2024年9月13日(金) 10:41 ~ 10:56
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
JR貨物から、車輪の輪軸組立時に不正行為があった旨の報告があり、11日(水)には、安全確保の観点から、一時全ての列車が運行停止となる事態が生じました。
このような不正行為は、鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾です。
また、一時全ての貨物列車が運行停止となったことは、物流2024年問題への対応やカーボンニュートラル実現への貢献が期待されている貨物鉄道に対する信頼を大きく損なうものです。
JR貨物に対しては、全車両の輪軸の緊急点検と不適切な取扱いがされた車両の使用停止を指示するとともに、特別保安監査を行い、安全管理体制等を確認しているところです。
加えて、昨日(12日)、全国の鉄軌道事業者に対し、輪軸の緊急点検を指示しました。
国土交通省としては、引き続き、鉄道の安全輸送の確保と不正行為の再発防止の徹底等について厳正に対処してまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。
(記者)
物流影響のところですが、現時点で把握されている物流への影響の現状と受け止め、さらに今後の対応についてお聞かせください。
(大臣)
貨物鉄道は、日本の物流を支える重要な存在であり、昨今では、2024年問題への対応やカーボンニュートラル実現への貢献が期待されています。
11日(水)に、一時全ての貨物列車の運行が停止されたことから、宅配便の配達に遅れが生じるなど、物流において全国的な影響が生じています。
この11日(水)夕方から、順次列車の運行が再開されているものの、物流への影響は一部で続いているものと認識しています。
国土交通省としては、まずは、国民生活や経済への影響を最小限にするため、JR貨物や物流事業者などに対して、関係者が連携し、トラックなどの代替輸送手段の確保といった、物流の正常化に向けた取組を早急に進めるよう要請を行っています。
引き続き、JR貨物をはじめとした鉄道の安全輸送の確保などに厳正に対処していくとともに、物流網への影響を最小限にするべく迅速に対応していきたいと思っています。
(記者)
冒頭発言に関連して、この輪軸の緊急点検を指示ということで、これはいつまでに報告を求めているものなのでしょうか。
(大臣)
JR貨物に対しては9月20日までです。
(記者)
全国の鉄軌道事業者に対して輪軸の緊急点検を指示ということで、これはいつまでに報告を求めているものなのでしょうか。
(大臣)
それは9月30日です。
(記者)
今回のJR貨物の不正の件だけではなく、JR九州高速船が博多と韓国釜山を結ぶ旅客船「クイーンビートル」で浸水が発生していることを隠して運航していたことが発覚するなど、運輸業界で安全の確保を揺るがす重大な事態が相次いでいます。
こうした一連の事態への見解と、国土交通省として今後、類似の事案が発生しないようどう対応していくかお聞かせください。
(大臣)
言うまでもなく、輸送の安全確保は、交通事業者にとって最も基本的かつ最重要な使命です。
JR九州高速船、そしてJR貨物において不正行為が行われたことは、輸送の安全確保を根底から覆すものであり、安全への意識が欠如していると言わざるを得ず、極めて遺憾だと感じています。
繰り返しになりますが、国土交通省としては、現在、JR九州高速船・JR貨物に対して安全管理体制等の監査を行っているところであり、監査の結果を踏まえて、輸送の安全確保と再発防止の徹底について、厳正に対処していきたいと思っています。
また、日頃から、交通事業者の安全管理体制を強化することが重要だと思います。
このため、国土交通省としては、各輸送モードにおける安全対策を強化するとともに、モード横断的に、「運輸安全マネジメント制度」をより積極的に活用することによる事業者の安全管理体制の一層の強化、安全意識の構築・定着に取り組んでいかなければならない、このように考えています。
このような施策をこれからより一層徹底していきたいと思っています。
(記者)
今回の不正の背景として、現場からはコストを心配したとの声があがっています。
2013年に発覚したJR北海道のレール検査データ改ざん問題もコスト削減への意識が不正の一因となりました。
JR貨物の企業風土、ガバナンスに問題はなかったでしょうか。今後、国土交通省としてどのような姿勢でJR貨物を追及していくか、お聞かせください。
(大臣)
JR貨物に対しては、全車両の輪軸の緊急点検と不適切な取扱いがされた車両の使用停止を指示するとともに、特別保安監査を行い、安全管理体制などを確認しているところです。
特別保安監査を実施する中で、会社全体の業務体制や企業風土の問題なども確認を行い、その結果を踏まえ、同社に対し、厳正に対処していきたいと思います。
私も民間企業で17年間、技術者として働いてきました。
安全というのは最も大切な、技術者として心がけなければならないことです。
例えば、医師は国家試験があり、その国家試験の中でもまた普段の継続的な教育の中でも医師倫理ということが徹底していて、今の最も新しい世界の考え方等を勉強すると聞いています。
技術の世界には技術士という国家資格があります。
この技術士の資格を取るには、もちろん技術者として高度な専門性は問われますが、同時にここで問われるのは技術者倫理です。
そして、この技術者倫理について先ほど申し上げたように、最新の世界の状況の中で技術者がどうあらねばならないか、ある意味では社会を支えている技術者として、守らなければならない技術者としての倫理ということを継続して教育することが行われているところです。
この技術士の国家資格を持っているのが一番多い組織は、実は国土交通省関係ですが、本当は各企業にこのような技術者倫理ということを徹底する人たちがいることが理想的ですが、この技術士という制度そのものがほとんど今、社会のなかであまり認知されておらず、技術を主体とする企業であっても、あまりこの技術士というものが活用されている状況にないという中で、もっと技術者倫理を身に着けた技術者が、その企業の中で活躍する、その意見を企業は重んじなければならない、工程や利益も非常に大事なことですが、同時に技術者の倫理も同じようにあると、こういう日本の技術の世界にしていかなければならないなと、ここ1年そのことを強く感じているところです。
国土交通省として何ができるのか、しっかり考えていきたいと思います。
(記者)
昨夜、東京の日野市の公園で、木の枝が落下して歩行者が死亡するという事故がありました。
この点についての受け止めと、近年古くなった木の落下等によって事故が起こることがありますが、国管理の道路や公園などの点検指示や再発防止のための緊急の対策等については如何でしょうか。
(大臣)
昨日の日野市の事故は私も報道で承知しています。
お亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げます。
御指摘の事故につきましては、この樹木は日野市が管理する都市公園内にあることから、事実関係などを把握し、各公園管理者に対し、必要な注意喚起を行っていきたいと考えています。
実は昨年の春頃、広島でも大きな街路樹が倒木して怪我をする方がいらっしゃいました。
それを受けまして、国土交通省道路局において注意喚起をしたところですが、今回、死亡事故という大変重たい事態になりました。
どのような形で樹木管理を行っていけば良いか、考えさせていただければと思います。
(記者)
北海道庁が2023年に実施したアイヌ生活実態調査で、SNSの書き込みで差別を受けたと回答したアイヌ民族の割合が最多となりました。
こうしたインターネット上でのアイヌ民族に対する差別的な書き込みに対し、アイヌ関連施策に関連する国土交通省としてどう対応していくかお聞かせください。
(大臣)
昨年度に北海道庁が実施したアイヌ生活実態調査において、差別を受けた経験があると回答した方が29%にのぼり、特に「SNSなどインターネット上の書き込み」による差別が多いなどの結果がとりまとめられたことは承知しています。
アイヌの方々に対して、アイヌであることを理由として、差別することはあってはならないと考えています。
SNS対応については、アイヌ施策全体を担当する内閣官房において、インターネット上の書き込みに対する削除申請に適切な対応を取るよう大手プロバイダ事業者に要請するなどの取組を実施することとされています。
国土交通省としても、内閣官房など関係省庁と連携し、国民の皆さまにウポポイにおいてアイヌ文化に触れていただくことなどを通じて、アイヌ文化の理解の促進に取り組んでいきたいと考えています。