2024年5月31日(金) 9:32 ~ 9:46
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
(記者)
先日、道路の舗装工事を手掛ける鹿島道路が高速道路工事で設計とは異なるアスファルト合材を使用していたと発表がありました。
同様の事案がNIPPOでも判明していますが、国土交通省としての現状の認識と今後の対応をお願いします。
(大臣)
鹿島道路株式会社が今月29日に発表した、国土交通省及び高速道路会社発注の舗装工事の一部で、契約と異なる材料で施工を行っていた件に関しては、国土交通省としても、28日に鹿島道路から報告を受けたところです。
NIPPOに続き、鹿島道路においても、契約と異なる材料で工事が行われていたことは、極めて遺憾であり、重く受け止めています。
鹿島道路に対しては、NIPPOと同様に、「品質確認試験の実施」を求めるとともに、「受注工事の中に、他にも同様の事象が無いか」、更には「鹿島道路から、他の事業者に、契約と異なる材料を使用したアスファルト合材を納入していないか」などについて調査を行い、報告するよう求めたところです。
また、「第三者委員会」による「原因究明、再発防止策の検討、品質確認試験の評価」も求めています。
その上で今般、同様の事象が複数の企業で確認されたことを受け、国土交通省としては、他の企業でも行われていないかを確認するため、地方整備局や高速道路会社が発注したアスファルト舗装工事について、全国調査を行うこととしました。
今後、NIPPO、鹿島道路からの報告、及び、国土交通省による全国調査の結果を踏まえ、厳正に対処していきたいと思っています。
全国調査の詳細については、事務方に御確認いただければと思います。
(記者)
昨日、岸田総理と河野大臣との3者の協議でタクシー事業者以外の事業者によるライドシェアについて、法制度の議論やモニタリングの実施には特定の期限を設けないということで一致されました。
国土交通省としては新たな法制度の必要性があるかどうかについて、期限を設けないにしろ、いずれかの時点で結論を出すお考えがあるかどうか、まずこれをお聞かせください。
それから関連で、今後進められるライドシェアのバージョンアップについてです。
万博も近づいているということで、大阪府の吉村知事が府内全域で台数制限のない24時間のライドシェアの運行の可否について判断するよう求めているかと思います。
今月21日の吉村知事や全国知事会の会長も、大臣を訪問されましたけれども、その際、吉村知事がぶら下がりの方で、こうした要望について大臣から前向きに検討するというような発言があったと説明していました。
こうした吉村知事の要望にどのように対応されるか、国土交通省としての考えを教えてください。
(大臣)
まず1点目ですが、昨日、河野大臣と共に、岸田総理に、今後の規制改革推進会議などにおける対応について、御説明申し上げてきました。
ライドシェアについて、総理の前で議論した結果、以下の3点で3人の意見が一致しました。
まず1点目ですが、自家用車活用事業等について、モニタリングと検証を進めていく。2点目に、その検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、法制度を含めて事業の在り方を並行して議論する。
3点目に、現時点では、法制度の議論やモニタリングの実施に、特定の期限を設けない。
この3点で意見が一致したところです。
地域交通における「担い手」や「移動の足」の不足対策としては、「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」などの取組をしっかりと進めていくことが重要であると考えています。
新たな法制度の議論をすることについては、特定の期限を設けないことで意見が一致したところであり、その前提で、しっかりと議論を進めていきたいと思っています。
それから2点目の大阪・関西万博の対応についてですが、大阪・関西万博には、国内外から多くの来訪者が見込まれており、これまで関係者間で移動需要の増加に対応するための検討が行われ、国土交通省としても協力してまいりました。
道路混雑やドライバー不足などを避けつつ、万博時の移動需要の増加に対応するために、鉄道・バスなどの公共交通機関の利用促進を基本としつつ、タクシーの営業区域を越えた他地域からの応援や、「日本版ライドシェア」などの個別輸送機関の活用やそのバージョンアップも含め、どのような交通サービスが必要か、地元の声をよく聞きながら適切に対応していきたいと思っています。
(記者)
関連で1点目ですが、議論は進められるということですが、5年、10年たっても検証が進まないということになるとまた話は別かと思うのですが、議論を進められたうえで結論は出されるのでしょうか。
結論は出されないという可能性もあるのでしょうか。
(大臣)
今、国土交通省としては「日本版ライドシェア」、「公共ライドシェア」を全国に展開し、今回の議論のまず大きな目的、総理から指示のあった大目的は、移動の足の不足の解消です。
その移動の足の不足の解消に私は「日本版ライドシェア」、そして「公共ライドシェア」を充実させることによって解決できると思っていますが、その努力を今、国土交通省としては全力を挙げて行っているところです。
そういうもとで今回、新たな法制度の議論をすることについては特定の期限を設けないことになったということですので、まずは「日本版ライドシェア」、「公共ライドシェア」の充実に全力を挙げていきたいと思っています。
(記者)
ライドシェアについてお伺いします。
昨日、斉藤大臣も官邸にいらっしゃる1時間程前に赤羽前大臣がPT(プロジェクトチーム)の座長として官邸に行かれまして、その時にぶら下がりに応じられました。
その時に検証の実証にかかる期間として、季節性もあるので1年間を通してやるのが当たり前だという御認識を示されました。
つまり、少なくともまず1年くらいは実証期間を置いてから、それから議論をすべきだというお考えなのだと思うのですが、斉藤大臣も同じように少なくとも1年は見るべきだとお考えでしょうか。
(大臣)
赤羽前大臣は公明党の立場で意見を述べられたと思いますので、それに対してのコメントを私はする立場にないので控えさせていただきますが、我々は、先ほど申し上げたように、昨日の3人の意見が一致して、法制度の議論やモニタリングの実施に特定の期限は設けないというところで意見が一致したところですので、しっかり「日本版ライドシェア」、「公共ライドシェア」の充実に向けて全力を挙げていきたいと思っています。
今、特に期限について申し上げることはありません。
まさに昨日の合意のままです。
(記者)
ライドシェアについて関連質問をさせてください。
斉藤国土交通大臣のお立場はよく分かっている前提ですけれども、国土交通省としてではなく旅客課として、業界の利益を慮っているわけではないのかということです。
今大前提は地方の移動の不自由です。
足の確保という表現をされましたが、都市部はともかく、今一番困っているのは過疎だとか、国土交通省がやってきた、町の中心部におじいちゃん、おばあちゃんに来てもらおうというのが頓挫していることは明白なわけです。
おじいちゃん、おばあちゃん、そこに住んでいるので、ずっと住んでいたいということがある。
その過疎の場所をどうおじいちゃん、おばあちゃんの運転をしてくれる人がいない人のために公共はどのように力を発揮するのかということが大前提だということは、今大臣のおっしゃったとおりです。
ここの議論、担い手不足も御案内のとおり、自家用有償事業がもっぱらボランティアで成り立っていると。
200円、300円の料金、運賃は取っても、実際にはそれで生活できる運転手さんはいないわけですから、現状ボランティア状態。
ですので、きれい事ではなく、移動の不自由をどう解決するかということは大前提だと、そこには業界の利益は関係ないのだと明言していただきたいと思うのですがいかがでしょう。
(大臣)
まさしくその通りです。
移動の足の不足をいかに解消するか、今おっしゃった、特に過疎地域でのお年寄りの移動の足の不足の対応としては、「公共ライドシェア」についても抜本的に改革をしていきたいと思っていますし、地方のいろいろなNPOや地方公共団体とも話し合いをさせていただいています。
我々の目的は移動の足の不足の解消で、業界の利益は全く考えていません。
と同時に私自身の思いは、規制緩和がタクシー業界には以前あり、長時間、低賃金ということを招いてまいりました。
その惨状を見て、立法府としては議員立法でタクシー特措法ができ、今でも長時間、低賃金ですが、少しずつ改善されてきつつあると思います。
そういう働く人の労働環境を守ることも、私が今回の議論の中で重きをおかなければいけないのは、そういう面もあると思っています。
一貫して申し上げてきましたが、「運転手・車両の安全」、「事故が起きたときの責任」、そして「働く方の労働環境」の三つが議論の大前提である、そして大目的は、先ほどおっしゃったように地域の足の不足の解消だと考えています。