大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年3月31日(金) 10:35 ~ 10:53
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)観光立国推進基本計画について

(大臣)

本日の閣議案件で、私から1点報告があります。本日の閣議で、観光立国推進基本計画が閣議決定されました。
新たな観光立国推進基本計画は、コロナによる変化やコロナ前からの課題を踏まえ、2023年度から2025年度までの3か年で、コロナからの復活を目指す計画としています。
閣議に先立ち、観光立国推進閣僚会議が開催され、総理からは、私を中心に、新たな計画に基づき政府一体・官民一丸となって取り組むよう、御指示がございました。
国土交通省としては、観光が地域の社会・経済に好循環を生む「持続可能な観光地域づくり」を全国各地で推進し、持続可能な経済社会をつくり上げるよう、様々な取組を力強く進めてまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。

(大臣から)物流の革新に関する閣僚会議について

(大臣)

このほか、私から1点報告があります。
「我が国の物流の革新に関する閣僚会議」についてです。
トラックドライバーに対して、時間外労働の上限規制が適用されるまで、明日でちょうど1年となります。
現在、物流業界は、上限規制の適用により、一人当たりの労働時間が短くなることから、何も対策を講じなければ物流が停滞しかねないという、いわゆる「2024年問題」に直面しています。
このため、我が国の社会経済の変化に迅速に対応し、荷主、事業者、一般消費者が協力して我が国の物流を支えるべく、政府一丸となって検討を行うため、本日、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が開催されました。
本日の会議において、総理からは、6月上旬を目途に、緊急に取り組むべき対策を「政策パッケージ」として取りまとめるよう、御指示があったところです。
国土交通省としては、関係省庁と緊密に連携し、スピード感をもって、「2024年問題」に対応してまいりたいと決意しています。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

物流の革新に関する閣僚会議について

(記者)

今御紹介のありました物流に関する関係閣僚会議で、改めて今後どのようなスケジュール感でどういった具体策を講じていくのかお聞かせください。

(大臣)

本日の会議において、総理からは、1年以内に具体的な成果が得られるよう、対策の効果を定量化しつつ、6月上旬を目途に、緊急に取り組むべき抜本的・総合的な対策を「政策パッケージ」として取りまとめるよう御指示がありました。
具体的には、物流の生産性向上を図るため、1つとして荷主・物流事業者間等の商慣行の見直し、2つめに物流の標準化やDX・GX等による効率化の推進、3つめに荷主企業や消費者の行動変容を促す仕組みの導入。
これらを進めるべく、これらの抜本的・総合的な対策について、対策の効果を定量化しつつ、検討を進めていきます。
国土交通省としては、物流を停滞させないよう、関係省庁と緊密に連携し、スピード感をもって、「2024年問題」に対応していかなければならないと思っています。

観光立国推進基本計画について

(記者)

観光立国推進基本計画についてお伺いします。
本日、閣議決定されましたけれども、改めて25年度に目指す一人当たり消費額や訪日客層数の目標達成に向け、国土交通省としてどのように取り組まれていくのか、大臣の意気込みも含めてお願いします。
また、対中国の水際対策も3月、4月以降も本格的に緩和される動きがありますが、訪日客全体の足元の回復状況と今春以降の見通しについて大臣どのように御評価されてますでしょうか。

(大臣)

まず前段の計画目標の達成に向けた取組ですが、新たな基本計画では、2025年に向けた目標として、質の向上を強調することなどに留意し、具体的には、訪日外国人旅行者1人当たりの旅行消費額を、コロナ前から25%増の20万円に増やすこと、訪日外国人旅行者数について、コロナ前の2019年水準を超えることなどを設定しています。
こうした目標の達成に向けては、全国各地で特別な体験等を提供する「観光再始動事業」や、観光消費の旺盛な高付加価値旅行者、いわゆる外国人富裕層の地方への誘客に向けた高付加価値な観光地づくり等を進めていきたいと思っています。
さらに、観光地や宿の再生・高付加価値化などによる持続可能な観光地域づくりや、国内交流の拡大に向けた取組みを総合的かつ強力に推進し、目標の達成を目指していきます。
それから後段のインバウンド回復状況ですが、本年2月の訪日外国人旅行者数は、147万5300人となりました。
昨年2月の1万6719人と比べ、約88倍、コロナ前の2019年2月と比べると、中国を除き77%まで回復しました。
中国を入れると57%までの回復となります。
個人旅行を解禁した昨年10月以降、毎月の訪日者数回復率(2019年比)は毎月増加しており、堅調な回復が続いていると考えています。
国土交通省としては、観光再始動事業などの推進により、インバウンドの回復と地方への誘客を更に加速してまいりたいと思っています。

山陽本線で起きた貨物列車の脱線事故について

(記者)

広島市安芸区のJR山陽線で2021年に起きた貨物列車の脱線事故について伺います。
運輸安全委員会が、調査報告書をまとめ、事故原因として積み荷の偏りを指摘していますが、この受け止めを聞かせてください。
また、国土交通省の検討会も事故を踏まえた対策を取りまとめました。
事故の問題点と国土交通省としてどのように取り組む考えか伺います。

(大臣)

令和3年12月に山陽線において発生したJR貨物の列車脱線事故について、昨日(30日)、運輸安全委員会の調査報告書が公表されました。
調査報告書では、この事故の原因は積荷の偏り、偏積(へんせき)によるものであり、再発防止策として、積込ガイドラインを関係者で周知徹底させる連絡体制の構築や、測定装置を活用したハード対策などが必要との指摘を受けています。
まず、受け止めということですが、これを真摯に受け止めて、二度とこういう事故がないように我々としても、JR貨物とよく連携してやっていきたいと思っています。
国土交通省ではこの事故を受けまして、昨年8月から、JR貨物、利用運送事業者、荷主等による「鉄道貨物輸送における偏積対策に関する検討会」を開催しておりました。
偏積ではないかと言われていましたので、今回、運輸安全委員会の報告書はもちろん、これを待ってやるんですが、その前に、たぶん、こういうことだろうと言われていましたので、先ほどの検討会を開催しておりまして、一昨日(29日)、積込ガイドラインなどが関係者に行き渡るよう、情報の周知ルートの構築や、JR貨物による輪荷重を測定する装置の設置等のハード対策の全国への拡大などの対策が取りまとめられました。
国土交通省としては、今後、運輸安全委員会の調査報告書も踏まえて、必要な対策を検討し、JR貨物や関係者とともに、偏積による事故の防止にしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

京都府保津川での川下り船の転覆事故について

(記者)

本格的な観光シーズンが訪れる中、先日、()津川(づがわ)下りでの事故が起きてしまいました。
改めて、大臣の受け止めをお願いいたします。

(大臣)

3月28日(火)、京都府の保津川において、保津川遊船企業組合が運航する川下り船の転覆事故が発生しました。
今回の事故により、お亡くなりになられた方々とその御家族の皆様方に対し、心よりお悔やみを申し上げます。
また、今回の事故に遭遇された皆様に心からお見舞い申し上げます。
この事故を受け、国土交通省では、事故発生当日より近畿運輸局の運航労務監理官2名を現地に派遣し、事業者のヒアリング等を実施しています。
加えて、一昨日(29日)、全国の川下り船事業者に対し、改めて安全運航を徹底するよう指導することを、各地方運輸局等に指示しました。
また、運輸安全委員会においても事故調査が行われていると承知しています。
国土交通省としては、今後、得られた情報を踏まえ、必要な対応を適切に行ってまいりたいと思っています。

元事務次官による民間企業役員人事への介入について

(記者)

国土交通省OBの元事務次官が、民間企業の社長人事に介入しようとしていた問題でお尋ねいたします。
元次官も反省をしているというふうに語っているようですが、事務次官経験者がこうした民間企業に対して国土交通省OBを社長にするように働きかける行為自体について、大臣は問題だと認識されているのか、まずこの認識についてお伺いいたします。

(大臣)

本件について、国土交通省は関与していません。
その上で、上場民間企業の役員人事や国土交通省を退職した者の言動について、国土交通省はコメントする立場にありませんが、仮に報道されている「国交省としてあらゆる形でサポートする」などの発言が事実とすれば、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねないものであり、はなはだ遺憾であると考えています。
特に、現役時代に大きな職責を担っていた方については、この点に留意していただく必要があると考えています。

(記者)

国土交通省に関して言えば、許認可権や監督権も多い省庁だと認識しております。
ただ、国家公務員法ではOBによる他のOBの口利き、あっせんの規定はなく、国土交通省としてOBが他のOBの再就職先について介入することは問題だと認識されているのかどうかということを改めてお尋ねしたいのと、また、元次官が就いている現在のポスト、東京メトロの会長というポストは国が閣議了解をするようなポストですが、元次官の進退についてどのように考えているのかということと、今後省内で何らか対応をとられるお考えがあれば併せてお聞かせください。

(大臣)

国家公務員OBによる再就職に係るあっせんについては、既に公務を離れた民間人としての活動であり、国家公務員法による規制の対象とはなっていないところです。
一方で、そういった活動を行うにあたっては、国家公務員を退職した方々が、現役時代に担っていた公務に係る権限を、行使可能であるかのような誤解を招かないよう、自覚を持つことが必要なのではないかと考えます。
先ほども申し上げましたが、特に、現役時代に大きな職責を担っていた方については、この点に留意していただく必要があると考えています。
それから、東京メトロの会長であることに関して、東京地下鉄株式会社の代表取締役については、会社法の規定に基づき、株主総会において選任された取締役から取締役会において選定されることとなっています。
併せて、東京地下鉄株式会社の代表取締役の選定等については、国土交通省の認可を受けることとされていますが、御指摘の点については、どのような発言がなされたか、今後、事実関係を確認の上、適切に判断をしてまいりたいと思います。
それから3点目ですが、今回報道されている本田勝氏については、国家公務員法に基づく再就職に係るあっせん規制の対象となる現職の職員ではなく、一般論としては、こういった法規制の対象に当たらないOBの行動について、国土交通省としては調査する立場になく、その権限も有しないものと考えています。
一方で、本件については、仮に報道されている発言が事実であるとすれば、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねないものであることから、どのような発言がなされたか、今後、事実関係の確認を行ってまいりたいと考えています。
本人から直接話を聞いてみたいと思います。

(記者)

今の件で、一応確認なのですが、今後本田氏自身に関する調査を行うとともに、他にも関係者とみられるような有力OBという形で名前が出たりしていますけれども、その調査の対象を少し広げたりするお考えはあるのでしょうか。

(大臣)

まずは本田さん本人からどういう発言があったのか。
その中で、その他の方々と言うことも出てきていますので、まず御本人のお話を伺ってから考えたいと思います。

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