大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年12月27日(火) 11:00 ~ 11:21
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)リニア中央新幹線について

本日の閣議案件で、特に報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
本日、総理に、リニア中央新幹線の現状等について御説明しました。
総理からは、関係者間の調整が着実に進められるよう、引き続き、沿線自治体と連携しつつ、JR東海に対し必要な指導、支援を行っていただきたい、とお言葉がありました。
また、リニア中央新幹線の開業を見据え、リニア開業後の東海道新幹線の需要動向に基づく静岡 県内駅等の停車頻度の増加の程度や時間短縮効果の可能性等について、年明け早々から調査を開始する旨説明したところ、総理からは、しっかりと取り組んでいただきたい、とお言葉がありました。
国土交通省としては、こうした調査も含めて、リニア中央新幹線の整備に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと決意しています。
私からは以上です。

質疑応答

令和5年度予算案について

(記者)

先週、来年度の当初予算が閣議決定されましたが、国土交通省としての狙いと受け止めについてお願いいたします。

(大臣)

先週23日(金)に閣議決定された、令和5年度予算案において、国土交通省関係では、国費総額で5兆8,714億円、このうち公共事業関係費は5兆2,502億円を計上しました。
今回の予算編成に当たっては、新型コロナウイルス感染症や激甚化・頻発化する自然災害、資源価格の高騰等、内外の難局から国民の命と暮らしを守り抜くとともに、「新しい資本主義」を加速させることに重点を置いたところです。
具体的には、防災・減災、国土強靱化など国民の安全・安心の確保、GX、DXへの重点投資や観光立国の復活など経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大、豊かで活力ある地方創りと分散型国づくり等について取り組んでまいります。
また、先週21日(水)、私、財務大臣と折衝し、まちづくりと連動した地域公共交通サービスの再構築に対する支援の強化についてお認めいただいたところであり、こちらについても重点的に取り組んでまいりたいと思っています。
国土交通省としては、今月2日に成立した令和4年度第2次補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、令和5年度当初予算の施策効果が切れ目なく早期に発揮されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

2022年を振り返って

(記者)

2022年を振り返っての御所感をお願いいたします。

(大臣)

私は今年冒頭の会見において、3本柱、具体的には、1点目にコロナ対応、2点目に安全・安心、防災・減災、3点目に未来を切り開く希望について取組を進めていきたいと申し上げました。
まず、1点目のコロナ対応については、危機に瀕する観光、交通の支援に力を入れてまいりました。
10月に、全国旅行支援を開始するとともに、水際措置が緩和されました。
その結果、10月と11月における日本人の延べ宿泊者数がコロナ禍前(2019年)の同じ月を上回るなど、コロナ禍前に近い賑わいを取り戻した観光地も増えてきました。
また、地域公共交通については、先日、財務大臣との折衝を行い、持続可能性と利便性・効率性の高い地域公共交通ネットワークへのリ・デザイン(再構築)を推進するための新たな支援制度を来年度予算案に盛り込むことができました。
また、2点目の安全・安心、防災・減災についてです。
3月の福島県沖地震や、夏の大雨・台風、さらには、今月の大雪などの自然災害への対応、先の通常国会における盛土規制法の制定、線状降水帯の予測精度向上、新たな国家安全保障戦略等を踏まえた「海上保安能力強化に関する方針」の策定等に取り組んでまいりました。
特に、大雨・台風への対応に際しては、従来実施してきた河道掘削やダムの事前放流によって大規模な浸水被害を食い止めることができたなど、これまでの政策効果を実感できる1年でもありました。
また、本年4月には知床遊覧船事故が発生しました。
このような痛ましい事故を決して繰り返してはならないという強い認識のもと、できるものから直ちに旅客船の安全・安心対策を実行に移しているところです。
そして、3点目の未来を切り開く希望については、戦略的・計画的な社会資本整備を着実に進めていますが、例えば、9月に西九州新幹線が開業するなど、明るい話題もありました。
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、先の通常国会における建築物省エネ法等の改正をはじめ、くらしやまちづくり、交通・運輸、インフラ等の分野におけるGXの推進に取り組んでまいりました。
一方で、建設工事受注動態統計調査の不適切処理など国土交通行政に対する信頼を揺るがす事案も発生しました。
こうした事案については真摯に反省し、再発防止に向けて取り組んでいるところです。
来たる令和5年においても、冒頭に申し上げた3つの課題について、現場の声をしっかりと聞きながら、国土交通省の総合力を最大限発揮し、全力で取り組んでまいりたいと決意しています。
今年1年、皆さま方には大変お世話になりました。
心から感謝申し上げたいと思います。
来年もどうぞよろしくお願いします。

全国旅行支援の区切りと成果について

(記者)

全国旅行支援についてお伺いします。
本日27日宿泊分で年内の割引が終了しますが、この2ヶ月半ほど事業をやった具体的な成果についてお聞かせください。
また、年明け以降の期待についてもございましたら、お願いします。

(大臣)

本年10月11日より開始した全国旅行支援については、本日宿泊分をもって一旦区切りを迎えます。
開始から2か月半あまりの間、非常に多くの方々にこの制度を御利用いただき、全国の観光地に賑わいが戻ってきたと実感しています。
今回の支援の具体的な成果としては、1つに全国旅行支援を開始した本年10月と11月における日本人の延べ宿泊者数がコロナ禍前の2019年の同じ月を上回ったことがあります。
そのほか、旅行会社では、販売・予約実績がコロナ禍前を10%以上も上回っているところがあり、航空・鉄道についても、コロナ禍前の8割から9割程度まで需要が回復しているところがあると認識しています。
年明け以降も、割引水準の引下げ等の必要な見直しを行った上で、来月10日(火)より再開する予定です。
国土交通省としては、引き続き、都道府県とも十分に連携しながら、本支援の円滑な実施に取り組んでまいりたいと思っています。

リニア中央新幹線に関する調査について

(記者)

冒頭にありました静岡県内のリニア開業後を見据えた研究・調査の話なのですけれども、どのような形を想定しているのか、例えば、専門家による検討会などを設置する予定なのかどうなのかが1点と、リニアの工事に関しては、静岡工区が静岡県の反対などでまだ着工できていない状態ですけれども、今回の調査がどのような効果をもたらして欲しいかというような、そういったところの期待みたいなものも、併せて教えていただければと思います。

(大臣)

まず、どのような調査をするのかということですが、リニア中央新幹線へ輸送需要が転移した後の東海道新幹線の需要動向に基づく、静岡県内駅等の停車頻度の増加の程度や、時間短縮効果の可能性等について、様々なシナリオに基づきシミュレーションを行うことを考えています。
専門委員会を開くかということですけれども、今の時点でそこまでは考えていませんが、ここはしっかり国土交通省でいろいろな関係者の方々からヒアリングしながら、またいろいろな分析、シミュレーション、科学的な手法に基づいてこの調査をしていきたいと思っています。
それから、今後の進め方ですけれども、静岡工区については昨年12月に取りまとめられた中間報告の指摘を踏まえ、生態系などの環境保全について学識経験者等からなる有識者会議を開催し、科学的、客観的な観点から議論を進めているところです。
国土交通省としては、事業主体であるJR東海が静岡県や流域市町をはじめとする地域の方々と向き合い、地域の御理解と御協力が得られるよう、引き続き指導していく決意です。
この新しい新幹線が開業後の東海道新幹線の状況についてどのような形になるのか、ということも静岡県民の皆さまに認識していただいて、議論していただく、また御理解いただく、ということも非常に大きな要素になるのではないかと思っていますので、そこはしっかりと真摯に行っていきたいと思っています。

(記者)

今の質問に関連してですが、今おっしゃった内容でいいますと、幾分かの調査がメリットがあるから、予想されるからやるということだと思うのですけれども、現時点で想定されるメリットがどういったものがあるとお考えでしょうか。

(大臣)

リニア中央新幹線開業後は、当該新幹線への輸送需要の転移が生じ、東海道新幹線の輸送力に余裕ができることが想定されます。
この余裕ができることから東海道新幹線の静岡県内の駅の停車本数の増加、そして静岡県、東海地方の発展に資する交通利便性の向上や地域活性化についても関係自治体やJR東海と連携して対応していきたいと思います。
この他、私の個人の考え方ですが、「こだま」や「ひかり」に乗ると新大阪-名古屋間の駅に停車した時に、一旦停車すると通過する「のぞみ」を待つのに5分ぐらい停車するというのが頻繁にあります。
そういうことが無くなる時間短縮効果も利便性の向上にあるのではないかと思いますが、これから調査をするので、予断を与えるようなことは言えませんけれども、そのような効果があるのではないかと私自身は感じています。

(記者)

調査でそういうメリットがもし分かった場合ですけれども、静岡県民の皆さんに理解していただく材料というかそういうのに資するとお考えでしょうか。

(大臣)

はい、このリニア中央新幹線について御理解をいただく上で、できるだけ情報を持っていただく。
いろいろな事実について知っていただく。
その上で御理解をいただく。
こちらも丁寧に説明していくことが必要な事ではないかと思っています。

ローカル鉄道の支援について

(記者)

ローカル線の件でお伺いします。
予算案にローカル鉄道に関する新しい支援が盛り込まれたかと思います。
ローカル線については今年1年様々な議論がされてきました。
大臣の地元、広島県では芸備(げいび)線に関する協議がされているところですが、今回の予算を踏まえて、このローカル線を巡る協議の、今難航している部分もあるかと思いますけれども、期待するところと来年国土交通省としてどのような取組みをしていきたいかという意気込みを教えてください。

(大臣)

今年の夏、二つの有識者会議から提言がなされました。
一つは、地域公共交通全体について、これからの地方再生の中で、地域公共交通はなくてはならないものです。
どのようにして地域公共交通を持続可能なものにしていくのか。
また、地域に住んでいる方々にとって利便性の高いものにしていくのか。
その地域公共交通、リ・デザイン(再構築)という提言書。
そしてもう一つは、ある意味ではそれとまさに連動しますし、その中に含まれると考えても良いかと思いますが、ローカル鉄道に対しての提言。
今のままで放置して良いはずがない。
これを地域の地方自治体、そして事業者が真剣に話し合う。
そしてそこに必要があれば国が関与するという仕組みで、まず話し合いをしましょう。
そしてそのためには予算措置も必要になってまいります。
そういうことに対しての、この2つの提言がありました。
私は来年は、この2つの提言を受けて、「地域公共交通再構築元年」そういう年にしていかなくてはならないと思っています。
ローカル鉄道についても、2者ないしは国も入って3者がしっかりと現状を認識して、どうしたら持続可能な、そして地域の方々に喜んでいただけるような公共交通になるのかを真剣に話し合う。
そのために、こういう実証実験をやってみようという結論が出れば、それはしっかりと実証実験をやる予算を国としても用意する。
そして「存続ありき廃止ありき」ということではなく、議論をしてある一定の結論が出たとしたら、その結論を実行するために例えば予算が必要になる。
そういう予算についても、例えば社会資本整備総合交付金、これをこれまではインフラが対象でしたけれども、鉄道、地域公共交通も対象に基幹事業として加えるということも行いました。
こういう形でしっかり支援をしていく。
こういう形にしたいと思っています。
そのためには法改正が必要になってまいりますので、来年の通常国会には、この法律案を出したいと思っています。
そういう形で地域の公共交通を再構築するその元年の年にしたい。
そのためには地域の皆さまと本当に真剣に信頼関係を持って話し合わなければいけない、そういう場を国として用意したいと思っています。

ページの先頭に戻る