大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年2月10日(金) 9:22 ~ 9:42
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)地域公共交通活性化法案の閣議決定について

(大臣)

冒頭2点御報告いたします。
1点目は閣議案件です。
本日の閣議で、当省提出の2本の法律案が閣議決定されました。
1本目は、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」です。
これは、人口減少や新型コロナの影響等により、引き続き多くの事業者が厳しい状況にある地域公共交通について、地域の関係者が共に創る「共創」、すなわち連携・協働して、ローカル鉄道をはじめ地域の路線バス等も含めて全国で、利便性・持続可能性・生産性の高い地域公共交通ネットワークへの「リ・デザイン」の推進を図るものです。

(大臣から)道路整備特別措置法案の閣議決定について

(大臣)

2本目は、「道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案」です。
これは、高速道路の更新事業や暫定二車線の四車線化事業等に必要な財源を確保するため、高速道路の料金徴収期間を延長するとともに、サービスエリアやパーキングエリアの機能の高度化を図るための新たな財政支援を行うこと等により、高速道路の適正な管理と機能の強化を推進するものです。
各法案の詳細については後ほど資料を配付します。

(大臣から)G7大臣会合のロゴマーク決定について

(大臣)

それからもう1点御報告があります。
今年6月に三重県志摩市で開催されるG7交通大臣会合、および7月に香川県高松市で開催されるG7都市大臣会合のロゴマーク決定についてです。
両大臣会合の開催について更なる周知を図るため、G7広島サミットのロゴマークを活用し、それぞれの会合のロゴマークを作成しました。
今後、本ロゴマークを両会合の広報に活用するとともに、地元などでも広く使っていただき、機運醸成に役立てていきたいと考えています。
私も名刺にロゴマーク入れさせてもらいます。
今日から使わせていただきたいと思っています。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
私からは以上です。

質疑応答

スカイマークへの業務改善勧告について

(記者)

航空会社のスカイマークが整備士がアルコール検査を受けないまま酒気を帯びた状態で機体の整備にあたっていた事案が今週発表されました。
国土交通省として業務改善勧告など行いましたが、大臣の受け止めをお聞かせください。

(大臣)

スカイマーク社に対し、航空法に基づく報告徴収及び立入検査を実施したところ、スカイマーク社所属の整備士が法定アルコール検査を実施せず、酒気帯びで整備業務を実施していたことや、一部の作業項目について十分な確認をしないまま整備記録の作成を行ったこと等が確認されました。
また、今、申し上げた不適切な整備の発生から航空局への報告まで、2週間以上を要したことも確認されました。
安全確保を最優先すべき航空会社においてこのような不適切な行為があったことは、誠に遺憾です。
今回の事案を受け、今週7日(火)に、スカイマーク社に対し、業務改善勧告及び安全統括管理者の職務に関する警告を行い、再発防止策の提出を指示したところです。
国土交通省としては、今後提出されるスカイマーク社の再発防止策の内容を確認するとともに、提出された再発防止策が有効かつ確実に履行され、安全運航体制が確実に維持されるよう、引き続き、厳正に指導・監督を行ってまいりたいと思っています。

道路整備特別措置法案について

(記者)

高速道路の法案についてお伺いします。
法案では最長50年の期間の債務返済の計画を逐次追加する形でトータルでは料金徴収期間を2115年まで延長しますという内容ですが、トータルの期限の後ろを2115年に設定したこの50年間と設定したその根拠を教えていただきたいのと、その後の無料開放の方針についてそのあり方を伺いたいです。
お願いします。

(大臣)

御説明するのにそもそも論から入りますが、道路は、国民共有の財産で極めて公共性が高く、無料公開が原則である、こういうことを踏まえて、有料道路制度は債務完済後には料金を徴収しない仕組みとなっています。
また、平成17年の道路公団民営化時には、債務の確実な返済や道路建設への歯止めの観点から、料金徴収期限を法定化しました。
その後、平成26年に料金徴収期限を延長した際の国会の附帯決議においても、永久有料にすべきという御意見と、無料化すべきという御意見の両方がありました。
これがこれまでの経緯です。
このような状況を踏まえ、今回の法律案は、明らかになった更新需要などに応じ、逐次、料金徴収期間を延長する制度とし、その際、債務返済の確実性の観点から、債務返済期間を50年以内とする新たな規定を設けるとともに、現行法を踏襲し、料金徴収期限を設定しました。
2115年(令和97年)という料金徴収期限は、平成26年以降の法定点検で新たに判明した更新需要に加え、同じ構造・基準のため、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所における更新財源も確保できるよう設定したものです。
また、今回の法律案においても、従来の有料道路制度と同様に、債務完済後には料金を徴収しない仕組みとなっています。
このような形の法律案です。

地域公共交通活性化法案について

(記者)

ローカル線について伺います。
閣議決定した、地域公共交通再編に向けた関連法の改正案では、国主導の再構築協議会の設置が盛り込まれていると思いますが、JR芸備(げいび)線などで難航している協議について、この協議会の設置の要請があった際には具体的にどのように介入して協議を進める考えでしょうか。
教えてください。

(大臣)

今回の法案において、国は、自治体又は事業者からの要請を受け、対象となる線区が大量輸送機関としての鉄道特性を発揮できておらず、関係者による協議が急務と判断された場合には、再構築協議会を設置することとしています。
これは、これまで、危機的状況にあるローカル鉄道の在り方について、自治体・事業者双方の主張がかみ合わず、協議の場すら持てない状況が見受けられたため、必要な場合には国の関与を強め、相互の連携と協働を促すこととしたものです。
具体的には、廃止・存続、いずれも前提としない中立的な立場から会議を主催します。
そして自治体や事業者、利用者の皆さまの御意見にしっかり耳を傾け、新たに創設した調査・実証事業も活用して、客観的なファクトとデータに基づく議論を促します。
試験的にこうしてみようということに対して、それに期待し、国もしっかり支援する。
お金がかかるのであればお金も出そうという立場で国はしっかり支援していきたいと思っています。
そして、大臣指針を遵守すべき立場にあるJRを含め、鉄道事業者を適切に指導するとともに、地域の出した再構築の方針を予算面でもしっかり支援してまいります。
しっかり話し合っていただいて、そして出てきた結論については、国が責任を持って、予算面も含めて支援をしていくというものです。
これらにより関係者の協議が円滑に進み、地域にとって最適な形で合意が得られるように、国として、積極的に関与していきたいと決意しています。

(記者)

今お話にあったように、中々協議がかみ合わずに進んでいない現状があるかと思いますが、そういった協議が進まないことの課題、なぜ進まないのかということを大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

(大臣)

やはり存続ありき、廃止ありきということについて、相互に不信があるのだろうと思います。
そうではなく、今のままで良いわけが無いわけで、その現状をしっかり事業者も、そして地域自治体も、今ある姿をしっかり把握する、認識を共有するところから、どうしたら地域公共交通を守っていけるのか。
やはり視点は地域住民の方になければならないと思います。
地域住民の方が最も利便性の高い地域公共交通、これをしっかり提供していく、そのためには、どういう姿が良いのか。
これは虚心坦懐にですね、それぞれの立場がありますけども、話し合う、認識を共有する、そして、どうしたら良いのか、そこで国も関与して、国も責任を持ってサポートする、そういう体制で、地域公共交通の将来のあり方を決めていく、決まったことに対しては、国も責任を持ってそれをサポートする、そういう形で今ある意味で膠着状態に入って進まない状況をなんとか打開したい、そして、ある意味で皆さんが納得するような形の結論を得ていきたいと思っています。

道路整備特別措置法案について

(記者)

やはり、高速道路の件は聞かざるを得ないと思って、質問します。
大臣が御案内のとおり、2050年を2065年にし、2115年にするという、非常に五月雨感ありありの今回の期限延長。
やはり、当局、政治の失策だと僕は思っています。
2050年を2065年にする頃からですね、当然、維持更新に莫大な金がかかるということは、僕が道路局に出入りしている限り、皆さん知っていることでした。
何も、昨日今日知った訳ではないし、調べてみたら、たくさん直すところがあるよなんてことを今更言うのは片腹痛いわと。
もし、今回そう言うのであれば、2050年を2065年にするときに、東日本大震災を言い訳にしていましたけど、あの時点で、やはりもっと長期的な視野を、残念ながら、大臣も僕も何十年も生きていないのは分かっているので、孫子の代の話になるのですが、こういう2115という数字だけ一人歩きさせてですね、結局、その先がどうなるかも分からないと、2065年の段階でも、そこまでは無料化しないと言っただけで、その後も無料化するとは一切約束していないんですね。
今回の法案でも、2115になったら無料化するいうことは絶対言っていない。
これは国民の財産とおっしゃいましたが、金を払っているのは、通行料金なので、直轄道路は財産でもいいのですけども、基本的には通行料金を払っている人たちの負担で、道路を維持管理し、或いは新設をし、或いは2車線を4車線にするということです。
やはり、説明不足、これ、たぶん法案を提出してもですね、相当紛糾するのが目に見えているという話だと思います。
本当に2115以降には抜本的な解決策を用意しているのでしょうか。
ただ単に50年延ばしただけなのでしょうか。
そこをはっきりと教えて欲しいのですが。

(大臣)

ただ単に期限を延ばしたということではありません。
これまでの、先ほども少し説明しましたけれども、国会での議論、これは先ほど申しましたとおり、基本的な考え方で大きく二つあります。
無料化すべきだという意見と、それから、先ほどおっしゃったとおり、更新やこれから自動運転化等が進むなかで、いわゆる一般財源から賄いきれない大きな財源が必要だ、だから、永久化すべきだと、こういう二つの意見があって、国会の決議でも、両方の意見が二つ、国会の決議の中で方向性の違う附帯決議が並んで存在する状況です。
そういう中で、現実に今、必要となっている更新事業が出てきています。
その財源を確保しなければ、今進んでいる老朽化に対しても対応できない。
こういう中で、どうしていったら良いのか、その二つの決議の重みと、今、現実に既に老朽化対策、更新事業を始めなければならない、莫大な財源がかかる、今まで必要と確定したものだけでも、1兆5千億円ある、その財源を確保しなければならない。
しかし、その財源についても、ちゃんと50年で返済をする、これはまた大きな原則だと思います。
その50年で返済する、これらの諸条件を考えた時に、今回の法律が現時点で国会に提出するには最も適したものであると私が判断したところです。
ある意味で二つの大原則、矛盾する二つの大原則が存在するということを踏まえた上で、しかし、今早急に老朽化対策についても、行っていかなければいけない、また、自動運転化等の新しい投資も、未来社会に向けて、日本が国際社会で競争力を失わないためにも、今回それはちょっと法案の中に入っていませんが、そういう思いもあります。
そういう中での今回の法案であるということを是非、御理解いただきたいと思います。

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