大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年4月28日(木) 9:46 ~ 10:06
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議案件で、1点報告があります。
先日26日に政府としてとりまとめた、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策に基づき、本日、予備費使用の閣議決定をしました。
国土交通省関係では、一般予備費のうち、タクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策事業及びこどもみらい住宅支援事業として、計328億円。
また、新型コロナウイルス感染症対策予備費のうち、新型コロナや原油価格の高騰等を踏まえた環境に配慮した持続可能な観光の推進及び居住支援法人等による孤独・孤立対策への支援として、計92億円。
合計で420億円の経費を計上しています。
本予備費について、迅速な執行を進めることとし、総合緊急対策の円滑かつ着実な実施に全力で取り組んでまいります。
詳細は後ほど資料を配付します。
このほか、2点報告があります。
1点目は、(しれ)(とこ)遊覧船事故対策検討委員会の設置についてです。
知床での遊覧船の事故から5日間が経ちました。
改めて、亡くなられた方々及びその御家族の皆さま方に対し心よりお悔やみを申し上げるとともに、今回の事故に遭遇された皆さまとその御家族に重ねて衷心よりお見舞い申し上げます。
海上保安庁では、巡視船艇、航空機等を現場海域に急行させ、現在も関係機関等とともに、懸命に捜索救助活動を行っています。
本日28日午前7時現在において、行方不明となっている乗員・乗客26名のうち、11名を発見、救助していますが、引き続き、関係機関等と緊密に連携し、捜索救助活動に全力を尽くしてまいります。
また、現地対策本部が中心となって、御家族等のお気持ちに寄り添いながら、支援を図ってまいります。
この事故を受け、一昨日26日、岸田総理から国土交通省に対し、法的規制のあり方も含めて、安全対策のあり方について検証あるいは検討を行う検討会を立ち上げ、徹底的な安全対策を講じていくよう指示がありました。
資料をお配りさせていただいていますが、この総理からの指示を踏まえ、有識者から構成される知床遊覧船事故対策検討委員会を設けて、二度とこのような悲惨な事故を起こさないよう、小型船舶での旅客輸送における安全対策を総合的に検討することとしました。
委員については調整中ですが、調整がつき次第、第1回を5月9日の週にも開催します。
この夏には中間的なとりまとめが行えるよう、精力的に検討を進めていきたいと考えています。
詳細は会見の後に、事務方から説明させます。
それからもう1点、線状降水帯予測の開始についてです。
我が国では毎年のように大雨災害に見舞われていますが、このような災害をもたらす線状降水帯の発生を予測できるようにすることが喫緊の課題と認識しています。
現在、産学官の連携をフルに活用した世界最高レベルの技術を用いて、線状降水帯予測の早期実現に向けた取り組みを行っているところです。
その予測の第一歩として、6月1日より気象庁では、線状降水帯による大雨の可能性を、九州北部など大まかな地域単位で半日前からお伝えします。
また、今年の梅雨期には、大学等と連携して実施する線状降水帯の高密度な集中観測によるデータも利用し、開発中の予報モデルについて、スーパーコンピュータ富岳を活用したリアルタイムシミュレーション実験を行います。
これらの取り組みを通じて、さらなる予測精度の向上を図り、令和11年度には市町村単位での情報提供を目指します。
引き続き、国土交通省一丸となって、大雨災害から一人でも多くの命が守れるよう、取り組んでまいります。
詳細は後ほど資料を配付します。
私からは以上です。

質疑応答

(問)2点お伺いします。
1点目が先ほど発表いただいた事故対策検討委員会についてです。
詳しくは検討事項に載っているのですが、たくさん課題が見えてきた中で、特にこの部分を見直したい、より具体的に検討していきたいという分野がありましたらお願いします。
(答)知床遊覧船事故対策検討委員会では、今回の事故を踏まえ小型船舶を使用する旅客輸送における安全対策を総合的に検討します。
具体的な検討内容については、「事業参入の際の安全確保に関するチェックの強化」、「安全管理規程の実効性の確保」、「監査・行政処分のあり方」、「船員の技量向上」、「船舶検査の実効性向上」、「設備要件の強化」等について、法的規制のあり方も含め、検討を行う予定です。
現在、海事法制、舶用工学、船員養成等の有識者の皆さまに委員への就任のお願いを行っており、5月9日の週にも第1回の委員会を開催する予定です。
この夏には中間とりまとめを行いたいと考えています。
御質問は、この中で特に重点を置くべき点はということだと思いますが、現在、今回の事故の原因究明が行われています。
また、我々も特別監査を実施して、会社の体制等について調べています。
それらの中で今回の問題点も明らかになってくると思いますし、また、総合的に考えて全体を見直していくということで、特にこの部分ということは、正にこの委員会の中で議論していただければと思っています。
今の段階で私の方からここを特に重点的にということは申し上げられません。
 
(問)昨日、今回の知床遊覧船の社長が記者会見を開きまして、記者会見の前には御遺族のほうにも説明されたと聞いております。
昨日の会見ですとか御遺族の前での御説明とかも報告が上がっていると思うのですが、それについての大臣の所感がありましたらお願いします。
(答)記者会見については私も一部、テレビ報道で見させていただきました。
到底、御家族の皆さまの納得のいただける説明ではなかったと強く実感しました。
これからも御家族の気持ちに寄り添った丁寧、誠意を持った説明をしていただきたいと会社側、社長にも求めていきたいと思っています。
(問)昨日、御遺族の前でも説明会を開きましたけれども、それより前には例えば社長が御遺族の前に出てこられないということもあったと聞いております。
やはりそういった態度についても改めてどのように思われましたか。
(答)昨日テレビで見たものと、本日、大体の概要の報告を受けましたけれども、私が第一に感じたことは、当事者意識、責任感の欠如だと思います。
それが色々な場面の言葉や態度にも現れているように思います。
先ほど申し上げた責任者、当事者として誠意を持って御家族の皆さまへ説明していただくよう指導したいと思っています。
 
(問)IRに関してお伺いします。
昨日、大阪、長崎から区域整備計画の申請が出されて、観光庁が受理されましたが、今後のスケジュールも含めて審査にどのように臨まれるかお聞かせください。
また、制度上、最大3枠、3地域を選ぶという制度設計になっているかと思いますが、申請が2地域に第1弾では留まりました。
その受け止めについてもお聞かせください。
(答)昨日、4月27日付けで、大阪府および長崎県から区域整備計画の認定申請を受け付けました。
IRについては、長年、我が国の観光の弱点とされてきた長期滞在の促進、消費単価の拡大等の解決に資するなど、観光立国の実現に向け、コロナ後も見据え、中長期的視点から取り組むべき重要な施策の一つであると考えています。
今後の区域整備計画の認定審査にあたっては、多岐にわたる観点から、外部有識者からなる審査委員会において、期限を区切ることなく、慎重かつ十分な審査を行ってまいります。
また、区域整備計画の認定申請が2つとなったことについてですが、IRの整備は、IR整備法上、自治体の発意に基づき行われるものであり、各自治体における様々な検討の結果として、今回、大阪府・長崎県からの認定申請になったものと承知しています。
国としては、こうした自治体における検討およびその結果としての申請数についてコメントすることは差し控えさせていただきます。
その上で申し上げると、我が国のIRとしてふさわしい計画を認定することが何よりも重要であり、今後、審査委員会において、申請された計画について、しっかり審査していきたいと考えています。
 
(問)先ほど、昨日の社長の会見について御発言がありましたけれども、会見の中で社長は、海が荒れれば引き返すという条件で出航したと説明をしていますけれども、この条件付き出航というのがそもそもあり得ることなのか、大臣と、また国土交通省の御所見としてお願いいたします。
(答)出航に関しては、安全管理規程というものがあります。
昨日、社長は数字について、あるのかないのかというあやふやな受け答えをしているのを見ましたけれども、数字を明記した安全管理規程があります。
また、その徹底について国土交通省としても常に指導をしているところです。
そういう意味で、条件付きということは、あり得ないものだと私は考えています。
 
(問)近鉄(きんてつ)橿原(かしはら)線での事故についてお伺いします。
今月の25日に目の不自由な女性が特急と接触して亡くなるという事案がありました。
この事故に対する大臣の御所見と、一部で、点字ブロックの一部が欠損していたという情報もありますけれども、この点についても併せてお願いいたします。
(答)25日18時11分頃、近畿日本鉄道橿原線近鉄(きんてつ)郡山(こおりやま)駅から筒井(つつい)駅までの区間において、視覚障害のある方が踏切に進入し、通過する特急列車と接触してお亡くなりになる事故が発生しました。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに御遺族の皆さまに心よりお悔やみ申し上げます。
事故が発生した踏切は、大和郡山(やまとこおりやま)市が管理する市道と近畿日本鉄道橿原線との交差部であり、今後、警察、大和郡山市及び近畿日本鉄道において具体的な対策を検討していくと承知しています。
視覚障害者誘導ブロック、いわゆる点字ブロックが一部欠損していたことと事故の因果関係は明らかになっていませんが、一般的に、道路管理者は点字ブロックの設置と管理を適切に行うよう、努めることになっています。
国土交通省としては、今回の事故に至った原因などを関係者から聴取し、このような痛ましい事故が再発しないよう、事故防止に向けて適切に対応してまいります。
関係団体、いわゆる視覚障害の団体の方からも早速お話を伺って、どのような改善が今後可能か、早速作業したいと思っています。
 
(問)昨日、建設統計不正に絡んで再発防止を検討するタスクフォースが開かれましたが、1月の第三者による検証委員会で指摘されていた、追加調査の報告や、再発防止をまとめる見通しについて改めて見解をお聞かせください。
(答)昨日27日、「再発防止・検証タスクフォース」の第3回会合が開催されました。
再発防止・検証タスクフォースでは、追加調査の進捗状況、所管統計の点検・検証の進捗状況、再発防止策の検討の進捗状況などについて、有識者の御意見を伺いながら、議論しました。
今後、所管統計の点検及び再発防止策の検討について、これまでの調査状況を踏まえつつ、統計委員会と歩調を合わせ、また有識者の御意見を伺いながら、可能な限り早くとりまとめを行っていきたいと思っています。
 
(問)知床遊覧船の事故について伺います。
条件付き運航についての話がありましたが、知床遊覧船以外の全国の事業者がこういった運航をしている可能性・実態があるかもしれませんが、国土交通省としてはそういった事業者に対して実態把握など、どういった対策・監視をされていきますでしょうか。
(答)一つは、今回この事故を受けて、25日に開始した、旅客船事業者に対する緊急安全点検を実施しています。
もう一つは、先程申し上げました、知床遊覧船事故対策検討委員会、この場においてしっかりと今回の事故を踏まえて対策を練っていくということも対応の一つになろうかと思っています。
この二つの対応をしているということです。

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