大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年9月20日(火) 11:01 ~ 11:20
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点、G7都市大臣会合に出張してまいりましたので御報告させていただきます。
ドイツのポツダムで9月13日に開催されたG7都市大臣会合に出席して参りました。
今回の会合は、持続可能な都市の発展に向けて、気候変動への対応、都市のレジリエンスといった今日的な課題についてG7各国都市担当大臣と活発な議論を行った上で、共同声明がとりまとめられました。
共同声明において、現在の都市の課題と、課題解決に向けた方向性が示され、都市分野におけるG7の協力体制を構築することを確認することができました。
あわせて、議長国であるドイツのクララ・ガイヴィッツ連邦住宅・都市開発・建設大臣及びフォルカー・ヴィッシング連邦デジタル・交通大臣、加えて、アメリカのマーシャ・ファッジ住宅都市開発省長官とバイ会談を実施し、都市・交通分野における協力について意見交換を行いました。
なお、16日に、次回の都市大臣会合の開催地が香川県高松市に、交通大臣会合の開催地が三重県志摩市に決まったところであり、引き続き、今回の大臣会合の成果も踏まえて、次回の大臣会合に向けた準備に万全を期していきたいと考えています。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)今のG7都市大臣会合での成果ですけど、バイ会談をなさったということですが、視察の部分なども含めて、改めて成果の方をお願いします。
(答)今回のG7都市大臣会合では、持続可能な都市の発展に向けて、気候変動への対応、都市のレジリエンスといった今日的な課題について、G7各国大臣間での議論が行われ、共同声明がとりまとめられました。
現在の都市の抱える課題については、持続可能な都市の実現のため、カーボンニュートラルやレジリエンス、インクルーシブの必要性や、解決ツールとしての都市のデジタルトランスフォーメーション化について確認されました。
課題解決に向けた方向性については、国や自治体など様々な関係者が結集すること、各国間での知識の交流を図ること、関係者が共創的に参加することの三点の重要性が確認されたことが意義深いと考えます。
今回の会合での議論を踏まえて、G7各国との協力関係を継続して強化していくとともに、我が国としても持続可能な都市の発展に向けた取組を積極的に進めていきたいと考えています。
今回、第1回ということで、各国の都市担当大臣がどのような問題意識を持っているかということを話し合うということも非常に大きな意義があったと思います。
それぞれの都市で抱えている課題が少しずつ違いますので、ポイントのずれていたところがあったのですけど、共通していたのは、やはりカーボンニュートラルに向けて、どのように具体的な実践をしていくかということでございました。
今回、視察の一つにパリを選んで、パリの都市政策も見てきた訳ですが、一つ、びっくりしたのが、自転車、キックボード専用の道路をパリの主要道路に張り巡らしていると。
いわゆる抵抗があっても、断固、断行するという感じで、例えば、3車線あったところの2車線を自転車とキックボードにして、自動車は一方通行の1車線だけですとか、現実問題として自動車の大渋滞が起きていました。
私も、帰り空港に行くのに、飛行機の乗り遅れるのではないかと思うぐらい大渋滞していて、ドライバーからはものすごいブーイングが起きているという話を聞きましたけども、それでも、その都市の中から自動車を排除していくという方針の下に、大きな政策をきちんと断行しているということを実感しました。
また、操車場跡を今後の環境政策とカーボンニュートラルや生物多様性といった環境課題に適合したまちづくりということで、新しいまちづくりを見てきました。
そこで、一つ特徴的だったのが、ミクスト・ソサエティというのでしょうか、低所得者も高額所得者も同じ街に住む。
また、若い人も世代間、多世代が一緒に住む、そういうある意味では強制的にそのような形にしている訳ですが、そういう環境と調和した、また、世代間が調和したまちづくりという試みも見てきたところでございまして、そういう面では、まさに環境対応、インクルーシブ等々でこれから、各国の大臣が意見交換をしていく、2回目は高松でやることになりました。
これはしっかり、その議論を続けていきたいと、このように思ったところです。
(問)2つ目ですが、台風14号についてですが、現時点での被害の確認の状況と国土交通省の対応をお願いいたします。
(答)まず、今般の台風により、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
台風第14号は、18日に鹿児島県に上陸し、西日本から東日本の広い範囲を暴風域に巻き込みながら進み、本日午前9時に温帯低気圧に変わりました。
この台風の影響により、西日本を中心に、記録的な大雨や暴風となりました。
国土交通省では、人命最優先で対応にあたっており、海上保安庁では、巡視船艇や航空機などの即応体制を確保しつつ、捜索・救助活動及び自治体等からの要請に対し、全力で対応にあたっています。
また、国民へ直接呼びかけを行う観点から、気象庁と国土交通省本省が共同記者会見を計4回実施するとともに、過去最多となる123のダムで事前放流を実施するなど、洪水等への対応にあたっています。
これまでに判明している被害状況ですが、土砂災害については、人的被害が発生した宮崎県三股町(みまたちょう)をはじめ、計9件の報告があります。
河川については、国が管理する太田(おおた)(がわ)水系太田(おおた)(がわ)など2水系3河川からの氾濫により、道路冠水や農地等の浸水が確認されています。
道路については、高速道路において土砂流入により大分道など2路線2区間が通行止めとなっており、現在、復旧作業を進めています。
なお、昨日19日の時点で被災のあった九州中央道など2路線2区間については、応急復旧が完了し、通行止めを解除しています。
また、直轄国道では、鹿児島県垂水(たるみず)()内の国道220号において、土砂流入により通行止めとなっており、早期の復旧に努めてまいります。
鉄道については、施設被害は確認されていませんが、引き続き点検を進めてまいります。
国土交通省では、テックフォースを派遣するとともに、今朝から防災ヘリコプター等による調査を開始するなどし、被害の全容把握と被災自治体の支援にあたっています。
被災地の早期復旧に向け、国土交通省が有する現場力を最大限発揮し、引き続き、全力で対応してまいります。
(問)今秋にも水際対策の大幅緩和が検討されているとのことですが、国内の方、全国旅行支援実施などついての検討次第はどうなっているのでしょうか。
どちらが後とか先とかそういったことなど検討状況をお願いします。
(答)水際対策については、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを取りながら、政府全体として段階的な緩和を進めているところです。
今後の水際対策については、内外の感染状況やニーズ、主要国の水際措置の状況等を踏まえながら、政府全体で適切に判断していくこととされており、国土交通省としても、政府の一員として適切に対応してまいります。
また、全国旅行支援については、引き続き、今後の感染状況を見極めた上で、感染状況の改善等が確認できれば、速やかに実施したいと考えております。
どちらが先とか今の段階で言える状況ではありませんが、感染状況等の改善が確認できれば全国旅行支援を速やかに実施したいと考えているところです。
 
(問)西九州新幹線開業について伺います。
23日に長崎開業する方向ですが、一方、佐賀県区間はまだ整備方針も決まっていません。
現状をどのように受け止め、どのように事態を打開していくか教えてください。
(答)西九州新幹線が今月23日に開業します。
今回の西九州新幹線の開業により、全国有数の温泉地である嬉野・武雄地域と、異国情緒あふれる街並みが魅力の長崎が新幹線で繋がることとなり、広域的な観光交流などの効果が期待されます。
既に、国土交通省による完成検査は終了しており、現在、JR九州において開業に向けた準備が行われているところです。
また、未着工区間となっている新鳥栖―武雄温泉間の整備のあり方については、鉄道局と佐賀県との間で「幅広い協議」を行ってきているところです。
国土交通省としましては、引き続き、九州地域、西日本地域の未来にとってどのような整備のあり方が望ましいか、議論を積み重ねてまいりたいと思っています。
(問)重ねてですが、フル規格で佐賀県のルートができた場合に、前任の赤羽大臣は並行在来線の運行維持についてJR九州を説得していくと話をされておりましたが、斉藤大臣の今のお考え、どのように考えてらっしゃいますか。
(答)昨年7月に行われた西日本新聞によるインタビューにおいて、当時の赤羽大臣が「在来線を残して運行を確保するよう、国土交通省の責任でJR九州を説得したいと決意している」と発言し、これに対して、JR九州は、大臣発言を重く受け止める、必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県などから御意見を聞きながら真摯に議論を深めたいとコメントしたと承知しています。
新鳥栖―武雄温泉間の在来線については、通勤・通学の利用が多く、重要な生活の足であると認識しています。
どのように維持していくのかという点について、佐賀県やJR九州とともに、粘り強く議論していきたいと考えています。
赤羽大臣と同じ認識です。
(問)最後、先ほどの回答と重複するかもしれませんが、佐賀県の区間をフル規格で整備した場合、佐賀県内だけではなく、広く九州、そして日本全域にどのように発展に寄与すると考えておられるか、教えてください。
(答)未着工区間となっている新鳥栖―武雄温泉間がフル規格で整備されれば、西九州地方と関西・中国地方が新幹線ネットワークでつながることとなり、観光振興やまちづくりなど、多くの面でより大きな効果が現れると考えております。
今回の武雄温泉・長崎間の開業の例を見ても、各駅において企業誘致を含む周辺開発が進められており、特に長崎市では大規模な開発により駅周辺が一変しているところです。
また、豪雨等の災害発生時には、被災した在来線の代替輸送としての役割を果たすなど、新幹線の整備は国土強靱化の観点からも重要な意義を有しています。
このように、全国各地を結ぶ高速鉄道ネットワークは、地域相互の交流促進や、地方創生、国土強靭化に大きな役割を果たすものであり、今後も整備新幹線の着実な整備に努めて参ります。
鹿児島中央に通じた時も、私広島ですが、広島から2時間以内で直通・乗り換えなしで鹿児島に行けるようになって、中国地方と九州の結びつきが本当に強くなったと思います。
レールでつながるということは非常に大きな効果が日本全体に期待される、それから災害対策という意味でも非常に大きな意義があると考えます。
 
(問)北海道新幹線の札幌延伸区間についてお尋ねします。
函館本線の函館~長万部間については、沿線自治体が廃止バス転換を受け入れています。
一方で貨物路線としても日本の大動脈になっており、いろいろな物資が運ばれている状況ですが、廃止バス転換となることでこの路線の維持の仕方について地元から少し危ぶむ声も出ているようです。
国土交通省としてはこの貨物路線の維持についてどのようにお考えでしょうか。
(答)函館~長万部間のいわゆる「海線」は、地元自治体が、北海道新幹線の札幌延伸に当たり、JR北海道からの経営分離に合意した路線であり、現在、北海道庁及び沿線市町長からなる「北海道新幹線並行在来線対策協議会」において、令和7年度までに地域交通の確保策を決定すべく検討が行われています。
国土交通省としては、現時点で何か結論が出ているものではないと認識しており、地元での議論を見守ってまいりたいと考えています。
また、ご指摘のとおり、「海線」は、農産品の輸送など北海道と本州を結ぶ貨物鉄道輸送を担う重要な路線であると認識しており、北海道と本州の間の物流を着実に確保していく観点から、北海道庁やJR貨物、JR北海道などの関係者と必要な対応を検討していく必要があると考えています。
北海道の物流の在り方と、国全体の物流の在り方という2つの観点から、北海道庁と国が共同して議論していくことが重要だと思います。

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