。
職員が逮捕されたことの受け止めと、再発防止など国土交通省の今後の取組について教えてください。
(答)国土交通省北海道開発局の職員が逮捕され、このような事態に至ったことは決してあってはならないことだと思っておりますので、極めて遺憾です。
国土交通省としては、この事案を重く受け止め、まずは当然のことですが、北海道警察の捜査に全面的に協力するとともに、事実関係に基づいて、厳正かつ適正に対処してまいります。
あわせて、有識者が参画する再発防止対策検討委員会を設置し、事実関係の把握及び原因究明に努め、徹底的に膿を出し、再発防止策を講じてまいります。
また、全国の地方整備局、地方運輸局等に対し、こうした事案を踏まえ、一層の綱紀粛正、コンプライアンスの保持を徹底するよう指示したところです。
(問)今月の4連休中の交通量について、国土交通省は首都高で2、3割程度減ったと発表しております。
一方で、一般道の一部では大幅に増加しているところもありますが、これはロードプライシングや首都高の交通規制等によるものなのか、その辺の受け止めをお願いします。
(答)今回の首都高速道路のロードプライシングについては、既に御承知のとおり、東京都及び東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会からの協力依頼に基づき、大会関係車両の円滑な移動を確保するために実施しています。
首都高速の交通量が4連休中、3割程度減少したとの点について、一昨年との比較なのですけれども、一昨年は厳密にいうと4連休ではありませんし、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催直前でもないなど、前提条件が異なるため、単純に比較することは難しいと考えていますが、首都高速の交通量が減少したということは事実で、これは、多くの国民の皆さまが東京オリンピック・パラリンピック大会を成功させようと、そのような方向で大変な御協力をいただいた賜だと思っておりますので、改めて、御協力いただいている皆さまに心から感謝申し上げます。
また、一般道の交通量が増加したとの御指摘について、一部渋滞している地域があると承知しており、当該地域を走られているドライバーの皆さまに御不便をおかけしていることについて、大変申し訳なく思っております。
大会関係車両の円滑な移動の確保が大会成功のために大変重要なことであると判断しており、交通量の削減に対し、引き続きこの期間、御協力いただきますようお願いする次第です。
ロードプライシング等の取組の評価については、改めて大会終了後に検証をしていきたいと考えております。
(問)感染対策についてお聞きします。
東京都で感染者が3000人を超えるなど、連日、過去最多を更新し、また、感染が急拡大しています。宣言の効果が薄れているとの指摘もありますけれども、公共交通等を所管する国土交通省として今後、どのような対応を取り組んでいくのか、お願いします。
(答)国土交通省としましては、これから正に、人が密となる傾向のある、多客期のお盆時期を迎えますが、今年のお盆期間中の公共交通の予約状況については、新幹線が前年比100%から140%、コロナ前ですが前々年比20%から30%程度、飛行機が前年比135%、前々年比50%程度となっており、これから予約が増えるということもあるかもしれませんが、現時点では、例年ほどではないものの、前年より予約が増加しています。
御承知のとおり各公共交通機関においては、換気や消毒など、感染防止マニュアルに沿った十分な対策が講じられており、安心して御利用いただける状況ですけれども、より強い感染拡大防止の観点から、公共交通機関を利用して移動される方々に対し、小規模分散型の移動をしていただくこと、移動中にはマスクを着用し、会話はお控えいただくこと、移動先では長時間・大人数の飲食は控えることなどを、事業者の協力を得て、主要な駅構内や空港ターミナルなどで更に呼びかけを徹底していきたいと考えています。
他方、国土交通省の所管である公共交通機関を取り巻く環境は依然として厳しい状況であることから、現在、9月末まで雇用調整助成金の特例措置の延長や地方創生臨時交付金を活用した地方自治体による事業者支援への働きかけ、国土交通省による地域公共交通に対する累次の補正予算による支援など、これまでにない手厚い支援を行っています。
今後とも、公共交通機関が、コロナ禍による危機を乗り越え、機能し続けられるよう、そして大前提である安全・安心な運行を行うように国として引き続きしっかりと支援・指導してまいります。
(問)最近の豪雨災害に関してなのですけれども、線状降水帯の問題がよくクローズアップされるようになってきていると思うのですけれども、これに対しての大臣の御認識と今後の対応についてお伺いできればと思います。
(答)線状降水帯という言葉自体は最近ようやく出てきたと思いますが、分析をしますと、近年毎年のように発生している梅雨期の豪雨災害の多くが、次々と発生した積乱雲が、数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞する線状降水帯によって豪雨災害が引き起こされていることが判明していますが、その正確な予報は大変難しく、予報の精度をどのように高めていくか大変大きな課題となっています。
まず気象庁で取り組んだのが、線状降水帯とは何か、定義を定めるに当たり、「3時間の雨量が100ミリ以上の区域が500平方キロメートル以上拡がること」など、その発生条件を定めました。
その上で、関係機関の協力を得て、線状降水帯の発生を、気象レーダーなどによる観測結果から自動的に検出するシステムを開発しました。これにより、今年6月17日から、線状降水帯の発生を検出した際に、「顕著な大雨に関する情報」として迅速に発表することが可能となりました。
御承知のように、6月17日直後から、沖縄県、伊豆諸島、島根県・鳥取県、鹿児島県などにおいて、断続的に4事例6回にわたりこの情報を発表することとなりました。
このように頻発する線状降水帯による豪雨災害から国民の皆さまの命と暮らしを守るためには、住民の事前の避難行動に結びつけられるよう、線状降水帯を少しでも早く正確に予測できる技術を確立していくことが極めて重要です。
このため、気象庁においては、令和2年度第3次補正予算により、海上保安庁と連携し、船上における水蒸気の観測体制を強化するとともに、大学等とも連携し、技術開発を進めているところです。
そのような中、本日の政府非常災害対策本部において、菅総理大臣から、「線状降水帯に関する予測精度向上のため、研究開発への支援などを抜本的に拡大し、計画を前倒して実現する」よう御指示がありました。
本日の総理大臣からの御指示を受け、気象庁として具体的な追加対策を急ぎとりまとめ、来年度に向けての概算要求に必要な経費等を盛り込むことなど着手してまいりたいと考えております。
(問)整備新幹線の九州の新鳥栖‐武雄温泉間について伺います。
今朝の西日本新聞の朝刊で、大臣がインタビューで、フル規格で整備する場合は並行在来線を維持するようにJR九州に対して説得を進めると。
また、佐賀県の財政負担の軽減も図ると回答されたという記事が出ているのですが、この点について、大臣の現時点でのお考えを改めてお聞かせください。
(答)まだ記事を正確に読んではおりませんが、今回、この西九州ルートの佐賀県の件について、西日本新聞社から様々な御質問がありました。
その中で、具体的には、私が就任した直後に山口知事と一対一で2度ほど会い、佐賀県のこの西九州ルートに対する基本的な考え方をお聞きして、佐賀県の御要望等ということが協議されてなかったものですから、今後、引き続き地元の御意向等、慎重にしなければいけないのでそうしたことを率直に聞きながら、それに対して国土交通省としてできることとできないことがあるかもしれませんが、解決策、共に知恵を出し合っていきましょうと。
国土交通省の基本的な考え方は、整備新幹線の予定されたネットワークはしっかりと繋げるということが地方創生、また、防災・減災といった様々な角度から重要性があるという認識をしておりますが、一方的に国で決めるわけにいかないということで、そうしたことを知事と対談したわけです。
毎回、知事と私が行ったり来たりするわけにいかないので、鉄道局と佐賀県庁との責任者同士で、率直な議論をしているところです。
その中で具体的に議論されていると承知しておりますが、西日本新聞の立場から、在来線が非常に大事だ。
そのことについてどうかという質問があって、それは私どもも、与党のPTの中でも非常に重要な点というように議論されていると承知をしておりますが、通勤通学の足でもありますので、ここに新幹線が通るから並行在来線を廃止するといったことは、なかなか佐賀県では承知できないだろうと。
そうしたことは地元の御意向としてあるだろうということで、こうした事を進めていく以上、与党のPTの中でも議論されてそうした方向だと承知をしておりますが、国土交通省としてもそれは在来線は残すということで、極力JR九州を説得させていただきたいというお話をさせていただきました。
これが第1点です。
第2点は、財政負担の問題についても、これも決定的なというか、私はこうするという話ではありませんけれども、西九州ルートにつきましては、これまで長い議論の中で、かつてフリーゲージトレインの導入ということを国が約束していながら、最高スピードを維持しながら運行することが安全的に難しく、技術的にクリアできなかったという、そうした意味で約束を履行できなかったという歴史的な事実もあります。
また、佐賀県は大変小さな県で、通過するということで、多分、御地元の思いはメリットの割に負担が多いという御意向もあるのではないかと。
これは非常に難しいことなので、私がどうするといったことは、当然のことながら正式には言っておりませんけれども、特殊性を配慮して、何か知恵が出せないのだろうかということで、県と鉄道局の議論を進めていただきたいと思っております。
それは与党の中でも同様のことが指摘されているかと思います。
いずれにいたしましても、県の意向を最大限見ながら、地域全般に対して、佐賀県だけではなく九州全体、もっと言うと、西九州ルートと関西地域が直結されるということが色々な意味で非常に大きなメリットがあると。
これは鹿児島ルートで、ある意味相当立証されていると思いますので、私自身も神戸に住んでおりますので、熊本や鹿児島というのは非常に遠い地理感覚だったのが、九州新幹線ができたことで非常に身近になった。具体的には東京に行く時間とほぼ同じ時間で熊本に行ける。
そういう意味では、人流・物流、非常にお互い効果も多かったのではないかと思っております。
そうしたことをしっかりと御理解いただきながら、地元としてやはり懸案と思っていることについては、お互い知恵を出して、解決をして前に進めたいと。
今日の記事は正確に読んでおりませんが、そうしたことが記事になっているのではないかと、それが私の思いです。
(問)総理は昨夕のぶら下がりで、オリンピック開催と感染拡大の関係を問われております。回答として、感染防止対策はテレワーク促進と並んで、自動車の規制があるのだと御説明されました。
今回の会見でも、赤羽大臣は、首都高速のロードプライシングの目的は、大会関係者の円滑な移動のためだというふうに説明されています。
そこのところが、総理と少し認識が違うのですが。実は1000円の値上げというのは、人流抑制の目的があったのでしょうか。
もう一度、ロードプライシングの目的について教えていただきたいと思ってはいるのですけれども。
あともうひとつ、人流抑制の目的で実施するのであれば、料金区分しか把握できないETCというのは不十分ではないかと思うのですが、そのETCの活用についての御所見もお願いいたします。
(答)昨日の総理の会見の詳細について承知しておりませんし、その総理の会見と私のこれまでのコメントが違うという御指摘は理解できません。今回の首都高の1000円の値上げというのは、組織委員会と東京都の大会関係者の中で、より円滑な大会の運営ということで、大会関係者や選手団の移動が渋滞に巻き込まれないということでの、1000円の値上げをしてほしいという要請が首都高速にあり、そういうことで行ったわけでして、このロードプライシング事業の実証実験みたいな意識というよりも、組織委員会等からの要請を受けて、そのまま対応したということに尽きるのであって、今日、冒頭でロードプライシングということで言っていただきましたが、今のご質問はロードプライシングというのは、値段を上げるだけではなくて、おそらく1日の渋滞の箇所をどう平準化するかとか、そうしたことによるのが本来の本格的なロードプライシングではないかと個人的には思っております。
そうした意味からは、複雑なロードプライシングを行って、都内全体の渋滞をどう緩和するのかといったものとは少し違うのではないかと。
あくまでも大会組織委員会からの要請どおり対応したということです。
(問)そうすると、人流の抑制の目的は、今回の五輪関係の自動車の規制にはないと考えた方がいいということでしょうか。
(答)先ほど冒頭申し上げましたように、今回の措置でどういう影響があったのかは分析できている状況ではないので、大会が終わって落ち着いた段階で、実施したことがどう道路の渋滞状況や人の流れに影響したのか、分析しなくていはいけないと思っております。
現状では、想像的な感想を言うことはできますが、それはどうなのかなと思います。1000円も値上げすれば、なかなか利用しにくいと感じられている方が多く、その結果、都内に自家用車で入ってこられる方は少なくなるということは、一般論としては考えられるのではないでしょうか。