大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年3月4日(金) 9:00 ~ 9:22
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありませんが、このほか、私から1点報告があります。
高速道路の4車線化についてです。
高速道路の暫定2車線区間においては、4車線の区間と比較して、渋滞や事故防止、災害時のリダンダンシーの確保といった課題があります。これらの課題に対応するとともに、物流を効率化し、国際競争力の強化や生産性の向上を達成するためにも、高速道路の4車線化を進めることが重要であると考えています。
また、高速道路の4車線化は、令和2年12月に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」にも位置付けられているところです。
今般、財政投融資を活用し、来年度より新たに4車線化を実施する候補箇所として、昨今の大雪による立ち往生のリスクや、渋滞状況、更には、事故発生状況などを総合的に勘案した上で、計7箇所、約43キロメートルの区間を選定しました。
今後、予算成立後の事業許可に向けて、必要な審議プロセスや手続き等を進めてまいります。
詳細は後ほど資料を配付します。
私からは以上です。

 

質疑応答

(問)ウクライナ情勢に関する航空便への影響についてです。
航空会社の中では既にロシアを迂回して飛行したり、欠航したりという影響が出ております。
今のところ航空会社への影響はどのように把握されておりますでしょうか。
また、ヨーロッパの中ではロシアの航空機を領空で飛行することを禁止する動きも出ていますが、日本での検討状況はいかがでしょうか。
(答)ANA及びJALにおいては、より安全な経路で運航していくことができるよう、一旦、ロシア上空を通過する便については運休することを決定しましたが、本日以降、順次、別の経路での運航等を行っていく体制が整ってきているものと承知しています。
あわせて、各社とも、運休となった便の利用者に対しても振替となる便の案内等、必要な対応に努めているところと伺っています。
なお、ルート変更により、ロシア上空を通過せずに飛行することのできる経路を運航した場合、運航距離が長くなることにより、追加的に時間や運航経費がかかることがあるとも聞いています。
いずれにしても、この決定及び対応は、安全な運航を担保する観点及び利用者への混乱を避ける観点から、各社の判断においてなされたものと承知していますが、国土交通省としても、経路変更に係る諸手続の円滑化を図るなど、適切に対応してまいりたいと思っています。
2点目ですけれども、欧米諸国等においては、ロシアに対する制裁の一環として、ロシア国籍機の領空内飛行を禁止する措置が取られているものと承知しています。
我が国としては、G7を始めとする国際社会との連携を重視しつつ、今回の事態に対応しています。
いずれにせよ、具体的な対露制裁措置の決定に当たっては、どのような措置を取ることが適切かを政府全体として総合的に判断してきており、本件については、欧州や米国と我が国との間にある地理的な状況の違い等も考慮する必要があると承知しています。
国土交通省としては、情勢の推移を注視しながら、関係省庁と連携して情報収集を行うとともに、航空会社等に情報提供を行うなど、適切に対応していきたいと思っています。
 
(問)リニア工事におけるトンネルでの事故についてお伺いします。
1日、愛知県でリニア中央新幹線の工事におけるトンネル工事で作業員が負傷する事故が発生しました。
その概要についてまずお尋ねします。
また、山岳トンネルの工事で作業員の事故が相次いでいることに対する大臣の所感と、国土交通省として再発防止策をどのように求めていくか、お願いいたします。
(答)今月1日16時40分頃、愛知県春日井(かすがい)市のリニア中央新幹線第一(だいいち)中京圏(ちゅうきょうけん)トンネル・西尾(さいお)工区の工事現場で、地山(じやま)にロックボルトを打設する作業を行っていたところ、削孔(さっこう)した穴に注入するモルタルのホースを移動させていた作業員の右肩付近に、吹き付けたコンクリート片が剥がれ落ち、当該作業員1名が負傷する事故が発生しました。
負傷された方に、心よりお見舞い申し上げます。
リニア中央新幹線の山岳トンネル工事では、昨年10月に岐阜県の瀬戸(せと)トンネルにおいて、昨年11月に長野県の伊那(いな)山地(さんち)トンネルにおいて切羽(きりは)付近で(はだ)()ちによる事故が発生しました。
これらの事故を受けて、JR東海は、今回事故が発生した西尾工区を含む山岳トンネルの他の工区について、厚生労働省のガイドラインを遵守した作業が行われていることを確認していました。
そのような中、今回の事故が発生したことについて、大変遺憾に思います。
今回の事故の原因については、JR東海及び労働基準監督署により調査がなされているところですが、リニア中央新幹線の山岳トンネルでは、昨今より事故が続いていることから、原因の調査がしっかりと行われ、その結果を踏まえた再発防止策の着実な実施により、このような山岳トンネルでの事故が繰り返されないよう、国土交通省としても適切に対応してまいりたいと思います。
 
(問)東京メトロの多機能トイレの整備不良の問題についてです。
東京メトロは、昨年6月に日比谷(ひびや)八丁堀(はっちょうぼり)駅構内の多機能トイレで、機能不備によって、中に入っていた男性の方の発見が遅れて、亡くなるという事案がございました。
まずこのことについての大臣の受け止めをお願いいたします。
また、東京メトロからは、このことに関して国土交通省等への報告が無く、我々への発表もかなり遅れております。
また、他にも同様の機能不備が見つかったことも判明していますが、こうした東京メトロの対応についての所感もお願いします。
(答)東京メトロは一昨日3月2日、昨年6月7日に日比谷線八丁堀駅のバリアフリートイレ内で男性の利用客が倒れているのを発見し、救急搬送後に死亡が確認されたことを公表しました。
お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げます。
東京メトロによれば、このバリアフリートイレにおいて、呼出しボタンが押されても通報されない状態となっていたこと等が確認されたとのことですが、呼出しボタンについては、バリアフリーガイドラインでも「押したことが確認できる機能を付与すること」とされており、押されても通報されない状態であったことはあってはならないことであると考えています。
また、本事案発生後に東京メトロが一斉点検を行ったところ、12箇所で同様の不具合が確認され、対策を講じていると承知していますが、これらについて3月1日まで東京メトロから報告がなかったことも含め、これまでの不適切な対応について、大変遺憾に思います。
これを受け、国土交通省は東京メトロに対して、一昨日公表した再発防止策を着実に実施するよう指示しました。
さらに、全国の鉄軌道事業者に対し、今回の事案を周知するとともに、同じ様な事態が生じないよう注意喚起を行ったところです。
国土交通省としては、バリアフリートイレを含めた駅の施設を、鉄道利用者の皆さまが安心して利用できるよう取り組んでまいります。
また、国土交通省への報告が無かったということについての御質問がありました。
東京メトロによれば、本件は、鉄道の事故や輸送障害等のように社内外への報告ルールが明確化されていなかったことから、本事案発生時に国土交通省への報告を行わなかったと聞いています。
しかしながら、本件を受け、東京メトロでは、今後、第三者も入った有識者委員会において、社内連絡体制の再構築や、国土交通省への報告のあり方についても検討すると承知しています。
国土交通省としては、事故や輸送障害に関わらず、鉄道施設の利用者の安全・安心に関する事項については、適宜報告していただきたいと考えており、その旨は東京メトロにも伝えたところです。
 
(問)燃油価格の高騰に関してお伺いします。
今朝、関係閣僚会議が開かれて、追加の対策について議論されたと思いますが、国土交通省所管の分野で、どのような対応をされるかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)今朝、閣議に先立ち、「原油価格高騰等に関する関係閣僚会合」が開催され、「原油価格高騰に対する緊急対策」がとりまとめられました。
もう既に報道されているかもしれませんけれども、これまで上限リッター5円だったものを、リッター25円とするということなど、その他にもいろいろな各省庁に渡る施策が決定されたところです。
国土交通省に関係するものとしては、LPガスの価格高騰による負担軽減のため、今回の原油価格高騰の激変緩和制度に準じて、タクシー事業者に対する支援を拡充することとしています。
今回の激変緩和措置は、基本的には石油元売り各社への支援ですが、LPガスについては、直接タクシー事業者へ支援するという仕組みになっています。
また、燃油価格高騰の影響を緩和するため、離島航空路を運航する事業者に対して支援を実施します。
さらに、引き続き、トラック運送や内航海運について、燃料の価格上昇分が適正に運賃に反映されるよう、荷主企業等に対する理解と協力の呼びかけや、不当な運賃の据え置き等に対する、法律に基づく働きかけ等の必要な対応を適切に行っていきたいと思っています。
引き続き、関係省庁と連携しつつ、しっかりと対応してまいります。
なお、LPガス等の実際のやり方について、詳細については事務方にお聞きいただければと思います。
 
(問)今日、道路交通法改正案が閣議決定されまして、特定小型原動機付自転車という新しいジャンルが生まれてくるような気がします。
そこでもう一度、原動機付自転車についてお尋ねしたいと思います。
原動機付自転車は自動車ではないとの理由で、登録車のようなナンバープレートによる車両管理の仕組みがありません。
国土交通省は軽自動車では、総務省の所管である税金の納付状況をオンライン化するために、調整官も設置しています。
なぜ原動機付自転車や小型特殊では7年間も車両登録について議論がなされていないのか。
原動機付自転車及び小型特殊自動車の車両管理について国土交通省の今後の対応を教えてください。
(答)自動車の登録制度は、自動車の財産的価値に着目し、不動産と同様、国がその所有権を公証し、財産権を保護するために設けられています。
このため、道路運送車両法においては、普通自動車、小型自動車及び大型特殊自動車を登録するものとされており、御指摘の原動機付自転車等だけではなく、軽自動車も登録の対象となっていません。
原動機付自転車等の財産的価値等からは、引き続き、これらを登録制度の対象に含めることは難しいと考えていますが、状況を見守っていきたいと思っています。
なお、国土交通省においては、自動二輪車用の駐車場を整備するなど、二輪車ユーザーの利便性向上に取り組んでおり、引き続き、ユーザーの声を聞きながら、適切に対応していきたいと思います。
(問)もう一度御確認しますけれども、原付や小型特殊に車両管理の仕組みが無いことによる弊害というのは、2015年の軽自動車税の増税で公知の事実となっています。
これは大臣もよく御存じだと思います。
直接、登録車と同じような管理ができなくても、車両に紐付けていかないと、人に紐付けていく形ではきちんとした車両管理もできませんし、今後、小型特殊原動機付自転車などが出てきたときに、道路行政にも差し障ると思いますけれども、いかがでしょうか。
(答)7年前か8年前か、軽自動車税を変更するときに、軽自動車については、新車から新しい税を適用する。
しかし、二輪車、必ずしも原動機付自転車だけではありませんけれども、二輪車全体に対しては、正にその様な制度が無いために、既に売られている二輪車を含めた全体に適用するということがありまして、当時、私は公明党税調会長で、自民党の税調会長は野田毅(のだたけし)議員でしたが、この問題についてかなり議論しました。
先ほど申し上げたとおり、登録制度は、財産を公証するためのもので、税とは直接関係ないのですが、しかし、二輪車ユーザーのための施策を充実させていこうということで、自民党、公明党の税調会長間で覚書を交わし、自動車ユーザーの利便性を図っていくということを合意しました。
その後、色々な施策、例えばETC利用を促進するとか、国土交通省的には先ほど申し上げたとおり、二輪車の駐輪場を充実させる。
これはあの時以来、駐輪場が10倍以上になっていると思います。
そのような形で施策を充実させてきているところです。
いわゆる登録制度と、二輪車の利便性をより向上させるということとは直接関係がないということは繰り返し申し上げているとおりですが、これからもしっかりと頑張っていきたいと思っています。
 
(問)旅工房(たびこうぼう)がですね、一昨日、報告書を出しまして、HISグループとの問題でですね、関連性も見られるかと思いました。
観光庁の対応とですね、今後の不正の防止策についてお考えを教えてください。
(答)今月2日、株式会社旅工房(たびこうぼう)が、同社の外部調査委員会による「調査報告書」を公表し、これまでの事案と同様に、宿泊実体が無い旅行について給付金の支給を申請したこと等の事実が明らかとなりました。
言うまでもなく、「Go To トラベル事業」の給付金等は国民の税金を活用したものであり、その不正受給は断じて許されることではありません。
その意味で今般のような事案はあってはならないことであり、極めて遺憾です。
国土交通省としては、事実関係を更に精査の上、不適切な申請に係る返還請求を行ってまいります。
また、不適切な取扱いをした事業者については、参加を停止するなど厳格な措置をとってまいります。
さらに、今後、刑事告訴も視野に入れつつ、捜査機関と十分に連携し、引き続き必要な調査等を進めてまいります。
なお、これまでに事務局の調査等により判明した具体的な事実関係と旅工房等への今後の対応等については、この後、観光庁とGo To トラベル事務局より発表する予定です。
詳細については、その際にお尋ねください。
 
 

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