大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2024年2月16日(金) 9:35 ~ 9:47
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)公共工事設計労務単価等の改定について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から2点報告があります。
1点目は公共工事設計労務単価等の改定についてです。
公共工事設計労務単価、技術者単価及び建築保全業務労務単価について、このたび、関係機関との調整が整いましたので、その概要をお知らせいたします。
新たな設計労務単価は、全職種で前年度比プラス5.9%、現場労働者の8割以上を占める主要12職種では6.2%の、大幅引上げとなりました。
このほか、コンサルタント等の技術者単価は前年度比プラス5.5%、建物の保守・点検業務等の建築保全業務労務単価は前年度比プラス6.2%となり、いずれも昨年度を上回り、物価上昇を超える、過去10年で最大の引上げとなります。
また、このうち、設計労務単価の引上げについては、本年4月からの時間外労働規制の導入を踏まえて設定したものとなります。
今回の引上げを受け、建設業界に対し、時間外労働規制の導入に向けた準備を着実に進めるよう強く促すとともに、今回の単価引上げが各社の賃上げに結び付き、次なる単価引上げにつながる好循環を実現できるよう、各社の賃上げを強く働きかけていきたいと思っています。詳細は後ほど事務方から説明させます。

(大臣から)物流革新に向けた政府の中長期計画策定と業界との意見交換会実施について

(大臣)

2点目は、物流革新に向けた政府の中長期計画策定と、業界団体との意見交換会の実施についてです。
まず、本日、持回りで、物流の関係閣僚会議を開催し「2030年度に向けた政府の中長期計画」を策定しました。
この中長期計画には、「政策パッケージ」に基づく各種施策の取組状況と2030年度に向けたロードマップ、これらの施策の効果として、初年度の賃上げ効果10%前後と、2030年度に不足するとされる輸送力34%を補う効果を見込んでいること、などをまとめているところです。
また、本日、「物流革新・賃上げに関する意見交換会」を先ほど、総理官邸で開催しました。荷主や物流業界から、取組状況や賃上げに向けた決意をお聞きしました。
総理からは、中長期計画に基づき、政府全体で、産業界とも連携し、精力的に取り組むこと、労務費等の適正な転嫁により賃金を大幅に引き上げていくこと、所要の法案の提出、標準的運賃の引上げ等あらゆる手段を講じて構造的な賃上げ環境を作っていくこと、などの御発言がありました。
国土交通省としても、引き続き、物流革新・賃上げによる物流の持続的成長の実現に全力を尽くしてまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

建設業界の慢性的人手不足に向けた、処遇改善への取り組みについて

(記者)

冒頭、発言がありました労務単価について伺います。
建設業も物流と同様に2024年問題が指摘されていますが、今回の労務単価の引上げや今国会に提出予定の法改正案も含めて、建設業の人手不足とか処遇改善にどう対応されていくか、お考えをお願いします。

(大臣)

建設業は国民生活や社会経済を支え、また、今回の地震でも災害復旧の最前線を担っていただきました。
元旦の夜、直後から地元の建設業者が集まって道路啓開にあたっていただきました。
このように国民生活や社会経済を支えるだけでなく、災害対応にもあたっていただいている重要な産業であり、将来に向けて担い手を確保できるよう、生産性向上に向けた取組とあわせて、処遇改善などの課題に着実に取り組む必要があります。
まず、本日公表した公共工事設計労務単価の引上げが、今後、各社の賃上げに結び付き、次なる単価引上げにつながる好循環を実現できるよう、各社の賃上げを強く働きかけていきたいと思っています。
また、賃上げの原資となる労務費が適切に確保されるよう、労務費や資材費などの実勢に即した価格での契約締結、資材高騰分を適切に転嫁することによる賃金へのしわ寄せ防止、ダンピング対策などを着実に推進していきたいと思っています。
さらに、今国会に建設業法の改正案を提出し、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示した上で、民間企業間の取引や下請取引も含めた個々の工事において、これを著しく下回る積算見積りや請負契約を禁止すること、資材高騰の際の契約変更方法をあらかじめ明確化すること、価格・工期に関するダンピングを禁止すること、などの新たなルールを導入します。
これらの処遇改善策に取り組むことで、建設業の担い手確保と持続可能な建設業の実現に全力を尽くしていきたいと思っています。

今般の公共工事設計労務単価等 改定の受け止めについて

(記者)

今の労務単価について改めてお伺いさせていただきます。
物価の上昇に賃金の上昇が追いついていない今の状況で、岸田(きしだ)政権としても物価上昇に負けない持続的な賃上げを行う、実現したい、というのが今の政権の最重要のテーマだとも思います。
そういう意味でも今年の労務単価は注目集まっていたかと思うのですが、去年の5.2%を上回る5.9%ということで決着しました。
この水準に関する大臣の御所感を改めてお伺いしたいと思います。

(大臣)

今般の公共工事設計労務単価の上昇は、昨年の労務単価の引上げを、各社がそれぞれの賃上げにつなげ、それらが労務費調査の結果に反映されたことによるものと認識しています。
実際に市場でどのような単価になっているのかを調査した上で、そのことをベースにして決めるものです。従いまして、今回非常に高くなったのは、昨年5%を超える賃上げを目指していきましょうということで各業界に、建設業界にお願いをしたことが反映された、実際に賃上げしていただいたことが今回の調査に表れて、今回5.9%という数字になったものと理解しています。
今回の引上げについても、現場労働者の賃上げを通じて、次なる労務単価の引上げにつながる、好循環が実現するよう、現場労働者の賃上げを強く働きかけることで、物価上昇を上回る賃上げの実現を推進してまいります。
さらに、今国会に労務費の行き渡りを実現するための建設業法の改正法案を提出するなど、現場の技能労働者等の処遇改善や働き方改革にしっかりと取り組んでまいります。
それでもなお、まだ全産業平均に追いついていません。
しっかり今回もまず国が発注する公共工事については、まず我々官から率先していきますので、ぜひ労働者の、技能者の賃金を上げてくださいということを、しっかり国土交通省としてもお願いをしていきたいと思います。
それがまた来年の労務単価の引き上げにつながっていくと思っています。

建設業における女性活躍の拡大・定着に向けた支援について

(記者)

先ほどの建設業界の担い手不足に関連してお伺いします。
建設業界で働く女性について、以前に比べて数は増えているかと思うのですが、まだまだ少ないのが現状です。
女性が建設業界に定着するためにどのようなことが必要なのか、大臣のお考えと国土交通省としての対応を教えてください。

(大臣)

建設業における女性活躍の拡大と定着のため、官民を挙げて取り組んでいる中、近年、女性の建設業従事者が増加してきています。現場で働く女性就業者は、平成26年と比較して2倍程度に増加しており、中でも、現場を統括する技術者は、2.3倍となっています。
建設業の担い手を、将来に向けて確保していく上でも、引き続き、女性の活躍と定着のための取組を一層強化していかなければいけません。
このため、例えば、女性も快適に使える、現場でのトイレや更衣室などの労働環境の整備を一層拡大するとともに、女性が少ない職場でも孤立することのないよう、全国各地の女性建設業従事者の交流や情報共有などを促すなど、きめ細やかな対応に努めてまいります。
来年度には、女性の活躍拡大のための新たな行動計画を策定する予定としていますが、先ほど申し上げた取組のほか、例えば、力仕事や危険作業を機械化・自動化するDXの推進など、女性のみならず全ての労働者の環境改善に資する取組や、業界内外に向けた建設業の魅力の発信も含め、官民を挙げて、総合的な対策を充実させていきたいと思っています。

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