大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年9月8日(金) 10:30 ~ 10:45
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)知床遊覧船事故に関する運輸安全委員会報告書について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
昨日(7日)、知床遊覧船事故について、国の運輸安全委員会から最終報告書が公表されました。
改めて、この事故において、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、御家族に心からお悔やみを申し上げます。
また、事故に遭遇された方々、そして御家族に心からお見舞いを申し上げます。
国土交通省として、事業者の安全意識の欠如やその実情をしっかりと把握することができず、今回の事故が発生したことは、痛恨の極みです。
従前の監査、検査等のやり方について不十分な点があったことについては、国土交通省として大いに反省しなければならないと考えています。
そのため、昨日、海事局、海上保安庁、地方運輸局、日本小型船舶検査機構等に対し、昨年取りまとめられた「旅客船の総合的な安全・安心対策」等に沿った再発防止策の確実な実施・遵守を徹底するよう指示をしました。
また、海事関係部局だけでなく、関係局等に対して、改めて、旅客輸送の安全確保に気を引き締めてあたるよう、指示をしたところです。
報告書が示す再発防止策については、既に実施中、又は実施に向けて準備が進められているところですが、職員一人一人が今回の報告書の内容を重く真摯に受け止め、職務を遂行していくことが重要です。
このような痛ましい事故が二度と起きることがないよう、私、国土交通大臣以下、職員全員が一丸となって旅客輸送の安全確保に向けて強い決意を持って取り組んでいきます。
私からは以上です。

質疑応答

知床遊覧船事故に関する運輸安全委員会報告書について

(記者)

2点お聞きします。
まず今お話のありました、沈没事故の調査報告書ですが、この中には、船の隔壁の水密化や位置発信装置の義務化について、特に早期実現が望まれるとの記載がありました。
こうした国に対する提言について、対応がありましたらお願いします。

(大臣)

66の項目について、今、先ほど申し上げたとおり進めていますが、報告書では特にこの二つについて特出しがありました。
「小型旅客船の隔壁の水密化」については、昨年12月に運輸安全委員会が公表した経過報告書を受け、学識経験者や造船技術者などからなる検討会を設置し検討しました。
その結果、波の打ち込みや万一の座礁・衝突への効果が高い「水密(すいみつ)全通(ぜんつう)甲板(こうはん)の設置」及び「いずれの1区画に浸水しても沈没しないような水密隔壁の設置」等を、限定沿海以遠を航行する旅客船に対し義務付けることとしました。
現在、令和7年度を目途に義務付けが開始できるよう、基準の詳細について検討を進めています。
「遭難時の非常用位置等発信装置の積み付け」については、知床遊覧船事故対策検討委員会のとりまとめを踏まえ、限定沿海以遠を航行する旅客船に対し、令和6年度より積み付けを義務化する予定としています。
また、本年4月から、非常用位置等発信装置の早期積み付けを促すための支援を実施しています。
財政的支援です。
国土交通省としては、隔壁の水密化、非常用位置等発信装置の積み付けをはじめ、運輸安全委員会の報告書が示す再発防止策を確実に実施・遵守できるよう、強い決意を持って取組みを進めていきたいと決意しています。

秋本真利衆議院議員逮捕による洋上風力発電政策への影響について

(記者)

洋上風力発電を巡る事件についてお尋ねします。
受託収賄容疑で逮捕された秋本(あきもと)(まさ)(とし)容疑者は、国土交通省の政務官を務めて、再エネ海域利用法の制定にも関わったと思います。
逮捕に対する大臣の受け止めと、今後の洋上風力政策に与える影響をどう考えるかお聞かせください。

(大臣)

まず、大臣としての受け止めですが、大変遺憾だと思っています。
あってはならないことだと思っています。
御質問については、捜査機関の活動に関わることですので、私からコメントすることは、差し控えたいと思いますけれど、その上で、洋上風力を含む再生可能エネルギーの導入拡大が、政府として重要な政策であることに変わりはないものと考えています。
国土交通省としては、引き続き、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、経済産業省と連携して洋上風力発電の導入促進にしっかり取り組んでいきたいと思っています。

セブパシフィック航空のマニラ引き返し事案について

(記者)

2点お尋ねします。
1点目が、福岡空港の門限の件です。
4日、セブパシフィック航空の飛行機が着陸できずに、フィリピンのマニラに引き返すという事案がありました。
その際、一旦、北九州空港に代替着陸したものの、乗客を降ろせなかった点、これも課題に挙げられています。
今後国際線の増便が益々進むと見られていますが、国土交通省で何らかの対策というのは取られるお考えありますでしょうか。

(大臣)

9月4日、セブパシフィック航空のマニラ発福岡行きの便が北九州空港に着陸した後、福岡空港の運用時間に間に合わず、マニラに引き返す事案があったと承知しています。
セブパシフィック航空からは、「正確な事実関係は乗務していた機長に確認中であるが、出発地のマニラまでの飛行時間は3時間程度であり、マニラであれば、円滑に乗客に宿泊施設や翌日の航空便等を提供することができるとの自社の判断により、マニラに戻った」と聞いています。
国土交通省としては、今回の事案について、引き続き、セブパシフィック航空から詳細を聞き取りたいと考えています。
その上で、今回の事案のように、代替空港への着陸を行った場合であっても、当初の目的地の空港の運用時間制限により向かうことができないときは、その代替空港で旅客に降りていただく、また代替空港で旅客に降りていただくことができない場合には、関西空港のように、24時間運用しており、国際線の旅客に対応可能な他の空港に行く選択肢もあります。
国土交通省としては、旅客の負担軽減の観点から、こうした選択肢についても検討するよう、航空会社に呼びかけていきたいと思います。

中古車大手ネクステージの不正報道について

(記者)

2点目です。
中古車販売業界についてです。
ビッグモーターに次ぐ大手のネクステージ社でも保険契約を巡る不正疑惑が報じられました。
今回整備業の話ではありませんけれど、国土交通省で対応は検討されていますでしょうか。

(大臣)

御指摘の報道及び、9月1日の株式会社ネクステージの発表については、承知しています。
同社の発表には、自動車整備の不正に関するものは確認できませんが、国土交通省としては、道路運送車両法の観点から、事実関係を確認したいと考えています。

(記者)

ビッグモーター社のように聞き取り調査を行われるという考えでしょうか。

(大臣)

方法については、またこれから具体的に考えたいと思います。
ヒアリングを行うというところかと思いますが、具体的な方法については今検討中です。

知床遊覧船事故に関する国家賠償請求訴訟について

(記者)

知床遊覧船の事故で1問お願いいたします。
事故で亡くなった甲板員の御家族が、国に対して損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こされました。
これとは別に乗客の御家族も今年4月の会見で、国家賠償請求訴訟を検討していると明らかにしています。
運輸安全委員会の最終報告書が公表されたことで、今後こうした動きが続く可能性があると思います。
大臣の受け止めと国土交通省としての今後の対応を教えてください。

(大臣)

報道については承知していますが、現時点においては、訴状の送達を受けていません。
そのためコメントは差し控えさせていただきます。
その上で、国土交通省としては、このような痛ましい事故が二度と起きることがないよう、私、国土交通大臣以下、全職員が一丸となって旅客輸送の安全確保に向けて強い決意を持って取組みを進めてまいります。

中国からの訪日旅行者の最新動向について

(記者)

福島第一原発に溜まる処理水の海洋放出に関することなのですが、1回目の放出が8月下旬に始まって、来週明けくらいにも終わるという予定とのことですが、8月29日の会見では、訪日中国人の団体旅行客について、延期、中止の可能性に関する問い合わせがあるというところと、それほど全然来ていないというところと、それぞれあるというお話だったかと思うのですが、改めて現状の認識をお伺いできますか。

(大臣)

引き続き我々聞き取り調査を行っています。
中国からの訪日旅行の状況については、先日(8月29日)に御説明させていただいた以降も、対象とする地域を広げ、観光庁においてJNTO(日本政府観光局)を通して、現地の旅行会社に聞き取りを実施しているところです。
8月末時点で、聞き取りを行った旅行会社の中には、実際にツアーのキャンセルの申し出があったと回答するケースの他、顧客からの飲食の安全性やツアーの延期・中止の可能性などに関する問い合わせがあったと回答するケースがある一方、顧客からの問い合わせの数は多くはない、あるいは、問い合わせは無いと回答するケースもあり、引き続き、混在していると認識しています。
このため、これは8月29日と同じですが、現時点において、状況について予断を持って申し上げることは避けたいと考えています。
9月29日から、中国は、大型連休となる中秋(ちゅうしゅう)(せつ)国慶(こっけい)(せつ)を迎えます。国土交通省としては、引き続き、中国からの旅行客の動向や実績を注視する必要があると考えています。

ページの先頭に戻る