大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年11月18日(金) 8:56 ~ 9:16
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。

質疑応答

JR芸備線について

(記者)

幹事社から2問お願いいたします。
1点目、JR芸備線についてお尋ねいたします。
今月2日に開催された、JR西日本と地元自治体の検討会の中で、自治体が地域交通の再編に関する議論は行わないと決めました。
これに対し、JR西日本は国に相談する意向を示していましたが、現時点の相談状況と国土交通省の対応についてお尋ねします。
また、今回示した新しい協議会の枠組みについて、これの適用についてどのようにお考えかということも併せてお聞かせください。

(大臣)

芸備線については、11月2日に、JR西日本から国土交通省鉄道局に対し、持続可能な交通体系の実現に向けて、国が関与する形での協議の場の設置について相談があったところです。
危機的状況にあるローカル鉄道の公共交通再構築に向けた取組みは待ったなしの状況です。
関係自治体の御理解を得て、できるだけ早く、廃止ありき、存続ありきといった前提を置かず、利便性と持続可能性の高い地域公共交通を次世代に残していくための話し合いを始めることが重要と考えています。
国土交通省としては、関係自治体の御意見も丁寧にお聞きしながら、対応について検討してまいります。
それから、後半の御質問ですが、関係自治体の御意見を丁寧にお聞きし、御理解が得られれば、任意の形で協議の場を持つことは可能であり、また、有意義なことだと考えています。

自賠責保険について

(記者)

2点目、自賠責保険についてお尋ねいたします。
先週、自動車事故の被害者家族の方々を始めとする「自動車損害賠償保障制度を考える会」が大臣に面会し、令和5年度予算の繰戻額の増額や今後の返済への取組みの強化を求めました。
こうした要望に対して、国土交通省としてどのように対応するお考えでしょうか。
また、自動車利用者の保険料負担の観点から、今後の自賠責保険の望ましいあり方について御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

(大臣)

先週11日(金)に「自動車損害賠償保障制度を考える会」の皆さまとお会いし、交通事故被害者の御家族の方からお話を伺いました。
今回お話を伺い、改めて、被害者救済事業をしっかりとしたものにしていかなければならないとの思いを強く持ちました。
将来に亘ってしっかりと持続可能であるということを御家族の方に安心していただくと、こういう制度を作ることがいかに大切かということを改めて今回感じたところです。
そのためにも、昨年12月の財務大臣との合意を踏まえ、全額の繰戻しに向け、着実な繰戻しが行われることが極めて重要です。
国土交通省としては、来年度の予算編成に向けて、引き続き、財務省との協議を進め、全額の繰戻しに向け、着実な繰戻しをしっかりと求めていきたいと思います。
また、新たな賦課金を頂くことに関して、自動車ユーザーの理解を十分に得ていただきたいとの強い御要望もいただきました。
法改正の時には色々国会で議論があったのですが、国民の皆さまが十分まだ認識している段階に至っていないと、この自動車ユーザーの理解を十分得ていく広報等を国がしっかりやって欲しいと、こういう御要望をいただいたところです。
この点については、今回の法改正時の附帯決議も踏まえて、自動車ユーザーの御理解を頂けるよう、その必要性について丁寧に説明を行ってまいります。

地域交通のリ・デザイン(再構築)について

(記者)

先ほどの質問にも一部関連しますが、本日の交通政策審議会で地域交通のリ・デザインに向けた会議の二回目が開催されるわけですけど、新しい支援制度の枠組みですとか検討状況についてお聞かせください。
また、例えば、運行経費の補助については、例えば、ローカル線については基本的には無い一方で、バスなどが対象となっているという、いわゆる支援制度の違いについても、色々とこれまでも従来違いがある訳ですけど、そのあたりどういった整理が必要であると大臣お考えでしょうか。

(大臣)

今年度の骨太の方針では、「地域公共交通ネットワークの再構築に当たっては、従来とは異なる実効性ある支援等を実施する」と記されました。
こうした中、国土交通省に設置した2つの有識者検討会で今年の夏に提言がなされましたが、この2つの提言を踏まえ、現在、交通政策審議会において、地域交通の「リ・デザイン」(再構築)の新たな制度について、御議論いただいているところです。
また、御指摘のとおり、現在、バスについては地域交通を確保するための赤字補填、鉄道については安全な鉄道輸送を確保するための設備投資に関する補助を行うなど、交通モードの特性に応じた支援を行っています。
こうした現状も踏まえて、地域交通の「リ・デザイン」(再構築)に向けた支援のあり方について、御指摘の点も含めて、バスと鉄道で仕組みが違う、ここをどのように考えていくのかという、その点も含めて、引き続き、審議会で御議論いただき、検討していきたいと考えています。
大臣個人の意見ということですが、私自身、バスと鉄道でこのように仕組みが違うことを、もう少し幅広く根底的に考えていって、地域公共交通という大きな視点からどうすべきかということを考えるべきだと私自身は思っていますが、この審議会の審議を見守っていきたいと思います。

インバウンド需要の回復について

(記者)

インバウンド需要に関係して1点お聞きします。
一昨日、観光庁で発表された日本を訪れた外国人旅行者の数が50万人近くと先月なりまして、ここ数か月の間でも一気に増えた形になりました。
水際対策緩和の効果が表れた形だと思うのですが、これに対する大臣の受け止めと、今後インバウンド需要をさらに回復していくための国土交通省として観光庁としての施策についてどうやっていきたいかをお聞かせください。

(大臣)

先月10月の訪日外国人旅行者数は、9月と比較して約2.4倍となりました。
このうち観光目的での入国者数は9月と比較して約15倍となりました。
これらの大幅な増加については、10月11日からの水際措置の緩和と円安の効果が相まったものと認識しています。
国土交通省としては、インバウンドの本格的な回復に向け、全国各地で特別な体験の提供や期間限定のイベント等を実施するとともに、日本各地の魅力を全世界に発信する「観光再始動事業」をはじめ、関係省庁の施策も総動員して集中的な取組みを行ってまいります。
こうした取組みを通じて、円安のメリットも生かして、できる限り速やかに訪日外国人旅行消費額5兆円超の達成を目指してまいりたいと思っています。
あらゆる政策を総動員していきたいと思っています。

自動車ユーザーへの課税と国と地方の財源について(自賠責関連)

(記者)

「自動車損害賠償保障制度を考える会」からの要望、斉藤大臣は1年前にも僕の質問に、丁寧に説明を心がけていくんだという趣旨の話をされていましたが、この1年間特に丁寧な説明を受けている記憶が、僕にはありません。
丁寧な説明は何かと言うと、大きく分けて3つあると思います。
1つは、そもそも自分の積立金の自賠がなぜ一般会計に貸し出されなければならなかったのか、それは斉藤大臣の責任は全くなくて、歴代何人もの国土交通大臣に、特に公明党になられてからは、石井大臣にも赤羽大臣にも同じ質問を繰り返しやっていて、僕は12年くらいやっているわけですが、丁寧な説明の一つは、なぜ一般会計にお金が出ていったのかということが一つ。
2つ目は、国土交通省は重量税を所管されていますが、車関連諸税が12年一般会計化されてしまい、目的税から外されてしまい、道路局とかと話しても、「何であれ持って行っちゃたんだろう。取り返してよ」と言われる。
記者一人が取り返すわけもないわけで、それをなぜ国土交通省は財務省、総務省からの「一般会計にちょうだいよ」を容認してしまったのか。
これもやはり説明が不足していると思います。
それから重量税もそうですが、当分の間税率、当分の間課税と言われる部分、これも当分の間っていつだったのかと。
普通日本人が当分の間といった時は、5年、10年、20年の話ではない。
これも全然、当分の間課税、当分の間税率の議論が全くされずに、ずっと重課税が課されている。
重量税で言えば御案内のとおり、13年超の車は課税が上がるということも実際あるわけです。
そういういくつもの国民の疑問について、所管省庁が4つも5つもあるわけですが、国土交通省は車のハード、車を走らせる道路の面倒も見ている非常に重要な役所です。
そういう議論をせずして、総務省あたりは地方にお金がないからと言い、走行税議論を始めてアドバルーンを打ち上げる。
すぐには起きないかもしれないが、官僚の皆さんあるいは政治家の皆さん、普通に考えれば、今アドバルーンを上げた、ちょっと反応きついなとか、そうでもないなとかを測っている時期だと思いますが、このままだと走行税もEV化の波の中で行われることが大いにある。
どっかで歯止めをしなければいけないし、そういうのを省庁横断で、与党の税調がいいのか、国会でやった方がいいのか、あるいは役所も横断的にやった方が良いのかですが、自動車ユーザーへの課税と国と地方の財源のありようを議論していただかないと、自賠がどうだとか重量税がどうだとか、あるいは走行税がどうだとかいうのは議論としては小さすぎます。
この際、負担のあり方について自動車ユーザーにどのくらい求めれば良いのかというところをぜひ議論していただきたい。
それがあっての丁寧な説明という言葉だと思いますがいかがでしょうか。

(大臣)

私この1年、丁寧な説明に努めるということで、新しい賦課を自動車ユーザーの方に求めざるを得ないと言うことについては、一生懸命いろんな場面で説明してきたつもりです。
今仰った3点。
なぜ特別会計から一般会計にお金を貸し出したのか。
これは30年以上前のことになりますが、この問題、それから自動車税そのものについても一般税か目的税かという問題。
それから当分の間税率。
この三つはある意味で日本の財政をどう考えるのか。
それから特に、後の二つについては、私も税調会長を長くやりましたが、与党税制協議会でも大きな議論になったところです。
ある意味で泣く泣く、一般財源化されたというところもあります。
そういうことについて、中々非常に国土交通省だけの問題ではないので、その部分についてしっかり丁寧に説明するという努力にここ1年欠けていたのかもしれませんが、そういうことも含めてしっかり議論していかないといけないかなとは思っていますが、御家族の方からは、とにかく賦課金制度について自動車ユーザーの方の御理解を得ていただきたいと、その努力にまず、国土交通省は努力してほしいということでしたので、今の問題提起を踏まえながらしっかり取り組んで行きたいと思います。

北海道新幹線の事業費について

(記者)

北海道新幹線(新函館北斗―札幌間)の事業費が当初計画よりも大幅に増加することが見込まれていることについて、地元自治体からは負担の増加を懸念する声が高まっています。
どのように対応していくか、大臣のお考えをお聞かせください。

(大臣)

北海道新幹線(新函館北斗―札幌間)については、平成24年の着工以降、自然条件への対応や関係法令の改正等への対応が必要となるとともに、特に近年は、資材価格等の高騰等も顕著になっています。
このため、早い段階でこうした事柄による事業費への影響について精査を行うべく、有識者会議において、技術的な観点も含めて、専門的な見地から御意見をいただき、御議論をいただいているところです。
したがって、現時点で事業費の影響について、これだけ影響がある、と決まったものはありません。
まだ議論の途中です。
国土交通省としては、引き続き、事業費への影響について精査を行い、北海道新幹線の着実な整備に努めていきたいと思っています。

ロードマップの策定について(自賠責関連)

(記者)

先ほどありました自賠責について関連で質問をしたいと思います。
考える会の方はタイムスケジュールを今後は考えてほしいということを両省に要望しております。
これについて斉藤大臣どう考えるのかというのが1点。
それから、まだ案のようですけれども、鈴木財務大臣の方は追加での返済を、繰戻しの話を会見の中でしておりますけれども、この点について受け止めを教えてください。

(大臣)

まず第1点目ですが、考える会から、ロードマップの策定について御提案がありました。
この御提案に関連するものとしては、昨年の財務大臣と交わした新たな合意において、一つ目に令和5年度以降における繰戻しの継続。
二つ目に令和5年度以降の毎年度の繰戻額の目安の提示など、従来の合意よりも一歩踏み込んだ内容を明記し、一定の方向性を示したところです。
これを踏まえて、国土交通省としてはこの大臣合意に基づき、財務省に対して一般会計からの繰戻しをしっかりと求めてまいります。
2点目についても、こういう基本方針の下、今協議をしていまして、私からも財務大臣にもしっかり話をしているところです。

京成電鉄の回送車両脱線について

(記者)

17日に東京葛飾区で京成線の回送電車が脱線した事故がありました。
調べてみると運転士が社内ルールを守っていなかったということが分かったようなのですが、国土交通省として受け止めと今後の対応があればお願いします。

(大臣)

昨日、京成電鉄において回送車両が脱線し、約10時間にわたって運転を見合わせました。
京成(けいせい)高砂駅(たかさごえき)は京成本線、北総線(ほくそうせん)金町(かなまち)(せん)、隣駅が青砥(あおと)ということで非常にポイントになるところで大きな事故が起きたことで、私も大変びっくりしましたけれども、今回の脱線の原因について、京成電鉄からは運転士の取扱い誤りにより脱線に至ったが引き続き調査中である旨の報告を受けています。
これを受け京成電鉄に対しては詳細な原因究明と再発防止策の検討を指示しました。
国土交通省としては引き続き、鉄道の更なる安全輸送の確保に向け事業者を指導してまいりたいと思っています。

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