2024年11月5日(火) 11:00 ~ 11:13
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣
(大臣から)気象庁とオーストラリア気象局の気象衛星分野での協力強化について
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
気象庁とオーストラリア気象局の気象衛星分野での協力強化についてです。
我が国の静止気象衛星「ひまわり」は、1978年に初号機の運用を開始して以来、日本のみならず、静止気象衛星を運用していないアジア太平洋諸国にも観測データを提供することで災害リスクの軽減に貢献してきました。
ここにありますように非常に広い観測範囲があります。
中でも、オーストラリア気象局では、これまで国内の森林火災や大雨などの災害対応において、「ひまわり」の観測データが活用されてきたところです。現在、気象庁では次期衛星「ひまわり10号」の2029年度の観測開始に向けた準備を進めています。
これを契機に、気象庁とオーストラリア気象局は、「ひまわり」の観測データや観測機能のより一層の利用、そのための技術開発などに関する連携を強化する協力覚書を、11月11日に締結します。
これにより、日本やオーストラリア、また、アジア太平洋諸国における災害リスクの更なる軽減に貢献するものと考えています。
後ほど資料を配付します。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。
能登半島地震における建築物構造被害状況の調査結果等について
(記者)
金曜日(11月1日)に能登半島地震の建物被害の原因分析を行っている委員会が中間とりまとめを公表しました。
この中で木造建築物の建築時期別の被害状況が示されていますが、これを踏まえて現行の耐震基準や関連する規制の見直しを行う必要があるのかどうか、大臣の考えをお聞かせください。
また、残る検討課題となっている輪島市のビルの倒壊の原因調査の進捗状況と今後の見通しについてもお願いします。
(大臣)
令和6年能登半島地震の建築物被害に関して、今月1日に、有識者委員会による調査・分析結果の「中間とりまとめ」が公表されました。
その中では、輪島市・珠洲市などの建物被害が集中した地域において、昭和56年以前の旧耐震基準による木造建築物については2割が倒壊・崩壊しました。
一方、新耐震基準による木造建築物のうち、接合部の仕様等を明確化した平成12年以降の現行の耐震基準のものや、耐震改修を行った建築物については、ほとんど倒壊・崩壊しなかったことが確認されたところです。
これらは熊本地震の被害の検証結果とも一致しており、現行の耐震基準の有効性が改めて確認されたものと考えています。
このため、現時点で基準の見直しを行うことは考えていません。
なお、旧耐震基準の木造建築物などについては、引き続き、地方公共団体と連携し、耐震化に向けた普及啓発や補助・税制・融資による支援などを進めてまいります。
私も全国を歩いた時に、この耐震診断そして耐震改修、それを補助する制度が各地方自治体にありますと、少しバラバラなところがあるのが問題で、これからしっかりと先ほど申し上げたように普及啓発を行っていきたいと思いますが、そういう制度を利用してくださいと、また、補助の制度がまだまだ不十分なところはしっかり地方自治体として考えてくださいとお願いをしているところですが、しっかり国土交通省としても対応していきたいと思っています。
それから後段の能登半島地震で倒壊したビルの件ですが、お尋ねの輪島市のビルについて転倒した原因を調査するためには、ビルの下に埋まっている杭や地盤などを調査することが必要です。
現在、輪島市においてビルの解体が進められていると承知しています。
解体が終わった段階で、速やかに杭や地盤などの調査を行い、その結果を踏まえて有識者委員会において被害要因の分析を行っていただくこととしています。
この有識者委員会の分析を待ちたいと思っています。
(記者)
公明党が次期代表に斉藤大臣を起用する方針を固めたとの報道が週末にありました。
また次の組閣人事で、石破首相が国土交通大臣に中野洋昌衆議院議員を起用する方針を固めたとの報道もありました。
これらについて、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)
まず私に関しての件ですが、ここは国土交通大臣としての会見の場ですので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、まずは国土交通大臣として、職務をしっかり遂行し、取り組んでいきたいと思っています。
その上で、どのような立場にあっても、先週も申し上げたところですが、党勢拡大のため、国民の皆さまからしっかりとした御支持をいただける公明党となるよう、私も全力を挙げていく決意です。
それから後段の件ですが、次の国土交通大臣に関する報道も承知しているところですが、これについてもコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
能登半島地震における建築物構造被害状況の調査結果等について
(記者)
先ほどの耐震の関係で追加でお聞きしたいのですが、現時点の基準が有効であることがあらためて確認されたので、現時点で基準の見直しは考えていない、とおっしゃっていたのですが、それは地域係数の見直しに関しても含んだおっしゃり方ということでよろしいでしょうか。
各地で地域係数が1.0から0.7までいろいろ差があると思いますが、それの見直しも含めて考えていないということでよろしいでしょうか。
(事務方)
地震地域係数については、今回の地震においては、地震地域係数が0.9の地域において地震が発生したという状況ですが、一方で地震地域係数が0.9であることをもって倒壊・崩壊したということは確認されていない状況です。
そのため、こういった事実関係を踏まえて、地震地域係数をどうするかについては、引き続き検証をしていくことで考えているところです。
気象庁とオーストラリア気象局の気象衛星分野での協力強化について
(記者)
冒頭の気象庁とオーストラリアの連携強化のことについて伺いたいのですが、オーストラリアと一緒に連携強化することによって、どのような意義があるのかということを伺いたいのですが、先ほどアジア太平洋地域の災害防止にというお話もあったと思いますが、日本とオーストラリアが一緒に組むことによるメリットや相乗効果のようなものがあれば教えていただきたいのと、また、これまでも連携していたと思いますが、なぜこのタイミングになったかについてもお伺いします。
(大臣)
まず意義ですが、やはりこういう防災・減災に関して、各国がデータを共有することは非常に有意義なことではないか。
これは大きく言えば、お互いに協力することは平和の原点です。
そういう意味でも大きな意義があります。
特に旧太平洋地域の諸国は、こういう科学的基盤を持っていない国もたくさんあるので、そういう国に日本が取ったデータを利用していただくのは、大変私は嬉しいことだと思います。
またオーストラリアですが、今回非常に協力をするということでオーストラリアも非常に大きなメリットを受けるので、それ相応の費用分担をオーストラリアにしていただくことで、財政的なメリットもあると思います。
なぜ今の時期かということですが、次期気象衛星「ひまわり10号」が2029年度から運用開始するということで、その時期に合わせて、今の時点だと私は認識していますが、詳細は事務方からお願いします。
(事務方)
まず意義についてですが大臣の御案内の通りで、先ほど画面で表示されていた通り、オーストラリア気象局は「ひまわり」のデータを使って国内の、例えば森林火災で積極的に使っていただいています。
こういった知見は我々にとっても役に立つと思っていますので、相互に技術協力をしていくところをしっかり枠組みを作りたいというのが、今回狙いとなっています。
そういう意味でデータの利用をお互いに推進していきたいと考えています。
タイミングについてですが、「ひまわり」は現在8号・9号で運用していますが、次の衛星「ひまわり10号」を今、整備を進めているところです。
「ひまわり10号」に向けて、また新たなセンサーなども付けるので、そこに向けてオーストラリア気象局とも今後、技術連携を進めていきたいと考えています。