大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年8月20日(金) 10:59 ~ 11:19
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、報告するものはありませんが、その他で1点報告があります。
本日の14時から、日中韓物流大臣会合がオンラインで開催されます。
日中韓物流大臣会合については、三国の円滑な物流を実現するとの目的で、2006年以降、日中韓の持ち回りにより隔年で開催されてまいりました。
第8回目に当たる今回は我が国の主催です。
本来は昨年、神戸市において開催する予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期した上で、初めてオンラインで開催することとしました。
今回の会合の主たるテーマについては、まず1つ目は、新型コロナウイルス感染症が日中韓を含む世界の物流に与えた影響を受けて、世界的なリスクの発生時においても途切れることのない、強靭な物流をいかに推進していくべきかというのが第1点です。
第2点は、これまで日中韓物流大臣会合において議論されてきた、シームレス物流システムの実現に向け、物流のあり方を抜本的に変革していく、物流のデジタル・トランスフォーメーションや物流の規格の標準化などについて、最先端の知見を共有しながらどう進めていくべきかというテーマです。
3つ目は、近年の気候変動による自然災害の頻発化・激甚化、カーボンニュートラルに向けた国際的な動向などを踏まえ、日中韓において、環境にやさしい物流をどう構築していくべきか、こういった主に3点を中心とした重要なテーマとして、中国の(リー・)小鵬(シャオペン)交通運輸部 部長、韓国の文成赫(ムン・ソンヒョク)海洋水産部 長官との間で、議論を深めたいと考えております。
会合での意見交換等を踏まえ、共同声明を取りまとめる予定としております。
会合の結果については、会合終了後に改めて発表いたします。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)大雨に関してお伺いします。
先週から記録的な大雨が続いておりまして、各地で土砂災害や河川の氾濫などの被害が出ておりますが、これまでに把握されている被害状況と国土交通省の主な対応についてお聞かせください。
(答)冒頭、今般の大雨被害によりまして、お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての皆さまに心からお見舞い申し上げます。
8月11日からの活発な前線による大雨によりまして、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県に大雨特別警報が発表され、本日までに降水量が1300ミリを超えたところがあるなど、記録的な大雨となっております。
国土交通省では、人命最優先で対応にあたっており、海上保安庁では、8月11日から人命救助のための即応体制を確保し、8月14日には広島県(すず)(はり)(がわ)での行方不明者捜索活動において、1名を海上において心肺停止状態で発見しました。
これまでに判明している被害状況ですが、河川については、国が管理する六角(ろっかく)(がわ)水系六角(ろっかく)(がわ)(ごう)()(かわ)水系(ごう)()(かわ)をはじめ、自治体管理河川もあわせて26水系59河川で氾濫等を確認しております。
特に、8月14日には、六角川において、堤防決壊による被害は回避したものの、佐賀県武雄市(たけおし)などで内水(ないすい)により広範囲で浸水被害が発生しました。
その後、水門や排水機場の操作などを行った結果、8月16日午前9時頃に浸水は解消しています。
福岡県久留米市(くるめし)においては、国・県・市等の関係機関で「総合内水対策計画」を策定し、排水ポンプの増設などに着手しておりましたが、残念ながら4年連続で内水被害が生じてしまいました。
これらの浸水により多数の住家などが被災しており、国土交通省といたしましては、水が引いた後も引き続き、被災者の方々の生活再建などについて、関係省庁と連携して、全力で支援してまいります。
次に、土砂災害については、これまでに、人的被害が発生した長崎県雲仙(うんぜん)()、長野県岡谷市(おかやし)をはじめ、計211件の報告があります。
今後、土砂災害件数の拡大が予想されますが、引き続き、被害の実態把握を進めるとともに、緊急的な対策の実施などについて、自治体とも連携し対応してまいります。
道路につきましては、高速道路において通行止めとなっていた長野県内の中央道の岡谷(おかや)ジャンクションから()(ほく)インターチェンジまでの区間については昨日の夜、佐賀県内の長崎道の東脊振(ひがしせふり)インターチェンジから佐賀(さが)大和(やまと)インターチェンジまでの区間について本日の朝に通行止めを解除したところです。
現在通行止めとなっている山陽道1区間について、復旧工事を引き続き実施しております。
直轄国道においては、島根県の国道9号、岐阜県の国道19号など計4路線4区間で通行止めを実施しています。
特に、島根県の国道9号については、大規模な地すべりが発生し、現在、対策を検討しています。
このほか、自治体が管理する道路では約150区間で、土砂崩れなどの施設被害が確認されており、各道路管理者が復旧を急いでいるところです。
鉄道につきましては、JR中央線、山陽線、山陰線をはじめ計5事業者9路線で土砂流入などの施設被害が発生しており、現在、復旧作業が進められているところです。
復旧に時間を要することが見込まれる路線の内、JR山陽線などでは、すでに代替輸送が実施されていますが、その他の路線についても、学校の新学期に間に合うよう代替輸送の早期確保に努めてまいります。
また、地方整備局や運輸局、気象台等から、佐賀県や長崎県など12県16市町にリエゾンを派遣するとともに、防災ヘリコプターによる被災状況調査や排水ポンプ車による排水作業などを含め、延べ490人のTEC(テック)()FORCE(フォース)が被災自治体支援等にあたってきたところです。
更に、避難指示等を発出するのは地方自治体の責務ですが、国民の皆さまへ直接の注意喚起を行う観点から、気象庁と国土交通本省、並びに各気象台と各地方整備局が合同で記者会見を実施するなど、国民の皆さまに対して、早めの避難行動など身の安全の確保の呼びかけを直接行っているところです。
本日20日も大気の不安定な状態は続いており、引き続き土砂災害への警戒が必要です。
国民の皆さまにおかれましては、地元自治体や気象台が発表する避難情報や気象情報に留意していただき、災害から自らの身を守る行動をとっていただきますよう、改めてお願い申し上げます。
国土交通省といたしましては、国民の皆さまの命と暮らしを守るため、引き続き、地域に寄り添いながら、国土交通省の現場力を最大限発揮し、防災・減災対策に全力で対応を行ってまいります。
 
(問)お盆期間中に新幹線の利用客について、昨年に比べると増加したという発表があります。
これより前に1都3県の知事から、国の責任で人流を抑制するよう要望されていますが、これに対して受け止めと、対応策があればお願いします。
(答)お盆期間中の公共交通の利用実績は、新幹線も飛行機も若干増でありますが、新幹線が前々年比30%~40%程度、飛行機が前々年比50%程度となりました。
首都圏の知事の皆さまから御指摘の要望は、私宛てではなく、西村担当大臣宛て、いわゆる政府宛てに提出されていると承知しておりますが、こうした要望に対して政府としては、人流の抑制について8月17日に改定された基本的対処方針に基づき、混雑する場所等への外出の半減の呼びかけや、不要不急の帰省や旅行など都道府県間の移動を極力控えるように促すなどの対策を講じているところです。
国土交通省では、こうした政府全体での取組の一環として、公共交通事業者等の協力のもと、主要な駅構内や空港ターミナルなどにおいて、都道府県をまたぐ不要不急の移動の抑制や移動する場合の感染予防策の励行等についての尾身(おみ)会長からのメッセージを8月上旬より放送するなど、国民の皆さまへの働きかけを強化しているところです。
引き続き、感染拡大の収束に向けて、政府を挙げて適切に対応してまいりたいと思います。
 
(問)大臣が先日Twitterにですね、国会の開催、招集に対する対応ついてですね、内閣には何も権限もございませんなどと書き込んだことについて野党から批判が出ていますが、その受け止めをお願いします。
また、投稿した内容がですね、憲法を軽視したように受け止める人もいますが、大臣の真意についてもお伺いします。
(答)御指摘のツイートは、そもそも私に対して「臨時国会を開くように」との主旨のツイートをいただいたもので、そのツイートに対し回答する形で発信したものです。
そこで私は、一閣僚の私に、当然のことでありますが、臨時国会の召集を決定する権限はなく、また、憲法第53条に定められているように、内閣が召集を決定できる訳ですが、その際には与党ともよく相談をして対応していくことが実態であるということをお伝えしたかったのですが、表現ぶりが言葉足らずであったので、別のツイートで補足説明させていただいたところです。
いずれにしましても、情報発信については誤解を招くことのないよう注意しつつ、今後とも国民の皆さまへの情報共有・対話は丁寧に行ってまいりたいと考えております。
 
(問)先ほどの大雨の質問と少し被るのですが、先ほど大臣がおっしゃられたように、今回の大雨で佐賀県武雄市並びに福岡県久留米市では広範囲の内水氾濫が発生したと思います。
特に久留米については先ほどおっしゃられたようにですね、国が、国土交通省が地元自治体と協力して、内水氾濫対策に取り組んできたと思うのですが、今回、広範囲のですね、内水氾濫がまた起きて、久留米では4年連続で起きてしまった。
このことについて、内水氾濫が起きたことについての大臣の受け止めと、現時点で今後の対応について何かお考えがあれば聞かせてください。
(答)内水氾濫対策については、大別して2つの手法があり、1つは河道掘削等により河川の水位を下げること。
もう1つは排水ポンプを設置すること。
こうしたことだと考えております。
御指摘の久留米市においては、平成30年から4年連続で内水氾濫被害が生じてしまったところですが、この間、筑後(ちくご)(がわ)の久留米地区より下流においては、河道掘削は既に完成しております。
他方、排水ポンプの対策については実は道半ばであり、平成30年西日本豪雨と同規模の降雨による浸水被害の軽減を目的に、冒頭申し上げましたが、令和2年3月に国・県・市等の関係機関で「総合内水対策計画」を策定し、現在、筑後川の支川である下弓削(しもゆげ)(がわ)及び金丸(かなまる)(がわ)において排水ポンプの増設に着手しているところです。
残念ながらこれはまだ工事の途中でして、今回、効果が発現できなかったことは本当に残念で、また、申し訳ない限りですが、加えて、本年3月に策定した「筑後川水系流域治水プロジェクト」等により、ピーク時の流量を減らすため、ダムの事前放流や、いくつか上流にあるダム間の連携、運動場での雨水貯留にも取り組んでおり、特に、久留米市において、大学の校庭にて雨水を貯留するための施設整備にも着手しているところです。
今後更に気候変動の影響等により、大雨の頻度や規模が増大することが想定されています。
昨年、久留米市を訪問し、大久保(おおくぼ)市長から実情を直接お伺いしました。
おそらく、市民の皆さんも毎年のことで大変御苦労も多いと思いますので、流域治水対策をしっかりと取り組み、対策の成果がしっかりと発現できるよう加速してまいりたいと考えております。
 
(問)大雨に関連してなのですけれども、以前の大雨の最中に、気象庁のホームページがつながりにくくなる状況になりました。
気象庁のホームページは災害時の情報基盤でして、防災対応上非常に困ったという声も相次いでおりまして、原因についてはまだ調査中ということですけれども、かねてから、激甚化していくと指摘される災害に対して、この10年、実質的に気象庁の予算は横ばいで、人員ですとか予算のぜい弱性が指摘されているところでもあります。
大臣の先日のTwitterで、予算・人員大幅の増を実現すると力強いお言葉がありました。既に概算要求が出てくる時期ですけれども、そのお考えにお変わりないかという点、あと、財政状況が厳しい中で、どこに重点的にその予算を充てていくか、現時点でお考えがあればお伺いしたいです。
(答)御指摘のとおり、8月14日12時40分頃から、23時30分頃にかけて、気象庁のホームページが閲覧しにくい状況となりました。
特に、特別警報等が発表されている中、気象庁のホームページを通じた情報提供に支障をきたしたことについては、あってはならないことであり、非常に重く受け止めています。
気象庁のホームページそのものについては、セキュリティの観点から具体的な数字はお答えできませんが、過去の災害時における最大規模のアクセスに耐えられる処理能力を備えていましたが、今回はそれ以上にアクセスが集中し、システムの処理能力が追いつかなくなったとの報告を受けております。
私から気象庁に対し、急ぎ必要な措置を講じるよう強く指示し、本日20日中にシステムの強化等の緊急的な対策を行うことで、まずは今回の最大規模のアクセスに耐えうる処理能力を確保できる見込みです。
一方で、全国で自然災害が甚大化・頻発化しており、国民の皆さまの安全な避難行動を促すために、より正確かつ迅速な防災情報の発信への期待がかつてなく高まっており、これに適切に応えていく必要があります。
気象庁の更なる情報発信体制の充実や、線状(せんじょう)降水帯(こうすいたい)等を含めた気象予測の精度向上といった喫緊の課題への対応のため、来年度気象庁の予算と人員の確保について全力で取り組んでいきたいと考えております。
総理も会見で述べられておりますが、線状降水帯の予測は非常に難しいですが、技術開発や予算、人員体制の充実についてしっかり対応するよう指示をいただいているところです。
 

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