大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年8月25日(金) 11:03 ~ 11:23
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。

質疑応答

令和6年度概算要求の概要について

(記者)

昨日、2024年度の予算の概算要求、発表されました。
自然災害の備えや、物流2024年問題の対応、地方鉄道とかバスとか、地域公共交通の再編にも力を入れるということですけれど、予算要求のポイントと予算編成に向けた大臣のお考えをお伺いできますか。

(大臣)

令和6年度予算の概算要求については、一般会計で、対前年度比1.19倍の7兆389億円の要求を行うこととしています。
この1.19倍は許された額の目一杯です。公共事業関係費、6兆2909億円、非公共が7480億円です。
具体的には、これまでも申し上げてきましたが、3本の柱、一つ目に、防災・減災、国土強靱化など「国民の安全・安心の確保」、二つ目にGX・DXへの重点投資や持続可能な観光の推進、いわゆる「2024年問題」への対応など「持続的な経済成長の実現」、そして三つ目に「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」などについての予算を盛り込んでいます。
また、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等については事項要求としており、予算編成過程で検討することとしています。
国土交通省として、公共事業予算をはじめ、必要な予算がしっかりと確保できるよう、全力で取り組んでいきたいと決意しています。

物流の2024年問題について

(記者)

概算要求の関係で、コロナ禍の物流の2024年問題の予算措置についてお伺いします。
国土交通省として、今年4月には再配達の削減キャンペーンをやったりとか、この1年、いろいろ取り組みもあったかと思うのですが、今回概算要求で、事業化がなされた場合に、今回事項要求という形になっていますが、どのようなイメージでどういったものを取り組んでいくのかということと、改めて、この物流2024年問題というものをどう解決につなげていきたいのかという大臣の決意、所感をお伺いしたいと思います。

(大臣)

我が国の物流は、国民生活や経済を支える重要な社会インフラであり、いわゆる「2024年問題」への対応が喫緊の課題となっています。
このため、本年6月に関係閣僚会議において取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、政府一丸となって、一つ目に商慣行の見直し、二つ目に物流の効率化、三つ目に荷主・消費者の行動変容、これらの三つを柱とする、抜本的・総合的な対策に取り組むこととしています。
この関係閣僚会議も総理中心に、総理も本当に危機感を持っていらっしゃいます。
ここで取りまとめられた、かなり野心的な提案について、しっかり実行していかなければいけないと固く決意しているところです。
国土交通省としては、これらの対策を着実に実施できるよう、必要な予算の確保や法制化の検討に取り組むこととしており、令和6年度概算要求においては、モーダルシフトの強力な促進や再配達の削減に必要な施策について事項要求等を行うこととしています。
国土交通省としては、これらにしっかりと取り組み、荷主の団体を所感する、経済産業省、農林水産省等関係省庁と連携しながら、物流の停滞が生じないよう、そして2024年問題、働く人たちの健康と安全を守りながら乗り越えられるように、全力を挙げて頑張っていきたいと思います。

8月26日に芳賀・宇都宮にてLRTが開業することについて

(記者)

宇都宮のLRTがまもなく運行開始ということですが、国土交通省としてLRTに関して、期待があるのかどうか改めてお伺いできたらと思います。
またもし、宇都宮で今回この開業することに関しても、何か御所見ありましたらお願いします。

(大臣)

明日(26日)、栃木県宇都宮市及び芳賀町(はがまち)において、国内では初となる、全線新線での本格的なLRT(ライト・レール・トランジット)が開業します。今般開業するLRTは、従来の路面電車から、レールや車両、停留施設等の機能をかなり向上させています。
人と環境にやさしい交通システムとなっています。
これも、低床式車両の導入とか、停留施設の整備、レールの制振等の性能が向上していると聞いています。この路線の開業により、芳賀・宇都宮地域の持続可能なまちづくりが大きく進むことになり、地域の皆さまに愛され、多くの方々に利用される公共交通機関となることを期待しています。地域公共交通の中で、私はLRTが果たす役割が非常に大きい。
私自身も地元が広島で、路面電車が
延長して郊外電車になっていますが、非常に大きな役割と交通渋滞の解消に繋がっているのを実感していますので、この宇都宮・芳賀の新しいLRTが成功することを祈っています。

LRTを根付かせるために必要な取り組みについて

(記者)

今の質問LRTについてなのですけれども、現地で取材していますと通勤客を中心に渋滞の緩和に懐疑的な声が結構多く聞かれています。
国としてLRTを宇都宮で根付かせるためにはどういうことが必要だとお考えでしょうか。
また国としてLRTを根付かせるためにどんなサポートをしていく予定かというのをお聞かせください。

(大臣)

例えば、富山のライトレールにおいては、公共交通の利便性を高めることで、従前より利用者数が平日で2倍、休日で3倍へと、大幅に増加しています。
この度開業する芳賀・宇都宮LRTにおいても、実際に利用していただくことで、定時性、速達性等、LRTの良さを実感していただくことが重要であると考えています。
今回それに対して利用促進するために国として何ができるかですが、まず建設に際して国はこのLRTの重要性を認識し、財政的な支援をしました。
またこれからの地域公共交通の一つのモデルになり得るものと考えていて、我々としても引き続き注目をしていきたいと思います。宇都宮駅と大きな工場がある。
大変今は通勤で皆さん車を使っていらっしゃる。
地域を直接結び、かつ車の渋滞が影響しないような形で定時性、速達性等を保つ工夫がされていると聞いています。
そういうことで多くの方が利用されて、車社会における交通渋滞の一つの解決策のモデルになることを期待しているところです。

台風7号による東海道・山陽新幹線の混乱について

(記者)

台風が通過したお盆休みの新幹線の混乱なのですが、JR東海16日夜に、翌日はおおむね平常通りと見通し示していましたが、結果的には17日も朝からダイヤが大きく乱れました。
16日以降のJR東海の情報発信のあり方、列車の手配、捌き方、大臣は適切だったとお考えでしょうか。

(大臣)

東海道・山陽新幹線において、台風第7号の接近に伴い、15日(火)に、名古屋駅―岡山駅間で終日にわたり計画運休を行いました。
また、翌16日(水)には、始発から運転したものの、8時28分頃、新富士(しんふじ)―静岡駅間の雨量計が規制値に達したため、一時運転を見合わせるなど、終日、大幅な遅れや運休が発生しました。更に、翌17日(木)、7時22分頃から約1時間、運転を見合わせ、再開後も夕方頃まで遅れや運休が発生しました。
この理由について、JR東海からは、「(しん)大阪(おおさか)駅と付近の車両基地に、16日の運行列車、列車ホテル及び17日の運行列車が集中し、始発列車の出発ができず、その解消のための時間を要したため」と現在のところJR東海から聞いています。
国土交通省としては、多くの旅客が移動する夏休み・お盆の時期に、大幅な遅れや運休等により、多くの方々に御迷惑をお掛けすることになったことについては、重く受け止める必要があると考えています。
このため、本事案を受け、18日(金)にJR東海に対し、一連の対応について検証を行うよう指示をしました。主な検証ポイントとしては、直通運転を中止したことが適切だったのか、新大阪駅付近での列車の集中を回避できなかったのか、利用者への情報発信は適切だったのかについて、これらの点、またその他の点についても、検証を行うように指示をしたところです。
国土交通省としては、引き続き、鉄道の更なる安全・安定輸送及び利用者への利便性確保に向けて、事業者を指導していきたいと思います。

北陸新幹線の大阪延伸について

(記者)

新幹線に関連して、北陸新幹線の敦賀(つるが)―新大阪間の調査についてお伺いします。
昨日開かれた与党の整備委員会で、高木(たかぎ)委員長が国土交通省の概算要求の説明を聞いた後に、来年度の着工は難しいのではないか、再来年度の着工をすべきだという見解を示されました。この現状について大臣の見解、認識をお聞かせください。

(大臣)

昨日(24日)、与党による北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会が開催されました。
鉄道局及び鉄道・運輸機構から次の事柄について報告しています。
北陸新幹線金沢(かなざわ)―敦賀間の工事の進捗、それから今年度の北陸新幹線事業推進調査の進捗の状況、3点目に北陸新幹線にかかる令和6年度予算概算要求の内容を報告したところです。
まず、金沢―敦賀間については、工期・事業費とも現在の計画の範囲内で進捗しており、今年度末の完成・開業に向け、引き続き取組みを進めていきます。
また、敦賀―新大阪間については、今年度から、鉄道・運輸機構において、従来、工事実施計画の認可後に行っていた調査も含め、施工上の課題を解決するための調査を先行的・集中的に実施していますが、環境影響評価手続に一定の期間を要すること、路線全体の約8割がトンネルとなる見込みであり、地中の状況の精査が必要であること、新大阪駅などにおいて施工上の課題が大きいことが見込まれることなどの事項も勘案すると、来年度(令和6年度)も、引き続き調査を進める必要があると考えています。
国土交通省としては、引き続き、この調査等を活用して、1日も早い全線開業を実現していきたいと考えています。

「総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」について

(記者)

今朝ありました関係閣僚会議、防衛力強化の公共インフラに関しての整備の閣僚会議があったと思いますが、これについて内容もお伺いしたいのと、国土交通省としてこのテーマについてどのように取り組んでいくのかお考えをお聞かせ下さい。

(大臣)

本日、閣議後に「総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」が開催され、私も出席しました。
今日の会議では、防衛省等の安全保障上のニーズと、これに対して、民生利用を前提として考えられる関係府省の対応の基本的な考え方とを出し合い、関係閣僚で認識の共有を図ったところです。
国土交通省としては、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備については、政府全体で取り組むべき重要な課題であると認識しており、引き続き、関係省庁と一層連携し、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

(記者)

差し支えなければ、今のことに更に加えて、例えば大臣の方から関係閣僚会議の中で国土交通省としての意見というか、考えを述べられたことが更にあればと思うのですが。

(大臣)

私も発言をしました。特に公共インフラ関係です。
公共インフラ整備については、昨年末に決定した国家安全保障戦略に基づいて、民生利用のニーズに加え、防衛省、海上保安庁のニーズを反映できるよう内閣官房を中心に、関係省庁間で検討を進めているところです。
そのためには慎重な、地域の皆さまの御理解も含めた、丁寧な対応が必要である旨を申し述べたところです。
具体的な内容、場所等については、正に今後検討、調整を丁寧に進めていくこととされていて、現時点で何ら決まっているものではないと承知しています。
基本的な考え方、関係省庁と今後連携してやっていきたいということを申し上げたところです。

インバウンドによる交通サービス需要に応える上でライドシェア導入への考え方について

(記者)

自家用車のライドシェアについてお伺いしたいのですが、先日(すが)前首相が空港とか観光地でタクシーの不足が目立っていることについて、自民党内でライドシェアの解禁について議論するという意向を示されたことについて、国土交通省としてはどのようにお考えでしょうか。

(大臣)

国土交通省としても、地域における旅客輸送需要への対応は重要であり、特に、現在、インバウンドの急回復により、交通サービスの需要に、供給が追いつかない地域が生じていることは解決しなければいけない、解決すべき喫緊の課題であると考えているところです。
危機意識は、我々も菅元総理と同じ危機意識です。
他方、いわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保の観点から問題があると考えています。
このため、タクシーなどの安全・安心な交通サービスが、インバウンド需要にもしっかりと応えられるよう、また先ほども申し上げたように、需要に供給がきちんと対応できるように、しっかりと応えられるよう各種の支援や規制緩和等に取り組んでいかなければいけないと考えているところです。

(記者)

では既存のタクシー業界を支援する形で需要に応えていくという方向に変わりないという理解でよろしいのでしょうか。

(大臣)

タクシー等の安全安心な交通サービスがインバウンド需要、またその他の需要にもしっかりと応えられるよう各種の支援や規制緩和等に取り組んでいきたいと考えています。

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