2024年11月15日(金) 10:40 ~ 10:51
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
(記者)
観光の政策についてお伺いします。
今年に入って訪日外国人旅行者数と訪日外国人旅行消費額がともに過去最多ペースで増加をしています。
こうした現状の受け止めと何か問題意識があればお聞かせください。
かねて課題として滞在先ですとか消費先の地方分散、オーバーツーリズム対策が挙げられていますが、経済対策に盛り込む施策も含めて今後どう対処されていくのか、お考えをお願いします。
(大臣)
御指摘の通り、今年の1月から9月までの訪日外国人旅行者数は累計約2700万人、訪日外国人旅行消費額も累計約5.9兆円となっており、インバウンドは過去最高ペースで非常に好調であると思っています。
他方で御指摘のように、インバウンドの宿泊者数は71.5%、また旅行消費額については75.6%、これが三大都市圏に集中している状況で非常に偏在傾向が見られます。
そして一部の地域や時間帯では、いわゆるオーバーツーリズムの懸念があることも聞いています。
こうした課題を踏まえて、国土交通省として、一つは地方部での滞在を促進するためのコンテンツをしっかり造成をしていく、もう一つはオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組を支援していくこと等により、持続可能な観光立国の推進に向けて、現在その取組を進めているところです。
なお、経済対策について、総理の指示を受け、国土交通省においても、盛り込むべき施策の検討を幅広く進めているところで、もちろん御指摘の観光も含めて、地方創生にしっかり資する施策の強化について検討しているところであり、鋭意その作業を進めていきたいと思います。
(記者)
自賠責保険料の運用益の貸し出しについてお伺いします。
返済を現在有効な大臣間合意に基づき、最低限返済するべき額で計算すると、100年返済になります。
この長すぎる返済計画について、大臣はどのようにお考えですか。
また約5800億円の資金が手元にあれば、自動車事故被害者の救済というものは完全自動運転後の安全・安心にも繋げられると思います。
今日も検討会がありますけれども、目の前の被害者救済に加えて、運用益を活用した安全・安心の長期的な展望の議論が必要ではないでしょうか。
(大臣)
御指摘のとおり、令和6年度末時点で5806億円が一般会計から自動車安全特別会計に繰り戻されていない状況です。
自動車事故が後を絶たない中で、自動車事故の被害者支援等を安定的、継続的に行うためにも、一般会計からの繰戻しは極めて重要であるとの認識です。
国土交通省としては、令和7年度予算要求において、令和3年12月の財務大臣との合意を踏まえつつ、更なる増額を図るため予算要求を今行っているところです。
引き続き、財務省に対して、全額の繰戻しに向けて、着実な繰戻しをしっかり求めていきたいと思っています。
また、被害者の救済や事故防止対策を含めた被害者保護増進等事業については、被害者保護増進等計画に基づき、御指摘ありました毎年度開催される「被害者保護増進等事業に関する検討会」において、長期的な視点も含め有識者からの御意見をいただきながらしっかり実施していきたいと思います。
(記者)
100年返済というのは、これは妥当なプランなのでしょうか。
(大臣)
令和3年12月に財務大臣と合意している中身であると思っていますが、これを踏まえつつ更なる増額をしっかり図るため、しっかり予算要求をしていきたいというのが私の今の思いです。
(記者)
今の自賠の問題、金融庁と端境がはっきりしない部分もあるのですが、一般会計からの繰戻しもそうですし、中野大臣もお察しかもしれませんが、いくら使っていくらかかって、手間賃がいくらなのかというところは、不正のデパートになっている損保業界に委ねられていると。数字の算定はその損保業界が指導している料率算出機構があります。
決して公益団体ではなくて業界団体、ここが言っている数字を真に受けてお役所は翌年の自賠保険料を決めていると。
こういうところにも単に「金返せ、金返せ」と呪文のように唱えてみても、返ってきていないことは過去の結果が明らかなわけです。
やはり金融庁との折衝にはなると思いますが、国土交通省として被害者救済、それから先ほど御指摘があったように先々、完全自動運転が2050年以降とは言われていますが、実現すれば自賠って何なのと。
人間の不確定要素がなくなれば、交通事故は劇的に減るわけで、そのときに自賠という制度そのものは、ありなのか、なしなのか、これも議論されていますが、そういうところも含めてもっと国土交通省は料率の決め方、お金の繰戻しについて、もっと踏み込んで関わっていかれたらいかがかと思うのですが、所信があればいただきたいと思います。
(大臣)
もちろん自賠責について、適切な運営をしていくのは当然であり、そこはしっかりと普段のどういう状況かということは見ていかないといけないと思っています。
また他方で、こうした被害者の支援等も含めてどういう形で安定的、継続的に行っていくかということで、今こうした一般会計の繰戻しもしっかりやっているところであり、またどういうことをやっていくのかについても、先ほど御指摘の検討会も含めて、やはり様々な関係者がいらっしゃいますので、その御意見はしっかり伺いながら、必要な事業をしっかり実施できるようにということで、先ほどいろいろな御指摘もありました。
当然私も問題意識としては様々なものを持っていますが、関係者の皆さまがしっかりと納得のいくような、また適切な運営も含めて、しっかり心掛けていきたいと思っています。